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Race Report – 第2戦 岡山国際サーキット

予選・決勝(9月27日・晴れ/ドライ)

KONDO RACING、岡山戦は・・・

およそ1ヶ月前、ようやくシーズン開幕となった全日本スーパーフォーミュラ選手権。第2戦は9月27日に行われ、かつてF1GPも開催されていた岡山国際サーキットが戦いの舞台となった。レースウィーク直前には台風一過があり天候の行方が心配されたものの、大きな崩れはなかった。練習走行が行われた土曜日こそ曇り空に覆われ、通り雨が降る不安定な天候だったが、日曜日のワンデーレースは朝から青空から広がる秋晴れの一日に恵まれた。

新型コロナウィルス感染防止対策の観点から、先週フランスで行われたル・マン24時間レースに参戦していた山下健太選手が今大会を欠場。代わって阪口晴南選手が出走することになった。山下選手はじめ、ル・マンに出場していた選手たちの参戦が叶わなかったのは極めて残念ではあるが、チームは開幕戦で山下選手とともに表彰台に上がったルーキーのサッシャ・フェネストラズ選手はもちろんのこと、スポット参戦する阪口選手の活躍にも期待を寄せた。

レースは開幕戦同様、まず午前中に予選を実施。Q1、Q2、Q3と駒を進める「ノックアウト予選」を行い、午後から51周の戦いを迎えるワンデーでの開催。前日の土曜日には各1時間✕2回の走行セッションが設けられたが、その中でフェネストラズ選手はクルマのバランス調整に、そして阪口選手は初ドライブとなるSF19のフィーリング確認などに時間をかけ、日曜日の戦いに備えることになった。

爽やかな好天となった日曜日。開幕戦は午前中にフリー走行が実施されたが、今大会はいきなりノックアウト予選を迎えるため、ドライバーそしてチームにとっても”ぶっつけ本番”の戦いとなる。そんな中、午前10時40分にQ1・A組のアタックがスタート。KONDO RACINGでは、まずフェネストラズ選手がコースへ。国内サーキットの中ではコンパクトなテクニカルコースで知られる岡山は予選ポジションが重要となるだけに、着実に予選を突破していきたいところ。前日はクルマのセットアップに時間をかけていたフェネストラズ選手だったが、全19台のうち9台が出走したA組の中で3番手となる1分13秒316をマーク。無事にQ2へと駒を進めた。続いてQ1・B組に出走した阪口選手。こちらは10台が出走してQ2進出をかけて上位7台の座を争った。今回、予選に先んじてスーパーフォーミュラ・ライツへも出場した阪口選手は決勝で初優勝を飾っており、その勢いに乗ってQ1でも見事なアタックを披露。刻んだベストタイム1分13秒230はB組3番手となり、Q1突破を実現させた。
迎えたQ2。やや日が陰り、気温、路面温度もQ1よりも若干下がったコンディションの中で14台がアタックに挑み、うち上位8台がQ3への切符を手にすることができる。KONDO RACINGでは阪口、フェネストラズ両選手がアタックに挑む中、フェネストラズ選手が1分12秒722の好タイムをマークして2番手でQ3進出を決めたが、初のノックアウト予選となった阪口選手はアタックラップのヘアピンでブレーキをロックさせてしまったことが影響し、1分13秒175のタイムで11番手どまりに。残念ながら、2台揃ってのQ3進出は果たすことはできなかった。
最終のアタックQ3では、フェネストラズ選手が渾身の走りを披露。アタックラップでは気持ちが実際の走りを上回り、タイムロスを生んでしまう。結果、1分13秒173のベストタイムはフロントロウにわずか100分の6秒及ばず3番手に。しかしながら開幕戦に続き、好グリッドから決戦のスタートを切ることになった。

決勝のスタートは午後3時15分。これに先立ち、ウォームアップ走行で最終確認を済ませた全車がダミーグリッドにつく。気温24度、路面温度33度と想定よりもやや低い温度、また午前同様、強風がコースを吹き抜ける中での決戦を迎えることとなった。フォーメーションラップに向かう19台がダミーグリッドから離れ、1コーナーから先へと進んでいく。だが、アトウッドまで各車が進む中、阪口選手が急に態勢を崩してまさかのコースアウト。タイヤを温めながら走っている中で、バランスを崩した末にクラッシュを喫してしまった。そのダメージは大きく、戦わずして戦列を去るという事態に見舞われた。

だが、あろうことか、チームとしての悪夢はそれだけでは終わらなかった。阪口選手の車両を回収後、改めてフォーメーションラップが行われ、レースは当初の予定から1周減算の50周での戦いとなったが、そのオープニングラップの1コーナーで再び信じられない事が起こってしまう。アウト側に走行ラインを取っていたフェネストラズ選手。イン側にいた予選2番手の選手がスタートで出遅れ、その後方から2台が浮上。だが、その2台の後方車両が1コーナーの進入でブレーキをロックさせて前方の車両に追突。それだけでなくフェネストラズ選手の右リアにもヒット。この影響でフェネストラズ選手はスピンしながらグラベルへと飛び出すことに。あっけない幕切れに言葉もないまま、KONDO RACINGは岡山での戦いを終えることになった。

開幕戦同様、速さある走りを見せていたKONDO RACING。初のSF19レースで奮闘した阪口選手はもとより、予選での躍進で勢いを見せていたフェネストラズ選手のパフォーマンスに期待していただけに、チームとしての落胆は計り知れない。この悔しさをバネにして、次戦スポーツランドSUGOでの戦いで表彰台獲得という大輪の花を咲かすべく邁進するのみだ。

公式予選記録

Pos. Gr. No. TEAM DRIVER Q1 Q2 Q3
1 B 20 ITOCHU ENEX TEAM IMPUL 平川 亮 1’13.761 1’13.052 1’12.773
2 B 36 VANTELIN TEAM TOM’S 宮田 莉朋 1’13.131 1’12.646 1’13.109
3 A 4 KONDO RACING サッシャ・フェネストラズ 1’13.316 1’12.722 1’13.173
11 B 3 KONDO RACING 阪口 晴南 1’13.230 1’13.175

予選通過タイム A組(107%) : 1’18.238
予選通過タイム B組(197%) : 1’18.250



決勝結果

Pos. No. TEAM DRIVER LAPS TIME DELAY
1 39 JMS P.MU/CERUMO・INGING 坪井 翔 50 1h13’11.975 178.17km/h
2 38 JMS P.MU/CERUMO・INGING 石浦 宏明 50 1h13’12.757 0.782
3 1 VANTELIN TEAM TOM’S ニック・キャシディ 50 1h13’15.078 3.103
以上完走
17 4 KONDO RACING サッシャ・フェネストラズ 0
19 3 KONDO RACING 阪口 晴南 DNS

Fastest Lap

No. TEAM LAPTIME
1 VANTELIN TEAM TOM’S 1’15.237 23/35 177.184km/h

本決勝レースは、2020年全日本スーパーフォーミュラ選手権統一規則第31条 10. 2)(スタートディレイ)により、1周減算の50周で行った。
本決勝レースは、1周目にセーフティーカーを導入し、7周目に離脱した。
ゼッケンNo.65は、2020年全日本スーパーフォーミュラ選手権統一規則第15条 1(危険なドライブ行為)により、ドライビングスルーペナルティを課した。(15:54)


近藤監督のコメント

今日は予選こそ良かったものの、決勝では流れがすべて悪い方向へと進んでしまったようで残念です。スポット参戦の阪口晴南がルーキーならではの…という感じだったのでしょうか、予選でもミスがあったし、決勝でもそういう感じが出てしまいましたね。一方、とばっちりを受けたのが、サッシャ(フェネストラズ)でした。阪口には、経験としては仕方のないこと。だから次は失敗しないように、と伝えました。この悔しい経験を踏まえて今後も頑張ってほしいですね。

幸いというか、今シーズンは有効ポイント制での戦いになっているので、あとのレースを落とさないように展開していくしかないですね。新しいチームが優勝したことで競争相手は増えましたが、独走は阻止することができたので、チームとしては良しとしないと。ただやはり他力ではなく自力でこの先も頑張っていきます!

阪口 晴南選手のコメント

今回、山下健太選手の代役として起用してくださったことに感謝しています。お話しをいただいたときにはびっくりしたのですが、スーパーフォーミュラライツとのダブルヘッダーになるのでレースウィークは忙しくなると思っていました。土曜日にSF19に初めて乗り、最初のセッションは赤旗が多く出てあまり乗れなかったのですが、スピードには順応することができました。自分が思っているよりはアジャストできたので良かったと思っています。

日曜朝の予選に向けて、エンジニアさんからは「戦えるスピードがある」と言ってもらえたので、アタックには自信をもって挑むことができました。Q1でもいいパフォーマンスが出せましたし、まだタイムを上げることができるという雰囲気もありました。Q2はトラフィックも多く、きれいにウォームアップできなかったこともありますが、それとは別にアトウッドあたりでブレーキロックさせてしまったんです。それでQ3には進出できませんでした。ミスがなければQ3に進出できたと思うので、チームの皆さんには申し訳ないなと思いましたし、Q3に進出できていたら、レースも上位で終えることができていたと思うので、悔しいですね。

ウォームアップ走行後に改善したいポイントが見つかり、決勝グリッドでも微調整してもらっていました。その後のフォーメーション中に冷えたタイヤをウォームアップさせようとトラクションをかけたのですが、スピンをしてしまい…。自分のミスでレースができずに本当に申し訳なく思っています。11番手からだったので、うまくいけばポイントが取れると思っていたので、スタートから集中していこうと思っていたのですが、良くない方向に行ってしまいました。

競争力の高いKONDO RACINGでレースができたのに、結果を残すことができず本当に申し訳なく思っています。ミスした部分を反省し、これからのレースに活かしていけたらと思います。

サッシャ・フェネストラズ選手のコメント

今回のレースは実に残念な結果となってしまいました。いい結果が残せると思ってレースに挑んだのですが、自分では為す術がないアクシデントだったし、今日、レースをすることで積む予定だったタイヤマネージメントやピットストップからのリスタートなどの経験も得ずに終わってしまったことが悔しいですね。でもこういうことも含めてレースなのだと受け止めています。

今回、まず予選に向けて土曜日の走行では最初のセッションで車両のトラブルがあって思うように走る時間が確保できなかったのですが、午後のセッションで手応えを得ることができました。チームもまた予選に向けてしっかりと準備をしてくれました。しっかりと改善できた中での予選でしたが、Q3ではミスが響いて3番手になったのが残念です。プッシュしすぎたとも言えますが、アタック中にコースのあちこちで強風が吹いていてそれをうまくかわすことができなかったというか、それに翻弄されたような感じでした。それだけに2番手のポジションも狙えたと思うので残念ですね。まだSFでの2回目の予選だから、まだまだとは思いますが、これからもっとうまくやっていけると良くなると思います。

次のSUGO戦は難コースであり、SFでの一戦はハードになると思いますが、ベストを尽くして戦いたいと思います。

エンジニアのコメント

【3号車】

開幕戦の流れからクルマを準備したのですが、今回のドライバーである阪口選手がスーパーフォーミュラでの初レースだったので、タイムを上げていくよりも、まずはあまりセットをいじらず慣熟走行から始めました。その一方で、ワンデーでの戦いということもあり、予選に向けてもう少しクルマのポテンシャルも向上させたかったため、土曜の走行後からその作業に取り掛かりました。結果、阪口選手の予選でのパフォーマンスが良くなりました。彼からのフィードバックでやったことも方向性として良かったですね。Q1は3番手で通過し、Q2ではブレーキロックさせてしまいQ3進出は果たせなかったのですが、その差100分の7とわずかだったので、ミスがなければ突破できたでしょう。仮にQ3でアタックしていたらトップ4には残れたとも思います。すべては「たら・れば」ではありますが、初レースなりに自分が何をやるべきかをしっかりと理解していたと思います。

フォーメーションラップ中のクラッシュは残念でした。タイヤが冷えていると結構グリップしないのですが、その中でタイヤを温めようとしたときにターボエンジンの特性が裏目に出て、リアが滑ってカウンターを当てたらその反動でウォールにぶつかったようです。しっかりとタイヤを温めようとした中での出来事で…。本当にもったいなかったと思います。

【4号車】

土曜日の専有走行中には予想以上に時間を取られてしまい、テストメニューをなかなか進めることができませんでした。午後のフリー走行に入ってようやく走れることになったのですが、サッシャからのフィードバックやクルマの動きをもとにクルマ作りを進めていきました。ただ、もっと作業を進められたら、という思いはありましたね。

そんな中、予選でサッシャがいい走りを見せてくれました。SF2戦目ながら、開幕戦で2番手、今回が3番手という予選結果は大したものです。今回もアタックで失敗したと言っていましたが、こうやって結果を出したのだからすごいと思います。それだけに、決勝での出来事は残念ですが仕方ないことでもありますね。今日のレースで表彰台に上がったクルマはみんなラップタイムが最後まで速かったし、強い戦いをしていました。今後はそういう戦いをしていくことが大事になってくると思います。SUGO戦はサッシャにとってSF初レースになりますが、しっかりと順応して戦ってくれるのではないでしょうか。

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