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Race Report - 第7戦 スポーツランドSUGO

一日目 予選(2019年9月21日・曇り/ドライ)

予選レポート

アタックでハプニングに遭遇し、12番手に甘んじる

今シーズンのセミファイナル戦を迎えたSUPER GT。第7戦は東北・宮城、スポーツランドSUGOでの戦いとなる。予選日は朝から薄曇りの天気となり、終日気温も上がることなく、また吹く風が肌寒く感じられた。

朝の公式練習は、気温16度、路面温度21度でスタート。高星明誠選手がまず24号車 リアライズコーポレーションADVAN GT-Rに乗り込み、周回を開始する。開始早々にGT300クラスの車両がスピン、赤旗が提示されセッションが中断したが、7分ほどで再開。引き続き高星選手がクルマのセットアップ等、確認作業を続けた。

その後、開始から1時間を迎える前に、高星選手からヤン・マーデンボロー選手へと交代。GT300クラスの混走枠からその後、GT300クラス専有走行を挟んでGT500専有走行でもステアリングを握り、セッション終了間際に1分10秒730のチームベストタイムをマーク。6番手で公式練習を終えている。

午後に入っても、さほど天候に動きはなく曇り空のまま。ただ、気温19度、路面温度25度とやや数値が上がる中でノックアウト予選が始まった。GT500クラスのQ1は午後2時33分からスタート。今回はGT300がA、Bの2クラスに分けてアタックが実施されることから、GT500のアタック時間も通常の15分から10分へと短縮された。

気温はさほど上昇せず、その結果、続々とコースインが始まり、24号車のQ1担当となったマーデンボロー選手もすぐさまコースへと向かった。朝のセッションで好調なフィーリングを得ていたマーデンボロー選手。好タイムを狙ってアタックのタイミングを伺っていたのだが、コース上でのトラフィックに遭遇し、思うようにアタックラインが確保できず。刻んだタイムは朝の公式練習時のベストタイムよりも遅い1分11秒117となり、12番手に留まった。これにより、Q2進出は果たせず。マーデンボロー選手はもちろんのこと、Q2での上位獲得を狙っていたチームにとって悔しい予選になってしまった。

公式予選記録

GT500

Pos. No. TEAM DRIVER Q1 Q2 WH
1 17 KEIHIN NSX-GT 塚越 広大/ベルトラン・バゲット 1'10.535 1'09.676 R 26
2 1 RAYBRIG NSX-GT 山本 尚貴/ジェンソン・バトン 1'10.623 1'10.151 R 29
3 36 au TOM'S LC500 中嶋 一貴/関口 雄飛 1'10.281 1'10.163 R 25
4 37 KeePer TOM'S LC500 平川 亮/ニック・キャシディ 1'10.568 1'10.690 55
5 19 WedsSport ADVAN LC500 国本 雄資/坪井 翔 1'10.650 1'10.717 24
6 64 Modulo Epson NSX-GT ナレイン・カーティケヤン/牧野 任祐 1'10.508 1'10.799 9
7 3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R 平手 晃平/フレデリック・マコヴィッキィ 1'10.581 1'11.026 16
8 6 WAKO'S 4CR LC500 大嶋 和也/山下 健太 1'10.638 1'11.303 65
9 8 ARTA NSX-GT 野尻 智紀/伊沢 拓也 1'10.845 31
10 23 MOTUL AUTECH GT-R 松田 次生/ロニー・クインタレッリ 1'10.881 39
11 38 ZENT CERUMO LC500 立川 祐路/石浦 宏明 1'10.999 39
12 24 リアライズコーポレーション ADVAN GT-R 高星 明誠/ヤン・マーデンボロー 1'11.117 16
13 16 MOTUL MUGEN NSX-GT 武藤 英紀/中嶋 大祐 1'11.208 8
14 12 カルソニック IMPUL GT-R 佐々木 大樹/ジェームス・ロシター 1'11.426 18
15 39 DENSO KOBELCO SARD LC500 ヘイキ・コバライネン/中山 雄一 1'11.894 40

WH=ウェイトハンディキャップ(kg)

Q1  開始 : 14:33'00 終了 : 14:43'00
Q2  開始 : 15:11'00 終了 : 15:21'00

近藤監督のコメント

今日はアタック時に前車とギャップを取るのが難しかったようです。チームとしても無線で伝えられることは伝えたのですが、朝の走行(公式練習)では硬めのタイヤを着け、いいフィーリングを得ていただけに、気持ちもかなり入っていたんでしょう。結果的にアタックでのレコードラインを充分に確保できず、その後のフォローがうまくいきませんでしたね。難しい判断だったでしょうが、ヤン(マーデンボロー選手)にはいい学習になったのではないでしょうか。

マシンもタイヤも悪くない分、予選Q1を突破できていれば、Q2でのポジションにも期待できたので、その点は残念ですね。決勝は天候に左右される感じなので、仮に天候が荒れたとしたらその中でしっかりと対処して、セーフティカーなどもうまく味方につける戦略が採れたらいいと思います。

高星 明誠選手のコメント

今回もQ1突破がギリギリになると予想していました。その中でのヤン(マーデンボロー選手)のアタックでしたが、ヤンもそれを分かってかギリギリのアタックでミスをしてしまったのだと思います。ミスは攻めた結果なのでしょうがないと思うので気持ちを切り替えて明日頑張ります。

マシンについてはテストから大きく改善出来ていたので、良いフィーリングではありましたが、タイヤの問題はまだ大きいと感じたので引き続き開発していきます。

ヤン・マーデンボロー選手のコメント

朝の公式練習で走ったときには、チームとして硬めのタイヤを着け、6番手のタイムを出すなど、手応えを得ることができていました。この調子であれば、予選に向けてセットアップを変更することで、午後の予選でもいいアタックができると思ったし、間違いなく(Q2担当の)高星選手へとつなぐことができるという自信もありました。

しかし、Q1では前を走るクルマに走行ラインを塞がれるようなことになってしまい、思う存分なアタックができませんでした。クルマのポテンシャルがとても良かっただけに、12番手という結果にはとてもがっかりしています。

一方、予選に向けてセットアップを見直したことは、決勝レースでも有効になると思っています。仮に雨が降るようなことになっても不安定な路面状況の中でしっかりと戦ってポジションを上げることができると思うし、その自信もあるので、結果を残すことができると期待しています。

エンジニアのコメント

Q1を担当したヤン(マーデンボロー選手)が、アタック時にうまくタイミングを確保できず、トラフィックに遭ってしまいました。結果的に流れを作れず、タイムを出すチャンスを失いました。

二日目 決勝(2019年9月22日・曇り~雨/ドライ~ウェット)

決勝レポート

強まる雨に好機なく、厳しい戦いに

レースでの雨が気がかりなところとなった第7戦SUGO戦。決戦直前となってウエットコンディションとなった300kmレースで、24号車リアライズコーポレーションADVAN GT-Rはタイヤ選択に苦心。結果、ポジション争いから単独での戦いへと形を変えざるを得なくなり、15位でレースを終えている。

薄曇りの朝を迎えた決勝日。一旦、昼前にはうっすらと日が差すほどまで天気は回復したが、午後2時のスタートを迎える頃には再び灰色の雲が一面に広がり、ぽつりぽつりと雨が落ち始めた。24号車リアライズコーポレーションADVAN GT-Rの足元に装着されたのは、ドライタイヤ。まだ充分に路面は濡れていない状態で、ウエットタイヤを装着するよりドライタイヤで走行を続け、その後のコンディションに合わせて都度判断する戦略を採ったためだ。だが、願いとは裏腹に雨は降り続け、9周目終了時点でスタートを担当していたヤン・マーデンボロー選手をピットへと呼び戻すこととなった。

ドライタイヤからウエットタイヤへ交換、コースに復帰するが、コース距離が短いSUGOでは、トップ車両にラップダウン(周回遅れ)となることも珍しくなく、24号車リアライズコーポレーションADVAN GT-Rには、その後厳しい戦いが待ち受けた。だが、そんな中でもマーデンボロー選手は自身の走行にしっかり集中。28周終わりでクルマをピットに戻した。

24号車リアライズコーポレーション ADVAN GT-Rには、異なるウエットタイヤが装着され、ドライバー交代した高星明誠選手がコースへと向かう。だが、この時点で惜しくも大きく上位から大きな遅れをとっていたことから、チームでは今後の戦いを見据え、ウエットタイヤのテストおよびデータ収集を意識しつつ、レースを継続する決断を下す。結果、44周目、51周目を終えた時点でピットインを行い、都度コンパウンドの異なるウエットタイヤを装着。フィーリングや路面コンディションとの相性を比べるなど、実戦の中で出来うることに取り組んだ。結果こそ15位に甘んじたが、不安定なウエットコンディションで周回を続けたことが、今後の戦いに大きな効果をもたらしてくれると期待したい。

決勝結果

GT500

Pos. No. TEAM DRIVER TIME/DIFF LAPS WH
1 3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R 平手 晃平/フレデリック・マコヴィッキィ 2:07'41.498 81 16
2 64 Modulo Epson NSX-GT ナレイン・カーティケヤン/牧野 任祐 19.873 81 9
3 23 MOTUL AUTECH GT-R 松田 次生/ロニー・クインタレッリ 26.710 81 39
4 37 KeePer TOM'S LC500 平川 亮/ニック・キャシディ 45.046 81 55
5 17 KEIHIN NSX-GT 塚越 広大/ベルトラン・バゲット 1 Lap 80 26
6 6 WAKO'S 4CR LC500 大嶋 和也/山下 健太 1 Lap 80 65
7 39 DENSO KOBELCO SARD LC500 ヘイキ・コバライネン/中山 雄一 1 Lap 80 40
8 1 RAYBRIG NSX-GT 山本 尚貴/ジェンソン・バトン 1 Lap 80 29
9 16 MOTUL MUGEN NSX-GT 武藤 英紀/中嶋 大祐 1 Lap 80 8
10 36 au TOM'S LC500 中嶋 一貴/関口 雄飛 1 Lap 80 25
11 38 ZENT CERUMO LC500 立川 祐路/石浦 宏明 2 Lap 79 39
12 8 ARTA NSX-GT 野尻 智紀/伊沢 拓也 2 Lap 79 31
13 19 WedsSport ADVAN LC500 国本 雄資/坪井 翔 3 Lap 78 24
14 12 カルソニック IMPUL GT-R 佐々木 大樹/ジェームス・ロシター 5 Lap 76 18
15 24 リアライズコーポレーション ADVAN GT-R 高星 明誠/ヤン・マーデンボロー 5 Lap 76 16

WH=ウェイトハンディキャップ(kg)
開始 : 14:00'00 終了 : 16:07'41
セーフティカー : 1)14:00(スタート) - 14:07(3Laps) 2)14:58(38Laps) - 15:10(43Laps)

No.36 ペナルティストップ10秒(Spr.22.4.1「2基を超えたエンジン交換の罰則について(公式通知No.14)」)
No.19 ドライブスルー(SpR.27-1.3「ピット作業違反」)


Fastest Lap

No. TEAM LAPTIME
37 KeePer TOM'S LC500 1'19.993

近藤監督のコメント

今回は、戦略的にミスがあったと言わざるを得ません。一方でどのタイヤを装着するか、という点では僕らに選択肢はありませんでした。仮にセーフティカーが入らなくとも、チームとしては2度ピットインしなければならない可能性がありました。それに一旦雨が上がるという予測もあったので、さほど雨がひどくならなければ、まだ優位性のあるスリックタイヤでレースを進めるほうがいいのではないかという判断から、スリックタイヤでのスタートを選びました。

しかし、残念ながら本格的な雨になってしまい、またSUGOは1周の距離が短いこともあって、スリックからレインタイヤに交換するためのピットインでラップダウンになってしまいました。一方で、交換したレインタイヤはそのときの路面状況に合わず、うまく持たせることができなかったので、さらにピットインが必要になりました。ここまでくると、正直戦うことは難しかったので、レインタイヤ作りを意識した走りをしようと、テストを兼ねて周回することを選びました。

雨の中、チームを応援していただくファンの皆さんやスポンサーの方々には大変申し訳ない状況になってしまったのですが、これも勉強ととらえ、しっかりと現実を見つめることで今後のタイヤ作りの糧にしていけたらと思っています。

高星 明誠選手のコメント

後半は3種類のウエットタイヤを試しながら周回を重ねることになりました。硬さが異なるものを次々試したのですが、その中で終盤にそれなりにいいタイムも出すことはできました。

ただ、今日は本来すべきレースが出来ていなかったのも事実です。
最初にヤン(マーデンボロー選手)がスリックタイヤで出走することになり、その後、ウエットに替える必要が出てしまったため、結果としてラップダウンされてしまいました。とはいえ、この選択には後悔はありません。ただこれで2?3周ラップダウンする形になってしまったこともあり、そのままレースをするのであれば、今の自分たちが必要なことを、特に雨を苦手としているので、そこでもっと速く、強く走るクルマ、タイヤ作りに取り組もうということになりました。

本来であればしっかりとレースをしたかったですが、決勝での状況を考えると、自分たちがこの先を見据えてしっかりと次にすべきことに着手できたことは良かったと思います。

ヤン・マーデンボロー選手のコメント

スリックタイヤでスタートすることをチームとして決めました。そのときの決断は状況的にも正しかったと思います。正直、あのコンディションで勝負ができるウエットタイヤが僕らにはありませんでした。しかしながら、レースが始まって3周もすると雨がひどくなり、セクター1、2はまだドライで走れるラインは残っていたものの、逆に後半セクターはもうスリックで走るには難しいコンディションに変わってしまいました。

その後、さらに雨が強くなり、コース上どこもスリックで走れる状況ではなくなったので、あえなくピットインしました。もうこの時点でラップダウンされることになりました。とても難しい状況でしたね。ダンプコンディションならスリックが良かったですが、結局、完全にウエットコンディションになったことでチャンスがなくなりました。

そこでルーティンでドライバー交代したあとは、何種類かのウエットタイヤを試すことになりました。結果、ピットインの回数が増えてレースをしながらテストを行うという流れになりました。今回は本当に流れがなかったですね。残念ですが、この先、いい戦いをするためには超えていかなければいけない問題だと思います。

エンジニアのコメント

スリックタイヤでの走りを続けることができるコンディションであれば良かったのですが、残念ながらそうはならず、ウエットタイヤに交換する必要が出てきました。しかしながら、レース前半でラップダウンの状況となったので、その後は今日のコンディションに合ったタイヤを見つけるために異なるウエットタイヤを装着しての周回となりました。今後、もっといい戦いができるよう、その次に向けてチームとしてできる準備のためにテストを続けた結果、見えてきたものもありました。その点に関しては良かったと思います。

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