RACE REPORT

SUPER FORMULA

第2戦 富士スピードウェイ

第2戦(4月9日・晴/ドライ)

予選&決勝レポート

気迫の走りで、山下健太選手が待望の 3 位表彰台を獲得

富士スピードウェイにおいて全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)の第 2 戦が開催された。1 大会 2 レース制の 2 レース 目は、この週末一番の好天の中で繰り広げられた。前日の第1戦で山下健太選手の 3号車は他車との接触アクシデントに遭い車両にダメージを負ったが、チームスタッフが夜半までかけ懸命に作業を行い修復。山下選手もチームの頑張りに応える走りを誓った。

今回のレースでは通常のノックアウト予選が実施。Q1 のグループ分けは第 1 戦の結果をもとにしたドライバーランキング順で振り分けられ、山下選手が A 組に出走。全 11 台の中では最後にアタックを行い、トップとわずか 0.031 秒差の 1 分22 秒 610 をマーク。見事 3 位で Q2 進出を決定した。続く B 組は、コースコンディションも向上したかトップタイムは A組よりも約 0.5 秒速いタイムが記録された。熾烈な争いの中、この組に出走した小高選手のタイムは 1 分 23 秒 426にとどまり、残念ながら Q2 進出はならず。総合順位で 17 位となった。なお、予選後に 1 台の車両がエンジン交換を行ったため、小高選手は 1 つ繰り上げの 16 番グリッドを手に入れている。

Q1 の各組上位 6 台、計 12 台でポールポジションを争う Q2 は、山下選手からアタックが開始された。渾身の走りでたたき出されたタイムは 1 分 21 秒 792。この後 5 台の車両が山下選手のタイムを上回り、最終順位は 6 位に。前日の雪辱を誓う第 2 戦は 6 番グリッドからスタートすることとなった。

好天は午後も続き、雪化粧をまとった富士山が見守る中で 41 周の決勝レースがスタート。山下選手は抜群のスタートを決めて 1 ポジションアップし、5 番手でオープニングラップを終えると、ペースの上がらない 1 台を 4 周目にオーバーテイクし 4 番手に浮上。表彰台を狙える位置でレース序盤を走行する。7 周目に 1 コーナーで 2 台の車両が絡むアクシデントが発生し、セーフティカーが導入された。車両回収とコース清掃に時間がかかり、タイヤ交換のためのピットウインドウが開く10 周目に到達してしまう。少しでもロスタイムを短くしようと、コース上にいた車両はそのほとんどが一気にピットイン。 KONDO RACING も、4 番手を走行する山下選手と、ペースが上がらず下位集団で苦戦を強いられていた小高選手の 2 台を同じ周にピットインさせる。ステイアウトを選択した車両が 1 台いたため、暫定順位では 1 つポジションを下げたように見えるが、実質 4 番手をキープして山下選手はコース復帰。小高選手はピット作業で 2 台抜きし、17 番手までポジションを取り戻した。

13 周目にレースはリスタートが切られ、各車が接近した状態から再び激しいバトルが始まった。山下選手は前後の車両合わせて 3 台の集団の中で表彰台争いを展開。21 周目にはホームストレートで一気に前の車両との差を詰め、1 コーナーで勝負に出る。ここで 1 コーナーをクリアするポイントで車両の挙動が乱れ、ポジションアップはかなわず。逆に後方の車両に詰め寄られ、サイドバイサイドに持ち込まれてしまった。一歩も引かないという気迫の伝わるライン取りで相手をおさえた山下選手だったが、翌 22 周目のホームストレートで攻略され暫定 5 番手にポジションダウン。ちょうど 1 周前のバトルでオーバーテイクシステム(OTS)を作動させたため、この周は OTS が使えない時間帯になっていたのだった。

山下選手は先行を許したものの引き離されることはなく、2 秒前後の間隔で一進一退の攻防を繰り返していく。上位集団の中でタイヤトラブルを抱えた 1 台が後退し、山下選手と 1 つ前を走るライバルとの争いは表彰台の一角をかけた戦いに。ただタイヤ交換を行ってから 20周を過ぎるころになるとラップタイムにわずかながら差が付くようになり、両者の差は 3秒まで広がってしまう。OTS を駆使して勝負を仕掛けられる距離まで詰めたい山下選手だったが、ここで思わぬ情報が飛び込んできた。前を行く車両に、セーフティカーラン中の手順違反によりレース結果へ 5 秒のタイム加算ペナルティが科せられた。相手との差を 5 秒以内に収めることができれば表彰台を獲得することができる。時折、前を走る車両よりも速いラップタイムで周回し、じわじわとギャップを削っていくと、ファイナルラップを目前にして、その差は 1.7 秒に。最後まで攻めの姿勢を貫く走りで 41 周を走り切り、4 番手でチェッカーを受けた。このあとレース結果にペナルティが反映され、山下選手は 3位表彰台となった。2020 年の開幕もてぎ大会以来、トップ 3 フィニッシュを果たした。

小高選手は 14 位フィニッシュで、残念ながらポイント獲得には届かず。各車がタイヤを消耗してきたレース後半はトップグループに匹敵するペースで周回を重ねていただけに、予選結果が振るわなかったことが悔やまれる形となった。ただ、荒れた展開が続いた富士ラウンド2戦を最後まで走り切ったことは、自身の成長とチームにデータをもたらしたという意味では大きな収穫。山下選手に続き、次戦鈴鹿大会での上位フィニッシュを目指す。

決勝結果

Pos. No. TEAM DRIVER TIME/DIFF LAPS Best Time
1 1 TEAM MUGEN 野尻智紀 1:03’04.489 41 1’24.159
2 38 P.MU/CERUMO・INGING 坪井 翔 1.643 41 1’24.162
3 3 KONDO RACING 山下健太 3.103 41 1’24.387
14 4 KONDO RACING 小高 一斗 30.724 41 1’24.895

参加台数:22台 出走台数:22台 完走台数:21台
規定周回数 36Laps

FASTEST LAP

No. TEAM LAPTIME
53 TGM Grand Prix 1’23.514

近藤監督のコメント

近藤監督 PHOTO

スタート前、健太に「みんなお前のことを見てるぞ。今日はチャンスだぞ」と声をかけたんです。そうしたら、「はい」ってきっぱりとうなずいて、有言実行。これまでスーパーフォーミュラでもなかなか表彰台まで行けず、今シーズンは開幕前に大きなクラ ッシュをしてクルマに乗れない時期も続いて、苦しかったと思う。でもその苦しい時期に、いろんな人が健太を応援してきてくれたのも分かったんでしょうね。今日の 3 位は、彼のレーシングドライバーとしての、もっと言えば人生のターニングポイントになったと思います。小高も、今日も苦しいレースになったと思いますが、昨日・今日としっかり 41 周走りきったし、バトルもや って、少しずつステップアップしていると感じますね。次戦の鈴鹿はテストも走っているし、この調子で SF への理解を深めていってくれたら。そうすれば彼もすぐにポイント圏内で戦えるようになる、そういうドライバーです。2 人でどんどんポイントを稼いで、チーム争いでも上に行きたいですね。

3号車 山下健太選手のコメント

山下 健太 PHOTO

久しぶりの表彰台獲得を、本当にうれしく思います。昨日の開幕戦が 1周もできず、ここまでほとんどまともに周回していなかったのですが、昨日の予選から変更した部分がとてもいい方向に進みました。決勝に関しても、スタートしてからの手ごたえはありましたし、周りの状況も見えてきたところで「今日は戦える」と感じました。体力面ではきついレースで、あまり余裕のない中、タイヤ交換もノーミスで送り出してくれましたし、クルマも非常にいい状態でした。チームの皆さんに本当に感謝しています。次戦は鈴鹿ラウンド。鈴鹿には鈴鹿の難しさはありますが、今日のレースで、ここからチームのみんなで力を合わせていけばトップに届く感触も得られたので、また表彰台に上がれるように頑張ります。

4号車 小高一斗選手のコメント

小高 一斗 PHOTO

スタート自体は良かったのですが、クルマの状態としてはあまり良くなかったので、序盤からずっと苦しい状況が続きました。ポイント獲得には届きませんでしたが、後半はレースペースも向上し、最終的にはスタート位置よりもポジションを上げてフ ィニッシュすることができたのは良かったと思います。決勝のペースはもちろんですが、一番の課題は予選。なんとか前の方のスタート位置を得られればまた違ったレース展開にできると思うので、次戦はその課題を少しでも改善できるようにしたいです。

3号車 村田卓児エンジニアのコメント

まだまだ SF23 のデータが満足いくほど取れておらず、クルマのセットアップも十分に詰められていないことを考えると、山下選手は本当によく頑張ってくれたと思います。新しいエアロに関しても当然ですが、やはりタイヤの違いが大きい。使い方や理解力を深めていかないといけません。今日は序盤にセーフティカーが出たことでほぼ全車が同じタイミングでピットインしたので、タイヤとしては同条件の中、ロングスティントでどうなっていくのか、周囲に対する自分たちのペースというのも分かって、いいデータが獲れました。鈴鹿に関しては公式テストで笹原右京選手に乗ってもらって様々なデータが獲れていますから、あまり時間はありませんがこれから煮詰めていきたいと思います。

4号車 阿部和也エンジニアのコメント

昨日から出ていたクルマのフィーリングについて、できる限りの修正はしてみましたが完全に症状が消えることはありませんでした。タイヤがフレッシュな時にペースを上げられない状況で、終盤に来てようやく周りに対してペースが良くなってくる、小高選手にはつらい状況だったと思います。今回は予選を含めてライバルたちと戦える状況を作ることができませんでしたが、早くきちんとしたパッケージで彼を走らせてあげたいですね。鈴鹿で少しでも改善方向に進められるよう、頑張ります。

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