Super Fomula:第二日決勝

今季初開催の岡山は悔しく、ほろ苦い結末に

日付 2015年5月24日
天候 曇り
路面状況 ドライ

決勝レポート

レースウィークはじめには決勝日の雨も懸念された岡山国際サーキットでの一戦。ところが幸いに朝から青空が広がり、ときおり夏を思わせるような強い日差しがコースを照りつけた。

前日の予選でジェームス・ロシター、ウィリアム・ブラー両選手がQ3へと進出、2台揃ってのアタックが実現したKONDO Racing。国内でのトップフォーミュラが7年ぶり開催となるこのサーキットでの決勝は不確定要素がいつも以上に大きい分、展開次第で好成績を狙えるチャンスも存分にある。とりわけロシター選手はその可能性に賭けてスタートを迎えることになった。

午後3時、気温29度、路面温度47度とレースウィーク一番の暑さの中、68周にわたる戦いが始まる。クリアスタートを決めたのはロシター選手。オープニングラップでひとつポジションを上げ、6位から追い上げを見せる。ところが早くもレース開始2周目の時点でクルマにトラブルが発生。ステアリングの電気制御が作動せず、ギアチェンジができない状態での走行を強いられる。さらにはエンジンのセットもリセットされてしまう症状が出て、安定した走りがまったくできない状況に陥ることになった。

結果、ラップタイムが大きくバラつき、不安定な動きを見せるクルマでなんとかドライビングを続けたロシター選手だが、18周目、突如としてスロー走行。最終的にダブルヘアピンの立ち上がりで完全にスピードを失い、ランオフエリアにクルマを止めた。ステアリングのハーネストラブルによってチャンスを喪失したロシター選手。優勝をも狙える位置でスタートを切っただけに、悔しさが募る岡山戦となった。

一方のブラー選手は、スタートで大きく出遅れることになり、オープニングラップで13番手までドロップ。結果、コース距離が短く、抜きどころも少ない岡山だけに、周回を重ねるだけの戦いが続いてしまった。我慢のレースが続く中、23周目には予定より早めのピットインを実施。チームでは、少しでもポジションアップのチャンスを掴むべく、リアタイヤ2本交換に留め、ガソリン補給の作業と合わせて12秒2の時間でコースへと送り出した。

テストでの経験があるサーキットとはいえ、異なる路面、気温などの様々な条件変化が重なる中、その後もブラー選手は苦しみつつも粘りある走りに徹し、68周を走破。13位で戦いを終えている。

近藤監督のコメント

近藤監督

表彰台は間違いなく狙えたレースでした。長くレースをしていると、こういうトラブルに見舞われることもあるということは理解できますが、決勝直前まで極めて順調で何にもなかったのに、レースが始まって程なくして問題が出るとは…。ほんと、痛い。ジェームスはいつ勝ってもおかしくないドライバー。だからこそチームとして彼にはこういうトラブルが起らないよう、きちんとバックアップしていかなければと思います。次回こそいい環境を準備し、彼にしっかりと戦ってもらえるようにします。

一方、ウィリアムはスタートで周りの勢いに飲み込まれたような感じになってしまいました。でも開幕戦ではただコースで走っているという感じだったのが、今日は周りと一緒にレースをするというところまで進歩したので、また多くのものを学んでくれたと思います。この厳しいスーパーフォーミュラがどういうものなのかをしっかり体感できたのではないでしょうか。富士ではSFドライバーらしい走りを見せてくれると思います。

ジェームス・ロシター選手のコメント

ジェームス・ロシター選手

レースが始まってもう2周目には異変を感じたし、そのような症状も出ていました。ステアリングの状態がおかしくなって、都度セッティングがリセットされてしまったんです。結果、シフトチェンジもままならず、表示モニターもキチンと計時されない状態でした。さらにはエンジンのセッティングにも影響を及ぼすことになり、ドライブ自体がとても困難になってしまったんです。

なんとか18周まで走ったのですが、この時点で完全にパネルからの情報が消え去り、もう何をすることもできなくなってしまいました。一度はピットインのタイミングを早め、ルーティンワークとトラブルシューティングを一緒にやろうということを無線でエンジニアと相談していたのですが…。今週末のクルマはとってもすばらしく、勝てる可能性が多いにあったんです。それだけに、本当に残念な結果になりました。

ウィリアム・ブラー選手のコメント

ウィリアム・ブラー選手

今日はスタートが悪かったこともあり、レース自体が本当にタフな戦いになってしまいました。ピットストップではリアタイヤ2本のみを交換してコースに復帰したのですが、僕にとっては裏目に出てしまいました。終盤、クルマのバランスが変わってしまい、コントロールすることが難しくなってしまいましたね。

一方で、デビューレースの鈴鹿に比べればレースをするということはできたし、また予選ではQ3まで進出してアタックすることもできたので、色んな面での進化は果たせたと思います。第3戦の富士ではもっといい走りをお見せしたいと思います。

エンジニアのコメント

事前のシミュレーションに基づき、決勝での戦略の要点は決めていました。ジェームスはスタートを得意としており、2台抜くことができれば、さらに可能性を広げることもできたし、それに沿った走りを見せてくれていたのですが早々にメカニカルトラブルが出て、叶いませんでした。申し訳なかったです。

一方、ウィリアムもジェームスに似た戦略をもって挑んだのですが、こちらはスタートで失敗がありました。加えて走行を重ねるうちにタイヤの性能低下が大きくなり、本人の希望もあって、予定よりも早めのピットインとなりました。リアタイヤ2本交換の作戦は、チームとしての確認は取れていたのですが、初めて試すことになったウィリアムは戸惑ったのか、最終的にはバランスが崩れ、コントロールするのが難しかったようです。

リザルト

決勝結果

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Pos. No. TEAM DRIVER LAPS TIME DELAY BEST TIME  
1 38 P.MU/CERUMO・INGING SF14 石浦 宏明 68 1:29'49.130 168.208km/h 1'17.043  
2 8 Team KYGNUS SUNOCO SF14 小林 可夢偉 68 1:29'50.238 1.108 1'17.524  
3 40 DOCOMO DANDELION M40S SF14 野尻 智紀 68 1:30'04.736 15.606 1'17.635  
4 16 TEAM 無限 SF14 山本 尚貴 68 1:30'07.179 18.049 1'17.694  
5 19 LENOVO TEAM IMPUL SF14 J.P.デ・オリベイラ 68 1:30'10.771 21.641 1'17.210  
6 20 LENOVO TEAM IMPUL SF14 アンドレア・カルダレッリ 68 1:30'27.439 38.309 1'18.292  
7 11 REAL SF14 伊沢 拓也 68 1:30'29.626 40.496 1'17.957  
8 2 PETRONAS TOM’S SF14 アンドレ・ロッテラー 68 1:30'30.468 41.338 1'18.038  
9 7 ACHIEVEMENT Team KYGNUS SUNOCO SF14 平川 亮 68 1:30'30.754 41.624 1'18.008  
10 41 DOCOMO DANDELION M41Y SF14 ナレイン・カーティケヤン 68 1:30'32.827 43.697 1'18.085  
13 4 FUJI×D'station KONDO SF14 ウィリアム・ブラー 68 1:30'47.848 58.718 1'18.283  
- 3 FUJI×D'station KONDO SF14 ジェームス・ロシター 17 22'21.259 51Laps 1'17.850  

Fastest Lap

No. TEAM LAPTIME
38 P.MU/CERUMO・INGING SF14 1'17.043 7/68 173.031km/h