RACE REPORT

SUPER FORMULA

第5戦 スポーツランド SUGO

一日目 予選(6月17日・晴/ドライ)

予選レポート

不運も重なりQ2 進出ならず。決勝での挽回を誓う

前戦オートポリス大会同様に、設営日は悪天候に見舞われた今大会。しかし一夜明けた予選日は、朝からきれいな青空が広がるとともに、まぶしいほどの強い日差しが差し込んだ。コースのところどころに残っていたウエットパッチも、スーパーフォーミュラのフリー走行が行われる頃にはすっかり消え、気温25℃、路面温度40 度というコンディションでセッションがスタートした。スポーツランドSUGO は全⾧3.586km と、SUPER FORMULA が開催される国内サーキットの中でも一番短くコンパクトなコースなため、アクシデントも起きやすい。このフリー走行でもコースの途中でストップしてしまった車両を回収するため赤旗が提示されセッションが中断される場面もあったが、KONDO RACING の2 台はリズムを崩すことなく走行メニューを消化し、終盤の数分で予選に向けたアタックシミュレーションを行った。その結果、山下選手は全体の3 番手タイムを記録。小高一斗選手も6 番手につけ、上々の滑り出しとなった。

公式予選は、1 日の中で最も温度が高いとされる午後2 時30 分にスタート。実際、開始時点では気温が29℃、路面温度は43 度を示し、午前中から真夏のような暑さとなった。Q1 のA 組には小高選手が出走。セッション開始と同時にピットを離れ、まずはチェックラップを行う。いったんピットへ戻り、残り4 分を示したところで新品タイヤに履き替え再びコースへと戻っていった。狙いは翌々周の計測3 周目。セクター1 をまずまずのタイムで抜けた小高選手は、そのままセクター2 でも自己ベストタイムを更新するが、馬の背コーナー付近でトラフィックに遭遇してしまう。いったんアクセルを緩め、仕切り直しで翌周に再度アタック。ところが、前方のマシンがレインボーコーナーを立ち上がったところでスピンし、ガードレールにヒット。マシンがクラッシュしてしまったことから黄旗が提示された。この区間では追い越しが禁止され、さらにベストラップとしても採択されない。小高選手はこの周が1 分6 秒853 と自己ベストタイムだったが、黄旗区間通過車両としてこのタイムを採用されず、トラフィックに引っかかってしまった周のラップタイム、1 分12 秒771 で順位が着けられることに。Q1 のトップ6 に入ることはできず、ここで予選を終えることになった。B 組に出走した山下選手は、フリー走行での好調ぶりの再現が期待されたが、ベストタイムは1 分6 秒592 とあまり振るわず。チェッカーを受けた時点では暫定6 番手でぎりぎりQ2 進出圏内にいたものの、最後にチェッカーを受けた1 台が山下選手のタイムをわずか1000 分の3 秒上回ったことで7 位に後退。Q2 進出圏内から外れ、ここで予選終了となった。

不運な出来事に巻き込まれた部分もあり、KONDO RACING の2 台はそろってQ1 で予選を終えることになってしまった。総合順位は、山下選手が13 位。小高選手はタイム的には19 番手ではあるものの、Q1A 組の予選通過基準タイムに届いていないことから、正式結果では順位がつけられていない。2 台とも後方グリッドからのスタートとなるが、SUGOは「魔物が棲んでいる」と言われるほど様々なアクシデントが起こるサーキット。予選はそれに足元をすくわれてしまったが、決勝レースでは魔物を味方につけ、2 台そろって上位フィニッシュを目指す。

公式予選記録

Pos. No. TEAM DRIVER Q1 Q2
1 53 TGM Grand Prix 大湯 都史樹 1’06.060 1’05.468
2 37 VANTELIN TEAM TOM’S 宮田 莉朋 1’05.926 1’05.499
3 1 TEAM MUGEN 野尻 智紀 1’06.068 1’05.681
13 3 KONDO RACING 山下 健太 1’06.592
4 KONDO RACING 小高 一斗 1’12.771

参加台数:22台 出走台数:22台

近藤監督のコメント

近藤監督 PHOTO

今シーズンで一番悪い予選でした。小高に関しては、うちがピットから彼を出すタイミングさえもう少ししっかりコントロールしていれば、朝の彼の走りだったらQ1 は突破できていたと思うので、申し訳ないことをしたなと感じています。もちろん、ポールが獲れるだけの速さがあったかと言われればそこは疑問ですが、小高にとって今シーズン一番いいグリッドを採れた可能性は高いです。健太は、午前中のフリー走行時と比べてバランスが変わってしまったということなので、明日の決勝で挽回するために、しっかりエンジニアとミィーティングを行い、クルマを仕上げてもらいたい。SUGO はほかのサーキットと比べて何が起きるか分からない、という部分が大きいので、あきらめずにやっていくしかありません。チームとしては昨年優勝しているサーキットですから、期待もありつつ、まずは明日に向けてしっかりと準備したいと思います。。

3号車 山下健太選手のコメント

山下健太 PHOTO

持ち込みの状態はすごく良くて、フリー走行でも3 番手タイムを出せたので、予選に向けてもいけるかなという自信があったのですが、さらにポールポジションを獲るために微調整を加えてQ1 に臨んだところ、あまり良くありませんでした。微調整を加えたことが原因なのかは分からないのですが、いまいちグリップしない感じで、自分自身の走りもきっちりまとめられたかと言われると、もう少し削れる部分はあったと思います。あとコンマ1 は削れたし、そうすればQ1 は突破できました。原因を探りながら、気持ちは切り替えて明日の決勝に臨みたいです。

4号車 小高一斗選手のコメント

小高 一斗 PHOTO

フリー走行は6 番手だったので、予選に向けてはQ2 に進出する自身もあったのですが、コースに出ていくタイミングが少し早くて、アタックラップでトラフィックに引っかかってしまいました。このままでは上手くタイムを出せないので、いったんアタックをやめて、仕切り直して次の周でプッシュしたのですが、今度は黄旗が振られてしまい、今回はなんだか上手くいかない、めぐり合わせの悪い予選になってしまいました。後方からのスタートになってしまいますが、SUGO のレースは何が起きるか分からないので、チャンスはあると信じて、最後まであきらめず頑張りたいと思います。

3号車 村田卓児エンジニアのコメント

持ち込みの状態は悪くもなく、フリー走行ではまずまずのリザルトを出せました。そこから予選に向けて、路面の読みを誤ってしまったのではと考えていますが、クルマの方でアジャストしたことも裏目に出たのか、バランスが大きく崩れてしまい、タイヤをうまく使えない状態になってしまっていました。ここはオーバーテイクが難しいコースなので、明日は何とか踏ん張りつつ、展開に恵まれれば……と思います。

4号車 阿部和也エンジニアのコメント

クルマの仕上がりはだいぶ良くなったと思います。フリー走行で6 番手という結果でした。予選では、ニュータイヤでピットから出ていく指示が、僕のタイミングが早くてトラフィックにかかってしまった。それで仕切りなおしてもう一度アタックに行かなければならず、今度は黄旗が出てしまいました。タイムが抹消されることは分かっていましたが、小高選手の出してくれたタイムはQ1 を通過できるぐらいのタイムだったので、ポテンシャルはあったと思っています。シーズン前半はクルマの方でもうまくいかないことが多かったので、調子の良さそうな今回は上位を狙っていたのですが、そういう時にこんなミスをしてしまい、小高選手にもチームにも申し訳ないことをしました。この位置からだと上位に上がっていくのは難しいと思いますが、なんとかベストのレースができるよう頑張ります。




二日目 決勝(6月18日・晴れ/ドライ)

決勝レポート

2 台ともに追い上げのレース、山下選手が8 位入賞

全日本スーパーフォーミュラ選手権第5 戦スポーツランドSUGO 大会の決勝日も、前日同様に暑さの厳しいコンディションとなった。午前中に行われるフリー走行は30 分間のセッション。この中で、決勝に向けて仕上げてきた車両、ロングラン、ピット作業、スタート練習などを行っていく。山下健太選手はセッション序盤にマークした1 分8 秒796 がベストタイム。ただしロングランでは思ったほどのペースがつかめず、ドライバーとエンジニアは問題点を追及していく。一方の小高選手は1 分9 秒248 がベストタイムで全体の15 番手。ロングランに関してはまずまずの手ごたえを得て、午後の決勝に向けてさらに車両のセットアップを煮詰めていった。

決勝レースを前に8 分間設けられているウォームアップ走行では、小高選手がトップタイムをマーク。決勝に向けたセットアップの調整が奏功した形だ。グリッド上では両者ともに最後まで車両のアジャストを行い、いよいよ51 周で争われる決勝がスタートする。

2 台はまずまず順当なスタートを切ったが、レース全体では4 コーナー先で接触アクシデントが発生したことから、オープニングラップ早々セーフティカー(SC)が入ることとなった。この時点で山下選手は11 番手、小高選手は18 番手のポジション。SC ランはそれほど⾧くは続かず、4 周を終えたところでリスタートが切られた。SUGO はコース距離が短く、オーバーテイクが難しいコースと言われているが、実際に序盤の数周はあまり順位変動がなくレースが進んで行く。その中で山下選手は8 周目のホームストレートでアウト側から鮮やかなオーバーテイクを見せ、ポジションアップに成功した。

義務付けのタイヤ交換作業が可能となるレース10 周終了のタイミングで、先にピットに入ってきたのは小高選手。ピット作業もスムーズで、同じタイミングでピットに入ってきた1 台をかわしポジションアップに成功する。見た目上では19 番手に後退しているが、ここから前方のライバルたちがピット作業に入るまでに差を縮め、逆転していく戦略だ。小高選手はコース上でも数台をかわしてポジションアップ。20 周面は16 番手までポジションを取り戻していた。小高選手はペースを緩めず、さらに前方の車両に接近していく。25 周を切る頃には1 秒を切る差まで近づくと、31 周目の最終コーナーでオーバーテイクシステムを作動させて一気に勝負を仕掛けた。小高選手はイン側から1 コーナーへ飛び込んで行き一旦は前に出たが、わずかに止まり切れず相手にクロスラインをとられてしまう。コースアウトは免れたが、2 台が並んで2 コーナーへ侵入していく中、軽い接触アクシデントが起こってしまった。幸い車両に大きなダメージはなかったが、このアクシデントの間に1 台に先行され、1 つポジションダウン。再び追い上げのレースを科された小高選手は、最後まで粘り強い走りを披露し、先ほどバトルで競り負けてしまった1 台を含め、終盤に2 台をかわして14 位でゴールした。

序盤のオーバーテイクでポジションアップした山下選手は、終盤までピット作業を引っ張る戦略をとった。ライバルたちが次々とピットに向かう中、安定したペースで周回を重ねていく山下選手。タイヤが消耗してきたことでラップタイムは徐々に落ちていくが、それでも大きなペースの乱れなく34 周を走り抜きピットへと向かう。暫定10 番手、ポイント獲得圏内でコースに復帰すると、その後はコース上で1 台を攻略。さらに1 台がピット作業に向かったためにポジションが上がり、最終的に8 位でチェッカーを受けた。

歯車のかみ合わない予選で後方からの追い上げを強いられたKONDO RACING は、2 台ともポジションを上げてゴール。ドライバーとチームの総合力でリカバーしていくレースは戦えたが、大きな反省点も残る大会となってしまった。次戦富士大会は、第2 戦で山下選手が3 位を獲得したコースで期待がかかる。シーズン後半戦を好結果でスタートできるよう、挽回を目指す。

決勝結果

Pos. No. TEAM DRIVER TIME/DIFF LAPS Best Time
1 37 VANTELIN TEAM TOM’S 宮田 莉朋 1:02’19.412 51 1’08.648
2 1 TEAM MUGEN 野尻 智紀 22.272 51 1’08.585
3 5 DOCOMO TEAM DANDELION RACING 牧野 任祐 26.961 51 1’08.309
8 3 KONDO RACING 山下健太 38.864 51 1’08.781
14 4 KONDO RACING 小高一斗 59.013 51 1’08.495

参加台数:22台 出走台数:22台 完走台数:18台
規定周回数 51Laps

FASTEST LAP

No. TEAM LAPTIME
Liam Lawson / TEAM MUGEN 1’07.950 (49 / 51)

近藤監督のコメント

近藤監督 PHOTO

健太に関しては、最後の最後までいろいろと試行錯誤していました。ただそこで最後まで考えて、半ば手探りの状態でスタートさせたものが割と良く、想像していたよりもロングのタイムが良かったですね。ただ、そのタイムの良さを生かしきれなかった。チーム側が、レースの中での見える相手、見えない相手との駆け引きという部分がうまくいきませんでした。そこが何とかなっていれば、あと2 つ3 つくらいはポジションを上げられたんじゃないかなと思います。もちろん、今の健太はこの順位のあたりをうろうろしていてはいけないので、今日優勝した宮田莉朋選手のようなレースをさせてあげたいし、常に表彰台に上がれるようなクルマを作って、そういう戦い方をしていきたいですね。小高に関しては、この週末を通してロングのタイムが健太よりも速かったので、実は期待をしていました。今回はいろんな相手とバトルをして、駆け引きなんかもたくさん吸収できるものがあったと思います。スタート直後のトラブルにも巻き込まれることがなかったし、そういう部分では冷静にスタートを切れたということでしょうね。ここまで5 戦を戦ってきた経験値だと思います。そろそろ予選から上位に行きたいですが、今回は予選でコースに送り出すタイミングをチームが逃してしまったことが原因。彼には悪いことをしました。後方の苦しい位置から、次戦につながるいいレースをしたと思います。

3号車 山下健太選手のコメント

山下健太 PHOTO

昨日の予選から調子が悪く、今朝のフリー走行でも一発の速さは出るもののロングのペースは厳しい状態でした。決勝直前、グリッド上で変えてもらったところ、クルマの状態が良くなって、レースが始まってみると普通のペースで走ることができました。スタートもうまく決めることができてポジションを上げられましたし、そこまでの流れは良かったと思います。結果的にはピットインは早めに入ったほうが良かったなとは思いますが、朝の状況から考えるとだいぶ調子を取り戻せたので、ポジティブにレースウィークを終えられることは良かったと思っています。

4号車 小高一斗選手のコメント

小高 一斗 PHOTO

前が詰まっていたのでポジションを上げることはできませんでしたが、スタートは蹴り出しから良かったです。ペースも、1 人で走っている分には悪くなかったんじゃないかなと思います。ただ最終コーナーがあまり速く走れず、それが影響して1 コーナーでうまく合わせることができずに、ペースの良さをバトルやオーバーテイクにつなげることができなかったのはもったいなかったと思います。クルマのセットや自分自身のドライビングは、毎戦良くなっていっていると感じます。次戦の富士は、開幕戦の時はいいレースができませんでしたが、今回は事前にテストもあります。このSUGO で見つけたものや、やりたいメニューがいくつか決まっていたりもするので、まずはテストをいい内容で終えて、次の富士は結果を求めていきたいです。トップ5 ぐらいに絡んでいければまた自分の成長できると思うので、そのあたりを目標にして頑張ります。

3号車 村田卓児エンジニアのコメント

朝からあまりクルマの状況が良くなかったのですが、クルマに不具合があることが分かり、直前にパーツを交換したところ、普通の調子に戻りました。微調整まではできませんでしたが、レースでは普通の状態まで取り戻せたと思います。今回は優勝した選手が非常に速かったです。前にクルマがいるかいないかという違いはあると思いますが、今日はあのペースには追いつくことはできなかったです。次戦の前に富士でテストがあるので、そこでいろんなものを試してみようと考えています。

4号車 阿部和也エンジニアのコメント

8 分間のウォームアップをトップで終えることができました。ガソリン搭載量が少ないわけでも、タイヤの程度がいいわけでもなかったので、いい手ごたえだったのかなと思っています。ウォームアップに入る前に施した調整がいい方向に進んだので、グリッド上でもさらに微調整しました。それもうまく機能したのか、レースのベストラップは全体の中でも速かったですね。特に、ミニマムの周回数でタイヤを変えて、クルマが重い状態で出したタイムだったので立派だったと思います。そのあと前のクルマにふさがれたり接触があったりで順位を落としましたが、終盤しっかりと抜いてきたし、最後の最後まで戦ってくれました。今回は予選順位がすべてで、ウォームアップの走りを考えればトップ5~6 にはいられたかなと思います。返す返すも、申し訳ないことをしました。ただ、後半戦に向けていい方向のセットは見つかったと思いますし、ここまで一斗と一緒に考えてきたものが形になってきています。このタイミングでテストができるのも嬉しいですね。いい感じでテストを終えて後半戦に臨みたいです。

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