RACE REPORT

SUPER FORMULA

第7戦 モビリティリゾートもてぎ

一日目 予選(8月20日・曇り/ドライ)

予選レポート

フェネストラズ選手は 2 番手に。山下選手は 7 番手グリッドを獲得

8 月 20 日、栃木県・モビリティリゾートもてぎにおいて全日本スーパーフォーミュラ選手権第 7 戦が行われ、早くも今シーズンの終盤戦を迎えたスーパーフォーミュラ。今回のもてぎ大会は土曜、日曜にそれぞれ予選と決勝を行う 2 レース制となる。ストップ&ゴーのレイアウトを持つこのサーキットは、まず予選で好位置につけることが大事となるだけに、ワンデーレースという慌ただしい中で、チーム総力を上げて戦いに挑まなければならない。

第 7 戦は薄曇りの中でスタート。サポートレースの予選で赤旗が出たことにより、当初より 15 分遅れとなる午前9 時 20 分からノックアウト予選が始まった。気温 26 度、路面温度 35 度は前日行われた専有走行時よりかなり低いコンディションとなっている。
Q1 は A 組、B 組に組み分けし、A 組に山下選手が出走。ユーズドタイヤで路面状況を確認するかのようにアウトラップを終えてピットイン。タイヤを交換するとしばしピットでコースインのタイミングを見計らい、残り 4 分を切ってからコースへと戻る。アウトラップを経て、2 周目にマークしたのは 1 分 31 秒 419。5 番手につけて Q2進出を果たすこととなった。続いて B 組でアタックを行ったフェネストラズ選手。前大会で大きなクラッシュがあり、今大会からシャシー、エンジン、ギアボックスすべてを新たにして臨むことになる。山下選手同様、まずはユーズドタイヤでのアウトラップを終えてピットへ。ニュータイヤを装着し、残り 5 分強の時点で他車よりも早めのタイミングでコースへ向かうと計測 2 周目に 1 分 31 秒 182 をマーク、暫定トップにつけた。その後、遅れてアタックした他車がタイムアップを果たしたため、フェネストラズ選手は 5 番手となったが、見事 Q1 を突破。KONDO RACING の 2 台が揃って Q2 に挑むこととなった。

午前 9 時 55 分、12 台による Q2 がスタート。7 分のセッションが始まると山下選手はユーズドタイヤですぐコースに向かい、アウトラップを終えてピットに戻る。一方、残り時間 4 分半の時点でそれまでピットで待機していたフェネストラズ選手はニュータイヤでコースへ向かうと、山下選手もこれを追うような形でコースインした。全 12 台がアタックを競うコース上はトラフィックも見られたが、そのタイミングを利用したフェネストラズ選手は真っ先にアタックラップを決めて、1 分 30 秒 739 をマーク。トップに躍り出る。だが、その直後にこのタイムを上回るクルマが現れ、結果 2 番手に。一方、山下選手は他車よりも遅いタイミングでアタックを始め、1 分 30 秒 962 のタイムを刻んで 7 番手のグリッドを獲得した。

公式予選記録

Pos. No. TEAM DRIVER Q1 Q2
1 64 TCS NAKAJIMA RACING 山本尚貴 1’31.254 1’30.423
2 4 KONDO RACING サッシャ・フェネストラズ 1’31.182 1’30.739
3 65 TCS NAKAJIMA RACING 大湯都史樹 1’30.840 1’30.801
7 3 KONDO RACING 山下健太 1’31.419 1’30.962

参加台数:21台 出走台数:21台




二日目 決勝(8月20日・雨/ウェット)

決勝レポート

フェネストラズ選手は 2 位、山下選手は 6 位。2 台揃って入賞

予選アタックから約 4 時間半後に迎えた決勝。限られた時間を最大限活用し、チームではレースに向けてデータを元にセットアップの確認など、細かな作業に取り組んだ。ところがレースを前に、コンディションが激変。午後 2 時 30 分からのスタートを待つ間、曇天模様の上空からにわかに雨が落ち始め、あっという間にウェットコンディションに姿を変えてしまった。本降りの雨となりウェット宣言が出たために、レースはタイヤ交換義務を伴わないフォーマットへ変更され、加えてスタンディングスタートからセーフティカー先導によって 37 周の戦いが幕を開けた。

グリッドを離れた 21 台の車両が高く水煙を上げながら周回。セーフティカーランは 3 周におよび、レースは 4 周からスタートを切る。視界も存分に確保できないほどの劣悪コンディションの中、2 位スタートのフェネストラズ選手、さらに 7 番手の山下選手は共にポジションキープでオープニングラップを終了。滑りやすい不安定な路面に全集中しながら周回を重ねていく。11 周目には、フェネストラズ選手が V 字コーナーでタイヤをロックアップさせるというヒヤリとしたシーンも見受けられたが、前とのギャップを広げただけに留まり大事には至らず。一方の山下選手は 14 周目に入ると、前方車両のトラブルを受けて 6 番手に浮上した。

レースは折り返しを迎え、なおもハイペースでトップ車両にアプローチを続けるフェネストラズ選手だったが、降り続く雨、そして周回を重ねたタイヤでの猛追が次第に厳しくなってくる。28 周目には、ビクトリーコーナーでコースアウトした車両の回収にセーフティカーがコースインし、30 周終わりでリスタートとなったが、強まる雨脚に太刀打ちするのはさすがに難しい状況。また、山下選手も粘り強く前後車両と差を広げたり縮めたりする走りを見せたが、最終的には共にリスクを避けて周回を重ねることに集中し、このままチェッカーを迎えた。なお、今回は今シーズン初めて 2 台揃っての入賞となった。

決勝結果

Pos. No. TEAM DRIVER TIME/DIFF LAPS Best Time
1 64 TCS NAKAJIMA RACING 山本尚貴 1:14’32.841 37 1’49.399
2 4 KONDO RACING サッシャ・フェネストラズ 5.337 37 1’49.926
3 1 TEAM MUGEN 野尻智紀 7.210 37 1’50.419
7 3 KONDO RACING 山下健太 16.112 37 1’50.947

参加台数:21台 完走台数:21台

FASTEST LAP

No. TEAM LAPTIME
64 TCS NAKAJIMA RACING SF19 1’49.399

近藤監督のコメント

近藤監督 PHOTO

急な雨になり、抜くこともできなかったですが抜かれることもなかったレースになりました。ドライバーふたりは粘りの走りを見せてくれました。レース中、雨の影響でヘルメットのシールドが曇り、少し開けたら中に雨水が入ってくるという事態になったらしく、抜こうと思って前に近づいたらヘルメットに雨が入ってくるという難しい状況だったと報告を受けました。決勝直前の雨を考えると、予選でいいポジションにいたことが味方になりました。特にもてぎでは予選が勝負になると思っていたので、それが結果につながりましたね。サッシャ(フェネストラズ)は、今回からクルマを修復して新しくなったことでフィーリングがしっくりこないと言ってはいましたが、でもその中でうまく調整して強い走りを見せてくれました。一方で(山下)健太も難しいポジションの中、しっかりと走り抜いてくれました。予選もあと少し、というところでの速さを見せているので、明日もふたり揃っていい戦いをしてくれると信じています。さらに上を目指して頑張ります。

3号車・山下健太選手のコメント

山下健太 PHOTO

専有走行での手応えとしては、トップを狙うにはちょっと難しいのではというものでした。一方で、予選に向けてはだいぶ修正できたのですが、その中で Q2 ではトラフィックが酷くて、タイヤのウォームアップがうまく行かず、セクター 1 で 0.2 秒ほどロスが出ました。結果としてタイムにもそのまま影響した感じです。また、レース直前の雨は予想外でした。セットもほとんど変えないままレースに挑んだのですが、レース中には雨は止んでドライアップしていくだろうと思っていたのでタイヤの内圧も低めにしてスタートしました。ところが、予想以上に雨が降ってきて。色々予想が外れたものの、幸いポジションはキープできるくらいのスピードがあったのは良かったと思います。やはりもてぎでは予選とスタートが大事だと再認識したので、明日の予選はもっと頑張ります。

4号車・サッシャ・フェネストラズ選手のコメント

サッシャ・フェネストラズ PHOTO

いい戦いが出来ました。2 位になることができて本当にうれしいです。レース直前に雨が降り出して、スリックからウェットへとタイヤ交換してレースができたのは良かった一方、本降りのためにあまり大きな動きに出ることはありませんでした。まずは自分のポジションをキープしてレースをしようと思いました。一方でヘルメットのバイザーに雨が入って見えなくなり、11 周目にはタイヤをロックアップさせてしまってコースアウトしたことで前との差をさらに広げてしまったのですが、大事には至らず、その後は落ち着いて走ることを心がけました。セーフティカー明けには逆転を狙ってプッシュしようとも思いましたが、リスク回避して 2 位で終えることができて良かったと思っています。

3号車・阿部エンジニアのコメント

雨が降り始めたものの、そのまま降り続けると思わなかったので、クルマのセットはほとんど変えずにレースに臨みました。意外と雨が降ったなという感じでした。一方で、雨が本降りになる中、クルマとしてはしっかりと走ってくれたと思います。また、今日のレースでは、どのドライバーも(バイザーが曇り)前がよく見えなかったそうです。金曜の専有走行ではフィーリングもさほど悪くなかったです。最後にニュータイヤでアタックした時はトラフィックもあって、タイムを伸ばせませんでしたが、それがなければ、というものでした。ただ、今日は路気温が下がったので、少し状況が変わりましたが、それでももうちょっとで Q1 では 3、4 番手に行けたと思いました。ただウェットレースでのキャラクターの見極めがまだ必要だとも感じています。

4号車・村田エンジニアのコメント

シャシー、エンジン、ギアボックスといったクルマの骨格の部分を新調したこともあり、それまでのフィーリングと変わってしまった上に、また細かいトラブルも起こりました。ただ、このサーキットは予選が大事だし、また今回は 2 レースあるので、金曜の専有走行では決勝に向けての確認よりも予選に向けてアジャストすることに集中して臨みました。決勝直前に雨が降り始めたので、少し雨向けのセットアップとして調整はしました。ただ本人はレース中にバイザーが見えなくなったことをかなり気にしていたようです。その中でドライバーがしっかりと頑張り結果へと繋がったと思います。

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