RACE REPORT
SUPER FORMULA
第5戦 オートポリス
第5戦(5月18日・日 / 気温:17度~19度 路面温度:20度~22度)
予選&決勝レポート
悪天候で1デイレースに変更の中、山下健太選手が3位フィニッシュで今季初表彰台を獲得
全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)第5戦九州大会がオートポリスで開催。ここまで開幕大会の鈴鹿、第2大会のもてぎと1大会2レース制のラウンドが続いていたSFだが、このオートポリスは土曜日に予選、日曜日に決勝の1大会1レース制が予定されていた。ところが、オートポリスは設営日となる16日(金)から悪天候。金曜夜半には大粒の雨と強風に見舞われ、土曜日は朝から霧も立ち込めて全く視界が確保できない状況に。サポートレースを含め、すべての走行スケジュールがキャンセルとなり、SFは日曜日に予選と決勝を行うことになった。今季SF初参戦のザック・オサリバン選手は当然オートポリスを走るのは初めて。その初走行がいきなり予選セッションとなり、厳しい戦いが予想された。
日曜日も朝から霧は出ているものの、前日までと比べると穏やかな天候に。変更されたスケジュール通り、午前中に公式予選が始まった。通常はノックアウト方式が採用されているSFの予選だが、今回は40分間の計時予選へとフォーマットが変更に。どの選手もこのセッションが週末の走り出しとあって、セッション開始と同時に続々とコースイン。山下健太選手、オサリバン選手もライバル同様にコースへと向かっていった。
開始から10分ほどが経過したところで、山下選手は1分28秒816で暫定8番手に、オサリバン選手は1分29秒359で12番手につけていた。タイヤを履き替えて次のアタックに向かう両選手。先に好タイムを出したのはオサリバン選手で、1分27秒701まで自己ベストタイムを削って5番手に滑り込む。すると山下選手も1分27秒169をたたき出して2番手にポジションアップ。その後、オサリバン選手がもう一度タイムを削って1分27秒537をマークして暫定10番手につけ、山下選手も1分26秒803と1分26秒台にタイムを入れ、もう一度2番手を取り戻した。残り時間が7分を切ると、コース上のマシンはピットへと戻り、タイヤを履き替えて最後のアタックに向かう。予選で22台全車がコース上に出ることは、ノックアウト方式が採用されてからはめったになく、至る所でトラフィックが発生。セッション終盤には最終セクターでストップ車両があった為に黄旗が振られ、ほとんどのドライバーは最後のアタックタイムが採用されない事態となる。そんな中、KONDO RACINGは山下選手が事前に出していた1分26秒803が採用され予選2位に。オサリバン選手は最終ラップで1分27秒205をマークするも、黄旗提示中のタイムだったとして採用されず。その前にマークしていた1分27秒537で11位となった。
決勝レースのスタートが近づくにつれ、徐々に雲の量が増えてきたオートポリス。スタート進行では、20分のウォームアップ走行が設けられたが、わずかに雨がぱらつく時間もあった。それでも本降りにはならず、ドライコンディションのままで41周の決勝レースがスタートした。
フロントロースタートの山下選手は動き出しは良かったものの、さらに好スタートを切った後方の選手との争いの中で、1コーナーでややアウト側にはみ出しポジションダウン。11番手スタートのオサリバン選手は、目の前の選手がスタートできずに動けなかったところを咄嗟の動きで回避し、さらにオープニングラップの混戦の中で数台をとらえて8番手にポジションアップした。2周目に入ったホームストレートで2台に交わされたものの、そこからは早めのタイヤ交換戦略でピットに入る上位陣もいる中、オサリバン選手は6番手までポジションを押し上げる。前の選手との差は1秒を切り、背後からもテールトゥノーズで別の選手が迫り、オサリバン選手は2台に挟まれる形でプレッシャーのかかる戦いを続けていった。ところが19周目、最終セクターにあるさよりんブリッジ手前のコーナーで挙動を乱してしまい、スピンアウト。グラベルにつかまり再始動ができず、ここでレースを終えることになった。
オサリバン選手の車両回収のため、レースはセーフティカー(SC)が導入される。この直前に上位争いの2台がピットに入っており、山下選手はタイヤ交換を済ませていないグループの中で先頭を走行中だったが、このタイミングでチームはピットインを指示。スムーズにタイヤ交換を済ませると、山下選手はコースへと復帰した。復帰場所は5番手。24周を終えたところでリスタートが切られると、フレッシュタイヤを武器に一気にプッシュし、リスタート直後の1コーナーで1台をパス。これで表彰台目前の4番手にポジションアップする。その後、トップを走る車両がトラブルに見舞われストップ。山下選手は自動的に3番手に上がり、表彰台圏内へ。30周目に自己ベストタイムを更新する好ペースでさらに上のポジションを目指したが、今大会では上位2台のペースにはかなわず。終盤は4番手の選手も背後に迫ってきたが、きっちりとおさえきってフィニッシュ。予選位置から一つポジションを落としたものの、今季初表彰台で第5戦を終えた。
予選結果
Pos. | No. | TEAM | DRIVER | Gap | LAPS | Best Time |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 16 | TEAM MUGEN | 野尻智紀 | 11 / 15 | 1’26.757 | |
2 | 3 | KONDO RACING | 山下健太 | 0.046 | 12 / 16 | 1’26.803 |
3 | 7 | Kids com Team KCMG | 小林可夢偉 | 0.171 | 12 / 16 | 1’26.928 |
11 | 4 | KONDO RACING | ザック・オサリバン | 0.780 | 16 / 21 | 1’27.537 |
参加台数:22台 出走台数:22台
決勝結果
Pos. | No. | TEAM | DRIVER | TIME/DIFF | LAPS | Best Time |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | VANTELIN TEAM TOM’S | 坪井 翔 | 1:07’24.070 | 41 | 1’30.366 |
2 | 16 | TEAM MUGEN | 野尻智紀 | 1.104 | 41 | 1’30.422 |
3 | 3 | KONDO RACING | 山下健太 | 4.394 | 41 | 1’30.645 |
4 | KONDO RACING | ザック・オサリバン | 23Laps | 18 | 1’31.678 |
参加台数:22台 出走台数:22台 完走台数:19台
規定周回数 41Laps
FASTEST LAP
No. | TEAM | LAPTIME |
---|---|---|
15 | AUTOBACS MUGEN SF23 | 1’29.659 (17 / 26) |
監督 近藤真彦のコメント
健太がようやく表彰台に上がれて、良かったです。もちろんここで満足する選手でもチームでもないのですが、ほっとしたという気持ちが正直なところですね。ザックも初めて走るコースにしては悪くなかったので、やはり彼は良いものを持っていると改めて感じました。このクルマは難しいですから、これに慣れてきたらとても期待できるドライバーですね。健太も上位で安定してきたので、あまり大きなことは言いたくないですが、勝てる日も近づいてきたかもしれません。前半戦を終えて、去年と比べてもはるかに良い形でシーズンを戦えていると思います。この流れを維持して、さらに上を目指していきたいですね。
3号車 山下健太選手のコメント
スーパーフォーミュラのトップは近いようで遠いことは自分でよく分かっているので、3位という結果に対しては「良かった」という気持ちが大きいです。スタート直後はフロントタイヤをロックさせてはみ出しそうになってしまいました。序盤のタイヤの温まりが悪く前の3台を逃がしてしまいましたが、温まってからのペースは悪くなかったです。ピット戦略に関しては引っ張る形しか選択肢がなかった中、運よくSCが入ってくれました。そのあとは自力で1台を抜くことは出来ましたが、上位3台には追い付かず、大きな違いを感じましたね。上位陣との差を少しでも埋められるよう、この後の富士テストでいろいろ試していきたいです。
4号車 ザック・オサリバンのコメント
初めて走るオートポリスは、とてもテクニカルでバンピーで、非常に面白いコースだと思って自分自身でも楽しんで走ることが出来ました。予選は結果的には11番手でしたが、ベストラップのときに黄旗が出ていたので、そこは残念でしたね。でもトラック初走行だったことを考えると満足です。レースペースも良かっただけに、最後にミスをしてレースを落としてしまったのは残念ですしチームに申し訳ないと感じています。鈴鹿よりももてぎ、もてぎよりもオートポリスと、徐々にクルマを理解してきているように感じるので、富士のテストではさらに理解を深めたいです。
3号車 大駅俊臣エンジニアのコメント
終盤、後ろから1台がかなり迫ってきていました。3位と4位では全然違う結果ですから、よく頑張っておさえきりましたね。予選は、途中でセットをいじることなく持ち込みの状態で走りましたが、セッションの最初からタイムを出して上位にいようと。そのとおり、走り出しのところから健太は上位につけていました。今の健太は、SUPER GTなどを見ても分かるように速いドライバーですから、このままで大丈夫。決勝に関しては、去年からずっとペースがなく、本人も苦手意識があるのだと思います。ただその悪い部分は払拭できました。それでもまだ上位陣に追いついていないところがありますから、そこはもう少し頑張っていきます。
4号車 阿部和也エンジニアのコメント
土曜日に全く走れず、いきなり予選本番という状況で、ザックも初めてのオートポリスですから、予選の40分間は持ち込みセットからいじることなく、とにかくタイヤだけ換えて走り続けました。最初の20分はザックの習熟に充てて、残り20分でアタック。最後にベストタイムを出してくれたのに、コースオフした車両があったのでタイムを採用されなかったのは残念でしたが、それなりにちゃんと走れたのかなと思います。もちろん、土曜日にちゃんとドライコンディションで走れていればもっと行けたと思いますね。決勝も前についていけていましたし、最後までレースを見たかったのですが、スピンで終えてしまったのは残念です。今回はイレギュラーな中でのレースで、何が本当に良かったのか、分析しないと見えてこないところもあります。富士のテストでしっかり見直していきたいですね。