RACE REPORT
SUPER GT GT500
第1戦 岡山国際サーキット
一日目 予選(4月13日・晴れ/ドライ)
予選レポート
24 号車リアライズコーポレーションADVAN Z 新方式の公式予選に苦戦
4 月13 日、岡山国際サーキットにおいて2024 年SUPER GT の第1 戦が開幕。KONDO RACING のNo.24 リアライズコーポレーションADVAN Z は、松田次生、名取鉄平両選手を新たに迎え入れてシーズンを戦う。初戦の岡山では、今シーズンから新たに導入される予選方式はじめ、さまざまな”変化”の影響を大きく受けることとなり、思うような結果に繋げられず苦戦した。
長らくNISMO でレースキャリアを積んできたベテランの松田選手の加入、そして、昨シーズンまでKONDO RACING でGT300 クラス車両を駆っていた名取選手がステップアップを果たし、新コンビが誕生。チームとしては、ふたりによる”化学反応”がどのような相乗効果を生み出すのか、その期待をもってシーズンオフのテストをこなしてきた。一方、今シーズンはレギュレーションでの変更点が多く、なかでもチームを悩ますことになったのが、タイヤの持ち込み数の削減およびそのマーキングシステムだった。GT500 クラスで圧倒的な台数を誇る他のタイヤメーカーとの戦いに臨むにあたり、極めて厳しい状況にどう立ち向かうかがカギとなるのは言うまでもない。
予選日最初のセッションとなる公式練習は、気温20 度、路面温度26 度でスタート。GT300 クラスとの混走に1 時間25 分、その後10 分のインターバルを挟んでGT500 クラス専有走行に10 分間の時間が充てられた。まず、混走時にステアリングを握ったのは、松田選手。コース状況を確認しつつ、クルマのフィーリングを確かめるように周回を重ねて12 周を走行。その後、GT500 ルーキーである名取選手へと交代した。幾度となくピットインしてセットアップの調整を行ない、GT500 クラス専有のセッションにも出走。午後からの予選に向けて、出来うる準備に取り組んだ。チームのベストタイムは、序盤に松田選手が刻んだ1 分19 秒250。ポジションは13 番手だった。なお、セッション中も気温、路面温度はぐんぐん上昇。11 時15 分の終了時には気温26 度、路面温度は32 度を刻んでいた。風も穏やかで眩しい日差しが照りつける天候になったこともあり、午後からの予選では、さらなる上昇が予想された。
予選Q1 は、午後2 時33 分にスタート。全15 台によるアタックが始まる。No.24 リアライズコーポレーションADVAN Z には名取選手が乗り込み、いよいよGT500 における自身初のアタックに挑む。計測4 周目にベストタイムとなる1 分18 秒484 をマークし、12 番手でセッションを終えた。昨シーズンまでの予選方式であれば、このQ1 をもってNo.24 リアライズコーポレーションADVAN Z の予選は終わりを迎えたが、今シーズンはこのあとのQ2 においても全15 台がアタックを行なう「タイム合算方式」を新たに導入。よって、続いて松田選手がQ2 でのアタックを行なうことになる。しかし、予選で使用できるタイヤは1 セットのみ。つまりQ1 で名取選手がアタックしたタイヤそのままにQ2 を出走しなければならない。ベテランの松田選手にとっても初の試みであり、条件的にもより厳しい状況と言える。それでもタイヤのパフォーマンスを少しでも引き出そうとアタックに挑んだ松田選手。次々とライバルたちがコースに向かうなか、少し間をおいてコースインすると、計測3 周目に1 分18 秒861 のパーソナルベストタイムを刻み、12 番手となった。その後、タイムの合算によって、No.24 リアライズコーポレーションADVAN Z は、12 番手のポジションを手にすることとなった。
予選で使用したタイヤをそのまま装着し、決勝スタートを迎える今シーズンの戦い。予選でどのようにタイヤを使ったかによっては、序盤のポジション争いに何かしら影響があるかもしれないが、まずはミスのない戦いを目指し、決勝でコツコツとポジションアップを目指していく。
公式予選記録
Pos. | No. | TEAM | DRIVER | Q1 | Q2 | SW |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 36 | au TOM’S GR Supra | 坪井 翔 山下 健太 |
1’17.748 | 1’17.813 | |
2 | 39 | DENSO KOBELCO SARD GR Supra | 関口 雄飛 中山 雄一 |
1’17.995 | 1’17.792 | |
3 | 100 | STANLEY CIVIC TYPE R-GT | 山本 尚貴 牧野 任祐 |
1’18.042 | 1’17.841 | |
12 | 24 | リアライズコーポレーション ADVAN Z | 松田 次生 名取 鉄平 |
1’18.861 | 1’18.484 |
Q1 (Weather: Sunny/ Track:Dry) StartTime 14:33 FinishTime 14:43 Q2 (Weather: Sunny/ Track:Dry) StartTime 15:29 FinishTime 15:39
近藤真彦監督のコメント
チーム、クルマ、タイヤ……すべての点において厳しい予選となりました。予選の環境、新しい予選方式、手探りの部分があまりにも大きすぎました。シミュレーションではもう少しうまくいくかなと思っていましたが、そうは行きませんでした。チームとしてできることはすべてやったと思っていますが、都度変化する状況に合わせ込むことはできなかったですね。ただ、決勝ではしぶとく追い上げができるんじゃないかと思っています。予選方式が変わったので、そのタイヤでスタートする決勝も序盤の状況に影響があると思います。そのなかで確実に戦い、入賞することを意識してポイント獲得を目指します。
松田次生選手のコメント
路気温が高いなか、ユーズドタイヤでのアタックは未知数なところが結構あるので、一発のパフォーマンスを出すことは難しかったですね。何が良くて何が悪いか、その洗い出しをこれからしていきたいと思います。決勝は厳しい戦いになるでしょうが、そのなかでしっかりとポイントが取れるところまで粘って、次のレースに活かしていきたいですね。まだこの先数戦は苦労すると思います。しかし、チームスタッフもしっかりと改善をしてくれるでしょうから、ドライバーとしてフィードバックを重ね、ライバル勢に食い込めるようタイヤ、クルマを作っていきたいと思っています。今は我慢の時期と捉え、良い状況を目指して戦えるように体制を作っていきたいと思います。
名取鉄平選手のコメント
公式練習の時点から、他のタイヤメーカーに対して厳しい状況になることが予想できたので、まずは自分のやるべきことをやって、少しでもいいところが見せられたらと思っていました。アタック自体は結構良かったし、今、できる範囲のなかではいいアタックができたと思っています。シーズン通して考えると最低限ポイントを獲得したいので、最低限1 ポイントでも持ち帰りたい。そして次の富士、鈴鹿戦に繋がる戦いができれば、実際に富士や鈴鹿でさらにいい戦いができると思います。良い結果を残したいです。
村田卓児エンジニアのコメント
今シーズンからのレギュレーションの関係で、車両のダウンフォースが減り、装着するタイヤとのマッチングが変わってしまったことが影響していると思います。また、持ち込みタイヤセット数の削減やタイヤマーキングのシステムが変わったために、これまでのような作業ができない状態です。多勢で戦うチームを相手にするには、とても厳しい状況だと言えます。
二日目 決勝(4月14日・・晴れ/ドライ)
決勝レポート
想定外の厳しい状況を受け、12 位チェッカー
4 月14 日、2024 年SUPER GT 第1 戦の決勝レースが、岡山国際サーキットにて行なわれた。KONDO RACING のNo.24 リアライズコーポレーションADVAN Z は予選12 位からスタート。
安定した好天気に恵まれた開幕戦。決勝日はさらに気温が上がり、初夏の暑さを感じる中でのレースとなった。No.24 リアライズコーポレーションADVAN Z としては、今シーズンに改定されたレギュレーションが向かい風となり、タフな状況下になっているが、先の展開が読めない決勝では、チャンスを味方に着実にポジションアップを狙いたい。
朝のピットウォーク、オールドライバーズアピアランス、オープニングセレモニー……と、GT レースならではのイベントが続いたあと、いよいよ正午にウォームアップ走行が始まる。この時点で気温は26 度、路面温度は37 度に上昇。今シーズンからユーズドタイヤでのスタートが義務付けられており、どのような戦略をもってこの難局に立ち向かうか。まさにチーム力での戦いに臨むことになる。
午後1 時30 分、82 周に渡る決戦が幕を開け、名取鉄平選手が乗り込んだNo.24 リアライズコーポレーションADVAN Z が1 コーナーへと向かう。オープニングラップでは、複数の前方車両が接触するアクシデントが発生。波乱の展開ながら、名取選手は落ち着いてこれを回避し、10 位から周回を重ねていった。
気になるコンディションだが、気温27 度、路面温度は41 度と依然タフな状況に。タイヤをいかにマネージメントするか、GT500 ルーキードライバーでもある名取選手にとっては、ハードルの高いミッションになったが、着実な走りと冷静な判断を見せて力走を続ける。集中力を切らすことなく31 周を走り、ルーティンのピットインを行なった。
ピットではニュータイヤが装着されたNo.24 リアライズコーポレーションADVAN Z に松田次生選手が乗り込み、コースへと復帰を果たす。この先、50 周ほどの戦いでどのようなパフォーマンスを見せてくれるのか、ベテランドライバーには多くの注目が集まることになった。しかしながら、引き続き高い数値を示す過酷な路面コンディションはじめ、正直なところ、多くの要素がチームにとっては”向かい風”となり、松田選手にとっても存分な走りを披露するには至らない。まさにガマンを強いられる状況下で粛々と周回を続ける形になってしまったようだ。
レース終盤ともなると、ペースが大幅に落ちてしまうほど為す術ないなかでの走行に甘んじることとなったNo.24 リアライズコーポレーションADVAN Z は、12 位でチェッカー。フラストレーションの溜まる開幕戦だったに違いない。
第2 戦は戦いの場を静岡・富士スピードウェイに移し、3 時間レースを繰り広げる。チームとしては、開幕戦の状況からの打破を目指して引き続き最善を尽くして奮闘することになる。
決勝結果
Pos. | No. | TEAM | DRIVER | TIME/DIFF | LAPS | SW |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 36 | au TOM’S GR Supra | 坪井 翔 山下 健太 |
2:02’48.219 | 82 | |
2 | 39 | DENSO KOBELCO SARD GR Supra | 関口 雄飛 中山 雄一 |
11.011 | 82 | |
3 | 100 | STANLEY CIVIC TYPE R-GT | 山本 尚貴 牧野 任祐 |
12.262 | 82 | |
12 | 24 | リアライズコーポレーション ADVAN Z | 松田 次生 名取 鉄平 |
1Laps | 81 |
開始:13:35’19 終了:16:24’27
ファステストラップ : No.36 Sho Tsuboi 1’20.674 11/31Lap (165.243km/h)
No. | TEAM | LAPTIME |
---|---|---|
36 | au TOM’S GR Supra | 1’20.674 11 |
近藤真彦監督のコメント
僕らチームだけでなく、ヨコハマタイヤ、NISMO のスタッフにとってもやらなければならない部分がたくさん見えた開幕戦だったと思います。特にタイヤに関しては、厳しい状況になってしまいました。現場で目の当たりにしたスタッフのみなさんも、思うところがたくさんあったと思いますね。ただ、戦いを続けるなかで必ずチャンスは巡ってくると信じています。今年はどこかのレースで1 度優勝したいという気持ちが強いので、前を向いて進むしかありません。周りがサクセスウェイトを搭載し始めると、状況も変わるわけですからね。ベテランの(松田)次生とルーキーの(名取)鉄平とがいいコンビネーションを見せていい戦いをしてくれると思います。
松田次生選手のコメント
決勝レースでのタイヤは、想定していたよりもタイムの落ち幅が激しかったですね。厳しいレースになりました。なぜ、そうなったかその原因をしっかり解明していく必要があると思います。ユーズドタイヤでスタートした名取選手も、厳しい状況だとコメントしていましたが、ニュータイヤでコースインした僕のスティントでも30 周近くなるとタイムが急激に落ちてしまい、ポジションをキープすることができなかったですね。次の富士は去年よりもさらに周回数が増えるので、厳しい戦いが続くとは思いますが、岡山よりもいいコンディションで戦えるはず。見合うタイヤを選んで臨みたいですね。今年は車高も5 ミリ高くなったので、車両のセッティングも合わせ込んでいく必要があります。やることがたくさんあるので、引き続き頑張ります。
名取鉄平選手のコメント
オフシーズンのテストでは、今回のように気温や路面温度が高くなかったので、タイヤに関しては、レースウィーク時のようなデータ量がないなかで、戦うことになりました。暖かいなかでのタイヤの持たせ方には課題があると聞いていたので、その対策を意識して走りました。新しい予選フォーマットでのレースも、2 度アタックしたタイヤで決勝をスタートすることも初めてでしたし、結構読めない部分が多かったですね。でもそのなかで行けるときは行って、という思いで走りました。まずは確実にレースを進めるという方向で戦ったという感じです。リザルトは決して良いものではなかったですが、GT500 クラスでの初レースを戦い、ドライビングに関しては、今ある環境内でできることは結構あったと思っています。いつか必ず時がやって来ると信じて頑張っていきます。
村田卓児エンジニアのコメント
決勝では思うようなペースがなく、ほぼ想定どおりのなかでピットストップを行ないました。後半、松田選手が50 周強走りましたが、路面状況に対してタイヤが機能せず、厳しい状態でした。次の富士では3 時間レースでの戦いになるのですが、見合うタイヤが選べるかどうかが関係してくると思います。名取選手は、今回がGT500 のデビューレースでしたが、速さを持ってるドライバーなので、もう少しいい状況でクルマに乗せてあげたかったですね。また、チームに新しく加入した松田選手からは、これまで経験してきたタイヤのノウハウ含め、たくさんフィードバックしてもらえると思うので、ヨコハマタイヤにおける開発に活かせたらかいいなと思っています。