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Race Report - 第1戦 鈴鹿サーキット

一日目 予選(2018年4月21日・晴/ドライ)

予選レポート

KONDO RACING、初戦の予選でハプニングに翻弄される

ニック・キャシディ、山下健太両選手を擁して迎えるKONDO RACINGの2018年シーズン。開幕戦直前に行われた鈴鹿・富士での公式テストで、手応えあるパフォーマンスを披露した二人だったが、初戦の舞台、鈴鹿サーキットではそれぞれが思わぬ刺客に翻弄される結果となった。
朝から眩しい陽射しが照り付けた鈴鹿。午前10時25分、気温23度、路面温度31度の中でセッションがスタートする。テストから持ち越したミディアムタイヤを装着して走行を始めた3号車のキャシディ選手と4号車の山下選手は、セットアップの確認をはじめ、用意されたメニューに沿って作業を進めていった。1時間のセッションで2度の赤旗中断に見舞われる中、キャシディ選手はソフトタイヤのみで走行を終了。1分39秒323のタイムで11番手となった。一方、山下選手はミディアムのニュータイヤでまず上位につけると、終盤にはソフトタイヤを装着して自己ベストタイムを更新。1分38秒982で8番手につけた。
午後3時45分、ノックアウト予選のQ1が開始。このセッションで装着するタイヤは全車、レギュレーションで定められたミディアムのみ。KONDO RACINGの二人はセッション最初からニュータイヤを投入し、気温22度、路面温度34度の中アタックへと向かった。そこで順調にタイムアップを果たしたのが山下選手。ラストアタックで7番手となる1分38秒155の自己ベストタイムをマーク。トヨタエンジンユーザーとしてトップに立った。一方のキャシディ選手はストレートスピードを存分に稼ぐことができず。Q2進出まであと一歩及ばない15番手に甘んじた。
Q2は午後4時15分にスタート。気温22度、路面温度31度の中で装着するのはソフトタイヤ。計測2周目でアタックする予定でコースに向かった山下選手はタイミングを計りながら周回し、タイヤを温めた上でアタックを開始。だが、その最中に1台の車両がコースアウト。セッションは残り13秒をもって赤旗中断に見舞われた。結局、残り3分でセッションが改めて行われる中、山下選手は引き続き同じタイヤでのアタックを敢行。ラストアタックで自己ベストタイムとなる1分38秒385をマークしたが、2セット目のソフトタイヤを新たに投入した他車がタイムアップを果たしたため、13番手どまりに。惜しくもQ3へのチャンスを逃した。
初戦の決戦は山下選手が13番手、キャシディ選手が15番手のスタートとなる厳しいコンディション。だが、ソフトおよびミディアムタイヤを装着する2スペックタイヤによるシーズン初の決勝レース、さらには300kmと他の大会よりも50km長い距離での戦いになることから、戦いの行方は未知数。不確定要素が多いため、まずはチームの総合力をもって粘り強い走りを披露したいところだ。

公式予選記録

Pos. No. TEAM DRIVER Q1 Q2 Q3
1 16 TEAM MUGEN SF14 山本 尚貴 1'37.518 1'37.227 1'36.911
2 15 TEAM MUGEN SF14 福住 仁嶺 1'37.559 1'37.274 1'36.991
3 5 DOCOMO DANDELION M5S SF14 野尻 智紀 1'37.865 1'36.960 1'37.040
13 4 ORIENTALBIO KONDO SF14 山下 健太 1'38.155 1'46.650 -
15 3 ORIENTALBIO KONDO SF14 ニック・キャシディ 1'38.703 - -

No. 4 Q2ベストタイム(1’38.385)抹消(全日本スーパーフォーミュラ選手権統一規則 第21条12. (危険なピットアウト))

近藤監督のコメント

今回、ニックのクルマに関しては、セットアップはもちろんクルマ自体も決して悪くないというか、良かったんです。データを見てもコーナースピードは(チームメイトの)山下(健太)よりも速かったし。ところがなぜかストレートエンドが伸びていなくて…。ずっと頭を抱えているところなんです。ドライバーとしてはしっかり走ってくれているのですが、計測タイムを見ると、伸びていないという状態でした。データを見てもらっても、まだはっきりとした原因が分からないという厳しい状況ですね。彼はベストを尽くして走ってくれただけに悔しいでしょうし、僕も残念です。一方、山下のほうは赤旗に邪魔されましたね。ユーズドタイヤでアタックさせたのは、確かにQ1はトヨタ勢でトップタイムをマークしていましたが、赤旗再開後にニュー(タイヤ)を入れたとしても、タイムアップできたかどうかは正直難しいかもしれないという状況でした。よって、それよりも明日の決勝でしっかり走ってもらったほうが…、という判断をしました。彼としては2年目の成長が見てとれるので、決勝でも頑張って走ってくれると思います。

ニック・キャシディ選手のコメント

クルマは良かったし、僕自身のアタックも良かった。いい走りができたという思いはあります。ただその一方で、クルマにはストレートスピードがなかった。どうしてだか分からないまま予選を迎えることになり、それが結果になって現れたということです。このままではとても厳しい戦いになるのは明らかです。第2戦に向けてしっかりと原因を究明していかなければならないと思っています。

山下 健太選手のコメント

クルマは良かったので、Q2での赤旗でアタックのタイミングを失わなければおそらく最終的に5番手くらいは狙えたと思います。ただ、いい感じでセクタータイムを刻むことができていたので、計測のタイミングとしてはあれがベストでした。赤旗後、再度コースインするときにどのタイヤを装着するかの判断が難しかったですね。僕はそのまま中古タイヤで行ったのですが、結果的には新品を着けてアタックするドライバーが多かった。そこがもったいなかったなという思いもあります。ただクルマがいいだけに、明日はしっかりと粘って走りたいと思います。

エンジニアのコメント

【3号車】

レースウィークに入ってからクルマはストレートスピードが伸びず、色々と原因を探ってはいるのですが、残念ながらこれといった対策を施すことができないまま予選を迎えることになりました。スピードを稼げない状態ではあるもののクルマ自体のセットは決まっているので、決勝に向けて色々戦略を練って、しぶとく戦いたいと思います。

【4号車】

Q2での赤旗後、再度アタックするときにタイヤ選択で悩んでいたことも事実ですが、それに先立ち、アタックラップを計測1周目にするか2周目にするかという点でも悩んでいました。最終的には2周目でアタックしていたのですが、赤旗が出たタイミングを考えると、1周目でタイムを出すような流れにしておいたほうが良かったという結果になりました。これは判断ミスでもあります。明日の決勝は未知数の部分もあるのですが、ポイントを獲ることを意識してでき得る策を考えたいと思います。

二日目 決勝(2018年4月22日・晴/ドライ)

決勝レポート

戦略を完遂、キャシディが7位、山下は9位を獲得

レースウィーク一番の暑さとなった開幕戦鈴鹿の決勝日。KONDO RACINGでは、3号車ニック・キャシディ選手が15位、4号車山下健太選手が13位からスタート、300km、51周の戦いをそれぞれの戦略をもって走破。終盤の攻防戦でも奮闘した結果、キャシディ選手が7位入賞、山下選手は9位でフィニッシュした。
今シーズンからソフト、ミディアムと2種類のタイヤを装着することが義務付けられたため、レース戦略の幅が広がる一方でライバルとの駆け引きをより意識した戦い方になる可能性も出てきた。さらに今大会は300kmレースと距離も長く、さらに初夏を思わせる好天で、気温・路面温度が予想以上に上昇。いかにレースをまとめ上げるかがチームにとっての課題となった。
迎えた決勝。2台が装着したのはソフトタイヤ。構造上、ミディアムに比べると安定したコンディションで走行できる距離は短い。つまり、比較的早いタイミングでのピットインを行うことが予測された。
スタートを決めたのは山下選手。オープニングラップでいきなり8番手まで浮上。一方のキャシディ選手は14番手から猛追を開始する。ソフトタイヤはミディアムタイヤに比べ温まりが早く、ペースアップしやすい。しかし、大混戦となったコース上は攻防が激しく、順位を上げるには至らない。さらに山下選手は2ピット戦略を立てていたこともあり、ライバルよりも早いタイミングの12周終わりでピットイン。ミディアムタイヤを装着してコースに復帰した。
さらにその4周後、16周終わりにキャシディ選手がピットイン。序盤から1台、また1台とバトルを制してポジションアップし、ピットイン直前には石浦宏明選手を逆転する力走を見せた。山下選手同様にミディアムタイヤを着けてピットを離れたキャシディ選手は、このままフィニッシュを目指す戦略。終盤は前後車両とのバトルを繰り広げ、7位でチェッカー。初戦で入賞を果たし、貴重なポイント獲得を実現した。
一方、37周を終えて2度目のピット作業を行った山下選手。ここではソフトタイヤに交換し、改めて前方車両を激しくプッシュする。終盤に入ると、メインストレートにおいて、テール・トゥ・ノーズ、サイド・バイ・サイドの攻防戦を展開。オーバーテイクシステムを活用しギリギリの攻防戦を繰り広げ、迎えたファイナルラップでついに逆転!9位をもぎ取ることに成功した。
次戦・オートポリスはタイヤへの負荷が大きく、タイヤマネージメントが問われるサーキット。より一層チームとしての総合力を高め、さらなるパフォーマンス披露に期待がかかる。

決勝結果

Pos. No. TEAM DRIVER LAPS TIME DELAY BEST TIME
1 16 TEAM MUGEN SF14 山本 尚貴 51 1:29’25.365 198.71km/h 1’42.678
2 19 ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14 関口 雄飛 51 1:29’27.085 1.720 1’42.803
3 5 DOCOMO DANDELION M5S SF14 野尻 智紀 51 1:29’39.082 13.717 1’43.197
4 1 JMS P.MU/CERUMO・INGING SF14 石浦 宏明 51 1:29’41.246 15.881 1’42.543
5 65 TCS NAKAJIMA RACING SF14 伊沢 拓也 51 1:29’56.272 30.907 1’43.890
6 17 REAL SF14 塚越 広大 51 1:29’56.650 31.285 1’42.360
7 3 ORIENTALBIO KONDO SF14 ニック・キャシディ 51 1:29’57.940 32.575 1’43.797
8 36 VANTELIN KOWA TOM’S SF14 中嶋 一貴 51 1:30’06.832 41.467 1’43.847
9 4 ORIENTALBIO KONDO SF14 山下 健太 51 1:30’10.792 45.427 1’43.261
10 18 KCMG Elyse SF14 小林 可夢偉 51 1:30’12.987 47.622 1’44.204

Fastest Lap

No. TEAM LAPTIME
37 VANTELIN KOWA TOM’S SF14 1’42.235 34/51 204.48km/h

No. 20 次参加大会での 3グリッド降格(全日本スーパーフォーミュラ選手権統一規則 第15条1.1)(危険なドライブ行為))

近藤監督のコメント

今回、二人のドライバーには異なる戦略を取りました。ニック(・キャシディ)がソフトタイヤでスタートし、ミディアムタイヤに交換するというもので、(山下)健太はソフト、ミディアム、ソフトに変える2ピット作戦でした。全て予定通り上手くできました。チームとしての作業もミスなくできたので良かったです。
レース中、二人ともバトルをして競って、逆転できてました。いい勉強になったと思います。もう少し戦略を練ることができれば、二人のポジションももっと上がったかもしれません。特に健太は今回速さがあったので、周りと同じ1ピットができたら(2位に入った)関口とやり合った(攻防戦を展開した)かもしれないですね。いずれにせよ、戦いの内容が良く、二人の成長を感じさせるレースができたと思います。自信の付くレースになったので上出来でしょう。チームのモチベーションも上がったと思います。

ニック・キャシディ選手のコメント

エンジニアの田中さんらとしっかりコミュニケーションを取って、どのようにレースを組み立てていくのかの確認はしっかりとできていました。結果、15位スタートから7位入賞ができたのでとても良かったと思います。あとはレースウィーク中の悩みだった問題点をクリアしていくだけです。レース中、たくさん逆転したし、バトルもできました。終盤はニュータイヤのソフトタイヤを着けたドライバーとのバトルだったので逆転を許してしまいましたが、いい戦いができたと思います。
最後までプッシュし続けた結果、貴重なポイント獲得を果たせたのでとても良かったです。これまでチームとして鈴鹿、オートポリス戦は苦戦してきたところでした。それがこの開幕戦の鈴鹿で結果を出すことができたので、次のオートポリス戦が楽しみです。ここでもいい結果を残すことができたら、他のサーキットでも大いに活躍できると信じています。

山下 健太選手のコメント

決勝で2ピットストップ作戦を行うということは最初から決めていたことです。少しでもポジションアップを狙うためでした。1回目のピットインから計画通りだったし、最後はソフトタイヤで小林(可夢偉)選手とのバトルになりました。難しい相手だったので、なかなか抜けなかったのですが、1コーナーでやっと逆転することができました。3度目の挑戦でした。向こうも僕もオーバーテイクシステムを使っての攻防戦でした。今回、基本的にクルマのペースが良かったので、結果的には1ストップでの戦いが理想だったと思います。でも2ストップをやるということを決めてからは、やるべきことを頑張ってやり遂げました。

エンジニアのコメント

【3号車】

レースウィーク中、課題にしていたストレートスピードの問題がクリアにならず、バトルになってもなかなか抜くことができませんでした。2号車との様子を見てそう感じました。ただ15位からソフトタイヤでスタートし、早いタイミングでピットインしてミディアムタイヤに交換したにも関わらず、後半も一生懸命よく頑張ったと思います。戦略通りに事が進んだし、ドライバーからは「何とかしよう」という思いがよく見てとれる戦いになりました。次に繋がるレースができたと思います。

【4号車】

2ストップ作戦を取ったのですが、戦略的にはうまく行ったと思います。もちろん反省点もあります。判断のタイミングや装着したタイヤ等、もう少し煮詰めるべき部分がありました。クルマには速さがあったのですが、レースでそれを活かすことができない状態でした。結果は残りませんでしたが、チームはもちろん、ドライバーにとってもいい経験になったと思います。

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