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Race Report - 第5戦 ツインリンクもてぎ

一日目 予選(8月18日・晴れ/ドライ)

予選レポート

KONDO RACING、決勝は2台揃って3列目からスタート

前大会からおよそ1ヶ月半、栃木県・ツインリンクもてぎで第5戦が開催されることになった、全日本スーパーフォーミュラ選手権。その8月18日には、ノックアウト方式の予選が行われ、KONDO RACINGは3号車のニック・キャシディ選手、そして4号車の山下健太選手の両選手が揃ってQ3へと進出を果たし、キャシディ選手は5番手、山下健太選手が6番手につけた。

爽やかな天候に恵まれた土曜日のツインリンクもてぎ。日差しは強いものの吹く風は心地よく、初秋を感じさせるような一日となった。まず、午前9時40分から1時間に渡るフリー走行が行われると、前日の専有走行から良い流れを築いてきた両選手は揃って好タイムをマーク。結果、山下選手が3番手、キャシディ選手は6番手となり、予選での躍進に期待がかかった。

ノックアウト予選Q1は午後2時30分からスタート。気温32度、路面温度42度のコンディションの中、アタックに入ったキャシディ選手だったが、なんとまさかのブレーキトラブルが発生。慌ただしくピットでの修復作業を行い、改めてアタックに挑んだ。残り少ない時間ながら、高い集中力を味方につけ1分33秒443をマーク。12番手となり、Q2進出を果たす。また、山下選手もミディアムタイヤでのコントロールにやや苦戦したものの、1分33秒412のタイムで10番手となり、Q2へと駒を進めた。
(ご参考:Q1のタイヤは全車ミディアムタイヤ使用義務)

午後3時にスタートしたQ2。このセッションからソフトタイヤが装着可能となり、両ドライバーはさらなるポジションアップを狙ってアタックを開始した。先のセッションでブレーキトラブルに見舞われたキャシディ選手は、ラストアタックで着実にタイムアップ。1分31秒900をマークして5番手となる。一方、山下選手はソフトタイヤを巧みにコントロール。1分31秒891の好タイムで4番手となり、今シーズン初のQ2突破を達成。結果、KONDO RACINGは2台が揃ってQ3進出を実現させた。

そして迎えたQ3は午後3時17分にスタート。先のアタックで良いフィーリングを掴んだキャシディ選手は新品のソフトタイヤでコースイン。Q2でクルマのバランスが良かったため、セット変更は一切行わずラストアタックに挑んだ。Q2で完璧なアタックができたというキャシディ選手は、さらにタイムアップを果たして1分31秒853をマーク。5番手グリ ッドを手にした。また、山下選手はQ2での改善点を意識してアタック。だが、思うようにタイムが伸びず1分32秒142のタイムで6番手に留まった。
2台揃って3列目からのスタートを迎えることになったKONDO RACING。2台揃っての上位スタートは今シーズン初となる。翌日の決勝ではより安定した速さを発揮し、揃って表彰台を狙いたい。

公式予選記録

Pos. No. TEAM DRIVER Q1 Q2 Q3
1 1 JMS P.MU/CERUMO・INGING SF14 石浦 宏明 1’33.052 R 1’31.747 R 1’31.591
2 5 DOCOMO DANDELION M5S SF14 野尻 智紀 1’33.045 R 1’31.677 R 1’31.642
3 6 DOCOMO DANDELION M6Y SF14 松下 信治 1’32.298 R 1’31.799 R 1’31.761
5 3 ORIENTALBIO KONDO SF14 ニック・キャシディ 1’33.443 1’31.900 R 1’31.853
6 4 ORIENTALBIO KONDO SF14 山下 健太 1’33.412 1’31.891 1’32.142

R=コースレコード(従来のコースレコード 1’31.888)

近藤監督のコメント

今回、ようやく2台揃ってQ3に出走することができて良かったです。山下は常に学習し続けている、という感じなんですよね。今回、Q2よりQ3の方がタイムは悪かったんですが、アタックのタイミングやセクターごとのタイムから学ぶこともあるので、しっかりと頑張っていると思います。この状況の中で6位に残れたのは良かったと思います。フリー走行では上位につけることができているので、これから、予選、決勝で上位を常に走れるようになってもらえたら良いですね。
ニックの方はブレーキトラブルがあって、申し訳ないことをしてしまいました。ただQ2、Q3とパーフェクトに頑張ってくれました。明日の決勝では、ポジション的にもギャンブルできませんが、2台ともスタートに賭けています。それが上手く決まればレースで良い展開ができると思います。

ニック・キャシディ選手のコメント

Q1では、最初のアタックでブレーキを踏んだら止まらなくて…。それでピットにクルマを戻してピット作業を行いました。残り時間が少なくなる中、なんとか再びコースインできました。でも目の前でトラフィックが起こっていたので、もうダメだと思いました。ただ、そんな中でのアタックラップは凄かったと自分でも思います。最初のベストラップよりも途中まで1.2秒も速かったんです。そのままいけたら、Q1で多分3〜4番手くらいまで行ってたと思います。でも…最後コーナーでコントロールを失い、ハーフスピンしたんです。まぁなんとかチェッカーを受けることができたので良かったです。

Q2ではとにかくアタック優先でセットも変えず、ソフトタイヤに交換しただけでアタックしました。幸い、Q2、Q3ではトラブルもなく、Q2では今までの中でも最高のアタックができました。Q3もセット変えずにアタックした結果、Q2よりもタイムアップできましたが、ポジションは5番手と変わらなかったです。決勝はペース良く走れる自信があるので、まずスタートを決めたいです。

山下 健太選手のコメント

今回は調子が良かったので、絶対にQ3まで残るという自信もあったし、行かなきゃいけないという思いがあったので、それができて良かったです。アタックラップでクリアは取れていたのですが、ミディアムタイヤでのアタックとなるQ1で、ちょっとセッティングが合わない感じで…。でもソフトタイヤに変えると5番手に行ける状況だったので、実際Q2では4番手につけることができました。なので、明日は決勝のために、まず朝のフリー走行でミディアムタイヤでのセットを確認しないといけないですね。

Q3は、Q2よりもタイムを落としてしまったんですが、Q2でのセクター1、2がトップと比べてかなり遅いということが分かっていたので、そこをタイムアップするのに、早めにタイヤを温めようと思いました。実際、セクター1、2のタイムは上がっていたんですが、セクター3、4でタイヤがタレてしまった。正直、Q3はトップを狙うしかない、という思いもあったので、一か八かの思いで狙っていったのが裏目に出たようです。

エンジニアのコメント

【3号車】

Q1でブレーキトラブルが出てしまい、修復の時間が必要になりました。そんな中、バタバタしてしまった後でも彼自身が落ち着いてアタックしてくれたのが良かったですね。セッティングは色々と試しましたが、その中でQ2のアタックは素晴らしかったです。うまく乗ってました。良いポジションにつけることができたので、明日の決勝は、3列目なので慌てず騒がずのレースができれば良いと思います。

【4号車】

とりあえず、Q3に残れて良かったです。まだセットアップの部分でやりたいことはあるんですが、常に上位につけることができましたね。Q3に残れたら、という思いがあったのでそれを実現してくれて良かったと思います。Q2からQ3に向けてセット変更はせず、車高調整だけ行いました。結果的にはタイム的には伸びませんでしたがこの経験を次に生かしたいです。

二日目 決勝(8月19日・晴れ/ドライ)

決勝レポート

KONDO RACING、ダブル入賞達成!

今シーズンの後半戦に突入もてぎ大会。爽やかな天候に恵まれる中、52周の戦いで最善を尽くしたKONDO RACINGは3号車のニック・キャシディ選手が3位を獲得。そして、4号車の山下健太選手も6位でチェッカー。嬉しいダブル入賞を達成となった。

第3戦SUGOで2位、第4戦富士で悲願の初優勝を果たし、波に乗るキャシディ選手。自分より前方のグリッドを獲得した4選手がソフトタイヤを選択したことを受け、キャシディ選手はミディアムタイヤを着ける戦略を採った。ソフトタイヤに比べ温まるまでに時間を要するため、スタート直後は7番手までポジションを落とすことになったが、慌てることなく落ち着いたレース運びを続ける。そして、10周終了間際でピットインするとソフトタイヤに交換。”見えないライバル”との戦いを開始し、ペースアップを目指した。

クリーンエアの中で順調に周回を重ねたキャシディ選手だが、ストップ&ゴーのもてぎは抜きどころも少なく、また、ペースの遅い前方車両に追いつくと、行く道を塞がれるという、ストレスを感じる展開を強いられた。しかし、粘り強く、また果敢にライバルとの戦いを続けて着実にポジションアップ。事実上は暫定2番手で終盤に向かう。だが、ポジション争いをする目前のライバルは、2ピットストップの作戦を敢行。これでオーバーカットされることとなり、キャシディ選手は3番手へ。結局、レースはこのままチェッカーを迎えた。しかも、今回の結果で3戦連続の表彰台獲得を達成したキャシディ選手はシリーズランキングで27ポイントを獲得。2位とは3ポイント差で暫定トップに浮上を果たし、タフなチャンピオンシップの争いで優位なポジションに立つこととなった。

一方、今季自己ベストの予選6位からソフトコンパウンドでスタートした山下選手。レースウィーク中は、懸念材料でもあるスタート練習を念入りに行っていた。しかし惜しくも実戦でその成果を手にするには至らず、8番手でオープニングラップを終える。さらに、序盤は先行された車両の遅いペースに長らく付き合わされることになり、自らのペースを確立することが難しい状況になってしまった。

ルーティンのピットインは、レースの折返しを過ぎた39周終了直前で実施。手際よく作業を済ませてコースに復帰すると、終盤には前後車両と激しい攻防戦を披露する。抜きつ抜かれつの中、50周目の90度コーナーで8号車に先行を許したものの、ファイナルラップの1コーナーでは16号車を逆転。意地を見せた走りでポジション奪還を成功させるとそのまま6位でチェッカー! 今シーズンのベストリザルトを手にしている。

今季2度目のダブル入賞を実現させたKONDO RACING。今大会では2台揃ってQ3進出を果たした数少ないチームとして躍進し、決勝での善戦に繋げた。残り2戦となったスーパーフォーミュラだが、チームは上昇気流の真っ只中。最後の最後まで全力で戦うのは言うまでもない。

決勝結果

Pos. No. TEAM DRIVER LAPS TIME DELAY BEST TIME
1 1 JMS P.MU/CERUMO・INGING SF14 石浦 宏明 52 1:24’19.998 - 1’35.734
2 20 ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14 平川 亮 52 1:24’22.722 2.724 1’34.912
3 3 ORIENTALBIO KONDO SF14 ニック・キャシディ 52 1:24’46.452 26.454 1’34.849
6 4 ORIENTALBIO KONDO SF14 山下 健太 52 1:25’01.641 41.643 1’36.359

Fastest Lap

No. TEAM LAPTIME
15 TEAM MUGEN SF14 1’34.758(4/52)182.41km/h

規定周回数 46

近藤監督のコメント

今回は、レースウィークを通して作戦通りに物事が進んだと思います。両者とも戦略を途中で変更することもなく、皆が良い仕事をしてくれたレースでした。周りに影響されることもなく、やれたのは良かったと思います。ただ2ストップを敢行した20号車には意表を突かれました。どこかのチームが(2ピットストップを)やってくるだろうという予想はあったんですが、それがニックとのポジション争いに絡んでいたのは意外でした。とはいえ、僕らのチームとしてはやることをやっての結果でもありました。

ニックは今回ギャンブルをするような位置ではなく、真っ向勝負できたレースだったし、しっかりとベストを尽くしてくれました。また山下も終盤で粘りを見せてくれましたね。成長を見ることができました。おそらくこれが1年前なら、今回の状況だとニックも山下も競っている中で他車と接触してしまった可能性もあります。今回も軽い接触があったけれど、競り負けなかったのは成長の証でしょう。チームとしての成長も皆さんに見ていただくことができたので、良いレースウィークになりました。

ニック・キャシディ選手のコメント

レース直後は少し残念な結果になったと思いましたが、落ち着いて考えるとやっぱり嬉しい結果でした。ちょうど今日が24歳の誕生日だったので、”バースデー・ポディウム”(表彰台)になったり嬉しいです。このまま選手権をリードする自信にもなりました。  スタート時にミディアムタイヤを選択したのですが、タイムがあまり良くなく、早目のソフトタイヤを着けてレースがしたいと思って走っていましたが、結果、周りの状況を考慮した交換のタイミングが良く、3位に入ることが出来ました。

山下 健太選手のコメント

ソフトタイヤでスタートすることは、もう早い段階から決めていました。周りがどうであれ、ソフトで行こうと。ただスタートがまた決まりませんでした。今回、スタートがカギになると思って練習も繰り返したし、その都度上手くいってたんですが…。いつもどおりできたと思ったのにダメでした。もっと原因を究明しないといけないですね。

39周終わり直前のピットインは、燃料との兼ね合いです。40周前後でのピットインになることはわかっていました。燃料の限度を考え、ソフトタイヤで引っ張れるだけ引っ張ってピットに戻りました。結果的にはとりあえず良かった、と思う反面、やれることが全部できたかと言えばそうではなかった、という感じですね。また途中、ロシター選手にずっと引っかかり、10秒くらいロスしたと思います。そういう点を上手く処理することができたらな、と。できることがまだたくさんあったので、それがこれからの課題です。終盤、山本選手を追いかける中、後方から勢いのあった大嶋選手に先行されました。でも、その後、ミスした山本選手を抜くことはできました。中身のある戦いができたと思います。

エンジニアのコメント

【3号車】

予選グリッドで、キャシディ選手より前にいた全員がソフトタイヤを選択するだろうと思っていました。それに合わせてしまうと、結局勝負ができないということで、うちはミディアムを着けることにしたんです。トップの石浦選手を抜くことは難しいかもしれないけれど、前のホンダ勢3台を抜くことを意識してミディアムを選択しました。

ただ、ミディアムタイヤでのペースアップが難しく、キャシディ選手も早いタイミングからピットインしてソフトタイヤに交換したいと無線で言ってましたが、給油ウィンドウが開くのを待って10周終わり直前にピットインさせました。優勝するのは難しい状態でしたが、レースでは、チームもドライバーもミスすることなくきちんと戦うことができたと思います。しっかりとポイントを獲ることが今回の目標でもあったので、それが達成できて良かったです。

【4号車】

ソフトタイヤでスタートする、という戦略はもう早い段階から意識していました。予選グリッドである程度前のポジションを獲ることができたら最初にソフトを装着する、というスタンダードな戦略でしたし、ピットインのタイミングもガソリン補給のタイミングを意識したものでした。惜しむらくはスタートですね。さらにレース中、前にペースの遅い1台に塞がれたことも残念でした。依然として課題はまだ残っているのですが、今回は、6位スタート、6位ゴールができたので良かったです。残り2戦、もうひと踏ん張りすることで次のステップが見えてくると思うので、一緒に頑張っていきたいです。

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