RACE REPORT

SUPER FORMULA

第5戦 ツインリンクもてぎ

一日目 予選(8月28日・晴れ/ドライ)

予選レポート

シーズン後半戦へ突入。チームは予選で苦戦

8月28日、栃木・ツインリンクもてぎにおいて、全日本スーパーフォーミュラ選手権第5戦が開催。この日は朝からフリー走行が、そして午後から予選が行われた。KONDO RACINGから参戦する3号車山下健太選手は10位、そして新型コロナウイルスの変異株による感染拡大が止まず、依然として来日のメドが立たないサッシャ・フェネストラズ選手に代わっての参戦となる4号車中山雄一選手は、19位から翌日の決戦に挑む。

8月中旬以降しばらく梅雨のような長雨が続き、不安定な天候が続いていた日本列島。しかしながら、もてぎ戦を迎える週には猛暑日が戻り、サーキットは早朝から極めて厳しい残暑を迎えることとなった。前大会からおよそ2ヶ月という長いインターバルを経て迎える今大会だけに、チームとしてはなんとしても上昇気流に乗って後半戦の戦いを充実させたいところだ。

まず、午前8時40分から1時間30分にわたってフリー走行が行われたが、この時点ですでに気温33度、路面温度35度まで上昇するコンディション。まず、アウトラップを済ませると、両ドライバーは持ち込みのセットアップ確認作業に入る。その後、連続周回を重ねる一方でセットアップの変更作業も進められたが、走行開始からおよそ30分が経った時点で、7周目にベストタイムをマークし、続いて走行中だった中山選手が90度コーナー先の立体交差下でスピン。この影響でセッションが赤旗中断となる。また、中山選手のクルマはフロントノーズを傷め、ピットでの修復作業が慌ただしく行われた。

一方、セッションはおよそ5分強で再開。また中盤以降はクルマのセットアップを進めるため、頻繁にピットイン−アウトするチームも多く、山下選手も定期的にピットインして微調整を重ねた。なお、中山選手も修復を済ませてフロントノーズを交換。無事にセッションへ復帰し、セットアップを進めた。セッション終盤、予選を想定したアタックシミュレーションを行った両選手。山下選手はタイム更新とはならず、序盤にマークした自己ベストタイム1分33秒806で16番手。また、中山選手はコース復帰後、11周目に刻んだ1分33秒951のタイムで19番手となった。

迎えたノックアウト予選。前回SUGO大会で導入されたQ2での組分けが今大会から正式に採用されることとなった。まず、午後2時35分、Q1予選がスタート。A組には山下選手が出走する。気温36度、路面温度43度と朝よりもさらに上昇する中、10分間のアタックセッションに挑む。アウトラップを終えて一旦ピットイン、タイヤを換えてから少し時間を置いてコースへ向かった。アウトラップを経て計測2周目にアタック、1分33秒088のタイムをマークした山下選手は7番手でQ1突破を果たしている。続いて午後2時50分からはQ1B組のアタックがスタート。コースに向かった中山選手が、アウトラップを終えて翌周ピットイン。微調整等の作業を行い、いよいよアタックへと向かうと計測2周目のアタックで自身のベストラップとなる1分34秒168をマークしたが、ポジションは10番手。残念ながらQ2へと駒を進めることができなかった。

迎えたQ2。A組に出走した山下選手はガレージ前にクルマを出してしばし待機。残り5分になってピットを離れ、アウトラップに向かう。チェッカーが出る中、アタックラップに挑んだ山下選手は自己ベストタイム1分32秒415をマークし、4番手へとジャンプアップ! Q2突破を果たしたと思われたが……。その後、山下選手のベストタイムをわずか1000分の9秒上回ったライバルに逆転され、5番手に。結果、惜しくもQ3進出が叶わずに予選アタックを終えた。

全予選セッションを終えてKONDO RACINGの2台は、山下選手が10位、中山選手は19位に。明日の決勝では、それぞれがベストパフォーマンスを目指して追い上げを狙う。

公式予選記録

Pos. No. TEAM DRIVER Q1 Q2 Q3
1 16 TEAM MUGEN 野尻智紀 1’31.336 1’31.110 R1’31.073
2 19 carenex TEAM IMPUL 関口雄飛 1’32.596 1’31.532 1’31.318
3 51 B-Max Racing Team 松下信治 1’32.410 1’31.734 1’31.371
10 3 KONDO RACING 山下健太 1’33.088 1’32.415
19 4 KONDO RACING 中山雄一 1’34.168

参加台数:19台 出走台数:19台

近藤監督のコメント

近藤監督 PHOTO

まず、4号車の中山選手に関しては、朝のクラッシュもあって予選でもいろいろ空回りしてしまったのかなと思います。ちょうどベストタイムを出して、乗れてきたかなという矢先のクラッシュだったので残念でした。予選に向けて、『朝のことは気にせず、ガンガン攻めて行け』と行ったのですがうまく行かなかったようですね。力を出し切れず残念でした。明日はひとつでも前を目指してゴールしてほしいです。

一方、3号車の山下選手ですが、総体的な結果を見ても今回はトヨタエンジンユーザーの中ではインパル勢が飛び抜けてしまっていますが、その他のトムス、セルモのドライバーたちとさほど変わらないタイムが出ていたので、上位との差はなくなってきたのかなという風に感じています。とはいえ、まだまだ課題は残されています。朝のフリー走行であまりうまく行かず、結局セットを元に戻すような形で予選に挑んだので、本当なら前に進んだ形でいいアタックができないと。まだそこが課題ですね。現状、毎レースごとにヒントを見つけてきているので、なんとか踏ん張ってもらいたいですね。明日とにかく抜けないもてぎでどう戦うか、厳しいでしょうがふたりのドライバーとエンジニアには、連戦になるもてぎで”なにか”を見つけてもらいたい。山下選手に関しては、まず今回入賞を果たして次に繋げてもらいたいですね。

3号車・山下健太選手のコメント

山下健太 PHOTO

朝のフリー走行の走り出しから、持ち込みのセットが思うものでなく、タイヤのグリップ感を得ることができずにタイムも出ませんでした。午後からの予選に向けて結構大幅にセット変更を行うことで、結果としてはそれがいい方向に向かいました。迎えた予選では、Q1・A組でなんとか(Q2進出可能となる)7番手通過を果たしたのですが、変更したセットは路面が向上したコンディションに合っていました。残念ながらQ2止まりでQ3には行けなかったのですが、方向性を見ることができたのでそれは良かったと思います。今日はコースコンディションが良くなって、僕らのクルマに合ってきた感じがあったので、今年の予選では一番戦えたという感じです。決勝はまた予選と条件も異なる中での戦いになるので、まずは今シーズン初めての入賞を目指して頑張ります。

4号車・中山雄一選手のコメント

中山雄一 PHOTO

朝のフリー走行中のアクシデントですが、縁石に乗ってコントロールを失ってしまいました。ノーズを傷めたことで修復作業に時間が必要となりセッション中には再び走ることはできたのですが、セッティングの確認には時間が足りませんでした。テストができないまま予選を迎えたことに加え、アタックラップでもタイヤを温めきれずに自分のミスが出て、Q1では思うようなアタックができませんでした。まだ問題点を抱えた中で決勝に挑むことになるので、決勝朝のフリー走行で少しでも見直すことでいいフィーリングを得ることができればポジションを上げるチャンスもあると思うので、頑張っていきたいです。

3号車・阿部エンジニアのコメント

去年とは異なるセットアップを施してもてぎに持ち込みましたが、朝のフリー走行ではうまくいかなかったですね。予選に向けて去年のセットの主要な部分を用いて調整をしたのですが、結果としてはそれが良かったようです。もしもう少しアタック中のコンディションが良ければ、Q3でも行ける仕上がりだったと思います。今日はまだそこまで路面が出来ていなかったようです。Q2でクルマのパフォーマンスが上がったんですが、でもQ3進出までわずか1000分の9秒足らず……。予選でいきなり合わせるのは難しいですからね。明日の決勝ですが、去年もレースペースは悪くなかったのでそれを参考にしながら行こうかなと思います。一方、もてぎは連戦なのでそれも考慮しつつ、最後の準備を進めていきたいですね。

4号車・村田エンジニアのコメント

朝のフリー走行で思いもしないクラッシュがあったので、修復後はいろいろ安全上確認することも多くなり、予定していたメニューを試すことができなかったのは残念でした。また、Q1の予選ではアタックラップの1コーナーでオーバーランがあり、まとめることができなかったので、明日の決勝に向けてどう準備を進めようか思案しています。まず朝のフリー走行で確認作業を進めて挑みたいと思います。

二日目 決勝(8月29日・雲り/ドライ)

決勝レポート

もてぎ初戦は、厳しいレース内容に

予選日のような強い日差しが身を潜め、上空にはうっすらと雲が広がったツインリンクもてぎ。全日本スーパーフォーミュラ選手権第5戦の決勝を迎えた8月29日は、蒸し暑さは残るもののしのぎやすいコンディションの下で35周にわたる戦いを繰り広げた。その中で、KONDO RACINGでは3号車山下健太選手が10番手、また4号車中山雄一選手が19番手からスタートを切るも、存分なパフォーマンス発揮には至らず。厳しい結果に甘んじた。

前日、夜になって本降りの雨に見舞われたもてぎ。幸い決勝日は雨もすっかり上がっており、午前9時から始まった30分間のフリー走行でセッティング確認を始めた山下、中山両選手は決勝でのパフォーマンス向上に向け、時間ある限り煮詰めの作業を繰り返した。なおセッション終盤、パラパラと雨が落ちはじめ、ウェット宣言も出されたが、大きく崩れることなくそのまま走行を終了している。

午後2時、気温31度、路面温度36度の中、35周の戦いが幕を開ける。オープニングラップのV字コーナーで中団グループにいた5号車が体勢を崩し、多重接触が発生。山下選手はすでに8番手に浮上しており、また中山選手はこれを機にポジションを14番手へと引き上げる。なお、この状況を受けてコース上にはセーフティカーが導入され、停止車両の回収等の作業が行われた。レースは4周終了時点でリスタート、山下選手は6周目に15号車をパスして7位に浮上。後方車両との攻防戦を気にかけながら自身のポジションアップに努める。一方の中山選手も15番手から周回を重ねていった。

レースは10周を終え、ルーティンのタイヤ交換が可能となったことから、まず山下選手がピットイン。抜きどころが少なく、また僅差の戦いになるとラップタイムが伸びないもてぎのコース特性を考慮し、チームは決戦前から戦略として早めのタイミングでピットインの実施を計画していた。山下選手は、待ち構えたスタッフのすばやい作業で交換を終え、コースに復帰。翌周には中山選手も続き、タイヤ交換を行っている。フレッシュタイヤに熱が入り、ラップタイムが安定しはじめた12周目。山下選手がドライブスルーペナルティを消化するためにピット前を通過する。11周目走行中に提示されたペナルティだが、これはオープニングラップのV字コーナーで発生したアクシデントに起因するもので、この際、戦列を離れることになった5号車は山下選手との接触で挙動を乱してハーフスピン、加えてその後方の多重接触を招いたとされた。なお、実のところ後方の一件には、行き場が確保できず減速を強いられた中山選手の他車への接触も含まれていた。いずれにせよ、ポジションアップを狙ってスタートを決めていた山下選手にとっては残念な裁定となり、また、接触によってポジションを上げられなかった中山選手にとっても悔しいオープニングラップだったといえる。

タイヤ交換後は14番手で周回を始めた中山選手、そしてペナルティ消化により16番手までポジションを落とした山下選手。ともに後方から厳しい状況を突きつけられることになったが、そんな中でも山下選手は前後車両のライバルよりも速いラップタイムを刻み、攻めの走りを見せ続けた。また、中山選手も後方に迫るライバルとの僅差の戦いを凌ぎながら周回を重ねていく。残り10周を切る頃になると山下選手は前方との差を着実に削り取り、その差は1秒前後まで縮まってくる。だがもてぎのコースレイアウトゆえ、差が縮まるとタイムが伸びず、また抜きどころも確保できず、という悪循環。結局、前方に詰め寄るまでできたものの、逆転には至らずレースは終了。山下選手のふたつ前を走っていた中山選手も終盤は防戦一方に甘んじた。

躍進を狙ったKONDO RACINGだが、中山選手が13位、山下選手が15位に終わり、思いもしない厳しいレースウィークとなった今大会。続く第6戦も同じもてぎが舞台となるだけに、なんとしても不調の原因究明に尽力し、現状を打破することで面目躍如を果たしたい。

決勝結果

Pos. No. TEAM DRIVER TIME/DIFF LAPS Best Time
1 16 TEAM MUGEN 野尻智紀 59’07.562 35 1’34.225
2 19 carenex TEAM IMPUL 関口雄飛 1.038 35 1’34.012
3 51 B-Max Racing Team 松下信治 3.682 35 1’34.120
13 4 KONDO RACING 中山雄一 54.956 35 1’35.601
15 3 KONDO RACING 山下健太 56.527 35 1’34.860

参加台数:19台 出走台数:19台
規定周回数 35Laps

FASTEST LAP

No. TEAM LAPTIME
19 Yuhi Sekiguchi / carenex TEAM IMPUL 1’34.012

近藤監督のコメント

近藤監督 PHOTO

疲れるレースになりました。一方で、明るい兆しも見えるレースでした。ただ、今回は山下、中山の両選手がスタートでそれぞれ接触があって……。「タラレバ」にはなりますが、もったいない展開でしたね。山下の場合は充分入賞の可能性もありましたから。

その後は後方での走りになったので、どうしても今のチームの懸念材料でもあるラップペースの遅さがネックになりました。正直、あと0.5秒速くなければ勝負ができないと思いました。とはいえ、山下選手に関しては、ペナルティでポジションを落としたためにペースアップも難しい中でのレースになりましたが、上位を走ることができていたなら、もう少し速いタイムを出すことも可能だったのではないかという見方もしています。だからこそ、レース後の彼もかなり悔しそうでした。手応えがあったようなので、次に活かしてほしいです。チームとしてもドライバーとしても、またヤル気を奮い立たせるような”なにか”を見つけ出すことで、この先に繋げていきたいですね。

3号車・山下健太選手のコメント

山下健太 PHOTO

ポジションを上げるには、スタートに懸けるしかないなと思っていました。スタートは良かったんですが、(接触のあった)V字コーナーではそれほど突っ込んでいったわけでもなく、思った以上に(前方車両と)速度差があったようです。感触としては、車両後部にコツンと当たったようなものでした。仮にあの接触で(相手が)ハーフスピンせず堪えていたらまた状況が違ったとは思うのですが……。加えて、僕の後続車両が続けて衝突していたのでそれがまた痛かったですね。このアクシデントを受け、ペナルティは出るかもしれないとは思っていました。ただ(ペナルティが)意外とすぐに提示されず、(ルーティンの)ピットに入っても出なかったので、大丈夫だったのかなとも思ったのですが……。

今回のピットインのタイミングに関しては最小周回で行うことを決めていたので、予定どおりです。ペナルティが出たのでポジションをさらに下げましたが、基本的に速さを出すことは難しかったですね。とはいえ、周回を重ねる中で前を走る4号車(中山選手)と7号車(小高一斗選手)には追いつくことができました。でも抜くスピードはなかったですね。とにかく今回はポイントが獲れるレースを自分のミスで落としたことが悔しいです。ただ、自分としてはスタートで行くしかなかったし、追突したことは申し訳ないですが、あのときの勝負に関しては悔いはありません。次のレースがもてぎということもあり、クルマの確認(をさらに進める)という意味では、今度こそいい戦いができればいいなと思っています。

4号車・中山雄一選手のコメント

中山雄一 PHOTO

朝のフリー走行を終えた時点で、いい部分、悪い部分がある中で決勝を迎え、ペースこそ良くなかったのですが少なくとも改善した部分はあったと思います。スタート自体は前回のSUGO戦同様、調子よく行けました。ピットインのタイミングは予定どおりに行い、早めに順位を安定させて周回を重ねていこうという作戦でした。その後は前の1号車(山本尚貴選手)についていけず差を広げられ、逆にペースが上がらないために後方の7号車にずっと防戦一方で大変でした。抜かれにくいもてぎのコースだったので、なんとかポジションを守ることができました。

今回のレースウィークは土曜日の朝に自分のミスからチームにはすごく迷惑をかけることになりました。その分、レースでは自分の仕事をしっかりと全うしなければいけないなと思っていたので、その中で最低限の仕事はできたのではないかなと思います。

3号車・阿部エンジニアのコメント

スタートでのハプニングですが、あのポジションであれば、追突したりされたりのリスクが高いので、ある意味しょうがない部分もあると思います。一方、決勝セットを試した朝のフリー走行でも、(結果を出した)去年の開幕戦のセットに寄せていくことで調整し、レースに挑むことにしたものの、やはりまだ不調が続いてました。昨日と今日とではまた状況が変わってしまい、結果、調整も完全に終わらないままレースを迎えることになりました。SUGOのときもそうだったのですが、どうもスタート時に装着するタイヤの状態が良くなくて。2セット目のほうがタイムが上がるので、ピットインのタイミングはミニマムで行こうとレース前から決めていました。レース中の走りを見ていると、単独では中団グループと遜色ないそこそこのタイムが出ているのですが、前に追いついてその差が1秒を切るともうタイムが上げられないので……。クルマのパフォーマンスとしても、追いついたところで抜き去るポテンシャルはなかったですね。もうちょっと色んなところからクルマを見直すというか、見落としている部分があるのかもしれません。その”なにか”を見つけるために頑張ります。ドライバーとも、ここがダメかもしれないから次はこうしよう、という話もできているので、やることをしっかりやっていきたいと思います。

4号車・村田エンジニアのコメント

今回はレース中のペースが思いの外、上がらなかったですね。日曜朝のフリー走行では、決勝に向けての最終確認をしたところ、いいものが見つり、ドライバーとしても手応えがあるようでした。しかし、決勝になると状況が変わったのか、ペースアップが難しかったようです。ピットインのタイミングとしては、まず10周終わりで半数近くがピットインした翌周に動く(=ピットインする)ことでなにかチャンスが巡ってくればという考えでした。レースラップから判断しても、後に伸ばすメリットはさほどなかったですから。次のレースも同じもてぎでの開催になるので、これまでのデータと今大会で得たものをベースに、ドライバーからのインフォメーションも活かしながら、しっかりと準備したいと思います。

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