RACE REPORT

SUPER FORMULA

第3戦 鈴鹿サーキット

一日目 予選(4月22日・晴/ドライ)

予選レポート

2 台そろってQ2 進出、上位グリッドを獲得

4 月22 日(土)、三重県の鈴鹿サーキットにおいて、全日本スーパーフォーミュラ選手権の第3 戦が開催。第2 戦で山下健太選手が久々の表彰台獲得という嬉しい結果となったKONDO RACING は、今度は2 台そろっての表彰台を目指し、国内屈指のテクニカルコースに挑む。

今大会は22 日(土)に公式予選、翌23 日(日)に決勝レースが行われる通常のレースフォーマットである1 レース制。予選日の午前中には1 時間30 分間のフリープラクティスが設けられた。雲一つない真っ青な空が広がる鈴鹿サーキット、気温は18 度、路面温度は32 度を示す中、午前11 時のセッション開始と同時にマシンが一斉にコースへと飛び込んで行く。途中で赤旗中断を2 度挟んだが、各車は順調に周回を重ね、予選に向けてセットアップを煮詰めていった。KONDO RACING の2 台、山下選手と小高一斗選手は、セッション中盤まではタイミングモニターでも下位にとどまっていたが、終盤のタイムアタックで一気にポジションアップ。山下選手は1 分37 秒379 をマークして3 番手、小高選手は1 分37 秒524 で6 番手と、上々の位置につけた。ただ、トップから1 秒以内になんと19 台がひしめき合い、改めて国内トップフォーミュラのレベルの高さをうかがわせるとともに、午後に待ち受ける予選が非常に厳しい戦いになることも予感させた。

Q1 のグループ分けで、山下選手がA 組、小高選手がB 組に出走。まずはA 組から10 分間のセッションがスタートした。ピットロード出口のシグナルグリーンと同時に多くのマシンがコースイン。山下選手もこのタイミングでコースへ向かうと、コースとマシンチェックを行ったのちにピットへ戻り、新品タイヤに履き替えて再度コースインの時を待つ。残り時間が5 分を指したところでまた一斉にマシンがコースへと飛び込んで行った。山下選手は前後のマシンとの間隔をあけてコースインラップからウォームアップラップを経てアタックを開始し、1 分37 秒267 というタイムで暫定3 番手につける。その後3 台が山下選手のタイムを上回ったが6 番手でQ1 突破に成功した。

続くB 組に出走した小高選手は、山下選手と戦略を変えコースとマシンチェックで一度ホームストレートを通過してから2 周目のピットイン。タイヤを履き替えてアタックに向かうと、1 分36 秒967 というタイムをたたき出した。コントロールラインを通過した時点では3 番手、そこから1 台が小高選手のタイムを上回ったが、結果4 番手でQ1 突破が決定。KONDO RACING は2 台そろってポールポジション争いのQ2 に進出することになった。迎えたQ2 は7 分間の戦い。まずは小高選手がピットを離れ、少し遅れて山下選手もコースへと向かう。それぞれ隊列の中でスペースを作りながらタイヤに熱を入れ、アタックを開始。先にタイムを出したのは小高選手で、1 分36 秒403 とQ1 での自己ベストタイムを破り暫定4 番手につけた。続く山下選手は1 分36 秒126。こちらはQ1 のタイムを1 秒以上削る見事なアタックで4 番手に入った。

全車がアタックを終え、予選結果は山下選手が予選4 位。小高選手は6 位となり、KONDO RACING は2 台が揃って上位グリッドを手に入れた。明日の決勝レースはダブル表彰台を目指し、チーム一丸で挑む。

公式予選記録

Pos. No. TEAM DRIVER Q1 Q2
1 53 TGM Grand Prix 大湯 都史樹 1’36.534 1’35.792
2 38 P.MU/CERUMO・INGING 坪井 翔 1’36.413 1’35.835
3 1 TEAM MUGEN 野尻 智紀 1’37.444 1’35.906
4 3 KONDO RACING 山下健太 1’37.267 1’36.126
6 4 KONDO RACING 小高一斗 1’36.967 1’36.967

参加台数:22台 出走台数:22台

近藤監督のコメント

近藤監督 PHOTO

健太は、富士でのSUPER FORMULA 開幕戦や翌週のSUPER GT を見ると、ここ数年の中で一番いい開幕を切っているんじゃないかと思います。今日も、予選ではポールポジションを獲りに行く、そんな空気をまとっていました。結果的には4 番手ポジションですが、何かひとつつかめばポールが獲れるんじゃないかという感触でしたから、いま精神的にも非常にいい状況にあると感じています。今年が彼にとってのターニングポイントになると考えれば、僕たちは何としてもチャンピオン争いをさせたいし、彼自身もそう考えていると思います。小高も3 列目を確保。1 コーナーで大きなアクシデントに巻き込まれるようなポジションではありませんから、スタート直後のここをしっかりと抜ければ、結構いいところに行けるかもしれません。富士ではいろいろと落ち込んでいましたが、ここへきて「俺はそんなドライバーじゃないぞ」っていうところを見せられたんじゃないでしょうか。あとは戦略と、チームがしっかりといい仕事をしてあげること。ダブル表彰台も夢ではありません。もちろん敵は敵で速いですが、それを考えていたらきりがないので、まずは自分たちがきっちりと仕事をすることです。いい緊張感をもって、決勝に臨みます。

3号車 山下健太選手のコメント

山下健太 PHOTO

フリープラクティスでは、走り出してからいろいろとクルマを調整して、最終的にトップから0.1 秒差の3 番手につけることができたので、予選ではポールポジションを狙っていました。ただ、Q1 は思っていたほど速さがなくぎりぎりの通過で、Q2 に向けてアジャストした結果4 番手になれたのは良かったですが、トップとの差はフリープラクティスと比べると大きくなっていて、悔しい結果です。隊列の最後にいたのでうまくタイヤを温めきれなかったり、いろいろと詰められる部分はあったので残念です。ただ、富士は予選6 位から表彰台に上がれましたし、それを考えると今回の4 番グリッドはもっと狙える位置にいると思っています。明日のフリープラクティスでロングの確認をして、勝てるようにしたいです。

4号車 小高一斗選手のコメント

小高 一斗 PHOTO

走り出しからそれほど悪いフィーリングはありませんでした。富士ではクルマに対して違和感というか、いやなイメージになった部分があって、そこを直そうとしてグチャグチャになってしまったところがあるのですが、今回はその嫌なイメージがなくなり、いろんなことをクリアに考えられるようになりました。それもあって、予選に向けてしっかりとクルマを作れたかなと思います。アタックはQ2 よりQ1 の方が良かったです。Q2 では前後の近いところにほかのクルマがいてウォームアップもうまくできなかったですし、シケインでも少しミスしてしまいました。上手くできていればもう少し上の順位も見えていたので、悔しいです。ただ、今後に向けてはいい予選を戦うことができました。明日の決勝はポジションを上げてゴールできるよう頑張ります。

3号車 村田卓児エンジニアのコメント

フリープラクティスはトップと僅差の3 番手と、順位としては悪くない位置につけましたが、想定していたほどクルマは合っておらず、大きく軌道修正する形になりました。予選もぎりぎりでQ1 を突破し、なんとか4 番手という位置を獲れましたが、クルマに対して、タイヤに対しての理解がまだ足りていない、内容的にはあまり良くなかったなと感じています。鈴鹿に向けていろいろと練ってきたものの、今のところ想定外のことが起きているので、明日の決勝に向けてももう少し考えないと……という段階です。決勝前のフリープラクティスが30 分ありますから、ここをしっかりと活用してレースに向けて調整したいと思います。

4号車 阿部和也エンジニアのコメント

シェイクダウンの時から感じていたマシンへの違和感が富士大会まであったのですが、鈴鹿に向けて改めていろいろと見直してもらった結果、だいぶ解消してきました。それはリザルトにも反映されていると思います。今日は、小高選手の頑張りがとても光りました。鈴鹿は事前にテストがありましたし、得意なドライバーも多い中でしっかりとQ2 に残り、結果的に3 列目のグリッドを獲得しました。もちろん、ウォームアップからアタックまでの中できちんとまとめられなかったところはあって、それらをこなしていかなければいけないのは彼の課題ですが、今の時点でこの位置につけられたのは立派だと思います。決勝に向けては、僕の方もまだこの新しいクルマをしっかりとつかめていないので、自身があるかと言われるとそうではありません。小高選手もまだレースラップほどの⾧い距離は走っていないですから、まずは明日、この位置からきちんとスタートを決めて、精神的なことも含めてたくさん経験を積んでくれたらと思います。




二日目 決勝(4月23日・晴/ドライ)

決勝レポート

2 台そろってポイント獲得も、悔しいレースに

全日の公式予選で2 台そろってQ2 進出を果たし、上位グリッドを獲得したKONDO RACING。全日本スーパーフォーミュラ選手権第3 戦決勝レースは快晴の鈴鹿サーキットでスタートが切られ、山下健太選手は5 位、小高一斗選手は7 位と2 台そろっての入賞を果たした。

前日同様に晴天に恵まれた鈴鹿サーキットだが、大きく異なったのは風の強さ。予選日はホームストレートで強い追い風が吹いていたが、決勝日は風がやや弱まっていた。このコンディションの違いが決勝レースにどのように影響するのか、まずは午前11 時5 分から30 分間のフリープラクティス2 が行われた。山下健太選手、小高一斗選手ともにこの30 分間のセッションで決勝に向けたロングランのチェックと入念なスタート練習を行い、ベストリザルトは山下選手が3 番手、小高選手は11 番手という結果だった。

今大会は「2&4 レース」という大会名の通り、オートバイのJSB1000 クラスのレースも併催。普段は4 輪レースをあまり見たことのない2 輪のモータースポーツファンも鈴鹿サーキットに詰めかけ、決勝日は16,000 人の観客動員となった。気温21 度、路面温度は36 度を示す中、午後3 時45 分、31 周の決勝レースに向けてフォーメーションラップがスタートした。ところが、各車両がフォーメーションラップを終えて正規のスターティンググリッドに着く中、予選5 位に着けていた車両がエンジンストールを喫してしまい、レースは一時中断。スタートディレイののち、エクストラフォーメーションラップが行われることになった。これによりレース周回数は1 周減算され、30 周の争いとして改めてスタートが切られることに。

4 番グリッドから好スタートを切るべくタイヤとブレーキに熱を入れていた山下選手は、結果的にフォーメーションラップが1 周追加されたことでブレーキが温まりすぎてしまい、抜群とは言えないオープニングラップになってしまった。熱くなりすぎたブレーキがうまく機能せず、1 周目で1 つポジションを下げてしまう。ペースを持ち直した後は上位陣の中でもそん色ない速さをみせ、5 周目には1 台をオーバーテイクして4 番手の位置を取り戻すと、表彰台を目指してさらに前の車両を追い上げていった。

先頭車両が10 周目を終え、タイヤ交換が可能となるピットウインドウがオープンすると、山下選手はピットへ。早めにフレッシュなタイヤに履き替え、ハイペースでマージンを作って行く作戦だ。タイヤを交換した組としては2 番目でコースに復帰すると、翌周には1 分41 秒226 と自己ベストタイムを塗り替えプッシュ。1 分41 秒台のタイムを並べて周回する。ピット作業で1 台に先行されてしまってはいたが、連続表彰台が十分可能なポジションを守り、レースは終盤に入っていった。ところが、トップ争いをしていた2 台がS 字で絡むアクシデントが発生。タイヤバリアにヒットし車両を止めてしまったことから、レースはセーフティカー(SC)が導入されることとなる。コース上を走行する全車両がペースを下げる中、まだタイヤ交換作業を行っていなかったマシンがピットへと滑り込み、ロスタイムを最小限にとどめてコースに復帰。この結果、山下選手は2台の車両に逆転されることになってしまった。全車がピット作業を終えて順位が整理された21 周目、山下選手は5 位に。24 周目にリスタートが切られたが、すでに多くの周回数を重ねていた山下選手のタイヤは消耗が進み、上位4 台を追いかけていくのは難しい状況だった。スタート順位から1 つポジションを下げ、5 位でのチェッカー。2 戦連続でのポイント獲得とはなったものの、表彰台争いが見えていただけに悔しい結果となってしまった。

一方6 番グリッドからスタートの小高選手は、5 番手がエンジンストールで後退したことで自動的に5 番目の位置を手に入れてからのスタートだったが、やや蹴り出しで鈍ってしまいライバルの先行を許す形での走り出しに。序盤の数周、タイヤが温まるまでは後続に追い立てられる苦しい走りとなった。ウォームアップできてからは見違えるようにペースを挽回し、それまで離されていた前の車両にも追いつくようになる。ただ、オーバーテイクポイントと呼べる場所ではライバルに対し決定的なチャンスを作れず、ペースは悪くないものの前方に蓋をされる形で周回数が進んで行った。山下選手の1 周あと、11 周目を終えるところでピットへ向かいタイヤ交換。見た目上は17 番手、タイヤ交換を済ませた実質順位上では6 番手あたりで後半スティントに入った。その後、他の車両がタイヤ交換に向かい、見た目上でも小高選手は徐々にポジションアップ。トップ2 台のアクシデントが発生する直前には13 番手を走行していた。2 台の接触アクシデントによるSC 導入で、ライバル勢が一気にピットイン。ここでいくつかポジションを取り戻した小高選手は、順位が整理された21 周目にはポイント獲得圏内の7 位に上がっていた。24 周目のリスタートからは、山下選手同様にタイヤが消耗している中での戦いに。時折前を走る車両よりも速いラップで近づいていくが、やはり前半スティント同様に追い抜くまでには至らず。スタートポジションから1 つ下げた7 位でチェッカーを受けることとなった。

山下選手、小高選手ともに10 位以内フィニッシュでダブル入賞を果たした今回のレースだが、予選結果から考えると求めていた結果には及ばない形となってしまった。しかし、シリーズを争ううえで取りこぼしのないレースを続けることも重要。1 か月後のオートポリス大会(大分県日田市)はまたコース特性の違うサーキットとなるが、2 台そろってさらに戦闘力を増し、今度こそ表彰台争い、優勝争いを目指す。

決勝結果

Pos. No. TEAM DRIVER TIME/DIFF LAPS Best Time
1 37 VANTELIN TEAM TOM’S 宮田 莉朋 56’02.944 30 1’40.049
2 38 P.MU/CERUMO・INGING 坪井 翔 3.022 30 1’40.230
3 20 ITOCHU ENEX TEAM IMPUL 平川 亮 3.404 30 1’40.230
5 3 KONDO RACING 山下健太 8.709 30 1’40.230
7 4 KONDO RACING 小高一斗 13.071 30 1’40.782

参加台数:22台 出走台数:21台 完走台数:19台
規定周回数 27Laps

FASTEST LAP

No. TEAM LAPTIME
37 Ritomo Miyata / VANTELIN TOM’S SF23 1’40.049

近藤監督のコメント

近藤監督 PHOTO

悔しい、本当に悔しいレースでした。2 人とも走りとしてはそれほど悪くなかったのですが、もう少し速いクルマを作ってあげたいと思いました。特に健太は、1 位、2 位と同じぐらいのペースのクルマにしてあげたかったですね。比較すると、今回は小高のクルマの方が仕上がりは良かったように感じます。セーフティカーのタイミングが勝負に影響した部分もありますが、表彰台に上がっている選手はそれまでのところでもいいペースで走っていましたから。去年に比べれば2 台そろっての入賞というのはいいかもしれませんが、5 位や7 位で喜んでいるチームではない。ダブル表彰台が見えていただけに、本当に悔しいレースになりました。ただ2 人には、常にこの位置で戦えれば、近いうちに表彰台や優勝も見えているぞと話しています。次戦もそろって上位争いをお見せできるよう頑張ります。

3号車 山下健太選手のコメント

山下健太 PHOTO

スタートの時に気合を入れてブレーキを温めすぎてしまい、オープニングラップはその影響でいい走りができませんでした。ペースとしても、今回は上位に全然ついていけるものではなく、特に最初のスティントは早めにタイヤを交換せざるを得ない状況でした。予選一発ではいいところを出せて4 位グリッドをからのスタートだったので、優勝を狙っていましたから、連続入賞とはいえ悔しい結果です。ただ、富士と鈴鹿、特性の違う2 つのサーキットで前の方を走れれば、どのサーキットでもある程度上位で争えるとも思っているので、次戦オートポリスではさらにクルマを改善して、いまよりさらに一歩上に行きたいです。

4号車 小高一斗選手のコメント

小高 一斗 PHOTO

開幕戦も同じような状態でしたが、ウォームアップに課題があってオープニングラップから序盤のペースをきちんと上げられず、そこで何台かに先行されてしまったのがもったいなかったです。その後のペースは悪くなかったので、スタートからオープニングラップあたりまでで順位を下げなければ、もう少し上のポジションでゴールできたと思うので、あの序盤が悔やまれます。ですが、開幕戦に比べればしっかりとレースを戦うことができました。この位置で争える自分というのも見せられたと思うので、次戦も頑張ります。

3号車 村田卓児エンジニアのコメント

持ち込みの状態から軌道修正をして予選に臨み、決勝に向けてはその状態からセットアップを確認しました。悪くはないけれどいまいちしっくりこないという感触で、それがトップ4台とのペースの差として現れたと思っています。軌道修正した方向性があまり良くなかったのかもしれませんが、それはこれからしっかりと検証していきます。ただ、新しいクルマ、新しいタイヤでの走行で、これもデータとして蓄積できます。次戦オートポリスに向けては少しインターバルがありますから、ここまでのデータをそろえ、しっかりと検証し、方向性を見定めて持ち込みたいと思います。

4号車 阿部和也エンジニアのコメント

今回のレースは、上位の4 台はペースが速かったですが、それ以外のところと比べるとうちのクルマは速さを見せていたと思います。ただ、抜けるポイントで前のクルマをとらえられるような車ではなかったです。そういったポイントで速く走れる、相手を抜けるクルマを作らないといけません。今回、表彰台を争っていた4 台を除いた中では上位だった、それぐらいのレベルのクルマではありました。小高選手にとっては、今のようにポイント圏内で戦うことを続けるのが必要です。それがさらに経験を積み上げることになるので、次戦以降も今の位置、さらに上の位置で戦えるようクルマに対する課題を一つ一つ解決して、仕上げていきたいと思います。

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