RACE REPORT
SUPER FORMULA
第4戦 富士スピードウェイ
第4戦(7月20日・曇り/ドライ)
予選レポート
猛暑の富士大会で、KONDO RACINGは2台そろってトップ10グリッドを獲得
全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦が富士スピードウェイで開催。7月も下旬に入り、夏休みが始まる時期の開催で、大会は「スーパーフォーミュラ夏祭り2024」と銘打ち、子供向け、ファミリー向けのイベントコンテンツも盛りだくさんとなっている。また、今大会は三笠宮家の瑶子女王殿下の賜杯を頂戴し、「第1回瑶子女王杯 全日本スーパーフォーミュラ選手権 第4戦富士大会」として開催されることが発表されている。レースウィークには、設営日となる7月19日(土)から瑤子女王殿下がお成りになり、ドライバーズミーティングの会場にご臨席され、選手とお話をされるなど懇談の機会が設けられた。
大きな注目を集めることとなった今大会だが、これに先立って先日7月7日(日)、8日(月)には2度目の公式テストが行われ、KONDO RACINGは山下健太選手が2日間での総合トップタイムを飾っていた。タイムだけでなく内容としても十分な手応えを得ていた山下選手は、その自信とともにレースウィークへ突入。まずは午前中に1時間30分設けられているフリー走行に臨んだ。ただ、テストで感じていた手応えがなかなか再現されない。2~3周の走行とピットインを繰り返し、車両のバランスを突き詰めていくものの、残り時間3分での予選シミュレーションアタックは1分23秒919。トップから0.337秒差の6位という結果だった。ノックアウト方式の予選を考えると十分にQ2進出圏内だが、目指しているトップタイムには届かず、山下選手とチームはポールポジション獲得に向けて、さらに車両を煮詰めていくこととなる。一方、前戦SUGOで今シーズン初めてQ2進出を決めた小高一斗選手は2戦連続の上位グリッドを目指す予選に。公式練習でのベストタイムは路面コンディションの悪さが影響し1分24秒556のタイムで18位。それでも車両のバランスとセットアップを調整した時の車両の反応には好印象で、あとは予選セッションでの路面状況をどう読むか、そこにどう合わせていくかがカギを握ると踏み、予選に向けてミーティングを重ねていった。
朝一番はどんよりとした雲に覆われていた富士スピードウェイだが、朝のフリー走行開始直前には強い日差しが出始め、ここからは気温も路面温度も上昇。公式予選が始まる午後2時頃には、気温32度、路面温度は48度を示していた。今回の予選は、Q1のA組で小高選手が出走。セッション開始に合わせてピットを離れると、コースコンディションを確認してからピットイン。タイヤを履き替えてアタックへと向かった。各セクターをまとめ上げ、1分23秒408をマーク。暫定でQ2 進出圏内の5位に上がる。小高選手の後にコントロールラインに戻ってくる車両は残り4台。すぐさま1台が4番手タイムをたたき出し、小高選手はQ2進出圏内ギリギリの6番手へドロップしてしまう。続いて戻ってきた2台はそれぞれ8番手と10番手にとどまり小高選手はポジションをキープ。最後の1台のタイムにチームスタッフも注目したが、小高選手に0.097秒届かない7番手タイム。これで全車がアタックを終え、小高選手は2戦連続でQ1突破に成功した。続くQ1のB組には、山下選手が出走。セクター1、2をうまくまとめ上げ、1分23秒221で3番手タイムをマーク。他のドライバーにタイムを破られることなく、3番手をキープした状態でQ1突破を決め、これでKONDO RACINGは2戦連続で2台ともQ2に駒を進めることになった。
10分のインターバルを挟んで、いよいよポールポジション争いのQ2がスタート。全12台の出走で、コースチェックに出るドライバー、ピットで待機を選ぶドライバーなど様々な戦略に分かれるが、KONDO RACINGの2台はコースインを選択。アウト→インですぐにピットに戻り、山下選手、小高選手と続けてタイヤを履き替えるとすぐさまコースへと戻っていった。残り時間は4分。全体の9番目にアタックに入った山下選手は、セクター1で全体ベストを示す赤表示をつける。続くセクター2では自己ベストを更新。先にアタックを終えたドライバーたちが次々にタイミングモニターの順位を入れ替えていく中、コース前半で速さを見せた山下選手のタイムに注目が集まった。しかし、コントロールラインを通過して表示されたタイムは1分22秒807。セクター3でやや周りに対して後れを取ってしまい、トップタイムと0.264秒差の8位となった。小高選手は1分22秒947をマークして10位。KONDO RACINGの2台はそろってポイント獲得圏内から、41周で争われる決勝レースに挑むこととなった。
予選結果
Pos. | No. | TEAM | DRIVER | Q1 | Q2 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 8 | Kids com Team KCMG | 福住仁嶺 | 1’22.963 | 1’22.543 |
2 | 15 | TEAM MUGEN | 岩佐歩夢 | 1’22.780 | 1’22.560 |
3 | 39 | VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING | 大湯都史樹 | 1’23.078 | 1’22.571 |
8 | 3 | KONDO RACING | 山下健太 | 1’23.221 | 1’22.807 |
10 | 4 | KONDO RACING | 小高 一斗 | 1’23.408 | 1’22.947 |
参加台数:21台 出走台数:21台 完走台数:21台
近藤監督のコメント
健太は残念でしたね。ポールポジションのタイムは少し見えないけど、フロントローのタイムは絶対に見えたと思うので、本人としても物足りなかったと思います。小高は2戦連続でQ2進出。最後に小林可夢偉選手が迫っていましたが、ギリギリでQ2進出圏内を守り切りました。無線で「可夢偉には勝ったぞ」と伝えたら喜んでいましたね。前戦のSUGO大会で、健太のマシンのいいところを共有して、ドライバーの好みに合わせてアジャストしたらだいぶ感触が良くなったようで、今回もその流れを維持できているようです。ようやく、2台で走っているメリットを出せるようになりました。もちろん、いつまでも2台で協力しているわけにはいかないですが、いまはトップの速いクルマを追いかけている状況ですから、これが追いついていって、2台でトップ争いをするようになったらチーム内でももっとバチバチにやりあってもらいたいですけどね。まずはトップ争いに追いつけるようチーム一丸でやっていかないと。日本のトップチームしか集まっていないこのレースで、2台そろってトップ10に入るのは大変なことですから、今回もそれができてチームのモチベーションは上がっていると思います。決勝は、2台ともポイントを獲得するのは当然の目標として、健太には悪くても表彰台に行ってほしいですね。
3号車 山下健太選手のコメント
テストでいろんなものを試せていて、どんなコンディションでも割と速く走れていたので、レースウィークに入るまではかなり期待していたのですが、走りはじめの感触が全然違っていて、正直戸惑いました。何とかその中でいろいろ修正を加えていった結果Q1は通ったものの、Q2では周りと比べてタイムの削り幅が少なかったです。予選で崩れてしまったので、決勝に対しても、テストでやってきたことをベースにすればいいのか、変えていった方がいいのかは分からないところです。いろいろと考えてチームとも話し合って、なんとかレースペースをいいところに戻したいですね。
4号車 小高一斗選手のコメント
フリー走行でのコンディションがとても悪く、そのままだったら予選はだめだったかもしれません。でもしっかりとクルマをアジャストしていった結果、Q1を突破することができました。Q2に向けては、もともとそれほどQ2に進んだ経験がなかったので、路面コンディションの変化の幅がどれぐらいだと考えたほうがいいのかが難しかったです。特に今回はQ1がA組出走だったので、Q2への路面コンディションの変化幅はもっと読みづらかったのですが、阿部さんとしっかり話をして臨んだ結果、いい方向に進みました。今まで富士ではチームメイトに対しても大きく差をつけられてきましたが、今回はコンマ1秒ぐらいの位置にいられています。周りと比べてもようやく戦えるようになってきたかなと思います。
3号車 村田卓児エンジニアのコメント
Q1は悪くないタイムでしたが、ちょっとセクター3がいまいちでした。Q2もそれは同様で、いまいち伸びなかった。Q1では本人のミスで落とした分もあったので、Q2で路面コンディションが上がってくればクルマも合ってくるかなと思いましたが、ばっちりとは合わなかったです。今回の路面コンディションが思っていたほど上がらなかったのか、今やっていることがこの間のテストの状況に合いすぎていたのかはもう少し分析が必要です。決勝に向けてもまだ読めませんが、いくつかのことにトライしてみようと考えています。
4号車 阿部和也エンジニアのコメント
Q1はいくらかのラッキーもありましたが、僅差の中でセッションを突破してくれたのは良かったですね。一斗も頑張ってくれました。Q2に関しても、調整したことがうまくいって、パフォーマンスを出すことができました。5番手ぐらいまではほんのわずかの差でしたから、もう少しうまくまとめられればそれぐらいの位置には行けたかもしれません。今回はライバル勢と同じぐらい、Q1からQ2にかけてタイムを削ることもできましたし、いい形で予選を戦えたと思っています。
第4戦(7月21日・晴/ドライ)
決勝レポート
SUPER FORMULA初の賜杯を賜る栄誉ある1戦。KONDO RACINGは決勝ペースに苦しむことに。
前日同様、じりじりと焼けるような日差しが降り注ぐ富士スピードウェイで、全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦の決勝レースが開催された。2台そろって予選でトップ10入りし、上位入賞を目指したKONDO RACINGは、決勝レースでのペースが伸び悩み、山下健太選手が13位、小高選手が17位という結果になった。
朝一番のフリー走行は、山下選手が1分25秒795で11番手、小高一斗選手が1分25秒708で7番手という結果。30分間でのベストタイムでは中盤ぐらいの位置となった2台だが、決勝を見据えた連続周回での感触はお互いにまずまずといったところで、決勝での追い上げに期待が高まっていった。
決勝前のセレモニーでは、ご臨席を賜った瑶子女王殿下のお言葉を頂戴し、いつもとは違った特別な空気が流れる中、コース上では着々とスタートに向けた準備が進んでいく。気温32度、路面温度45度というコンディションで、午後3時3分、フォーメーションラップがスタート。予選5位の車両がトラブルでグリッドから姿を消し、山下選手は実質7番手、小高選手は9番手から、41周の戦いがスタートした。コース上、イン側グリッドに前後で並んでいた2台は、ともに抜群のタイミングで動き出すが、最前列に位置する2番グリッドの車両がエンジンストールを喫したことで、後方グループが混戦状態になってしまう。山下選手も1コーナーに向かっていく間に行き場を阻まれ、10番手に後退してしまった。小高選手はスタート直後にアウト側へとマシンを振っていったことで逆に山下選手の前に出ることに成功。1つ前の9番手にポジションを上げてオープニングラップを終了した。小高選手は2周目に入った1コーナーで8番手の車両をとらえるが、オーバースピードで止まり切れずにクロスラインでポジションを戻されてしまう。それでも離されることなく食らいついていくと、続くAコーナーではサイド・バイ・サイドのバトルに。ここからダンロップコーナーまで長い戦いが続くことになるが、その隙に山下選手も接近。GRスープラコーナーから最終コーナーまでで小高選手の背後に着くと、ホームストレートでとらえて1つポジションを取り戻すことに成功した。
決勝レースに向けたスターティンググリッドに入り、ドライバーや車両を間近で見ることができるグリッドウォークも通常より短い10 分間で終了。コース上はレースのスタートに向けて緊張感も高まってきた。スタート時刻が迫ってくる中、再び霧が濃くなってきたことでレースはセーフティカー(SC)先導のもとでスタートすることに。午後3 時35 分、グリッドに着いていた車両たちがSC に続いて1 台、また1 台とグリッドを離れていった。
山下選手にとらえられた小高選手は、その後5周目、8周目とライバルの先行を許し、10周目には13番手まで後退してしまう。ペースが上がらず苦しい中、11周目にピットイン。タイヤを交換して後半のロングスティントに入っていった。ただ、タイヤを履き替えてからもペースが苦しいのは変わらず。1分25秒960の自己ベストタイムを14周目に出したあとは、1分26秒後半から27秒台のラップタイムにとどまり、17位でフィニッシュした。
山下選手も小高選手に続いて12周目にピットに戻ってくるが、タイヤ交換でミスがあり、2~3秒のタイムロスが生じてしまう。15番手でコースに復帰後は、タイヤがフレッシュな14周目に1分25秒955の自己ベストタイムを記録。レース後半のタイミングでタイヤ交換を行った2台が後方に下がったことで2つポジションを上げ、13位でのフィニッシュとなった。
予選では前戦に続き安定した力を発揮するようになったが、決勝レースでは一転、苦しい戦いとなった2台。次戦のもてぎ大会までは1か月。シーズン後半戦で巻き返すための武器を、このインターバルで見つけたい。
決勝結果
Pos. | No. | TEAM | DRIVER | TIME/DIFF | LAPS | Best Time |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 36 | VANTELIN TEAM TOM’S | 坪井翔 | 59’40.841 | 32 | 1’25.169 |
2 | 39 | VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING | 大湯都史樹 | 7.162 | 16 | 1’25.411 |
3 | 16 | TEAM MUGEN | 野尻智紀 | 10.832 | 12 | 1’24.990 |
13 | 3 | KONDO RACING | 山下健太 | 33.863 | 14 | 1’25.955 |
17 | 4 | KONDO RACING | 小高一斗 | 44.594 | 14 | 1’25.960 |
参加台数:21台 出走台数:21台
FASTEST LAP
No. | TEAM | LAPTIME |
---|---|---|
16 | Tomoki Nojiri / Red Bull MOTUL MUGEN SF23 | 1’24.990 (12 / 41) 193.279 km/h |
近藤監督のコメント
今までうちは、予選で苦しい思いをすることはありましたが決勝はそれほど悪くなかった。おそらく、今年一番決勝レースが悪かったんじゃないかなと思っています。平均タイムよりも毎周コンマ3秒ぐらい負けていて、どうしても戦えない。オーバーテイクシステムも、2人とも相当早めに使っていたし、苦しかっただろうと思います。今回、予選で戦うためのセットアップの一発の速さについては何となくつかめてきましたが、レースには弱かった。ドライバーからいろいろと聞いて、原因を突き止めて次に向かうしかないです。しっかりと分析して、もてぎ大会につなげていきたいです。
3号車 山下健太選手のコメント
スタート自体は悪くなかったのですが、岩佐選手がストールしてしまったことで行き場をなくして、周りに先行されてしまいました。ペースも悪かったし、ピットもうまくいかなかったし、悪いことがすべて詰まった感じです。気持ちを切り替えて、次戦頑張ります。
4号車 小高一斗選手のコメント
またこの順位に戻ってきてしまいました。フリー走行での走り出しでは悪くない感触でしたし、周りと自分のタイムを比較してみても悪い雰囲気はなかったので決勝も問題ないと思っていたのですが、いざ走るとまったくグリップしませんでした。何か一つの原因ということではなく、いろいろなことが重なって遅かったのかなとも思います。せっかく予選でいい方向にクルマが変わっていっていたので、すごく残念です。ただ、SUGO、富士と2戦連続で予選でQ2に進むことができました。次戦はさらに上のシングルフィニッシュを目指していきたいです。
3号車 村田卓児エンジニアのコメント
フリー走行で確認した感触としては悪くはなかったのですが、そこからさらに狙っていった方向が、少し行き過ぎてしまいました。結果としてものすごくアンダーステアな車両になってしまい、曲がらなくなってしまった。後半スティントに関しても、本当ならば早めに変えた組の中でも前の方に位置していれば、後ろに防波堤ができるのですが、ピットのミスで早めにタイヤ交換した組の中でも後ろの方の位置になってしまったことで、後からタイヤを替えた組に簡単に抜かれてしまいました。スーパーフォーミュラはいかにクリアなスペースで走れるかが重要ですが、今回は集団の中に埋もれてしまって、結局クリアではほとんど走れなかったことも悪い方向に出ました。次、頑張ります。
4号車 阿部和也エンジニアのコメント
リザルトとしてはいつもと変わらない位置に戻ってきてしまいましたが、この週末の内容を振り返るとポジティブだった面もあると感じています。朝のフリー走行でそこそこ手応えを感じていたので、その流れで決勝に臨みましたが、実際のレース距離を走るとやはりロングディスタンスでは辛い部分も出てきました。ただ次戦に向けては、予選では今回のセットをベースとして、それでうまく走ってくれれば一発の速さとしては安定しているかなと思いますし、ロングに関しては今回の反省を生かして対応していけば、もう少しちゃんと走るかなと思っています。