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Race Report – 第7戦 富士スピードウェイ

予選・決勝(12月20日・晴れ/ドライ)

決勝レポート

第7戦富士、今季3度目のダブル入賞でシーズンエンドを迎える

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、本来よりおよそ5ヶ月遅れでシーズン開幕となった2020年全日本スーパーフォーミュラ選手権。山下健太、サッシャ・フェネストラズ両選手を擁するKONDO RACINGもまた、短期間の慌ただしいスケジュールの中でワンデーレースの戦いに挑んできた。そして、いよいよ静岡・富士スピードウェイにおいて最終戦を迎えることになる。

シーズン後半は予選での好位置獲得を意識したクルマ作りに着手、表彰台に絡む戦いを目指してきただけに、なんとしても予選から躍進を見せたいところだ。なお、前日の土曜日には午前、午後と各1時間の走行時間が用意され、その中で精力的に走り込みを進める一方、チームでは翌日の戦いに向けて入念にセットアップ等の確認を行なっている。

ついに最終決戦の幕が上がった日曜日の富士。前日は薄曇りの天気となり、セッション中の気温も4?6度、路面温度も3~6度と冬そのもののコンディションだったが、迎えたノックアウト予選開始時の気温は7度、路面温度は10度となり、冷たい風は吹いてはいたが穏やかな日差しに恵まれ、うっすらと雪化粧した霊峰富士もきれいな姿を披露した。

サポートレースの遅延によって開始時間が10分遅れ、午前9時55分からノックアウト予選がスタート。今回もQ1はA、Bの二組に分けて行われ、KONDO RACINGではA組にフェネストラズ選手、B組に山下選手が出走した。今回も前回の鈴鹿大会同様に、タイヤウォーマーでのタイヤの温めが可能となる中、各チームは創意工夫をこらしてベストコンディションでのタイムアタックに挑んでいく。

まずA組に出走したフェネストラズ選手は、さっそくニュータイヤを装着してコースインしたが、タイヤや路面のコンディションを確認すると一旦ピットに戻った。その後、タイミングを見計らってコースに向かい、アタックを開始。計測2周目に1分21秒579のタイムを刻んで6番手につけると、もう1周アタックへ。結果、さらにタイムアップを果たして1分21秒466をマーク。5位でQ2進出を果たす。一方、B組出走の山下選手もフェネストラズ選手同様にアウトラップのみでピットへ。しばし待機して状況を見極め、改めてコースに向かった。そしてしっかりとタイヤを温めると、計測3周目のワンラップアタックで6番手となる1分21秒158をマーク。Q1突破を決めた。

迎えたQ2。出走14台のうち、上位8台がQ3へと駒を進めることができる。このセッションでは、フェネストラズ選手が先にピットを離れ、コースを1周してピットイン。しばし時間を置いて改めてコースへと向かった。ゆっくりとアウトラップを行い、計測2、3周目にアタックに入ると1分21秒298、1分21秒389のタイムをマークする。一方、山下選手は残り5分になるまでピットを離れず、満を持してアタックへ。計測3周目のワンラップに賭け、1分21秒311のタイムを刻む。だが、Q3進出のボーダーラインは1分20秒9。結果、両選手ともQ3進出には至らず、フェネストラズ選手は13位、山下選手が14位で予選を終了。両選手のタイムは従来のコースレコードを更新する速さではあったが、スーパーフォーミュラならではの1000分の1秒を競う”僅差の壁”に拒まれる結果となった。

午後を迎えた富士スピードウェイ。気温9℃、路面温度13℃のコンディションで40周の戦いがついに幕を開けた。フォーメーションラップ2周後のスタートでクリアスタートを切ったKONDO RACINGの2台。フェネストラズ選手は11位で、そして絶妙のタイミングでポジションアップに成功した山下選手は9位でオープニングラップを終える。だが2周目、山下選手は後方の車両に逆転されて10位に。すかさず猛追を始めた山下選手だったが、接近戦を続けるとダウンフォースが乱れてペースよく走れないこともあり、思うようなライン取りができないまま周回を重ねることとなった。

チームではこの状況を打破しようと、トップの車両が10周を終えて第1セーフティカーラインを超えたのを見届けた上で山下選手をピットに呼び戻し、ルーティンのタイヤ交換を実施する。状況に変化を加えることで異なる展開を期待したが、直前に山下選手の前方を走っていた車両がその翌周にピットイン。再び山下選手の前でコース復帰を果たし、この戦略は水泡に帰すことに。結果、11位で僅差の攻防戦をその後も続けつつ好機を伺ったが、似通ったペースで周回を重ねることになり逆転までは持ち込めず。終盤、上位の1台が車両トラブルで戦線離脱したことで10位に浮上したが、山下選手は最後までガマンの走行を強いられたままチェッカー。今シーズンの戦いを終えた。

一方、フェネストラズ選手は続々とピットインするライバルを尻目に、作業のタイミングを外して前を走るハイペースの車両に喰らいつくように追随。空いたコース上でクリアラップを味方に周回を重ねていった。そして17周を終えてピットイン、タイヤ交換を行なうと、コース復帰後の19周目には山下選手を逆転。さらに、21周目にも1台をパスして9位へとポジションアップを果たす。終盤、山下選手同様、トラブルでレースを終えた車両に代わって8位へとポジションアップしたが、ほぼひとり旅に近い状態での走行でチェッカーを迎えると、第5戦鈴鹿に続いて入賞を果たした

8月末から慌ただしくシーズンを駆け抜けた2020年のスーパーフォーミュラ。KONDO RACINGでは、山下選手が世界耐久選手権(WEC)参戦で第2戦を欠場するも、残る全戦で入賞を果たしてランキング7位でシーズンを終了。ただ、開幕戦で予選3位&決勝2位の好成績を残しただけに、今後は安定して表彰台を狙う戦いを目指したいところだ。一方、ルーキードライバーのフェネストラズ選手も、開幕戦でいきなり予選2位&決勝3位のパフォーマンスを見せ、ポテンシャルの高さをアピール。だが、その後はもらい事故等のアンラッキーな展開が続き、予選での速さを活かせない戦いが続くという悔しい結果となった。

ますます僅差の予選ポジション争いがシビアになっている昨今のスーパーフォーミュラでは、つねに安定した速さと強さを発揮する実力が重要になってくる。チームでは、多方面からの見直しに取り組み、いかなる条件下でも上位争いに加われるようシーズンオフも精力的に変革を続けていくのは言うまでもない。

決勝結果

公式予選記録

Pos. Gr. No. TEAM DRIVER Q1 Q2 Q3
1 B 16 TEAM MUGEN 野尻 智紀 R1’20.824 R1’20.807 R1’19.972
2 B 39 JMS P.MU/CERUMO・INGING 坪井 翔 R1’20.838 R1’20.739 R1’19.989
3 A 5 DOCOMO TEAM DANDELION RACING 山本 尚貴 R1’20.923 R1’20.543 R1’20.155
13 A 4 KONDO RACING サッシャ・フェネストラズ R1’21.466 R1’21.298
14 B 3 KONDO RACING 山下 健太 R1’21.158 R1’21.311

R: Course Record ( Previous Record 1’22.572 )
(Q1A):CarNo.1は、統一規則第19条2.(走路外走行)違反により、当該ラップ(1’20.933),(1’20.962)削除のペナルティを科す。
(Q2):CarNo.15は、統一規則第19条2.(走路外走行)違反により、当該ラップ(1’20.412)削除のペナルティを科す。



決勝結果

Pos. No. TEAM DRIVER LAPS TIME DELAY
1 39 JMS P.MU/CERUMO・INGING 坪井 翔 40 56’13.803
2 65 TCS NAKAJIMA RACING 大湯 都史樹 40 56’14.490 0.687
3 50 Buzz Racing with B-Max 松下 信治 40 56’15.325 1.522
8 4 KONDO RACING サッシャ・フェネストラズ 40 56’38.540 24.737
10 3 KONDO RACING 山下 健太 40 56’39.588 25.785

参加台数:20台 出走台数:18台 完走台数:17台
開始時刻: 14:52’50
終了時刻: 15:49’03
ベストラップ: 5 福住 仁嶺 1’21.391 40/40 201.826 km/h

黒白旗提示:Car No.6(14:57)
黒白旗提示:Car No.1(15:41)


山下 健太選手のコメント

タイヤのウォームアップ自体、苦労しました。中でもフロントタイヤの温まりがいまいちで、なかなか自分の思うようなアタックラップでタイムを出すことができませんでした。とはいえ、予選ではなんとかうまく合わせ込むことができたのですが、ペース的にスピードそのものが不足していましたね。
予選ではQ1からQ2にかけて、クルマのセットは変えました。というのも、Q1のセットのままだとQ3への出走が難しいと思ったからです。違うセットで行ったのですが…。結果的には良くなかったですね。タイムそのものが伸びませんでした。本当に難しい予選でした。14番手スタートでしたが、スタートが決まったのでかなりポジションアップすることができました。オーバーテイクシステムも使ってポジションを上げて、1コーナー進入の位置取りがうまくいきました。一方で決勝に向けてまたセットを変えたのですが、まだまだ厳しい状態は続いていました。レースでは、前を走る中嶋選手に行く手を阻まれてしまい…。オーバーテイクシステムを早い時点でたくさん使っていたことや、抜くほどのいいペースでなかったこともあり、ずっと我慢の走りになりました。そこで10周終えてのピットインで状況を変えたかったのですが、結局変わることなく周回を重ねることになりました。
最終戦なので、少しでも来シーズンに繋がるような走り、戦いをしたかったのですが、結果的には迷いが先行するような展開になってしまいました。残念でした。安定して強い戦いをするために、シーズンを通していい流れを構築していけるようにしていきたいと思います。

サッシャ・フェネストラズ選手のコメント

前回、鈴鹿は第5戦で入賞できましたが、第6戦はレース途中で終わってしまったので、今回の最終戦では無事に入賞する形でレースを終えることができてよかったです。とはいえ、結果としては決して満足のいくものでもありません。
予選ではQ2まで進出しましたが、まだまだ速さが足りないように感じました。ニュータイヤでのグリップがしっかり得られる状況ではなかったんです。決勝では幾分改善できましたが、もっとタイヤのウォームアップに検討の余地があると思いました。レースではスタートもうまく行きましたが、ただあまり攻め過ぎるとここ数戦のようにアクシデントに巻き込まれることにもなりかねなかったので、今回は極めてスムーズに行くことにしました。
ピットインのタイミングはもう少し先延ばしにしても良かった様に思いますが、一方で、僕は土曜日の練習時にクルマにトラブルが出てしまい、しっかりとロングランができていなかったんです。結果として決勝でのレーススピードもライバルたちに遅れをとっていたし、ストレートスピードも足りていませんでした。なので、思うようにバトルもできなかったですね。それが残念で仕方ないですが、そういう状況でもゴールまでクルマを運ぶことができたのはうれしかったですね。
今シーズンは、良くもあり悪くもあり…。どう言っていいか難しい内容でしたね。前半は決勝で最後まで走ることがなかなかできなかったし、鈴鹿ではレースができたもののトラブルを抱えていたので存分にプッシュすることができませんでした。ただ、今シーズンは僕自身でどうにかできるものではなく外的要因のトラブルやハプニングが多すぎました。一方で、僕自身はしっかりと戦うことができたと思います。スーパーフォーミュラで戦えるという自信をしっかりと持つことができました。

エンジニアのコメント

【3号車】

なかなか思うようにいかないシーズンでした。開幕戦でいい結果を残すことはできたのですが、中盤以降難しい状態となって、色々やってはみたものの結果を残すことができなかったですね。最終戦では、予選でタイムを思うほど伸ばすことができず、速さを出せませんでした。富士ではストレートが長い分、タイヤも冷えてうまくアタックアップを合わせることができなかったですね。
決勝では前を走る中嶋(一貴)選手のペースに付き合う形となってしまい、それを状況を変えるために10周終わりでルーティンのピットインを行なったのですが、向こう(中嶋選手)もこちらに合わせて翌周にピットインを行なったので、結果としてはまた同じような形で後ろを追うことになりました。ペース的にもほぼ同じような感じだったので、抜くのは難しかったですね。今年、山下選手と初めてスーパーフォーミュラで組んでレースをしていく中で、結果を残せなかったのは残念です。終盤、色々と試したものの何が悪いのか掴みきれず、かつてないほどの悪い状況になりました。来シーズンに向けて、オフのテストにしっかりと取り組みたいと思います。

【4号車】

最終戦はようやくしっかりと走り切ることができました。ただ、土曜日の練習走行からのタイムの伸びしろがあまりなく、厳しい予選になりました。タイムアタックでは、計測3周目にタイムを出すように狙っていましたが、それでも思うようなタイムにはならなかったので、そういう意味でもQ3への進出は難しかったと思います。
決勝レースでは、抜かれて前に出られてしまったニック(キャシディ)選手についていくような形で走ることになりました。彼にどこまで付いて行けるかがカギだったのですが、ルーティンのピットイン後は他のクルマとの差も大きくなりました。とはいえ、今シーズンはアクシデントやトラブルも多く、最後まで走れるレースも少なかったので、最終戦では第5戦鈴鹿に続いて入賞のチェッカーを受けることができて良かったです。

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