RACE REPORT
SUPER FORMULA
第7戦 鈴鹿サーキット
一日目 予選(10月30日・晴れ/ドライ)
予選レポート
今季最後の予選、手応えを掴んだアタックとなる
10月30日、三重・鈴鹿サーキットにおいて全日本スーパーフォーミュラ選手権第7戦の予選が行われた。今シーズン最終戦の戦いということもあり、ドライバーはもちろんKONDO RACINGとして集大成の戦いを見せるべく、予選から好成績を狙うべく意気込んだ。結果、3号車山下健太選手は11番手、一方、復帰2戦目の4号車サッシャ・フェネストラズ選手は8番手につけている。
国内の緊急事態宣言等が解除され、規制緩和も進む中で迎える最終戦。舞台となる鈴鹿サーキットはまさに小春日和の天気となり、穏やかな日差しに恵まれる。ファンにとっては絶好のレース観戦日和になる中、午前8時50分から1時間30分にわたるフリー走行が行われ、KONDO RACINGでは、早々に山下選手がこのセッションの自己ベストタイムとなる1分38秒139をマーク。手応えある滑り出しを見せた。一方、フェネストラズ選手のベストタイムは1分38秒480。セッション終盤にニュータイヤでのアタックシミュレーションでもこのタイムに肉薄するタイムをマークすることに。結果、山下選手は8番手、フェネストラズ選手は15番手でセッションを終了。予選に向け、さらにセットアップ作業に勤しむこととなった。
ノックアウト予選は午後1時50分にQ1・A組がスタートを迎える。午前のセッションから路面温度が6度ほど上昇。気温21度、路面温度30度の中でセッションが始まった。一方、この時期としては珍しく1コーナー方向からの風が吹くコンディションとなり、各車セッティングに調整を加えながらのアタックを行った。まず、Q1・A組に出走したのは、フェネストラズ選手。アウトラップからそのままピットインし、ピットでの作業を済ませて再度コースに向かった。まずアウトラップではじっくりとタイヤに熱を入れ、計測2周目をアタックラップに充てると、1分37秒866のタイムを刻む。結果、5番手でQ1突破を達成し、Q2へと駒を進めた。一方、B組出走となった山下選手。フェネストラズ選手同様のアプローチを行ない、計測2周目のアタックラップで1分37秒866をマーク。同じく5番手でQ2進出を果たしている。
迎えたQ2。Q1の10分間アタックからQ2は7分間と短くなるため、Q1のようなピットアウトーピットインは行わず、まずは各車揃ってピット前で待機。ほどなくしてタイミングを見計らってコースへと向かった。A組アタックのフェネストラズ選手は、4番手となる1分37秒796をマークしてQ3へと進出。一方でB組に出走した山下選手はQ1からセッティングを調整してコースへ。ワンラップアタックで1分37秒654をマークしたものの、6番手に。惜しくもQ3進出が可能となる上位4台に残れず、ここでアタックを終えることになった。
最終予選Q3は午後2時54分にスタート。今回も7分間での勝負となる。他の7台のライバルとともにコースへと向かったフェネストラズ選手だが、他の選手と異なるアプローチで予選に挑んでおり、すでに持ち込みのニュータイヤをすべて装着した状態。このため、ただひとりユーズドタイヤでのアタックとなった。結果、ライバルよりもタイムを伸ばすことが難しい状況となり、1分38秒279のタイムで8番手に留まった。しかしながら、復帰後2戦目にして攻めのアタックを見せたことにより、チームの士気が高まったことは言うまでもない。
シーズン最後の決戦は、日曜日午後2時に号砲。30周の戦いで、KONDO RACINGのふたりが見せるパフォーマンスに期待したい。
公式予選記録
Pos. | No. | TEAM | DRIVER | Q1 | Q2 | Q3 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 51 | B-Max Racing Team | 松下信治 | 1’37.846 | 1’37.031 | 1’36.717 |
2 | 64 | TCS NAKAJIMA RACING | 大湯都史樹 | 1’37.513 | 1’36.752 | 1’36.901 |
3 | 5 | DOCOMO TEAM DANDELION RACING | 福住仁嶺 | 1’37.723 | 1’37.269 | 1’36.933 |
8 | 4 | KONDO RACING | サッシャ・フェネストラズ | 1’37.869 | 1’37.796 | 1’38.279 |
11 | 3 | KONDO RACING | 山下健太 | 1’37.866 | 1’37.654 |
参加台数:19台 出走台数:19台
近藤監督のコメント
Q2でのタイムだけを見ると、(山下)健太もサッシャ(フェネストラズ)もあまり変わらないんですよね。だけど、全体的に少し行き切れなかった予選アタックでしたね。決勝のグリッドは前方にいる他の車両より健太の方が速いから、明日はいいレースをしてくれるんじゃないかなという期待を持っています。
とにかく少しでもいいポジションを獲ろうと、朝のフリー走行からしっかりとアプローチしていく中で、今大会がまだ2戦目となるサッシャは、積極的にニュータイヤでのアタックシミュレーションをしたんです。その結果、Q3で装着するニュータイヤは残っていなかったんですけどね。チームはもちろんドライバーとエンジニアにとってもQ3まで進出して8位以上を獲る、ということを優先させることにした結果です。
両選手とも決勝に向けてまだ調整すべきところはあると思う一方、ライバルチームとの差も僅かなのが、このスーパーフォーミュラです。明日の決勝は中団グループからのスタートゆえの心配もありますが、今シーズン最後の戦いでもあるので、存分に戦っていい結果を残してもらえたらいいと思います。2台揃って入賞、そしてチャンスがあれば表彰台という形で終えることができればうれしいですね。
3号車・山下健太選手のコメント
今回は、朝のフリー走行での走り出しのフィーリングが良かったので、そのイメージをもって予選に挑みました。Q1には朝のセッティングと同じ仕様でコースインしたのですが、路面コンディションも上昇していると思われる中、それに追随(してタイムアップ)することなくアタックが終わってしまった、という感じです。Q2に向けて、クルマを曲げたいとリクエストしました。ウィング等の調整をしてアタックに向かいましたが、Q1はQ2進出を考えて”安牌”で行ったので、その分Q2はそれなりにアタックに行くつもりだったのですが…。明日はシーズン最後の決勝なので、スタートをしっかりと決めて戦いたいと思います。
4号車・サッシャ・フェネストラズ選手のコメント
今日は朝のフリー走行でその都度ニュータイヤを装着してアタックシミュレーションなどをしっかりと行うアプローチをしました。僕がリクエストしたことであり、予選でQ3に進めば装着するニュータイヤがないこともわかっていました。でも、Q3までアタックできれば僕はもちろん、チームにとってもいいことだと判断しました。おそらく、フリー走行でこうしなければ、Q3への進出は叶わなかったのではないかと思います。いい判断ができたと思っています。フリー走行ではクルマのバランス調整に時間をかけて取り組みました。クルマにはもう慣れてきているので、その都度自信を持って走ることができるようになってきましたが、まだまだやるべきことはあります。走れば走るほどやるべきことがあると感じました。これからも確実にQ3進出ができるよう、取り組みたいですね。明日の決勝は全ドライバーがニュータイヤでスタートできる反面、タイヤの内圧調整に規制があるのでどういうレースになるのか……。ただ、楽しみであることに違いはありません。
3号車・阿部エンジニアのコメント
今日の予選では(タイムの)伸び代に欠けました。朝のフリー走行の入りは良かったのですが、最後になっても伸び代があまりないのが気になりましたね。周りが時間とともにタイムを削っているのに、うちはそうならなくて。とはいえ、0.1秒という差の中に多くのドライバーがいたので……。その一方で、午後の予選になっても同じ状態で今ひとつ伸びなくて……。正直、もう少し期待を持っていたのですが、そうはいかなかったですね。予選に向かう中で日差しもあったので、路面コンディションも良くなっていたし、全体的にタイムも上昇していたのですが(山下の)タイムが思うほど伸びず……。ドライバーからはグリップがない、というコメントもありましたし。セットアップの問題もありましたが、それだけがすべてでもないかと思います。明日はタイヤの内圧調整の規制もあるので、難しい展開になるのではないでしょうか。レースはもちろんですが、来シーズンの戦いも見据えてしっかりとやるべきことをやっていきたいと思います。
4号車・村田エンジニアのコメント
今回、サッシャ(フェネストラズ)自身が、Q3まで残りたいので朝のフリー走行でニュータイヤを積極的に装着したいと希望しました。チームとしてこれを受け、それに応える形で準備を進めました。フリー走行で下位だったのは、アタックシミュレーション中に黄旗が出ていたために最後までアタックできなかったからだと思います。決してパーフェクトな状態ではないですが、それなりの手応えを得ることができました。結果的に予選で装着するニュータイヤがなくなるため、必然的にQ3はユーズドタイヤでのアタックになりました。まずQ1は意外と路面がいい状態ではなかったようですが、うまく合わせてくれました。Q2ではちょっとバランスがアンダー方向になって、合わせ切れなかったですね。まだ詰め切れない部分が残りました。今回、ホンダエンジンユーザーが健闘していたこともあり、Q3でニュータイヤがあったとしてもさほど結果に違いがあったとも思いません。彼の現状を考えれば、上出来だったとも言えるでしょう。決勝に向けて、まだ見えていない部分があるため、明日のフリー走行でしっかりと確認できればと思います。
二日目 決勝(10月31日・晴れ/ドライ)
決勝レポート
今シーズン集大成の戦いは、2台揃って入賞!
シーズン最終戦の決勝レースを迎えた鈴鹿サーキット。朝はウェットコンディションの中でフリー走行2回目が行われたが、午後2時からの決勝を前に、天候はどんどん回復。30周のファイナルレースはドライコンディションでの戦いが可能となった。KONDO RACINGの3号車山下健太選手は11位からスタートし、6位でチェッカー。また、8番手スタートのサッシャ・フェネストラズ選手は7位となり、2台揃って入賞を飾る形で最終戦を終えている。
決勝日の朝は天候が一転。2回目のフリー走行は雨のスタートとなる。足元にはウェットタイヤが装着され、セッションが始まったものの、走行を続けるにはまだコース上の水の量が十分とは言えない状況。だが、30分のセッション終盤になると雨がしっかりと降り出すなど、不安定なコンディションの中で午後の決勝に向けて準備を進めることを強いられた。なお、このセッションでのKONDO RACINGは、3号車山下選手が11番手、4号車サッシャ・フェネストラズ選手が12番手となっている。
決勝グリッドに整列した全19台。足元には追加供給された新しいスリックタイヤが装着されている。朝はウェットコンディションの不安定な状況だったが、薄曇りながら決勝前にはドライへと回復、ドライコンディションでの決戦を迎えた。気温21度、路面温度25度と前日よりやや温度が下がる中、フォーメーションラップが始まったが、なんと西コースあたりで再び雨が確認され、この先の天候が気になる中でのスタートとなった。
フェネストラズ選手、山下選手とも好スタートを切りってポジションアップのチャンスを伺う一方で、上位陣も激しい攻防戦を展開。まず、オープニングラップはフェネストラズ選手が8位をキープ、山下選手は10位へと順位を上げる。その後、2周目にはウェット宣言が出されたが、幸い天候は崩れることなくその後はすっかり回復した。
レースは、フェネストラズ選手が前方の6号車と抜きつ抜かれつのポジション争いを繰り広げ、また山下選手は2周目に37号車を逆転。9位で不安定な路面に細心の注意を払いつつ、周回を続けていくことになる。その後、レースではトップ51号車にジャンプスタートのペナルティが出たり、スタート直後のバトルによる接触を受けてのペナルティを受ける車両が出るなど、慌ただしい展開へと形を変えていく。一方、ルーティンのピットインは山下選手が10周終了時に、またフェネストラズ選手はその翌周、11周を終えて実施。ともに多くのクルマが同時ピットインを行ったため、ピットが騒然となった。その中でフェネストラズ選手は作業にやや時間を取られてしまったこともあり、逆にスムーズな作業でコースに復帰を果たした山下選手が、フェネストラズ選手の前に出ることに成功する。
今回、最後の車両がルーティンワークを終えたのが残り3周という遅いタイミングとなったが、タイヤ交換後の山下選手は6位、またフェネストラズ選手は7位で順調に周回を重ね、安定したペースを刻んでいった。中でも山下選手は9秒近くあった前方車両との差を着実に縮め、最後は6秒前半まで追い詰める走りを披露。また、フェネストラズ選手も復帰わずか2戦ながら、ミスなく攻めの走りを見せ続けた。最終的に、ふたりとも中盤以降はポジションアップの好機に恵まれることはなかったが、今シーズンを締めくくる戦いとして、手応えを得る形でチェッカーを受けている。今回、2台がともに入賞を果たしたことで、来シーズンへの取り組みはじめさまざまな要素においていい流れを呼び込むことへとつながったはず。シーズンオフのテストを精力的に行うことで、来シーズンこそしっかりと上昇気流に乗って力強い戦いを目指していく。
決勝結果
Pos. | No. | TEAM | DRIVER | TIME/DIFF | LAPS | Best Time |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 5 | DOCOMO TEAM DANDELION RACING | 福住仁嶺 | 51’37.552 | 30 | 1’41.234 |
2 | 20 | carenex TEAM IMPUL | 平川 亮 | 1.316 | 30 | 1’40.652 |
3 | 16 | TEAM MUGEN | 野尻智紀 | 8.709 | 30 | 1’40.637 |
6 | 3 | KONDO RACING | 山下健太 | 32.990 | 30 | 1’41.681 |
7 | 4 | KONDO RACING | サッシャ・フェネストラズ | 37.330 | 30 | 1’41.725 |
参加台数:19台 出走台数:19台
規定周回数 30Laps
FASTEST LAP
No. | TEAM | LAPTIME |
---|---|---|
16 | Tomoki Nojiri / TEAM MUGEN | 1’40.637 |
近藤監督のコメント
ふたりともがんばっていい戦いを見せてくれました。この戦いが今シーズンの開幕戦だったら……という思いがありますね。今シーズンはドライバーもエンジニアも苦労することが多かったのですが、ようやくサッシャ(フェネストラズ)が復帰し、やっとチームらしくなってきたかなと改めて思いました。このままの体制をキープしながらシーズンオフのテストをしっかりと行ない、来年の開幕を万全な形で迎えることができればと思っています。いい流れに乗れたなら、来シーズンは間違いなくドライバー、チームのタイトル争いに加われるのではないでしょうか。しっかりとがんばっていきたいですね。昨日の予選と比べても、今日の決勝は順位もそうですがみんながしっかりといい仕事をしたと思います。良かったです。これで満足することなく、全体的にネジを締め直していきたいと思います。
3号車・山下健太選手のコメント
スタートは決まりました。2台抜いてポジションアップできたのは良かったです。その後のルーティンのピットインですが、今回は4号車が予選で前のポジションだったので彼に優先権がありましたが、向こうは11周目のピットインを想定していたので、こちらは1周先に走ることにしました。作業もうまく行って、ポジションを上げることができたし、クルマも今シーズンのレースの中では結構いい感触でした。確かに上位4台は速かったですが、5番手の大津(弘樹)選手には追いつくことができました。クルマとしてはバランスなどまだまだ改善したいところはありますが、これまでの中で一番いい状態だったと思います。この前のもてぎからクルマはいい方向に向いてきたので、もう少し作業を進めていければ、と思っています。今シーズンは、スーパーフォーミュラ参戦以来、ワーストのシーズンだったので、オフシーズンのテストでしっかりと準備して来シーズンに備えたいと思います。
4号車・サッシャ・フェネストラズ選手のコメント
復帰2戦目のレースながら、入賞を果たすことができてポイント獲得につながったのはとてもうれしいです。いい戦いができたと思います。今日はまずスタート直後から6号車とバトルになり、まず1コーナーで逆転しました。序盤にピットインし、それからあとはつねにチームメイトの(山下)ケンタの後方で走ることになりました。ただ、途中で4台の接近戦を130Rでも繰り広げました。かなり際どいバトルでしたが、こういう戦いもできて良かったです。一方で、ピットインの作業では時間がかかってしまい、ポジションを上げることができなかったのは残念でした。しかしながら、今シーズンはレースという実践が叶わない時間が長く続いたことを考えると、今日の結果には喜んでいるし、チームにも貢献できたのでうれしいです。今後は優勝を目指してしっかりと改善することで進化していけたらと思います。
3号車・阿部エンジニアのコメント
クルマも出来も含め、レースではとりあえず今シーズンベストな戦いができたのではないでしょうか。(山下)健太も、そう言ってくれましたし、良かったと思います。朝のフリー走行がウェットになってしまい、決勝に向けてのドライセッティングの確認ができないままスタートを迎えることになりました。とはいえ、ここ2戦でクルマの方向性がちょっと見えてきていたので、今回はその延長上で準備しました。結果、今までと異なるなるポジティブな変化がありましたね。まだ足りない部分はありますが、方向としては間違っていなかったと思えば、今回は現状で出来うる一番のことができたのではないでしょうか。来シーズンに繋がると思います。ピットインのタイミングですが、事前に4号車が11周目ピットインするとのことだったので、こちらは最小周回数の10周目で入れることにしました。終盤、前を走る15号車とのペースもさほど変わらず、タイムを詰めることにもなりました。まだまだクルマとしてやらなければならないこともありますが、オフシーズンのテストはポジティブなテストができると思っています。12月のテストでそこそこ上位にいることができればいいなと思います。
4号車・村田エンジニアのコメント
ピットインは目処として11周目を考えていました。一応想定どおりの作業でした。何事もなく作業が終えられていたら、また結果も変わっていたかもしれません。わずか2戦目にしていい走りを見せてくれたのは良かったと思いますし、クルマの調整も完全ではない中で今日のような走りを見せてくれているので、彼が速さのあるドライバーであることは間違いないと思います。クルマとしてまだできること、やらないといけないことはたくさんあるし、それに加えて速いドライバーなので今後が楽しみです。