RACE REPORT
SUPER FORMULA
第10戦 鈴鹿サーキット
一日目 予選(10月30日・晴れ/ドライ)
予選レポート
フェネストラズ選手は 7 番手を獲得。山下選手は 19 番手に
前日に続き、眩しい朝の日差しを浴びて予選を迎えた鈴鹿。秋晴れの中、午前 9 時 5 分からノックアウト予選がスタートした。今日は気温 17 度、路面温度 20 度のコンディション。前日の Q1 スタート時より路面温度が 4 度下がる中、タイヤのウォームアップを意識してのタイムアタックが始まる。なお、第 9 戦の結果を持って今シーズンのチャンピオンが確定したため、残念ながらフェネストラズ選手のタイトル獲得は叶わなかったが、最終戦では平川亮選手と同ポイントでランキング 2位の座をかけて戦う一戦となる。そして山下選手もまた、ランキングアップを狙い、好レースを展開したいところだ。
Q1・A組には前日同様、フェネストラズ選手が出走。低い路面温度を踏まえ、まずは 2周続けて周回してピットインし、その後はアタックに向けてピットガレージ前でしばし待機することとなった。チェッカーまで残り 5 分を迎える頃、次々と各車がコースへと向かう中、フェネストラズ選手もピットを離れて 7 番目にコースイン。タイヤに発熱を促すような走りを行ない、いよいよアタックラップへと入った。ワンチャンスのアタックで刻んだタイムは 1 分 37 秒 203。見事 3 番手で Q1 を突破し、Q2 進出を決めてみせた。
午前 9 時 20 分からは Q1・B 組の予選がスタート。山下選手がコースインすると、A 組同様に 2 周を走行してからピットに戻り、タイミングを見計らってアタックへ向かった。タイヤを温め、満を持してのアタックラップだったが、1 分 37 秒 448 のタイムは Q2 進出可能なトップ 6 までには届かず。悔しい予選結果になった。
Q2 は午前 9 時 40 分からのスタート。今度は 7 分間のセッションとなる。だが、Q1 とは異なり、どのドライバーもピタリと動かずピットガレージ前での待機が続く。まるで我慢比べのような状態がしばらく見られたが、残り 5 分30 分を切って各車が堰を切ったように動き始めた。アウトラップ、そして翌周のタイヤウォームアップを経てアタックへと挑んだフェネストラズ選手は 1 分 36 秒 735 をマーク。6 番手でチェッカーを受けたが、その後、最後にチェッカーを受けた選手が上位タイムを刻んだため、フェネストラズ選手は 7 位に。結果、午後からの最終戦において、フェネストラズ選手は 4 列目の 7 番手、そして山下選手は 19 番手から粘り強く追い上げを狙うことになる。
公式予選記録
Pos. | No. | TEAM | DRIVER | Q1 | Q2 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | TEAM MUGEN | 野尻智紀 | 1’36.440 | 1’36.003 |
2 | 37 | Kuo VANTELIN TEAM TOM’S | 宮田莉朋 | 1’36.731 | 1’36.043 |
3 | 6 | DOCOMO TEAM DANDELION RACING | 大津弘樹 | 1’36.650 | 1’36.468 |
7 | 4 | KONDO RACING | サッシャ・フェネストラズ | 1’37.203 | 1’36.735 |
19 | 3 | KONDO RACING | 山下健太 | 1’37.448 |
参加台数:21台 出走台数:21台
二日目 決勝(10月30日・晴れ/ドライ)
決勝レポート
最終戦 山下選手は 13 位、フェネストラズ選手は 4 位でチェッカー
決勝レースは前日と変わらず午後 2時 30分に号砲。シーズン最終決戦を前に、ドライバー、チームは限りある時間の中であらためてセッティング等の見直しを重ね、戦いを迎えた。気温 21 度、路面温度 32 度と前日よりも暖かさを感じるのコンディションの中、レッドシグナルがブラックアウト、全車 31 周先のゴールを目指し、戦いの火蓋が切って落とされた。
フェネストラズ、山下両選手がクリアスタートを決める一方、各車は丁々発止の激しいバトルを展開。その中で、1 台の車両がオーバースピードで 1 コーナーへと進入、その勢いでコースアウトしてスポンジバリアへ突っ込んだため、オープニングラップからいきなりのセーフティカーが導入された。この時点でフェネストラズ選手は 7 位をキープ、山下選手は 2 つポジションを上げて 17 位を走行。さらなるポジションアップに期待がかかった。レースは 2 周目を終えて再開、KONDO RACING の両選手は難なくリスタートを決め、気も新たに前のクルマを追走した。その中で、気になったのが、ルーティンのタイヤ交換をどのタイミングで実施するか。チームではまずミニマムの周回数で山下選手をピットに戻す戦略を立てており、これを意識して山下選手は序盤から積極的にオーバーテイクシステム(OTS)を活用し、前方車両とのギャップを詰める走りを続けた。そして作業が可能となる 10 周終わり、迷うことなくピットへと舵を切る。待ち構えたスタッフも無駄のない作業を行ない、再び山下選手をコースへと送り出した。
12 周目、シケインの走行中の 2 台が接触。さらに後方の 2 台もその後シケインで接触。うち 1 台がコースアウトを喫してクラッシュしたことを受け、2 回目のセーフティカー導入となった。この流れを受け、翌 13 周目終わりで上位陣がなだれ込むようにピットへと帰還。フェネストラズ選手もこのタイミングで同じくピットに戻り、タイヤ交換を行う。作業を済ませてコースに戻る中、フェネストラズ選手は 4 番手で復帰。手早い作業が奏功し、アンダーカットを成功させる形となった。
折り返しを過ぎ、フェネストラズ選手は 4 位をキープ。0.6 秒前後の差へと詰まった前方の車両に対し、逆転を狙って様子を伺っていたが、その一方で、背後にはドライバーズランキング争いをする 20 号車の平川亮選手が迫りくる。だが、フェネストラズ選手はタフな状況下でも安定したペースで周回を続け、一切の隙を与えない。終盤に向かうと前後車両との差が 2 秒強へと開いたため、攻防戦を展開するという形にはならなかったが、高い集中力をもって最後の最後まで存分なパフォーマンスを披露した。結果、フェネストラズ選手は 4 位でチェッカー。惜しくも最終戦での表彰台獲得はならなかったが、粘り強い走りが結実し、ランキング 2 位で今シーズンのタフな戦いを締めくくった。
また、レース後半には OTS を使い切っていた山下選手。一時は入賞への期待も膨らんだが、終盤になると前後車両との激しい鍔迫り合いが続き、激しい攻防を強いられた。しかしミスすることなく、相手の動きを封じ込めて 13 位をキープ。このままチェッカーを迎えた。
今シーズンを戦い抜いた KONDO RACING。表彰台に上がる戦いができた一方で、大きなクラッシュやマシントラブルもあり、なかなか安定した結果を残すことが難しい状態だった。その中で、フェネストラズ選手がランキング 2 位を手にし、山下選手は 15 位でシリーズを終了。一方、チームタイトルとしては 3 番手を獲得した。来シーズンは予選での速さ、決勝での強さを最大限に引き出すことができるよう、チーム一丸となって新たな挑戦に臨むことになる。
決勝結果
Pos. | No. | TEAM | DRIVER | TIME/DIFF | LAPS | Best Time |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | TEAM MUGEN | 野尻智紀 | 1:01’20.630 | 31 | 1’39.559 |
2 | 6 | DOCOMO TEAM DANDELION RACING | 大津弘樹 | 6.857 | 31 | 1’40.511 |
3 | 37 | Kuo VANTELIN TEAM TOM’S | 宮田莉朋 | 8.000 | 31 | 1’40.549 |
4 | 4 | KONDO RACING | サッシャ・フェネストラズ | 10.549 | 31 | 1’40.740 |
13 | 3 | KONDO RACING | 山下健太 | 40.664 | 31 | 1’40.567 |
参加台数:21台 完走台数:19台
FASTEST LAP
No. | TEAM | LAPTIME |
---|---|---|
53 | Red Bull TEAM GOH G01 SF19 | 1’39.362 |
近藤監督のコメント
サッシャは、戦略としてピットインのタイミングを引っ張りたいと言ってました。ただ、チームとしては前が詰まっていたら早めのピットインが得策だと考えていて。一方で、「最終戦だし激しい戦いになるからセーフティカーが出るんじゃないか。だから(ピットインを)引っ張っても構わないよ」という話もしていました。そうしたら実際にセーフティカーが出て……。(スタート直後の)1 回目はタイミングとして早すぎましたが、2 回目はサッシャがピットに入るか入らないか悩んでいたところでセーフティカーがコースに入ってくれたので、チームの戦略としては久しぶりに”当たり”でしたね。
サッシャはペースも速かったし、最終戦でいい戦いを見せてくれました。ランキング争いをしていた平川選手とのバトルも制して、2 位でシーズンを締め括れたのは良かったと思います。一方、(山下)健太は予選、決勝と苦労する戦いになってしまいました。決勝では後方からなんとかポジションも上げてはいましたが、シーズンを通して課題が残る形になってしまいました。しかしながら、精一杯戦って、来年に繋げるレースができたのは良かったですし、力を出し切ったと思います。
一年通して”山あり谷あり”でしたが、チームランキングとしては 3位でシーズンを終えることができました。来シーズンはいいピット位置からレースを戦うことができるので、また気持ちも新たに、しっかりと戦略を立てて、いいレースをお見せしたいと思います。
3号車・山下健太選手のコメント
今日の予選では、昨日の予選からまちょっと方向性がわからなかったんですけど、一応試せることを試してアタックに行ってみたんですが、結果的にはうまくいかなかったですね。フィーリングこそ少しは変わったんですが、それがタイムに繋がらなかったですね。
決勝ではスタートが決まってポジションアップもできましたが、今回のレースでは、ミニマムの周回数でピットに入る予定をしていました。そのとおりで実行し、路気温が昨日よりも高い中、タイヤコンディションがいいときのペースはさほど悪くもなかったし、何台か抜くこともできたのですが……。そのぶん、タイヤのタレも早く、加えてOTS(オーバーテイクシステム)も早いタイミングで使い切っていたので、終盤に攻防戦になったときは大変でした。またリヤタイヤもキツい状態だったので、ペースこそ速かったですが凌ぐレースになって、そのまま終わってしまいました。
今シーズンはスーパーフォーミュラ 6 年目でチャンピオンを目指してやってきましたが、基本的には不発に終わったという感じです。去年からは速さこそ少し取り戻したと思ったのですが、流れが良くなかったですね。結果も残せませんでした。最終戦で勝ちたいと思って乗り込んできましたが、今年やってきたことの集大成を出せずに残念です。
4号車・サッシャ・フェネストラズ選手のコメント
第 10 戦は、昨日と異なりずいぶんといい戦いをすることができました。内容も前日よりはるかに良かったですね。昨日はレース後にクルマを一から見直す作業に取り掛かりました。その甲斐あって、今日はいい走りができたし、結果的にチャンピオンシップでランキング 2 位を獲ることができました!予選は昨日よりもいいフィーリングを得ることができました。ただ、Q2 に向けてセットを微調整したのですが、大きな手応えがなく 7 番手止まりでしたが、しっかりといい流れで戦い 4 位でフィニッシュできてよかったと思います。
今シーズンはフル参戦が叶いましたが、スーパーフォーミュラ初年度になる 2020 年からコロナ禍となり、レースではトラブルも多く、満足のいく戦いができませんでした。続く 2021 年はなかなか来日できず、ようやく最終 2 戦だけの参戦となりました。それを思うと、ようやく初めて今年しっかりとしたコンディションで戦うことができたように感じます。シーズン中は大きなクラッシュやブレーキトラブルでレースを落とすときもありましたが、ランキング 2 位の結果を手にできたのはとてもうれしいことでした。
ファンの皆さんにはいつも色んな形でサポートしてもらいました。来日できない間も、ずっとメッセージを送ってくれていたし、レース中も熱心に応援してくれて、とっても励まされました。日本のファンは本当にすばらしいと思います。「みんな、応援ありがとう!」と言わせてください。
3号車・阿部エンジニアのコメント
第 9 戦は上手く行かなかったのですが、調子が良かった第 3 戦鈴鹿のベースをキープしつつ、昨日気になるところを修正してクルマを準備しました。修正を加えたものの予選がうまく行かず、結果的には昨日よりも厳しいものになりました。クルマのフィーリングも大きく変わらず、逆にネガティブな症状が増えてしまうことになって……厳しかったですね。レース直前の走行では昨日のロングから改善したい場所を変更したのですが、やはり改善はしなかったですね。
今シーズンは、オフシーズンのテストから比較的順調な感じでしたし、具体的な結果こそなかなか出ませんでしたが、決して悪いものではありませんでした。しかしながら終盤になって、特に今回の大会では思うようにならず、難しいレースになりました。もう少し何かが見つかれば、という感じのまま終わってしまいました。来シーズンに向けて、しっかり原因を究明して頑張りたいと思います。
4号車・村田エンジニアのコメント
第 9 戦のレースを終えたあと、不調の原因を探るべくクルマをバラしました。その中で不具合をいくつか見つけることができたので、時間はかかりましたが手直しをして今日のレースに臨みました。しかしながら、いきなり朝には予選を迎えるため、仮にパフォーマンスが戻ったとしても、セッティング等の細かな詰めができなかったのでどうなるか、という状況でした。Q1を通過できたのは良かったですが、ただ昨日からの流れもあって、Q2に向けてしっかりと準備して送り出すことはできなかったですね。細かな詰めを行うことはできませんでした。
決勝直前の 8 分間の走行を前に、レースに向けて少し予想できることを踏まえたクルマの準備を行って送り出しました。レース中はライバルの動向を見つつ、タイミング良くセーフティカーが入ったので上位争いのクルマと同じ周でピットに戻れました。その後、ペースも決して悪いものではなかったし、後続からランキング争いをする平川亮選手が接近しましたが、抜かれることはないだろうと見守っていました。
今日の戦いで、シリーズランキングを 2 位で終えることができたのは良かったです。今シーズンはサッシャとフルで戦うことができて、その中で互いの考えも近づき、いい戦いができたと思います。