RACE REPORT
SUPER FORMULA
第2戦 鈴鹿サーキット
一日目 予選(4月24日・晴れ/ドライ)
予選レポート
第2戦鈴鹿、手探りの中で方向性を見い出す
4月上旬のシーズン開幕戦から3週間。全日本スーパーフォーミュラ選手権第2戦の戦いが三重・鈴鹿サーキットで幕を開けた。4月24日には、フリー走行とノックアウト方式による予選を実施。その中で、KONDO RACINGでは3号車を駆る山下健太選手が14位、未だ来日が叶わないサッシャ・フェネストラズ選手に代わって4号車を担当する中山雄一選手が18位の予選結果となっている。
予選日の朝を迎え、穏やかな陽気に恵まれた鈴鹿サーキット。今大会はオートバイレースとの併催となるため、通常よりタイトなスケジュールに加え、路面コンディションにも違いがあるなど何かと”変化”が伴うことになる。一方、チームでは開幕戦で抱えた問題点を解決すべく、短いインターバルをフル活用してやるべきことに着手し、準備を整えてきた。
まず、午前10時15分から1時間30分にわたるフリー走行がスタート。気温21度、路面温度27度のコンディション下で各車がまず持ち込みのセッティングを確認すべく、コースへと繰り出した。KONDO RACINGの2台は、3号車の山下選手が早い段階からトップ10内のタイムをマーク。クルマのフィーリングを確かめつつ、セッティング変更の作業を続け、最終的に10番手につけている。一方、4号車の中山選手は開幕戦の結果を元に根本的な見直しをした結果、フィーリングは良い方向に進んだものの、路面との相性が良くなかったのか、タイムアップにはつながらず。セッション中に原因解明を目指したが、手探りな状態が続き、16番手に留まった。
迎えたノックアウト予選。午後3時10分のQ1・A組がスタートした時点で気温は21度、路面温度は27度と朝と同じ数値を刻んではいたが、朝よりやや雲が増え、サーキットを吹く風も冷たくなる。全19台のうち、9台がA組に出走。KONDO RACINGでは中山選手が先にアタックへと挑んだ。フリー走行で思うような手応えを得られなかったため、予選では大幅にセッティングを変更。この試みは奏功したものの、10分という短いセッションでしかもワンアタックという状況ではポジションアップまでには至らず。1分38秒674のタイムで9番手に甘んじ、残念ながらQ2進出は果たせなかった。続くQ1・B組には山下選手が出走。10分間のセッションで残り5分を切る中、コースへと向かう。しっかりとタイヤを温めた山下選手は、計測2周目にアタック。1分38秒092のタイムをマークし、6番手に。Q2へと駒を進めることとなった。
午後3時50分、Q2がスタート。Q1を突破した全14台が7分間のセッションでQ3への権利獲得となるトップ8入を狙ってアタックを開始する。Q1同様にゆっくりとコースイン、アタックのタイミングを見定めて挑んだ山下選手。計測2周目に自己ベストタイムとなる1分37秒849をマーク、Q1よりもタイムアップを果たしたが、ライバルに対して伸び代が留まり14番手に。Q3進出は叶わず、セッションを終えている。
明日の決勝は30周の戦い。後方からの追い上げになるが、ステップ・バイ・ステップで着実なポジションアップを目指す。
公式予選記録
Pos. | No. | TEAM | DRIVER | Q1 | Q2 | Q3 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 5 | DOCOMO TEAM DANDELION RACING | 福住仁嶺 | 1’37.316 | 1’36.646 | 1’36.449 |
2 | 16 | TEAM MUGEN | 野尻智紀 | 1’37.725 | 1’36.936 | 1’36.645 |
3 | 64 | TCS NAKAJIMA RACING | 大湯都史樹 | 1’38.144 | 1’36.978 | 1’36.673 |
14 | 3 | KONDO RACING | 山下健太 | 1’38.092 | 1’37.849 | |
18 | 4 | KONDO RACING | 中山雄一 | 1’38.674 |
参加台数:19台 出走台数:19台
3号車・山下健太選手のコメント
開幕戦に比べると確かに普通に走れるようにはなったのですが、結果的にはあの順位なのでまだまだなのかなと思います。ただフィーリングとしては変化があったし、クルマとして正しい動きを見せてくれました。セッティングの方向性も見えてきたように感じますが、今回の予選に関してはあまりセッティングをいじらずにアタックしようということだったので、微調整に留めました。ただ結果としてはタイムの伸び代は少なかったですね。
とはいえ、微調整の中から方向性も見えたし、それが良ければ明日の戦いでもう少しいい走りができると思います。決勝は前回果たせなかったポイント獲得を目指してがんばります。
4号車・中山雄一選手のコメント
合同テストを経て富士での開幕戦を走る中で、クルマにおける根本的に改善できるところを見直してもらい、それを盛り込んだ形で今朝のフリー走行に挑みました。フィーリング的には良くなっていたのですが、今日の路面コンディション(注:オートバイレースとの併催イベントにつき、通常とは異なる)やグリップに対してセットアップが全然合っていませんでした。途中、変更して試したセットアップも逆の方向になってしまったので、手探りの状態で色々セットアップを変更しました。
結果としてこれまでやったことのないセットで予選に挑んだこともあり、Q1のセクター1ではうまく走ることができませんでした。ただ、セクター2で徐々に良くなり、セクター3ではほぼトップタイムと変わらないくらいのところまで来れました。なので、方向性としては良くなっていってることがわかりました。ただ結果には結びつかなかったですね。でも、方向性がわかったのはいい部分なので、明日の決勝前のフリー走行に向けてはポジティブな受け止め方をしています。
3号車・阿部エンジニアのコメント
鈴鹿戦に向けて古いパーツを交換するなど、見直しを行ったことでクルマからのインフォメーションが”普通”になりました。やっと僕自身が思うクルマの動きと(山下)健太のコメントが噛み合うようになりました。そういうこともあり、持ち込みのセットはいわゆる当たり障りのないコンサバなものだったのですが、この状態で朝のフリー走行で10番手だったので、こんなものだと受け止めていました。
予選に向けてはちょっとツメの甘さが出たという感じです。終わってから、もうちょっとここを…ということもあります。Q3に行けたかどうかは難しいですが、10番手くらいには行けたかもしれないですね。その先に向けては、周りも速いのでもうすこし頑張らないといけないと思います。去年の途中から開幕戦の富士まで色々とやってきたものの、感度が得られずなにが良いのか悪いのかわからない状態でした。今回からはセットを含め、また一から評価し直さなければならないですね。ようやく”スタート地点”についたという感じです。
4号車・村田エンジニアのコメント
鈴鹿でテストを行ったとき、クルマの不具合がいくつかあったもののすぐに直すことが難しかったこともあり、そのまま走らせていました。結果、データとして今大会に活かせるものが少なかったので、色々考えて準備してきました。いくつか手を加えてセットアップしたのですが、まだ正直見えていない部分もある中での走り出しとなりました。
フリー走行でいくつかデータを取り、それをもとに予選のセットアップをしたんですが大幅に違いすぎて…。ドライバーにとっては乗り方が難しかったかもしれません。ただ、データとしてはとてもポジティブな方向だったので、決勝に向けてのもうワンアジャストして挑みます。今後に向けての手応えはそれなりにあったと思います。予選ではあまりクルマもいじらず、そのまま行きました。その中で足りない部分が見えたので、明日の決勝に向けてもう少し修正して一歩ずつやっていこうと思います。
二日目 決勝(4月25日・晴れ/ドライ)
決勝レポート
第2戦鈴鹿、荒れ模様の中で健闘するも入賞を逃す
4月25日、鈴鹿サーキットで30周に渡る戦いとなった第2戦。前日よりも青空の広がる陽気の中、序盤からコース上ではアクシデントが発生する荒れ模様の展開となった。そんな中、KONDO RACINGの3号車山下健太選手、4号車中山雄一選手は見せどころある戦いを展開したが、思うようなポジションアップには繋がらず、入賞は果たせなかった。
春の鈴鹿戦はおなじみのオートバイレースと併催の”2&4”イベントのため、今回は午前8時40分という早い時間に30分間のフリー走行が行われた。チームでは前日の予選結果を受け、決勝に向けてセッティングをアジャスト。その結果が山下選手6番手、中山選手9番手という形となって表れる。
決勝は午後2時30分にフォーメーションラップがスタート。気温23度、路面温度31度と前日よりも高い数値を刻む中、クリアスタートを切ったKONDO RACINGの2台。早速、山下選手は前方の車両に詰め寄り、4周目には逆転に成功。その後も前後車両との攻防を続け、ときにはオーバーテイクシステム(OTS)を駆使しながら入賞を目指した。また、中山選手も前方車両と僅差の態勢で周回を重ねていく。
レースは9周目にトップを走る車両のタイヤが突如バースト。さらに10周目を終えた時点でルーティンのタイヤ交換が可能になったことを受け、チームでは山下選手のピットインを実施する。慌ただしい流れの中、次々とピットインするライバルたちに続いて山下選手もタイヤ交換を行い、コースへと復帰。また翌周に中山選手も続き、チームが手早い作業で送り出したことから、ポジションアップに成功する。
そんな中、15周目を走行する1台が130Rでクラッシュ。これを受け、セーフティカーがコースイン。レースはこのあと19周までコントロール下に置かれた。この時点で山下選手は10番手、また中山選手は12番手と、後半戦に向けてポジションアップに期待がかかったが、コース上では両選手がそれぞれライバルとの攻防が続き、極めてタフな戦いを強いられていた。中でも入賞圏内を死守したい山下選手は前方車両を懸命に追っていたが、同時に後続からはタイミングをずらしてOTSを使っての猛追に遭うなど厳しいシチュエーションに見舞われてしまった。結果、終盤にポジションを落として12位でチェッカー。中山選手も同様の展開となり、14位で戦いを終えることになった。
開幕戦を経て、様々な角度から見直しに取り組んだKONDO RACING。短いインターバルでは満足のいく改善策を見い出すまでには至らなかったが、一歩一歩着実なステップを踏みながら、トライ&エラーでさらなる進歩を目指していくことになる。第3戦オートポリスでの躍進に期待がかかる。
決勝結果
Pos. | No. | TEAM | DRIVER | TIME/DIFF | LAPS | Best Time |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 16 | TEAM MUGEN | 野尻智紀 | 56’53.047 | 30 | 1’40.723 |
2 | 64 | carenex TEAM IMPUL | 平川亮 | 1.452 | 30 | 1’41.032 |
3 | 5 | DOCOMO TEAM DANDELION RACING | 笹原右京 | 4.186 | 30 | 1’40.567 |
12 | 3 | KONDO RACING | 山下健太 | 21.442 | 30 | 1’41.908 |
14 | 4 | KONDO RACING | 中山雄一 | 22.652 | 30 | 1’42.258 |
参加台数:19台 出走台数:17台
規定周回数 30Laps
FASTEST LAP
No. | TEAM | LAPTIME |
---|---|---|
15 | Red Bull MUGEN Team Goh | 1’40.417 |
3号車・山下健太選手のコメント
レース序盤、結構順位の変動があちこちであったのですが、どれもオーバーテイクシステム(OTS)を使っての攻防でした。どうしても僕のほうが他車よりもペースが遅く、OTSを使って追い上げても翌周には(システムの特性上)使えないため、逆に後続から攻められるという形になって抜かれるという展開になってしまいました。
ピットインのタイミングはほぼ戦略どおり。ピット作業もスムーズで、コース復帰しましたがセーフティカーが入ってしまい…。(SCが)出なければという思いもありますが、そもそもクルマのペースが遅かったですね。後半も前後のクルマと接戦だったのですが、最後はペース的に(相手に)敵わなかったです。
4号車・中山雄一選手のコメント
ピットインはできるだけ早いタイミングで行おうと決めていたし、山下選手とは1周ずらして入ることも決まっていました。ピットでは、チームスタッフの作業がすごく早くて、コースに復帰した時点で3台くらい前に出ることができました。それは良かったのですが、そのあとでセーフティカーのコースインがあったのですが、それがなければ、あのままのポジションをキープしてレースを終えることができたのではないかと思うだけに残念ですね。どうしても周りのクルマのほうがクルマのペース的にも速かったので…。
ただ、終盤になって特に最後の5周くらいはとてもいいフィーリングになって、1分41秒台のペースで走れたように思います。一方で、序盤、ガソリンがまだ重い状態だと前のクルマについていくのが難しい状態でした。今回のレースでは良いところと悪いところがあったものの、前回よりも良いところが見えました。いい感触をつかむことができて良かったです。
3号車・阿部エンジニアのコメント
朝のフリー走行でまずまずのポジションにつけることができたので、それから決勝に向けてまたクルマにも変更を加えました。レース直前の8分間走行でも手応えは悪くなかったのですが…。タイヤがフレッシュな間はペースも良かったのですが、だんだんきつくなって…。ただいずれにせよ、全体的にペースが遅かったことは否めません。
今回のレースウィークでいろいろと試したことはデータとして取れましたが、速さを出すまでにはいかなかったですね。この先の戦いを見据えると引き続き見直して対策を練ることになると思います。
4号車・村田エンジニアのコメント
レースではオーバーテイクシステムを使うタイミングによって、抜きつ抜かれつの戦いになっていたし、その辺の駆け引きも難しかったようですね。
レースウィークを通してクルマは少しずつ進化はできたのですが、まだ別の問題をクリアにする必要があったり、見直しすることが残っています。今朝のフリー走行、スタート直前の8分間の走行で得たデータをもとに決勝直前のグリッド上でも変更を加えたのですが、結果的にクルマが思うように曲がらない方向になったことで、全体的なパフォーマンスを落としてしまったかもしれません。ただ、ようやくまともにデータが取れたので、問題をひとつずつ潰しながらレベルアップの作業を続けていこうと思います。