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Race Report - 第3戦 スポーツランドSUGO

一日目 予選(2019年6月22日・晴-雨/ドライ-ウェット)

予選レポート

KONDO Racing、変則的な予選Q1で苦戦

今シーズン3戦目となる全日本スーパーフォーミュラ選手権。戦いの舞台はみちのく仙台、スポーツランドSUGO。起伏に富んだショートコースのサーキットでは例年様々なハプニングを生むことも多く、荒れた展開も珍しくない。予選での好位置獲得が、チームの第一の目標となった。

レースウィーク初日の金曜日。やわらかな日差しに恵まれ、ドライコンディションでの走行が可能だったが、翌土曜日は前日の夜半に降った雨が残る状態で、午前9時からのフリー走行はウェット宣言が出される中で幕を開けた。コース上にはウエットパッチが残ってはいたものの、この時点では雨も降っておらず空も明るくなり始めていた。結果、雨になることなくセッションは終了。KONDO Racingでは、山下健太選手が6番手、国本雄資選手は14番手で走行を終えている。

このまま降られずに済むかと思っていた矢先、雨が降り出したのが正午前。ただ、あっという間に乾いたこともあり、午後1時20分からのノックアウトQ1予選はウェット宣言が出てはいたものの、スリックタイヤでのアタックができる状況だった。今大会では、Q1を2つのクラスに区分。参加車両20台をA、B組に分けて各組10分間のQ1を実施し、上位6台、計12台がQ2へ進出できるという変則的なルールが採用された。

難コースと言われるSUGOのレイアウトを考えると、Q1でのクラス分けは、渋滞が緩和された状態が確保できるとあって、ドライバーには歓迎されたが、一方で、チームとしてはその中でいかにミディアムタイヤの特性を引き出せるかが懸念材料となっていた。加えて再び上空では雲行きが怪しくなり、いつ雨が降り出してもおかしくない状態へと激変。これを受け、チームでは早めにコースインしてタイヤに熱を入れてアタックすることを最優先にする。

A組に出走したのは山下選手。真っ先にコースインしタイヤを温める中、パラパラと雨が落ちてきたが、スリックでのアタックはまだ可能な状態。しっかりとタイヤを発熱させアタックに挑んだ山下選手だったが、思うようにタイムは伸びず。マークした1分06秒302はまさかの9番手。Q2進出を果たせずにセッションを終えることとなった。

続いてB組でのアタックに挑んだ国本選手。山下選手同様、真っ先にコースインしてタイムアタックの準備を進めた。ハイペースでタイヤを温めていくか、逆にじっくりアタックするか難しい判断ではあったが、コンディションは依然として不安定であったため、チームは早めのタイミングでアタックを敢行。だが、ニュータイヤのピークを上手く合わせ込めず、思うようにタイムが伸びない。刻んだ1分05秒747はQ2進出の6位までにわずか及ばず、7番手止まりという悔しい結果になった。

両車ともQ1止まりとなったKONDO Racing。結果、決勝は国本選手が13番手、山下選手が18番手からのスタートとなるが、SUGOは不確定要素が多く、他のサーキットよりも先行きが読みにくい。それだけに、最後の最後まで諦めることなくチャンスをつかんでいくことが求められる。

公式予選記録

Pos. No. TEAM DRIVER Q1 Q2 Q3
1 B-1 DOCOMO TEAM DANDELION RACING 山本 尚貴 1’05.014 1’03.953R 1’04.532
2 A-16 TEAM MUGEN 野尻 智紀 1’05.833 1’04.457R 1’10.761
3 B-50 B-Max Racing with motopark ルーカス・アウアー 1’05.442 1’04.576R 1’11.475
4 A-17 REAL RACING 塚越 広大 1’05.979 1’04.514R 1’12.172
5 B-18 carrozzeria Team KCMG 小林 可夢偉 1’05.442 1’04.582R 1’12.808
6 A-5 DOCOMO TEAM DANDELION RACING 福住 仁嶺 1’05.687 1’04.337R 1’13.892
7 A-65 TCS NAKAJIMA RACING 牧野 任祐 1’05.710 1’04.308R
8 B-64 TCS NAKAJIMA RACING アレックス・パロウ 1’05.493 1’04.377R
9 A-20 ITOCHU ENEX TEAM IMPUL 平川 亮 1’05.680 1’04.600R
10 B-38 JMS P.MU/CERUMO・INGING 石浦 宏明 1’05.712 1’04.800
11 A-51 B-Max Racing with motopark ハリソン・ニューウェイ 1’06.082 1’04.836
12 B-8 UOMO SUNOCO TEAM LEMANS 大嶋 和也 1’05.649 1’04.936
13 B-4 KONDO RACING 国本 雄資 1’05.747
14 A-37 VANTELIN TEAM TOM’S ニック・キャシディ 1’06.135
15 B-19 ITOCHU ENEX TEAM IMPUL 関口 雄飛 1’05.761
16 A-39 JMS P.MU/CERUMO・INGING 坪井 翔 1’06.249
17 B-36 VANTELIN TEAM TOM’S 中嶋 一貴 1’05.887
18 A-3 KONDO RACING 山下 健太 1’06.302
19 B-15 TEAM MUGEN ダニエル・ティクトゥム 1’06.063
20 A-7 UOMO SUNOCO TEAM LEMANS アーテム・マルケロフ 1’06.884

Rマークの車両は、コースレコードを更新しました。従来のコースレコードは1’04.694

No.64の車両は、2019年全日本スーパーフォーミュラ選手権統一規則 第27条7により、予選Q3のタイム抹消のペナルティを科し、順位を8位とした(裁定時刻15:14)

No.65の車両は、2019年全日本スーパーフォーミュラ選手権統一規則 第27条7により、予選Q3のタイム抹消のペナルティが科された。(裁定時刻 15:14)

山下 健太選手のコメント

いつも通りの展開になりました。ミディアムでのアタックが厳しいんですよね。今回は特に、その厳しさが想像以上にありました。昨日はソフトでタイムを出せたのですが、まずQ1のミディアムタイヤでタイムを出さないと…。せっかく今回はQ1で2つにクラス分けがあり、台数が減って良かったのに結果に繋げることができず残念です。まだ掴みきれていない部分があるので、いかにグリップさせるかが、これからの課題でもありますね。

明日はまだ天気がどうなるか分かりませんが、ポジションを考えてもレインになったほうがいいのかな、とも思います。いずれにせよしっかりと戦わないといけませんね。

国本 雄資選手のコメント

それほどミディアムタイヤのフィーリングが悪かったわけではないんです。本来ならゆっくり周回してしっかりとタイヤを温めてアタックするという感じですが、今回は雨がパラっと降ってきてその後どう変わるか分からなかったので、速いペースで走り続けたんです。そうしたらタイヤの表面の温度だけが上がってしまい、オーバーヒート気味になったことで、ニュータイヤのピークをあまり感じることができませんでした。もう少しリスクを犯してでも、ペースを押さえてアタックしたほうが良かったということになりますね。

悔しい結果ではありますが、Q1を2つに分けてアタックできたことは良かったと思いますし、トラフィックもなかったのですが、天候が難しかった。それに飲まれてしまったように思います。あと僅かでQ1突破できたと思うと、残念です。一瞬クルマの挙動が乱れた部分があったので、100%しっかりと決めきれたらQ2に行けたと思いますね。明日はピットストップを含めた戦略で少しでもポジションアップできたら、と思います。明日は最高の作戦で挑めたらと思います。幸い、予選に向けて色々やったことで、良い兆しが見えてきたのでもう少し合わせ込み、決勝を迎えられたらいいですね。

エンジニアのコメント

【3号車】

今回もミディアムタイヤを上手くグリップさせることが難しかったですね。金曜日の専有走行は、ソフトでそれなりに走ることはできていたんですが。加えて今回はQ1の方式が変わり(全20台を2つにクラス分けし、各クラス10分のアタックとなる)、予選の戦い方が上手く行かなかった部分もあると思います。ミディアムタイヤでどんどん周回を重ねていくことは決して良くないということも分かりました。いつものQ1ならじっくり時間をかけられるし、タイヤも2セット投入できるのですが、今回はそうできなかったわけですし。どう周回し、どのタイミングでタイムを出すかというところを対策しきれなかったですね。

【4号車】

天気が落ち着かない中、どのタイミングでアタックするかが難しい予選になりました。最初、コースインを待とうかと思ったのですが、パラっと雨が降ってきたので(ひどくなったら良くないと思い)コースインしました。早めのアタックに切り替えたというわけです。そうしたら、他のクルマではアタックを遅らせたところがあって…。やられましたね。前のクルマが詰まってしまったのも惜しいことでした。あとちょっとのところでQ2に行けなかったので残念です。明日は入賞圏内での走りができるよう、ポイントを獲って終われるように準備したいと思います。

二日目 決勝(2019年6月23日・曇り/ドライ)

決勝レポート

巧みな戦略を活かし、2台揃って入賞達成!

前日同様、灰色の雲がサーキット上空一面に広がったスポーツランドSUGO。幸い、決勝日のこの日も雨になることはなく、やや冷たい風が強くはなったものの、薄曇りの下で68周に渡る戦いが繰り広げられた。

午前中に行われた30分間のフリー走行を経て迎えた決戦。13番手スタートの国本雄資選手、18番手の山下健太両選手ともミディアムタイヤを装着して戦いを迎える。クリアスタートが切られる中、山下選手はオープニングラップ終了とともにピットイン。ソフトタイヤに交換し、再び戦線へと復帰する。一方の国本選手は3周を終えてピットへ。同じくソフトタイヤへの交換と給油作業を済ませ、コースに向かおうとしたが、この際、フロントタイヤがインパクトレンチのエアホースを噛んでしまうハプニングが発生。これが惜しくもタイムロスを生むこととなった。

ソフトタイヤでの走行に自信を持っていたKONDO Racing。ひと足先にタイヤ交換を行った山下選手はレース終盤まで燃費走行を続けることがミッションではあったが、その中で安定したラップタイムを刻みつつ、またレース終盤、セーフティカーが2度に渡って導入されたことが追い風となり、着実にポジションアップを果たす。結果、7位でチェッカーを受けたが、レース後にペナルティによるタイム加算を科せられた車両があり、最終的には6位入賞の結果を手にしている。

ピットインで思わぬタイムロスを喫した国本選手。惜しくも同じタイミングでピットインしていた車両に先行を許すことになり、さらにはコース上では前車にペースをコントロールされるというストレスを感じる展開となった。だが、粘り強く周回を重ねて9番手でチェッカーを迎えた。さらに山下選手同様、レース後にペナルティを科せられた車両がポジションを下げたことから国本選手は8位入賞を達成。結果、KONDO Racingでは開幕戦から3戦連続で両選手が揃って入賞を果たすという手堅い戦いを実現させている。

決勝結果

Pos. No. TEAM DRIVER LAPS TIME DELAY
1 1 DOCOMO TEAM DANDELION RACING 山本 尚貴 68 1h27’37.593 167.177km/h
2 18 carrozzeria Team KCMG 小林 可夢偉 68 1h27’40.720 3.127
3 50 B-Max Racing with motopark ルーカス・アウアー 68 1h27’42.413 4.82
4 37 VANTELIN TEAM TOM’S ニック・キャシディ 68 1h27’43.214 5.621
5 5 DOCOMO TEAM DANDELION RACING 福住 仁嶺 68 1h27’45.653 8.06
6 3 KONDO RACING 山下 健太 68 1h27’45.742 8.149
7 38 JMS P.MU/CERUMO・INGING 石浦 宏明 68 1h27’47.654 10.061
8 4 KONDO RACING 国本 雄資 68 1h27’48.944 11.351
9 17 REAL RACING 塚越 広大 68 1h27’49.923 12.33
10 19 ITOCHU ENEX TEAM IMPUL 関口 雄飛 68 1h27’50.329 12.736
11 20 ITOCHU ENEX TEAM IMPUL 平川 亮 68 1h27’51.800 14.207
12 36 VANTELIN TEAM TOM’S 中嶋 一貴 68 1h27’52.882 15.289
13 64 TCS NAKAJIMA RACING アレックス・パロウ 68 1h28’18.313 40.72
14 65 TCS NAKAJIMA RACING 牧野 任祐 68 1h28’28.333 50.74
15 15 TEAM MUGEN ダニエル・ティクトゥム 67 1h27’45.101 1 Lap
16 7 UOMO SUNOCO TEAM LEMANS アーテム・マルケロフ 67 1h27’49.405 1 Lap
17 8 UOMO SUNOCO TEAM LEMANS 大嶋 和也 67 1h27’57.265 1 Lap
18 39 JMS P.MU/CERUMO・INGING 坪井 翔 58 1h12’46.044 10 Laps
19 16 TEAM MUGEN 野尻 智紀 55 1h04’10.630 13 Laps
20 51 B-Max Racing with motopark ハリソン・ニューウェイ 49 56’53.306 19 Laps

No.65の車両は、国際モータースポーツ競技規則 付則L項 第4章5条(ピットレーン出口の白線カット)違反により、競技結果に対し、35秒加算のペナルティが科された。(裁定時刻 15:33)

No.39の車両は、国際モータースポーツ競技規則 付則H項 2.10.11(SC中のスピン)違反により、競技結果に対し、35秒加算のペナルティが科された。(裁定時刻 15:49)

No.64の車両は、国際モータースポーツ競技規則 付則H項 2.10.10(SCリスタート違反)により競技結果に対し35秒加算のペナルティが科された。(裁定時刻 16:06

山下 健太選手のコメント

オープニングラップを終えてすぐにピットインし、ミディアムタイヤからソフトタイヤに交換するという作戦は最初から決めていました。ただ、そのときに給油しない作戦だったので、コース復帰後は燃費を意識した走行を続ける必要があり、そこは厳しかったですね。とはいえクルマの状態もよく、作戦としてはうまく行ったと思います。幸い、レース終盤にセーフティカーが導入されたことで懸念していた燃費の心配は楽になりました。良い戦いができたと思います。

国本 雄資選手のコメント

ミディアムタイヤでスタートし、早めのタイミングでソフトタイヤに交換する予定でした。ただ、ピットインに合わせて給油する必要があったので、そうしたのですが、そのときにピットでのミスがあり、コース復帰のタイミングが予想以上に遅れてしまいました。ペースは良かったのですが、ピットでのタイムロスで後続車に先行されたことでそのペースに付き合うことになり、ペースアップできなかったのが残念です。ただ、厳しい戦いながら予選13番手スタートから最終的に8位入賞を果たせたので良かったとも思います。

エンジニアのコメント

【3号車】

オープニングラップ後にピットインしたのですが、タイヤ交換だけ行い、給油無しで走り切れるだろうという戦略で挑みました。事前に確認したのですが、燃費を押さえて周回を重ねることができると判断しました。ポジションを上げてフィニッシュするには多少リスクを伴うのですが、今回は山下選手がよく頑張ってくれました。加えて、終盤にはセーフティカーが入ったことが味方となり、燃費も楽になりました。戦略が上手くいって良かったです。

【4号車】

朝のフリー走行で確認したところ、燃費の心配があったので、ピットインではタイヤ交換に加え、給油作業も必要だということが分かりました。確かにセーフティカーが入った場合、給油しなくても最後まで燃料が持つ可能性もありましたが、それを当てにして戦うわけにはいかないので、給油することは最初から決めていました。ただ残念だったのは、作業中にエアホースを逆方向に引っ張ってしまうミスが出たのはチームの責任です。結果、ピットでポジションを下げてしまい、コース復帰後も本来のペースで走ることができませんでした。一方、予選からはしっかりと順位を上げてフィニッシュできたのは良かったと思います。

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