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Race Report - 第3戦 スポーツランドSUGO

一日目 予選(2018年5月26日・晴/ドライ)

予選レポート

KONDO RACING、SUGOの難コースに苦戦

全日本スーパーフォーミュラ選手権第3戦が、宮城・スポーツランドSUGOで行われた。初日の予選、KONDO RACINGはクルマのセットアップに苦戦し、3号車のニック・キャシティ、4号車の山下健太両選手ともQ2どまりに甘んじている。
今月はSUPER GTおよびスーパーフォーミュラのレースイベントが毎週開催され、慌ただしいレースウィークを過ごしているチームやキャシディ、山下両選手。そんな中で迎えたSUGOの一戦は、爽やかな天候に恵まれ、気温22度・路面温度30度の中で朝のフリー走行がスタート。チームは、前日の専有走行からのセットの見直しを行い、クルマの仕上がりをチェックするなど様々な対策を重ね、午後の予選に向けて準備を進めた。
迎えたノックアウト予選。気温24度、路面温度41度の中、Q1がスタート。ここで躍進を見せたのが、山下選手。ファーストアタックでトップタイムをマークし、弾みをつけた。一方、キャシディ選手も着実にタイムアップを見せ、両者とも終盤のアタックに向けて最終調整を行った。ところがそんな矢先、1台の車両がコースアウト。赤旗が提示され、セッションが一時中断する。回収作業に時間がかかったため再開が大幅に遅れ、与えられた時間は残り2分20分という難しい条件でのアタックとなる。その中で両選手は揃って自己ベストタイム更新に成功。キャシディ選手は1分05秒702で7番手、そして山下選手は1分05秒886で14番手となり、ともにQ2進出を決めることになった。
ミディアムタイヤでのQ1アタックから、ソフトタイヤでのアタックとなるQ2。6番手でコースインした山下選手は、計測2周目で自己ベストタイムの1分05秒286をマークしたが、Q3進出可能となる8番手にわずか0.1秒及ばず10番手に。また、キャシディ選手はコースインのタイミングをギリギリまで伸ばすことでクリアラップを確保。1分05秒377をマークし、11番手につけている。

公式予選記録

Pos. No. TEAM DRIVER Q1 Q2 Q3
1 5 DOCOMO DANDELION M5S SF14 野尻 智紀 1'05.654 1'04.938 R1’04.694
2 18 KCMG Elyse SF14 小林 可夢偉 1'05.659 1'04.941 1'04.941
3 20 ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14 平川 亮 1'05.714 1'05.021 1'04.985
10 4 ORIENTALBIO KONDO SF14 山下 健太 1'05.886 1'05.286 -
11 3 ORIENTALBIO KONDO SF14 ニック・キャシディ 1'05.702 1'05.377 -

R=コースレコード(従来のコースレコード 1’04.910)

赤旗中断 Q1 13:38:38 ~ 13:59:00

Q1:※No.19の車両は、全日本スーパーフォーミュラ選手権統一規則第27条8により、当該ラップタイム採択されなかった。(No.19 1’05.547)

ニック・キャシディ選手のコメント

今日のアタックを振り返って考えても、僕らができる中で力を出し切ったと思います。Q2を11番手で終えることができて良かったです。正直、Q1で敗退すると思っていたのですが7番手で通過できたし、次のQ2でも11番手でしたから。朝のフリー走行では最後尾の結果だったので、それを思うとよく頑張れたと思います。特にQ1は赤旗の後のワンアタックで勝負してQ1突破を果たせました。クルマのセットはいろいろと見直したものの、大きく変化するわけでもなく、厳しい状況ではありました。そんな中でもベストアタックができたのは良かったと思っています。決勝はペースをキープするのがなかなか難しいし、SUGOというコースレイアウトを考えたら厳しい戦いになるとは思いますが、最後まで頑張ります。

山下 健太選手のコメント

昨日の専有走行であまりセットが決まっていなかったので、見直しを行いました。今朝のフリー走行ではその分だいぶ良くなりました。事実、午後の予選では、Q1の1回目のアタックでは3番手くらいまで行けて手応えもあったし。ただ、赤旗の前にアタックに入っていたんです。なので、その後、アタックをし直しただけにタイヤのおいしい部分はすっかりなくなっていました。直後はQ1で終わった…と思いましたが、幸運にもギリギリ通過したことになり、ラッキーでした。今回も(アタックの)タイミングに泣きました。
Q2では、今持っている状況の中でなんとかそれなりにまとめる走りができたのですが、ソフトタイヤよりもやはりミディアムでの最初のアタックのほうが手応えがあったので、明日の決勝に向けて見直しして準備をしていきたいと思います。

エンジニアのコメント

【3号車】

残念ながら今回はセクター4が遅かったですね。昨日からいまひとつ良くなくて、データを見ながらクルマを調整していたのですが…。うまく行きませんでした。今回はセカンドタイミングラップで(アタックに)行くと決めていたので、Q2では、コースインのタイミングを最後までギリギリ引っ張ってからアタックに向かいました。状況を考えると多少のリスクを負わないとだめでしょう、ということでそうしました。ピット位置が最終コーナー寄りなので、そうしないとチャンスもなかったと思います。明日はどこまでポジションを上げられるか、ですね。

【4号車】

ひょっとしてQ2に出られるのかも…という話をしていたんです。でもその一方で、そんなに甘くはないだろうという思いもありました。そうしたらQ2に出られるようになって…。クルマのセッティングは昨日の時点では良くなかったので、セッティングを変えて今日のセッションに挑みました。多少手応えはあったのですが、まだまだの部分はありますね。アタックのタイミングは迷いなく行けたのですが、僅差のポジション争いで、上に行くにはまだ厳しい状態です。

二日目 決勝(2018年5月27日・晴/ドライ)

決勝レポート

混乱の決戦をくぐり抜け、キャシディ選手が2位表彰台

前日同様、やや冷たい風が吹く中での決戦を迎えた第3戦SUGO。レースは序盤にセーフティカーが導入される展開となり、まさに筋書きのないドラマとなった。その中でニック・キャシディ選手が2位表彰台に上がる躍進を見せている。
ショートトラックでコースの狭いSUGOでは、レース中のハプニングが多く、一筋縄ではいかない戦いになる可能性が高い。それゆえ、あらゆる展開を意識した戦略を用意する必要がある。KONDO RACINGでは、3号車のキャシディ選手と4号車の山下健太選手がそれぞれ異なるアプローチで68周の戦いに挑むことになった。
まず、11位からスタートしたキャシディ選手。レース中のセーフティカーを予測し、ミディアムタイヤでスタート。ミニマムの周回数でピットイン、ルーティンワークを済ませてトラフィックの少ない中でタイムを稼ぐ戦略を立てた。実際、キャシディ選手はわずか5周を終えた時点でピットイン。ミディアムタイヤからソフトタイヤへとスイッチ。ソフトタイヤでチェッカーまでの62周をもたせるため、チームではタイヤ内圧を低めに設定し、キャシディ選手をコースへ送り出した。コース復帰後はタイヤマネージメントに苦戦していたキャシディ選手だが、ペースを掴むと巧みにコントロールすることが可能となり、ライバル達を逆転する。事実、レースは2台の車両が接触してセーフティカーがコースイン。6周にわたりレースを牽引し、その後の展開が一変。一方、キャシディ選手にとってはチャンスが到来することとなり、大きなポジションアップにつながった。終盤、2位につけたキャシディ選手は後続の激しいプッシュに遭うも、見事シャットアウト。2位を死守してチェッカーフラッグを受けている。
一方、10位スタートの山下選手。キャシディ選手とは異なり、ソフトタイヤを選択。ピットインのタイミングはタイヤコンディションに合わせ、できる限り先延ばしすることを意識してスタートを切った。だがそのスタートで出遅れ、1コーナーで1号車と接触。この影響でフロントノーズを損傷させてしまう。またタイヤにもフラットスポットができたため、結果的にはピットインのタイミングが予定よりも早まることになった。結果、10周を終えてルーティンワークを敢行。ミディアムタイヤでの周回に入る。だが、フロントノーズにダメージを受けていることもあり、思うようにペースアップできず。そのままチェッカーを受けるまでひたすらガマンの戦いを続けなければならなかった。終盤は8位の座を巡る戦いが激しくなったが、見事ポジションキープを達成。苦しいレース展開の中で貴重な1ポイントを計上している。
SUGOでは明暗分かれるレース結果に終わったKONDO RACING。中盤戦を迎える次回の富士戦では2台揃って予選から上位を狙えるよう存分な準備をして挑むのは言うまでもない。

決勝結果

Pos. No. TEAM DRIVER LAPS TIME DELAY BEST TIME
1 16 TEAM MUGEN SF14 山本 尚貴 68 1:26'22.912 174.960km/h 1'08.449
2 3 ORIENTALBIO KONDO SF14 ニック・キャシディ 68 1:26'32.336 9.424 1'08.393
3 36 VANTELIN KOWA TOM'S SF14 中嶋 一貴 68 1:26'33.023 10.111 1'08.525
4 7 UOMO SUNOCO SF14 トム・ディルマン 68 1:26'44.358 21.446 1'07.960
5 64 TCS NAKAJIMA RACING SF14 ナレイン・カーティケヤン 68 1:26'44.968 22.056 1'08.625
6 18 KCMG Elyse SF14 小林 可夢偉 68 1:26'48.926 26.014 1'07.781
7 5 DOCOMO DANDELION M5S SF14 野尻 智紀 68 1:26'51.849 28.937 1'08.441
8 4 ORIENTALBIO KONDO SF14 山下 健太 68 1:26'55.358 32.446 1'08.822
9 20 ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14 平川 亮 68 1:26'55.951 33.039 1'08.396
10 6 DOCOMO DANDELION M6Y SF14 松下 信治 68 1:26'56.670 33.758 1'07.391

Fastest Lap

No. TEAM LAPTIME
19 ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14 1'06.300 58/68 201.136km/h

SC導入 14:42:19 ~ 14:56:46

No.65の車両は、ウォームアップ走行において、全日本スーパーフォーミュラ選手権統一規則第21条12.(ピットアウト時の安全確認違反)により、罰金50,000円のペナルティが科され、及び訓戒とした。

ニック・キャシディ選手のコメント

11位からスタートし、2位になれたのは本当に嬉しいことです。期待していたよりもすごいレースになりましたね。今回、金曜日の走行が全くうまくいかず、土曜日もフィーリングがあまり良くなかったんです。レースも厳しいと思ったのですが、2位になれたので驚いています。
早めのピットインでソフトタイヤに交換することをチームに相談し、エンジニアも大丈夫だと言ってくれたのでチャレンジしました。確かに終盤、タイヤは大変な状態でしたがなんとか頑張ることができました。いい戦略だったと思います。今回の結果によって、ランキングも2位になり、驚いています。

山下 健太選手のコメント

スタート直後の1コーナーで、前にいた1号車の石浦(宏明)さんに当たってしまいました。それでノーズを傷めてしまったんです。クルマのバランスが変わり、アンダーがひどくなりました。また、スタートで装着したソフトタイヤにもちょっとフラットスポットのようなものができてしまい、ドライブにも影響が出ることになりました。ピットインは、本来ならばもう少し先を予定していたのですが、10周終わりで行い、ミディアムに変えました。ただタイヤを変えてもクルマのバランスが崩れてしまっていたので、最終コーナーでスピードを稼げず、後車に抜かれたり、差を詰められたりして厳しい展開となりました。

エンジニアのコメント

【3号車】

読みどおりの(荒れやすい)レース展開になりました。菅生のレースだからセーフティカーが絶対に入る、と考えていました。その場合は、“ミニマムの周回数でピットインする”“ソフトタイヤを絶対にもたせる”という感じでした。ドライバーは大変だったようですが、この菅生のコースを考えても、ソフトタイヤをコントロールすればやれる、大丈夫だ、とドライバーには言い聞かせました。それに彼自身もやりたい、と言ったので、やろう、ということになりました。特別な戦略ではなく、これまでのレースデータに基づいた判断です。
最初の5周はウルトラハイプレッシャーの内圧にして、2セット目はウルトラロープレッシャーで送り出しました。なので最初はしんどかったと思います。タイヤプレッシャーを合わせるためにガマンして、うまくマネージメントしてくれました。

【4号車】

今日のレースではソフトタイヤでスタートし、引っ張れるだけ引っ張ってピットインする予定でした。ただスタートでのミスもあり、接触でノーズを傷めてしまった上にタイヤもフラットスポットができてしまったので、もうしょうがない状態になってしまいました。結果、3号車がピットインを終えてからピットに戻し、あとは遅いタイムで淡々と走るしかないというレースになってしまいました。残念です。

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