RACE REPORT

SUPER FORMULA

第8戦 戦鈴鹿サーキット

予選&決勝(10月28日・晴/ドライ)

予選&決勝レポート

クラッシュで赤旗終了。予選の巻き返しを狙うもかなわないレースに

2023 年10 月28 日、三重県の鈴鹿サーキットにおいて、全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)のシーズン最終大会が行われた。開幕大会以来、2 度目の1 イベント2 大会制フォーマットとなる今大会は、27 日(金)に1 時間30 分の練習走行が設けられ、28 日(土)に第8 戦の予選・決勝、29 日(日)に第9 戦の予選・決勝というスケジュール。土曜日と日曜日はいきなり本番になるため、金曜日の練習走行がセットアップを仕上げる唯一の時間となるが、KONDORACING の4 号車を駆る小高一斗選手は、開始早々に1 コーナーでコースオフし、車両にダメージを負ってしまう。これにより、小高選手は走行を終えることに。一方3 号車の山下健太選手は1 時間30 分のセッションを走り切り、最後の予選アタックシミュレーションでは全体の6 番手タイムとなる1 分39 秒299 をマーク。上々の走り出しとなった。

鈴鹿サーキットは金曜日の夜半に突然の雷雨に見舞われたが、一夜明けた上空は青空が広がり、絶好のレース日和に。今大会は併催イベントの効果もあり、土曜日から17,500 人を超えるモータースポーツファンが鈴鹿サーキットに詰めかけた。そんな中で、まずは第8 戦の決勝スターティンググリッドを決める公式予選がスタートする。

2 組に分けられるQ1 は、A 組に山下選手が、B 組に小高選手が出走。山下選手は、まずはユーズドタイヤでコースと車両のチェックを行ったのちに、ニュータイヤに履き替えてアタック。前後車両との間隔も開け、問題なくアタックできた山下選手は、1 分38 秒102 と、トップタイムから約0.3 秒差の4 番手で難なくQ1 を突破。B 組のセッションを挟んで行われたQ2 は、アタックラップにコースを飛び出した車両があったことから赤旗中断。仕切り直しとなる。もう1 セット新品タイヤを投入して結果的にタイムを大幅に削ったライバル勢に対し、山下選手はタイヤを履き替えずに再度アタック。結果、自身のQ1 タイムから約0.2 秒のタイム更新で8 番手。第8 戦決勝は4 列目グリッドからのスタートとなった。Q1 のB 組に出走した小高選手は、Q1 突破タイムに0.25 秒届かず9 番手で予選終了。総合結果では、15 番グリッドを得ることとなった。

予選終了から約3 時間半。決勝レースがスタートした。気温、路面温度ともに予選時よりは上昇しているが、強い追い風は冷たく、思ったほどコンディションは上がっていない。フォーメーションラップを終えていよいよスタート。「スタート自体は良かったです」とレース後にコメントする通り、山下選手はシグナルのブラックアウトと同時にタイミングのいいクラッチミートで動き出すが、1 コーナーではアウト側に並んでいた9 番手の車両にかわされ1 つポジションダウンしてしまう。オープニングラップではS 字コーナーでさらに1 台の先行を許し、10 番手に。車両が思うように曲がらないアンダーステアの傾向が出ているなか、2 周目に入った1 コーナーでさらに1 台が山下選手を襲い、これでポイント圏外の11 番手までドロップしてしまった。一方の小高選手も順当なスタートを切り、1 コーナーでは1 つ後ろの車両に並びかけられはしたものの、位置取りのおかげもありポジションをキープしてオープニングラップを消化。2 台とも、まだ集団で走行している序盤のうちにポジションアップを狙っていた4 周目、17 番手と18 番手を走行中の車両が130R で接触し大クラッシュが発生する。レースはすぐにセーフティカー(SC)が入り、そのまま赤旗中断に。幸い2 台のドライバーの無事は場内アナウンスですぐに伝えられたものの、クラッシュの影響で130R のデブリフェンスが支柱から倒れてしまい、その修復がすぐにはできないことからレースはこの赤旗を持って終了となった。レース結果は3 周完了時点での順位となり、山下選手は11 位、小高選手は15 位。レース中の巻き返しを狙っていただけに残念な形でレースの終了を迎えることとなった。

シーズンは明日が本当の最終戦。どのドライバーもいい形でシーズンを終えられるよう全身全霊で挑む1 戦だ。今日のレースは思わぬ形で終了を迎えた山下選手と小高選手もそれは同様。1 年の集大成を見せるため、第9 戦もチーム一丸で上位フィニッシュを目指す。

公式予選記録

Pos. No. TEAM DRIVER Q1 Q2
1 1 TEAM MUGEN 野尻 智紀 1’37.575 1’37.292
2 37 VANTELIN TEAM TOM’S 宮田 莉朋 1’37.873 1’37.599
3 5 DOCOMO TEAM DANDELION RACING 牧野 任祐 1’37.880 1’37.637
8 3 KONDO RACING 山下 健太 1’38.102 1’37.935
15 4 KONDO RACING 小高 一斗 1’38.524

参加台数:22台 出走台数:22台


公式決勝記録

Pos. No. TEAM DRIVER TIME/DIFF LAPS Best Time
1 1 TEAM MUGEN 野尻 智紀 5’05.621 3 1’41.691
2 37 VANTELIN TEAM TOM’S 宮田 莉朋 0.913 3 1’41.107
3 6 DOCOMO TEAM DANDELION RACING 太田 格之進 1.799 3 1’42.123
11 3 KONDO RACING 山下 健太 9.529 3 1’43.499
15 4 KONDO RACING 小高 一斗 12.521 3 1’43.499

参加台数:22台 出走台数:22台
SC導入時刻 :14:41’41(4Laps)
赤旗提示時刻 :14:42’24(4Laps)
赤旗提示によりレース終了し、3周完了時点の結果を採用した。(全日本スーパーフォーミュラ選手権統一規則第34条2.11))

近藤監督のコメント

近藤監督 PHOTO

健太は、予選の一撃に関してはなんとかドライバーとエンジニアの知恵を絞って当たり前のようにQ1 突破はやってきてくれるけど、決勝になると曲がらない、トラクションがないっていう形が1 年間ずっと続いていて、変わらずに最終大会まで来てしまいましたね。ドライバーとしてはまり込んでしまっている。もちろん、チームとして彼の速さを活かしきれていない部分もあるかもしれませんが、クルマ、スタッフ、3 号車のパッケージはうちを卒業していったサッシャ(・フェネストラズ)と同じもので決して悪くはないはず。今日はレースが途中で中断となってしまい、通常の距離を走ってクルマの状態を見ることはできませんでしたが、明日はもうそんなことは関係なく、思いっきりクルマをいじってもいいので、もうビリか優勝かどちらかぐらいの気持ちで、思い切っていってほしい。小高に関しては、昨日のようなくだらない失敗はあるし、もう少しリザルトを残してほしいという希望はあるけれど、伸びしろも見えています。予選が予選だけに、決勝に向けてギャンブルチックな勝負にでることもできるからか、レース当日は健太よりも小高の方がいい表情をしていると感じることが多いですね。明日は、今シーズンこれがベストだっていうレースをしてもらいたいです。

3号車 山下健太選手のコメント

山下健太 PHOTO

金曜日のフリープラクティスから調子は悪くないのですが、トップタイムを狙うにはまだいろいろと足りていない状況でした。あとから見返してみると、どこが特に悪いというのではなく、セクター全てが少しずつ足りていない感じです。自分としても車の欲しい部分はいろいろあって、金曜日のうちにはその解決までは行きませんでした。予選はQ2 には進出できたけどトップ争いには届かない、金曜日の通りの結果でした。決勝のスタートは良かったものの、フロントタイヤが温まらずアンダーステアを出しているうちにパスされてしまい、順位を取り戻す前にレースが終わってしまいました。今回はあと1 レースあるので、少しでも今の課題を解決してポジティブな形でシーズンを終えたいです。

4号車 小高一斗選手のコメント

小高 一斗 PHOTO

フリープラクティスでのクラッシュが今日の予選、決勝に響いてしまいました。本番前にセットアップを進めるのはこのセッションしかなかったので……。今回に向けてクルマをガラッと変えてきたのですが、いざ走り出すと本当に信じられないくらい変わっていて、本当ならここからセットアップを進めて今日の第8 戦に臨みたかったのですが、やりたかったメニューをこなすことができずにぶっつけ本番になってしまいました。Q1 突破までコンマ数秒でしたし、前回(第3 戦)の鈴鹿のことを考えるとすごくもったいなかったです。明日の予選、決勝に向けて切り替え、いいレースでシーズンを締めくくれるよう頑張ります。

3号車 村田卓児エンジニアのコメント

予選、決勝を通じて、そんなにいいわけでも、逆に悪いわけでもないという状況です。予選は途中で赤旗が出てしまったので、最後のアタックは中古タイヤのママで行きましたから、タイム的にはあんなものだったと思います。決勝は数周しか走っていませんが、あまりセットとしては良くなかったので、明日の最終戦に向けていろいろと悩んでいます。

4号車 阿部和也エンジニアのコメント

金曜日の練習走行をきちんと走れていれば、今日の予選もQ2 には通れたかなと思います。単純に持ち込みの状態そのままのクルマで予選に臨むことになりましたが、それでもそれなりには走ってくれました。本人も昨日のクラッシュが頭にあって少し抑え気味だったのかなと思いますが、それであのトップからのタイム差だったことを考えると、非常にもったいなかったという思いはあります。でもレースをやっている以上、クラッシュは仕方のないこと。第3 戦では予選パフォーマンスは良かったものの決勝のバランスは良くなかったので、それを見直してきたのですが、今度は少しピーキーな動きになっていました。ただ第3 戦の課題に対してやってきたことは間違いではなかったことが分かっています。今日はレースも数周で終わってしまいましたし、トータルで考えると20 周も走っていません。明日に向けてできることもやっていきますが、ドライバー側も、2 か月のインターバルで臨んだ今日よりももっと勢いのある攻めた走りを見せてくれると期待しています。

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