初開催のタイ大会、過酷な一戦を2位表彰台で飾る!
日付 | 2014年10月5日 |
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天候 | 晴れ |
気温 | 32℃ |
路面状況 | ドライ |
日本では忘れてかけていた暑さを再び感じることになったタイ・チャンインターナショナルで開催されたSUPER GT第7戦決勝レース。10月5日は、KONDO Racingにとって、また新たなる一歩を踏み出す戦いにもなった。
レースウィーク一番の蒸し暑さに包まれたサーキット。朝から照り返しが強く、まぶしい日差しの中、決勝に向けて最後のフリー走行が行われた。No.24 D'station ADVAN GT-Rは前日の勢いそのままに、セッションでも好タイムをマーク。2番手のタイムを刻み、午後からの戦いに向けて万全の体制で挑めるよう、チームは最後の最後まで丁寧な準備作業に取り組んだ。
サーキット初となるSUPER GTイベントとあり、スタンドには多くの観客が足を運び、盛り上がりも上々。高揚する場の雰囲気を味方に、午後3時に決勝レースがスタートとなる。まずはチームのスタートドライバーを務めたミハエル・クルム選手が、スタートポジションキープとなる2位でオープニングラップを終了。前を走る46号車のGT-Rと攻防戦を続ける力走を続けた。
チャンインターナショナルサーキット1周が4.5kmでコース幅も狭く、抜きどころの少ないレイアウトのサーキット。今回は初レースのためにコース上が滑りやすく、勝負を挑むには多くのリスクが伴うという難しい条件下での戦いではあったが、クルム選手はベテランらしい落ち着いた走りで周回を重ねていく。と同時に、前回の鈴鹿で苦労したタイヤとのコンビネーションもすばらしく向上。速さと強さを兼ね備えた走りを、詰めかけたタイのモータースポーツファンにしっかりアピールすることになった。
そしてピットインは31周終了時。実のところその前周にギアがスタックするトラブルが発生、急激にラップタイムが落とすことになったため、このハプニングを逆手に取ってのピットインとなった。しかしこれが幸いし、極めて少ないタイムロスだけでコースに復帰したNo.24 D'station ADVAN GT-Rは、心地よい緊張感のままレースを続行。ステアリングを引き継いだ佐々木大樹選手も攻防戦の中、果敢な走りを重ねていった。
まず、同じタイミングでピットインした23号車のGT-Rには、コース復帰時に先行を許すことになったが、すぐにコース上での逆転に成功。GT300をかわしながらの戦いは、見守る観客を大いに沸かせた。さらに後半に入ると、タイヤ無交換作戦を採ったチームの内、2台が失速。その間、隙を縫ってポジションアップに成功した佐々木選手はついに2番手までポジションを戻すことになった。
前を走るのはタイヤ無交換の戦略をとった36号車RC F。一方で、背後には12号車のGT-Rが迫り来る。試合巧者の2台に挟まれるという大きなプレッシャーに身を置くことになった佐々木選手だが、その重圧を跳ね除けるかのように、自己ベストタイム更新に成功。さらにはセミファイナルラップでレースのファステストラップとなる1分25秒441をマーク!
そして惜しくもトップに1.9秒差まで詰め寄りチェッカードフラッグを受けた。チームは今シーズン、ベストとなる2位表彰台を手にすることになった。
セミファイナル戦でチーム今季ベストの2位を獲得したNo.24 D'station ADVAN GT-R。この勢いに乗り、最終戦のもてぎに向けてより一層高い目標を定め、志気を高めることになった。
本山選手(No.46 S Road MOLA GT-R)とは、あのトラフィックの中でいいバトルができました。お互いレースのキャリアがある者同士だから、トップ2台で後続を離しながら、接近戦のバトルもできました。ただ、気温も高く、あまり前に近づくとエンジンがオーバーヒートする心配もあったので、走行中はキチンと距離をとって走ることにも気をつけて、様子を見ることにしました。トップ獲りたかったですが、あとちょっとが足りなかったですね…。しょうがないかな。
(終盤の佐々木とオリベイラのバトルに関しては)、JPが大樹に近づいてもドキドキすることはなかったですよ。ただトラフィックのタイミングが必ずしも良くなくて、JPが近づくことになりましたね。それでも2台がほぼ同じペースで走っていたし、終盤には大樹がファステストラップを獲ったでしょう!
だから心配はなかったですね。それよりもしあと2周あれば、トップ(No.36 PETRONAS TOM'S RC F)も抜けたかもしれないから、そっちのほうが悔しいかな。久々の表彰台で嬉しいけど、悔しい気持ちもありますね。
クルムさんのペースが本当に速かったですね。途中でトラブルがあって(ギアがホールドした)ので、自分がなんとか取り返さなきゃと思っていました。4位に落ちたので、そのあとどうにか自分で挽回して、優勝を目指しようと頑張りました。でも…。あと一歩のところだったので本当に悔しいですね。とはいえ、チームもヨコハマタイヤさんも頑張ってくれて、今まですごく苦労をしてきたんですが、なんとか表彰台に上がることができたし、みんなで喜ぶことができて良かったです。
終盤、ファステストラップを刻みながら36号車を追いかけていたんですが、みるみるうちに追い付いていったので、本当はあと3周欲しかったですね。次も頑張ります。
このレースウィークは、つねに2位で終わってしまいましたね。タイヤ無交換という戦略はウチとしても考えてはいましたが、ただリスクも大きいし、上位スタートで走っているときのタイヤ無交換というのはあり得ないですから…。レース中盤、クルム選手がドライブしているときに1周だけ急激にタイムが落ちたのは、パドルシフトにトラブルが発生したからです。シフトが動かなくなりました。このタイムロスが大きかったですね。これがなければトップを問題なく取れたと思います。ただタイミング的にはトラブル発生直後にルーティンの作業ができたので、この時に佐々木選手へと交代することになりました。ある意味ラッキーでした。
本来ならば、もう少しクルム選手に走ってもらう予定だったのですが、急なドライバー交代でもスムーズに作業できたし、(終盤バトルとなった)コース上の佐々木選手にはつねに前後車両とのギャップと、自身のタイムを伝えていました。今回、ウチのほうが速いというのがわかっていたので、彼には後ろよりも前を気にして走るように伝えました。悔しい気持ちがある反面、チームが全力を尽くして遅れを挽回し、また佐々木選手は終盤にファステストラップも獲ってくれて良かったです。
今週は金曜日の初走行の時点からずっと流れが良かったので、それが今回の戦いにも活かすことができたと思います。
決勝結果
Pos. | No. | TEAM | DRIVER | TIME/DIFF | LAPS | WH |
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1 | 36 | PETRONAS TOM'S RC F | 中嶋 一貴/ジェームス・ロシター | 1:37'58.987 | 66 | 47 |
2 | 24 | D'station ADVAN GT-R | ミハエル・クルム/佐々木 大樹 | 1.980 | 66 | 12 |
3 | 12 | カルソニックIMPUL GT-R | 安田 裕信/J.P.デ・オリベイラ | 6.689 | 66 | 49 |
4 | 37 | KeePer TOM'S RC F | 伊藤 大輔/アンドレア・カルダレッリ | 16.463 | 66 | 56 |
5 | 18 | ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT | 山本 尚貴/F.マコヴィッキィ | 33.849 | 66 | 47 |
6 | 19 | WedsSport ADVAN RC F | 脇阪 寿一/関口 雄飛 | 35.130 | 66 | 7 |
7 | 39 | DENSO KOBELCO SARD RC F | 石浦 宏明/オリバー・ジャービス | 1'06.957 | 66 | 18 |
8 | 100 | RAYBRIG NSX CONCEPT-GT | 小暮 卓史/武藤 英紀 | 1'08.424 | 66 | 17 |
9 | 6 | ENEOS SUSTINA RC F | 大嶋 和也/国本 雄資 | 1'10.954 | 66 | 42 |
10 | 23 | MOTUL AUTECH GT-R | 松田 次生/ロニー・クインタレッリ | 1'13.327 | 66 | 60 |
WH=ウェイトハンディキャップ(kg)
Fastest Lap
No. | TEAM | LAPTIME |
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24 | D'station ADVAN GT-R | 1'25.441 |
うーん、今日の結果はなんとも言えない。まさかTOM'S(36、37号車)がタイヤ無交換の戦略を選ぶとは…。驚きでした。向こうは今回後方からのスタートだったから、あのような戦略もとれたんだと思います。
一方でウチはすごくいいタイヤで勝負できたので、ごく普通の戦いをしても表彰台に上がることが可能だと思っていました。(佐々木)大樹がGT300を抜くときはさすがにヒヤヒヤしましたが。今回の2位は、今シーズンのウチのチームの状況を考えれば本当に大喜びしなきゃいけないんです。でも、勝負できる、勝てる条件が揃っていたことを思えば、今日の2位はホント悔しい結果です。2位と3位の差よりも、2位と1位の差って大きいんだなぁ、という思いを改めて感じました。でもいいレースができたし、ヨコハマタイヤの底力をアピールすることができました。最終戦のもてぎでは今日のようにこんなにうまく行くとは思わないけれど、スタッフのモチベーションもますます上昇しているので、大事な一戦になると思います。頑張ります!