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Race Report - 第4戦 ツインリンクもてぎ

一日目 予選(9月12日・曇/ウェット)

予選レポート

先の読めない天候に翻弄され、最下位に甘んじる

早いもので、今シーズンの前半戦最後の戦いを迎えることになったSUPER GTシリーズ。今大会は、栃木・ツインリンクもてぎでの一戦となる。

開幕戦から無観客開催が続く中、盛夏を過ぎすっかり秋模様となったサーキットは、朝から空模様が気がかりな一日となった。午前10時、鉛色の曇天がサーキットを覆い尽くす中、公式練習がスタート。コースインしたばかりの車両がワイパーを稼働させ始め、走行する車両からは水煙が上がった。しかし、30分もしないうちに雨は止み、少し濡れた路面をいかにコントロールしながらセットアップを進めていくかがカギとなった。

開始30分後には、コースアウトした車両を回収するため一度赤旗中断に。その後は不安定なコンディションながら、各車が揃ってタイヤの見極めやセットアップの煮詰め等に取り掛かる。KONDO RACINGでも、走りはじめの時点からNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN GT-Rが上位グループに名を刻み、好調をアピールする。GT300クラスとの混走時で高星明誠選手がGT500の7番手タイムを刻むと、GT500専有走行時にアタックシミュレーションを行ったヤン・マーデンボロー選手が1分38秒494のタイムをマーク。6番手につけるなど、いい流れを構築した。

午後に入ると天候は下り坂へ。さらに午後2時30分、GT300クラスからノックアウト予選が始まると、霧雨よりも細かくやわらかい雨が降り始めた。その後、GT500のQ1は午後3時11分にスタート。この時点で雨は降っていなかったが、路面は完全ドライとは言い難い状況であり、チームとしてタイヤ選択が悩ましい状況となってしまう。コースインが始まると、スリックタイヤでアタックの準備を進めるライバルに対し、No.24 リアライズコーポレーション ADVAN GT-Rが装着したのはウエットタイヤ。アタッカーのマーデンボロー選手は、一旦路面コンディションを確認してスリックタイヤへと交換する予定だったが、予定よりも1周多くウエットタイヤで走行する。さらに最終アタック時には1台の車両がコースアウトをしていたために自己ベストタイム更新のチャンスを失い、万事休す。期待していた結果を残せず、最下位に甘んじるという悔しい結末となった。

ストップ&ゴーのレイアウトを持つもてぎは、抜きどころの少ないサーキットとして知られており、No.24 リアライズコーポレーション ADVAN GT-Rにとってはタフな戦いになる可能性が高い。しかし、コンディション次第でポジションアップのチャンスが巡ってくるかもしれない。いずれにせよ、チーム一丸で粘り強く戦いに挑むことが求められる。

公式予選記録

GT500

Pos. No. TEAM DRIVER Q1 Q2 WH
1 64 ZENT GR Supra 立川 祐路/石浦 宏明 1'39.191 1'43.878 24
2 23 KEIHIN NSX-GT 塚越 広大/ベルトラン・バゲット 1'38.192 1'44.079 46
3 38 ARTA NSX-GT 野尻 智紀/福住 仁嶺 1'39.015 1'45.153 8
15 24 リアライズコーポレーション ADVAN GT-R 高星 明誠/ヤン・マーデンボロー 1'43.366 2

WH=ウェイトハンディキャップ(kg)
Q1  開始 : 15:11'00 終了 : 15:21'00
Q2  開始 : 15:49'00 終了 : 15:59'00

Q1
No.8 野尻智紀 罰金50,000円 (ブルテンNo.003-S「ファストピットレーン進入手順違反」)
No.3 千代勝正 当該ラップタイム削除 (SpR.18-7「黄旗中の減速義務違反」)
No.23 松田次生 当該ラップタイム削除 (SpR.18-7「黄旗中の減速義務違反」)
No.24 ヤン・マーデンボロー 当該ラップタイム削除 (SpR.18-7「黄旗中の減速義務違反」)

Q2
黒白旗提示 No.38 立川祐路

近藤監督のコメント

今日の結果はチームの問題ですね。今回は、今シーズンの予選として一番いい結果を獲れるくらいの勢いがありました。チームでもヨコハマでも努力してくれてタイヤをしっかりと用意してくれたんですがね。

ドライであれば、ヨコハマ勢が上位にいける状況でもあったでしょうが、一方で、予選が不安定な天候で雨模様になり、ドライバーとエンジニアを僕自身がうまくコントロールできなかったんです。あまりにも急に晴から雨へと変化する中で、チームとしての方向性をはっきりと決めることができるように、もっとしっかりとサポートできたら良かったんですが、そうならなかった。今回はドライバーの意見を聞きすぎたというか、雨で消極的になったのを容認してしまったんです。結果、コースコンディションを確認したいというドライバーの気持ちを優先させ、ウエットタイヤを装着してのコースインとなってしまい、そのまま計測に入ってしまって…。意思の疎通をもっと明確にすべきでした。チームとして、監督の判断ミスということになりますね。悔しい予選結果でした。

なかなか抜けないもてぎですが、慌ただしく変化する天気になれば決勝ではまた違った展開になるかもしれません。そうなればしっかり粘った戦いにしたいですね。

高星 明誠選手のコメント

今回持ち込んだタイヤが、今日の予選日のコンディションには良く合っていました。それだけに、朝からの流れを考えても予選でいいポジションを狙っていけるのではないかと思いました。そろそろ搭載しているウェイトハンディが効いてくる車両も出てくるし、ストップ&ゴーの特性を持つサーキットでの戦いなので、チームとしてはそういうことも好機にしたいと思っていました。

一方、Q1に向けて僕たちチームとして選択したタイヤがアタックのコンディションに合いませんでした。あのタイミングで周りのクルマがドライを選択していたのに、僕たちだけがウエットを選択したので…。もちろん悔しさはありますが、それを言っていても仕方のないことなので、明日は粘って戦っていけたらと思います。

ヤン・マーデンボロー選手のコメント

今回、僕らのクルマは朝の公式練習の時点で6番手につけることができていたし、いいフィーリングを得ていました。もちろん、Q2に行けると信じていました。もてぎに向けて頑張ってきたことが結果になったと思っています。

しかしながらQ1の出走時にウエットタイヤを選択したことが結果として裏目に出ました。スリックタイヤへと交換したところでアタックできる十分な時間もありませんでした。速さを見せられると思っていただけに残念です。レースでは、今回準備してきたものをしっかりと披露できるように頑張ります。

エンジニアのコメント

朝の公式練習では、前回の鈴鹿から進めてきた新しいセットアップがようやく結実し、手応えを得られるような段階まできたことを確認することができました。このまま予選に向けて期待もあったのですが、あいにく天候が急変し、路面がとても難しい状況となりました。結果としては、先にアタックが行われたGT300クラスの状況を踏まえ、スリックタイヤで行って来い! と(アタック担当の)ヤン(・マーデンボロー選手)を送り出せばよかったのですが、実のところ、彼は朝の練習のときにいい条件で乗っていなかったんです。GT500の専有の最後に少し乗れた程度でした。彼の気持ちとして少し心配があったようですが、僕自身もエンジニアとして彼を鼓舞して送り出すことができませんでした。

厳しいポジションからのスタートになりますが、幸い、クルマのバランスは悪くなさそうなので、確実にポイントを獲りたいし、可能ならばシングルフィニッシュを狙っていきたいですね。

二日目 決勝(9月12日・曇/ドライ)

決勝レポート

ポジションアップを狙う中、まさかのアクシデントで後退

2020年シーズン前半の締めくくりの一戦を迎えた栃木・ツインリンクもてぎ。残りの戦いに向けていい流れの形を作り、力強い戦いを目指した。レースでは、最下位からひとつでも多くポジションをあげようと奮闘を続けるも、中盤に他車と接触。修復に時間を要し、13位で戦いを終えている。

早朝のサーキットは眩しいほどの青空が広がり、秋晴れの一日になると思われたが、時間の経過とともに天候は下り坂へ。徐々に薄墨色の雲が広がり始め、暑さを感じることはなかった。前日は、気まぐれな雨の到来が予選コンディションを大きく左右、KONDO RACINGとしてもその影響を受ける結果に甘んじただけに、決勝では粘り強く戦い、ひとつでも多くポジションを上げていきたいところだ。

スタートは午後1時、気温は27度、路面温度は34度のコンディション下で63周の戦いが幕を開ける。No.24 リアライズコーポレーション ADVAN GT-Rのスタートドライバーは高星明誠選手。前日の予選は残念ながらアタックチャンスが巡って来ず、悔しい思いが先行する中で前半のスティントを担当した。

高星選手の行く手を阻むのは、ウェイトハンディのある車両たち。車間距離を詰めるものの、ストップ&ゴーのコースレイアウトを持つもてぎは抜きどころが少なく、前方車両の遅いペースに合わせるような形で周回を重ねていくことを強いられた。ガマンの走行を続ける中、レースは9周目にクラッシュ車両回収のためにセーフティカーがコースイン。これをチャンスとばかり、高星選手はリスタートした15周以降、激しく前方のGR Supraを追い立てて18周目で逆転! さらにもう1台前の車両を猛追し始めた。

だが、チームではここでタイムロスを重ねるよりもひと足先にルーティンのピット作業を済ませ、フレッシュタイヤでの追い上げを目指そうと、23周終わりでピットインを実行。待ち受けたスタッフによる迅速な作業で、No.24 リアライズコーポレーション ADVAN GT-Rはピットイン前よりも実質ひとつポジションアップを果たしてコースに復帰する。

後半スティントを担当するのは、ヤン・マーデンボロー選手。前日の予選で悔しい思いをしているだけに、なんとしても挽回したいところ。前方に迫る8号車NSX-GTとの差をあっという間に縮め、逆転のチャンスを伺い、27周目を迎える。完全に8号車を射程距離に捉えたマーデンボロー選手はヘアピンで間隙を縫って逆転を狙ったが、2台は接触。フロントに大きなダメージを負うこととなり、緊急ピットインを余儀なくされた。

ピットでの作業時間は予想以上に大きく、この時点で戦線離脱に等しい状況に追いやられたNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN GT-R。20分を超える作業を経て無事レース復帰を果たしたものの、順位争いからは大きく出遅れてしまい、結果、13位でチェッカーを受けることになった。

上位入賞を目指した今大会で、残念ながら望むような結果を残せなかったNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN GT-R。次の第5戦富士は今シーズン3度目となるだけに、これまでのデータを確実に活かし、内容の濃い戦いを目指したい。折しも無観客開催の制限が解かれ、ファンを迎えての初戦となる。ぜひとも、速さ、そして強さを伴った勇姿を披露したいところだ。

決勝結果

GT500

Pos. No. TEAM DRIVER TIME/DIFF LAPS WH
1 17 KEIHIN NSX-GT 塚越 広大/ベルトラン・バゲット 2:03'20.756 63 46
2 38 ZENT GR Supra 立川 祐路/石浦 宏明 7.796 63 24
3 16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT 武藤 英紀/笹原 右京 11.160 63 2
13 24 リアライズコーポレーション ADVAN GT-R 高星 明誠/ヤン・マーデンボロー 16 Laps 52 2

WH=ウェイトハンディキャップ(kg)
開始 : 13:03'44 終了 : 15:09'05
SC : 1) 13:20(9Laps) - 13:34(14Laps) 2) 14:30(45Laps) - 14:44(49Laps)

黒白旗提示 : No.14 坪井翔

No.24 J.マーデンボロー ドライブスルー (Spr.13-1「危険なドライブ行為」)


Fastest Lap

No. TEAM LAPTIME
64 Modulo NSX-GT 1'39.370

近藤監督のコメント

レースを終えて、ヤン(・マーデンボロー選手)には、表彰台争いでのファイトならまだしも、12位や13位を争う中での激しい接触は何の役にも立たない、と伝えました。彼なりに反省はしていたのですが、もったいない戦いでしたね。とは言え、やってしまった失敗を責めてもすでに終わったことだからあまり意味を持たないですし、それよりも今後同じ失敗をしないようにすることが大事ですからね。いずれにせよ、今回は予選も決勝もかなり空回りすることが多かったです。

レース前のウォームアップ走行時のタイムだって決して悪くはなかったし、(24号車と同じヨコハマタイヤを装着する)16号車、19号車のペースが良かったことを考えると、うちのチームも好成績を残すまでさほど時間はかからないと思うんです。なので、ファンの皆さんには次回の富士戦を楽しみにしてもらいたいですね。

一方で、チームとしてもう少し戦略をしっかり立てることや、ドライバーへきっちりと伝達することなど、改めて認識しなくてはいけないことが明確になりました。そういう点で見た今回のもてぎ戦は、予選、決勝のすべてにおいて迷いが生じていたように思います。現状、タイヤとクルマの方向性は悪くないと受け止めているし、そこで耐えられる状況を整えていくことが大事だと思います。

好成績を狙えると思っていただけに、この結果は確かに悔しいですが、今回16号車が3位に入ったことで、うちにも表彰台に上がる可能性が十分にあると思いました。ひと言で「悔しい」と言っても、その中身がこれまでと違うし、前向きに捉えることもできます。もし、ヨコハマ勢の3台が揃って下位に並んでいたとしたらまだまだの状態と捉えますが、確実なところでヨコハマタイヤの成長が見えるので、いい材料が自分たちにはあるという気持ちで第5戦に挑みたいです。

高星 明誠選手のコメント

今日のレースではピットインのタイミングをミニマムの周回数で実施するという計画でした。決勝時にペースが良くて前のクルマを抜いていけるのであれば、そのまま周回を引っ張ることも考えていました。ただ、現実的にはペースは他車よりもいいものの、前のクルマに追いついてひっかかってしまいそうであれば、ミニマム(のピットイン)で…。という風に考えていました。

今回のレースは、これまでと異なり、期待もできたし、いい結果が出せるという希望を持っていました。それだけに、チームとしてのポテンシャルを引き出せなかったのはとても悔しいですね。この悔しさを次の富士戦で跳ね除けられるよう、モチベーションを維持してみんなで取り組んでいきたいと思います。

ヤン・マーデンボロー選手のコメント

最後尾スタートのため、もてぎでは理想的な戦いは難しいと思っていました。最初のスティントでもポジションアップのチャンスがなく、そこで前方車両よりも先にピットに入り、順位を上げるためにアンダーカットをしてポジションアップを狙いました。

集団に追いつき、攻めの走りで逆転しようとヘアピンの進入でアウトからインにラインを取ったのですがそこで接触することになりました。

レースでは、時にリスクを伴うこともあるのですが、結果としてこのアクシデントが僕らのペナルティとして扱われることになり、残念に思います。

エンジニアのコメント

昨日の予選を考慮しても、ヤン(・マーデンボロー選手)は気持ちとして焦りを感じていたと思います。それが決勝でも出てしまったのかもしれないですね。とはいえ、攻めの姿勢で勝負に出たのだと受け止めています。

今日のレースは、前車との差が詰まる可能性もあったので、そこでのタイムロスを極力避けるために場合によってはミニマムの周回でルーティンのピットインを行うことも考えていました。そんな中、前半スティントを担当した高星が36号車をパスするいい仕事を見せてくれました。決勝に向けて準備したセットアップもタイヤとのマッチングによっていい仕上がりになっていたと思います。

今回でシーズン前半戦が終わりましたが、厳しい戦いが続いていただけに、この先は思いっきり戦える状況を作って挑んでいきたいと思います。

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