Super GT:第二日決勝

日付 2015年11月8日
天候
路面状況 ウェット

決勝レポート

<第1レース>

突如変化した雨の天候に翻弄される

雨の決勝日となった鈴鹿サーキット。朝のレース1はレースウィーク初のウェットコンディションとなったことから、セーフティカーによるスタートが切られた。

タイヤに熱が入った2周目の終盤、セーフティカーのルーフライトが消灯。3周目からレースが展開することになった。前方車両の水煙で充分な視界の確保が難しい中、KONDO Racingでは、今季ベストグリッドからのスタートを切ったジェームス・ロシター選手が3番手をキープし、快走。周回を重ねていく。序盤には2番手の38号車を攻め立てる好戦を見せた。さらにコンディションが安定してくると自己ベストタイムを連発。果敢な走りに今季初となる表彰台獲得に期待がかかった。

だが、前の38号車との差を0.8秒まで縮めていたその矢先、15周目のダンロップコーナーでコースアウト。惜しくもこの場でクルマを降りることとなった。突然きつくなった雨にクルマのコントロールが難しくなったのが原因だった。

一方のウィリアム・ブラー選手は自身初となる日本でのフルウェットレースの中、高い集中力を発揮して周回を重ねていく。途中、ハーフスピンするシーンもあったが、粘りを見せて20周を13位で走破。午後からのレース2に向けて弾みをつけることとなった。


<第2レース>

接戦に泣いたジェームス、果敢に攻めたブラー

午後になれば天候も回復に向うと言われていたものの、実際にはしとしと降り続けた雨のレースとなったレース2。レインタイヤ装着のため、レース中にタイヤ交換義務はなくなったが、レース1よりも8周多い周回数での戦いは、タイヤコントロールも含めての難しくタフな展開となった。

まず、13位スタートとなったロシター選手。得意の雨でまず9番手までポジションアップに成功し、勢いに乗った。その後もチャンスを窺いつつ攻めの走りを続け、さらに1台をパス。周りのトラブルなどもあって、6位で周回を重ねていった。そして迎えた13周目のシケイン。逆転を狙って前を行くクルマとラインが交錯。結果、接触の末にフロントウィングを損傷、また足回りにも不具合が出ていると判断し、この時点で惜しくも戦列を離れることになり、ロシター選手の最終戦は2レースともチェッカーを受けることができなかった。

一方、2度にわたる雨のレースを強いられたブラー選手。だがレース1よりもコンディションに慣れたようで、接戦の中でも粘りつつ、かつ攻めの走りを見せた。結果、レース中盤に接戦となったメインストレートで今週末初めてのオーバーテイクボタンを押して応戦。だが、1コーナー進入でオーバースピードとなり、痛恨のオーバーラン。だが、その後も態勢を立て直し、レースを継続。13位でレースを終えた。

今シーズン、進化を目指し新たな風を吹き込んだKONDO Racing。好成績を出すための厳しい道のりは依然として続いているが、着実な進化の積み重ねは、来シーズンに結果となって現れることだろう。

近藤監督のコメント

近藤監督

<第1レース>

雨の中、ジェームス(・ロシター)にとっては簡単に手にできる表彰台だったはずです。でもそうはならず…。レースって色んなことがありますね。ストレスを感じるような展開になってしまいました。ウィル(・ブラー)もスピンしたようですが、初めてのウェットレースだったので、次のレース2では2台そろってしっかり走り切ってもらいたいですね。

<第2レース>

レース1に続き、今回も…となるとね(苦笑)。ジェームスにはもうちょっと落ち着いてレースをして欲しかったですね。確かにスピードもあって、クルマにも乗れてたのでしょうが、ただこのコンディションでなければどういう展開になったのやら…。ウィルは1コーナーでオーバーランしてしまいましたが、ストレートでは他車に競り勝っていたし、成長の片鱗を見せてくれました。今シーズンの中で一番レースができたのではないでしょうか。

総体的に見て、チームとしては去年よりも今年のほうが苦戦したように思います。というのも、2台体制にしてスタッフも大幅に入れ替えて、心機一転を狙ったんですが、その分、ジェームスにかける負担が大きくなってしまったかもしれません。ゼロからやり直したことが裏目に出た部分もあるようですが、今年重ねてきたことが来年しっかりと活かせるようになればいいなと思います。さらに進化したKONDO Racingをお見せしたいですね。

ジェームス・ロシター選手のコメント

ジェームス・ロシター選手

<第1レース>

レース中は前を走る石浦選手と接近戦になっていたんです。ただ終盤、急に雨が酷くなってきて…。その状況があまりつかめていませんでした。雨の中それまでと変わらないペースでダンロップコーナーに入ったんです。そしたら突然リアが滑り出しスピンしてしまいました。なにもできなかったですね。リアの車高と雨量が合わなかったのかもしれません。レースペースも良く、表彰台も確実だっただけに残念です。レース2に向けて改めて準備したいと思います。

<第2レース>

130Rで前のクルマより速いスピードで走れていたから出口で勝負に出たんです。その先のシケインでは僕が左にクルマを振ってアウト側から抜こうとしました。ところが彼とラインが交錯し、僕には避けるための充分なスペースがなかった。結果、彼が僕のフロントウィングの前を横切ったんです。ウィングを損傷したのでピットインしたのだけれど、交換してレースを続けるには、サスペンションも傷めていたし、リスクが高いこともあってやめました。今シーズンはセットアップに苦しみました。終盤に向けてだいぶ良くなった部分もあるのですが…。確かにチームとして進歩もしているので、来シーズンはさらにいい結果を狙っていきたいですね。

ウィリアム・ブラー選手のコメント

ウィリアム・ブラー選手

<第1レース>

まずは初めての雨のレースを完走したいと思っていました。リスクを負うことなく、しっかりと走り切ることが大事だと思っていました。ただ残念なことに、ダンロップコーナーでハイドロを起こしてスピンしてしまいました。幸いレースには復帰できたけれど、後方の2台に逆転されてしまいました。視界の確保が難しい中でのレースでしたが、この経験を活かして午後のレース2に挑みたいですね。

<第2レース>

レース2ではトップ10を狙っていたのですが、再び雨の中難しいレースとなりました。思うようなレースはできなかったですね。とにかく水煙がすごくて視覚の確保が難しいし、大変でした。とにかく粘って最後までレースをすることを心がけました。今シーズン、スーパーフォーミュラでレースをするチャンスを与えてくれたチームにはとても感謝しています。

エンジニアのコメント

ジェームスはいい走りを見せていたのですが、レース1は攻めて走っている途中に雨が激しくなり、コントロールできずにコースアウトしたようです。表彰台がしっかりと見えていただけに本当に残念です。一方で、レース2ではポジションがレース1よりも下位だったので、まずはポジションアップを、という形で送り出しました。スタートで見事にポジションアップし、攻めていたのですが、前を行く車両との絡みがあって、抜こうとしたけれどラインが交錯したようですね。接触でフロントウィングを傷めてしまい、またサスペンションも傷めていたようだったので、走行を断念しました。

ウィルはレース1に比べると、レース2は雨のコンディションにも慣れたようでしっかりとレースをしていたと思います。ものすごくやる気を感じました。レース1では雨がひどくて使うことを躊躇したオーバーテイクシステムも、レース2ではしっかりと使っていましたね。ただ勢いがついて、1コーナーをオーバーランしていましたが…。前を走るクルマが視野にあったことで、ペース的にもいい走りを見せていました。ひとり旅ではなく、レースをした、という戦いだったと思います。全戦完走できたことも彼の成長だといえるでしょう。

リザルト

決勝結果

RACE1
Pos. No. TEAM DRIVER LAPS TIME DELAY BEST TIME
1 2 PETRONAS TOM’S SF14 アンドレ・ロッテラー 20 42'03.785 165.67km/h 1'55.401
2 38 P.MU/CERUMO・INGING SF14 石浦 宏明 20 42'09.680 5.895 1'55.651
3 8 Team KYGNUS SUNOCO SF14 小林 可夢偉 20 42'10.417 6.632 1'55.584
4 1 PETRONAS TOM’S SF14 中嶋 一貴 20 42'40.564 36.779 1'57.425
5 40 DOCOMO DANDELION M40S SF14 野尻 智紀 20 42'51.163 47.378 1'57.193
6 34 DRAGO CORSE SF14 小暮 卓史 20 42'55.028 51.243 1'57.627
7 39 P.MU/CERUMO・INGING SF14 国本 雄資 20 42'57.529 53.744 1'58.020
8 11 REAL SF14 伊沢 拓也 20 42'58.688 54.903 1'57.543
9 10 REAL SF14 塚越 広大 20 42'59.724 55.939 1'56.956
10 7 ACHIEVEMENT Team KYGNUS SUNOCO SF14 平川 亮 20 43'03.446 59.661 1'57.798
13 4 FUJI×D'station KONDO SF14 ウィリアム・ブラー 20 43'09.497 1'05.712 1'56.931
- 3 FUJI×D'station KONDO SF14 ジェームス・ロシター 15 32'21.923 5Laps 1'55.455

Fastest Lap

No. TEAM LAPTIME
2 PETRONAS TOM'S SF14 1'55.401 14/20 181.15km/h


RACE2
Pos. No. TEAM DRIVER LAP TIME DELAY BEST TIME
1 16 TEAM 無限 SF14 山本 尚貴 27 52'32.553 179.04km/h 1'56.064
2 1 PETRONAS TOM'S SF14 中嶋 一貴 27 52'38.265 5.712 1'56.430
3 19 LENOVO TEAM IMPUL SF14 J.P.デ・オリベイラ 27 52'43.877 11.324 1'56.206
4 38 P.MU/CERUMO・INGING SF14 石浦 宏明 27 53'03.442 30.889 1'56.911
5 7 ACHIEVEMENT Team KYGNUS SUNOCO SF14 平川 亮 27 53'07.960 35.407 1'56.246
6 18 KCMG Elyse SF14 中山 雄一 27 53'18.405 45.852 1'57.359
7 34 DRAGO CORSE SF14 小暮 卓史 27 53'19.542 46.989 1'57.120
8 39 P.MU/CERUMO・INGING SF14 国本 雄資 27 53'23.671 51.118 1'56.774
9 8 Team KYGNUS SUNOCO SF14 小林 可夢偉 27 53'24.212 51.659 1'55.965
10 64 NAKAJIMA RACING SF14 中嶋 大祐 27 53'29.211 56.658 1'57.330
13 4 FUJI×D'station KONDO SF14 ウィリアム・ブラー 27 53'40.781 1'08.228 1'57.837
- 3 FUJI×D'station KONDO SF14 ジェームス・ロシター 13 25'56.349 14Laps 1'57.103

Fastest Lap

No. TEAM LAPTIME
41 DOCOMO DANDELION M41Y SF14 1'55.809 4/27 180.51km/h