RACE REPORT

SUPER GT GT500

第2戦 富士スピードウェイ

一日目 予選(5月3日・晴れ/ドライ)

予選レポート

24 号車リアライズコーポレーションADVAN Z 予選5 番手を獲得

5 月3 日、SUPER GT 第2 戦が富士スピードウェイにおいて開幕し、この日は予選セッションが行なわれた。ゴールデンウィーク真っ只中ということもあり、サーキットには多くの観客が来場。コロナ以前と変わらぬ賑わいを見せた。

まだ雪化粧が残る霊峰富士が雄姿を見せるなか、午前9 時5 分からは公式練習がスタート。KONDO RACINGでは、まず平手晃平選手がNo.24 リアライズコーポレーションADVAN Z に乗り込み、セットアップの確認をはじめた。その流れでアタックシミュレーションを行ない、最終的にチームベストとなる1 分28 秒344 のタイムをマーク。その翌周にピットへクルマを戻した。改めて調整を加えたのち、コースへ戻って周回を重ね、佐々木大樹選手へとスイッチする。ステアリングを引き継いだ佐々木選手は、周回を続けるなかでGT500 クラス専有走行に向けてセットアップを行なう。 そして、午前10 時40 分から始まった10 分間の専有走行終盤にアタックシミュレーションを行ない、チームとしてのセカンドベストタイムとなる1 分28 秒935 を刻んだ。また、最終的にNo.24 リアライズコーポレーションADVAN Zは、13 番手でセッションを終えている。

午後に向けてさらにまぶしい日差しに恵まれた富士スピードウェイ。しかし強い風が吹き続けていたこともあってか、さほど気温、路面温度は上がらず。Q1 のセッションがスタートした午後3 時48 分時点の気温は20 度、路面温度は35 度と、公式練習時と似通ったコンディションだった。Q1 に出走したのは佐々木選手。ライバルよりも早いタイミングでアタックに入ると、残り時間2 分の時点でトップタイムとなる1 分27 秒481 をマーク。これがターゲットタイムとなる一方、佐々木選手はさらなるタイムアップを目指してアタックを続ける。結果、翌周には1 分26 秒892 までタイムを削り、3 番手でQ1 通過を果たすことになった。続くQ2 は、午後4 時26 分にスタート。佐々木選手同様、早めにアタックを開始すると、チェッカーまで残り1 分30 秒の時点で1 分26 秒779 のタイムを刻み、トップに躍り出る。続けてアタックラップに入った平手選手はセクター1 の区間でベストラップを更新。タイムアップに期待がかかったが、タイヤコンディションを考慮してそれ以上プッシュすることは見送り、そのままピットへとクルマを戻す決断を下した。結果、No.24 リアライズコーポレーションADVAN Z は5 番手グリッドを獲得。450km という⾧距離レースをミスなく粘り強く戦うことで表彰台の一角を狙える可能性が高いだけに、期待が膨らむ。

公式予選記録

Pos. No. TEAM DRIVER Q1 Q2 SW
1 100 STANLEY NSX-GT 山本 尚貴
牧野 任祐
1’27.242 1’26.420
2 19 WedsSport ADVAN GR Supra 国本 雄資
阪口 晴南
1’27.240 1’26.496 4
3 16 ARTA MUGEN NSX-GT 福住 仁嶺
大津 弘樹
1’26.595 1’26.609
5 24 リアライズコーポレーション ADVAN Z 佐々木 大樹
平手 晃平
1’26.892 1’26.779

Q1 開始:15:48’00 終了:15:58’00
Q2 開始:16:26’00 終了:16:36’00

近藤真彦監督のコメント

近藤真彦 PHOTO

公式練習の時点から、ロングランではいいペースを刻むことができていました。一方、一発の速さでは”あと一歩”足りませんでしたが、ポテシャルとしてはまた良くなってきたと感じています。450km という⾧距離は不確定要素がたくさんあるので、正直気になるところですが、5 番手スタートということを考えればいい戦いができそうだという期待は大きいですね。⾧距離戦ではさまざまな要素が問われるだけに、ミスなくしっかりと戦っていい仕事ができればと思っています。

佐々木大樹選手のコメント

佐々木大樹 PHOTO

富士での公式テストではウエットコンディションとなり、テストができませんでした。今回、いろいろ事前に考えたセットを持ち込んできたのですが、方向性が少し違っていたので既存のデータと照らし合わせてアジャストし、公式練習後もサーキットサファリの走行時間に微調整を重ねました。そこでクルマのバランスも改善され、Q1 ではいいアタックができました。今日の走行でロングランに関してはポジティブな印象を持つことができたので、明日の決勝も楽しみです。

平手晃平選手のコメント

平手晃平 PHOTO

担当したQ2 のアタックでは、最初のアタックラップですべてを出し切っていたという感じでした。このアタックの時点でタイヤも目一杯使っていた状態だったので、次の周はセクター1 で自己ベストタイムを更新できたものの、タイヤのことを考えてアタックせずにピットに戻りました。富士ではドライコンディションでセットアップを変更して走ったのは今シーズン今日が初めてだったので、過去のデータを参考にセットを調整したところ、フィーリングもだいぶ良くなりました。去年からの積み重ねを活かすことができたと思います。明日も路気温が高い中でレースをすることになりそうですが、チームとしては今大会が開幕戦のような気持ちで戦っているので、いい走りができればいいなと思います。

村田卓児エンジニアのコメント

富士ではオフシーズンの公式テストが雨になったこともあり、しっかりと走ることができませんでした。レースに向けていろいろ新しいことを進めているなかで、公式練習の走りはじめはちょっとうまくいかないような感じでしたが、これまでのデータを活用することで対処できました。距離が⾧い戦いになるので、そのときのコンディションにうまくセットやタイヤを合せて戦っていけたらと思います。

二日目 決勝(5月4日・晴れ/ドライ)

決勝レポート

表彰台獲得目前、無念のアクシデント

5 月4 日、SUPER GT 第2 戦の決勝レースが富士スピードウェイにおいて開催された。連日、文字通り”五月晴れ”の天気に恵まれたサーキットには多くのファンが詰めかけ、レースを盛り上げた。そのなかで予選5 位からスタートを切ったKONDO RACING のNo.24 リアライズコーポレーションADVAN Z は、安定した速さ、そして粘りあるレース運びを披露して終始表彰台が狙える位置につけていたが、終盤にまさかのアクシデントに遭遇。15 位で戦いを終えることとなった。

開幕戦とは異なり、予選、決勝の両日で安定したドライコンディションとなった第2 戦富士。チームでは450km を戦うにあたり、さまざまなシミュレーションを重ね、タイヤ選択はじめレースでしっかりと強さを発揮できる準備に取り組んできた。結果、予選では表彰台が充分に狙える5 番手を獲得。決勝に向けて弾みをつけた。

迎えた決勝。早朝は薄曇りの天気であったが、時間が経つにつれて初夏を思わせる眩しい日差しが照りつけ、軽く汗ばむほどの陽気に包まれる。また、サーキットには4 万8 千人を超えるモータースポーツファンが来場。色とりどりのチームウェアを身にまとい、声を出して応援してくれるファンの姿に、ドライバーやチームスタッフは力をもらって戦うことになった。

午後1 時30 分、静岡県警の白バイを先頭にしたパレードラップ、そしてフォーメーションラップを経て、100 周・450km の戦いが幕を開ける。No.24 リアライズコーポレーションADVAN Z のスタートドライバーは佐々木大樹選手。オープニングラップで早速前方の車両をパスして4 位から追い上げを開始すると、翌周には3 番手に浮上し、順調な滑り出しとなる。その後はトップ2 台のNSX-GT を追いかけつつ、後方からじわりじわりと差を詰める36 号車GR Supra を意識しての戦いが続いた。14 周を過ぎると36 号車とのバトルがヒートアップ、佐々木選手は巧みなライン取りを見せて応戦したが、20 周目のコカ・コーラコーナーでポジションが入れ替わってしまう。しかしその後はポジションをキープし、上位陣がルーティンのピットインを行なうなかでも周回を重ね、39 周を終えてからピットへと帰還した。

待ち構えていたスタッフたちは、タイヤ交換、給油作業を迅速に完遂。ドライバーも平手晃平選手へとスイッチし、レース中盤の戦いに向かった。コンディションも気温23 度、路面温度35 度と、決勝日としては最高の数値を刻むなか、No.24 リアライズコーポレーションADVAN Z は日産勢トップとなる5 番手で順調に走行を続行。一方、レースは60 周を過ぎて2 回目のルーティンピットインを行なう車両が出始める。これにより、No.24 リアライズコーポレーションADVAN Z は再び64 周目から暫定トップに立つと、安定したラップタイムを刻みながら最後のピットインに向けて力走を見せた。

迎えた78 周目、満を持してピットに戻ったNo.24 リアライズコーポレーションADVAN Z。GT500 勢最後のピット作業となったが、平手選手はそのままに、タイヤ交換と給油作業だけを済ませてコースへと復帰を果たす。そして3 番手という理想的なポジションで終盤の戦いが始まる。ペース良く戦いを続ける中で前を行く100 号車NSX-GT との差もじわじわと詰まり、残り10 周の時点でその差はおよそ7 秒。一方で、後方4 位との差も充分にあり、表彰台獲得がはっきりと見えてきたNo.24 リアライズコーポレーションADVAN Z は、さらに上のポジションを目指し、手を緩めることなく果敢に攻め続けた。

だが、残り5 周となったダンロップコーナーでまさかの事態が起こる。No.24 リアライズコーポレーションADVAN Z が前を走る2 台のGT300 クラスの車両と絡んで左フロントを破損、ピットインを余儀なくされてしまう。また、ラジエターにダメージを受けたことでレース続行は難しいと判断したチームは、これをもってレースを終えるという苦渋の選択を下した。

表彰台が見える強いレースを続けたNo.24 リアライズコーポレーションADVAN Z。チェッカー目前に思わぬ展開となり、厳しい結果を突きつけられることになった。一方で、昨シーズンから積み重ねてきたタイヤ開発、クルマのセットアップにおいては着実に進歩を果たしている。必ずやその成果を決勝での結果に反映すべく、次の鈴鹿450km レースに向けて、改めて邁進するのみだ。

決勝結果

Pos. No. TEAM DRIVER TIME/DIFF LAPS SW
1 36 au TOM’S GR Supra 坪井 翔
宮田 莉朋
2:33’36.151 100
2 100 STANLEY NSX-GT 山本 尚貴
牧野 任祐
28.519 100
3 17 Astemo NSX-GT 塚越 広大
松下 信治
49.370 100 8
24 リアライズコーポレーション ADVAN Z 佐々木 大樹
平手 晃平
5 LAP 95

開始:13:37’26 終了:16:11’02.151
ファステストラップ : 1’29.213 No.100 STANLEY NSX-GT/牧野 任祐

No. TEAM LAPTIME
100 STANLEY NSX-G 1’29.213

近藤真彦監督のコメント

近藤真彦 PHOTO

表彰台獲得は間違いないと信じていました。4 位との差もあり、3 位で良しとすれば、そのままチェッカーを受けることもできたでしょう。しかしながら、2 位を狙おうとプッシュさせたんです。ピットインのタイミングも遅かったので、タイヤのコンディションも良く、24 号車として一番いい状況が巡ってきていました。チームもドライバーも”その気”になっていたのですが……。GT300 の2 台と絡むことになったのは残念でした。表彰台が見える戦いができてきたことに関しては嬉しい反面、こういう結果に終わったので本当に悔しいですね。

佐々木大樹選手のコメント

佐々木大樹 PHOTO

序盤は少し苦しい状態のときもありましたが、後半になって粘る形で他車について行くことができました。周りが早いタイミングでピット作業をしていたこともあり、僕たちは逆にタイミングを引っ張ることでピット作業の時間を短くしたり、100 号車にも追いつくなど、レースの戦略としては狙いどおりだったと思います。まだ全車がさほどウェイトを搭載していないなかで、しっかりと戦えたことは大きな収穫でした。この先もうまくレースを組み立てていけたらと思います。

平手晃平選手のコメント

平手晃平 PHOTO

レース前半のピットインではタイミングを遅くしたことで、2 回目のピットインで給油も少ない量でコースに戻ることができました。また、装着したタイヤの条件も良く、前方の100 号車を追いかける形ができました。最初はギャップも大きく、差を詰められるかと思ったこともありましたが次第に差も縮まっていきました。逆に後続との差は大きかったので3 位獲得は手堅かったのですが、チームからも”頑張っていこう”ということで、また僕自身もできれば100 号車を捕まえたいという気持ちがあったので、できる限りプッシュし、2 位を獲りに行きました。ダンロップコーナーに向かうなか、前を走っていたGT300 の車両2 台が競っていて、後方車両が急に減速したことで、行き場もなく衝突する結果となりました。2 台の様子からなにかあったときのために、とマージンを取ってコーナーを進入したのですが、予想できない状況となってしまったという感じです。レース後、オンボード映像でも確認したのですが、やはりどうしようもない状況だったと思います。避けようのない接触で、不運でした。クルマとしては足を痛めている感触はなかったのですが、水漏れが確認できたので自分の判断でピットにクルマを戻しました。リスクを負ってプッシュしたわけでもなく、2 位を獲りに行くという強い気持ちで走っていただけにどうしようもない結果となって残念です。ただ、結果を出せるチャンスだっただけに、チームには申し訳なかったと思います。次の鈴鹿ではしっかりと結果を残し、第4 戦富士では勝ちに行くという強い気持ちで臨みたいと思います。

村田卓児エンジニアのコメント

ルーティンのタイミングに関しては、予定どおりでした。もともと、100 周を均等に割って、あとは状況に合せて行けるところまで行こうという感じだったので、結果として他車よりもピットインのタイミングを引っ張ることになりました。決勝でのペースには自信もあったし、レースでもそういう形になっていたのですが、このような結果になって残念です。

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