RACE REPORT

SUPER FORMULA

第4戦 オートポリス

一日目 予選(5月20日・晴/ドライ)

予選レポート

2 台そろってQ2 進出も、課題の残る結果に

5 月20 日、オートポリスにおいて、全日本スーパーフォーミュラ選手権の第4 戦が開催された。第1 大会と第2 大会の間はわずか2 週間というインターバルだったが、今大会は前戦から1 か月という期間をおいての戦いとなる。ONDORACING は前戦鈴鹿大会で山下健太選手が5 位、小高一斗選手が7 位と今季初ダブル入賞を果たしたが、表彰台争いも期待できるパフォーマンスを見せていただけに悔しいレースとなってしまった。この悔しさを晴らすべく、チーム一丸でダブル表彰台を目指す。

5 月のオートポリスは悪天候に見舞われることがあり、過去には濃霧や大雨でレースがキャンセルになったことも。このレースウィークも金曜日までは雨と霧に包まれていたが、公式予選が予定されている20 日(土)は曇り空ながら視界は良好。路面は濡れてやや色が変わっているダンプコンディションで、気温15 度、路面温度は19 度と肌寒さも感じるなか、まずは午前中のフリープラクティスが行われた。開始直前にウエット宣言が出され、走りはじめはウエットタイヤを装着するマシンも見られたが、KONDO RACING の2 台はドライタイヤを装着。セッション開始早々に赤旗中断となった後、再開したところでコースインする。上空は徐々に雲が減っていったが、路面は最後までいくらかウエットパッチが残る状況。そんな中で走行とピットインを繰り返しながら、2 台はセットアップを進めていき、残り時間が5 分を示したところで新品タイヤを装着してコースイン。予選に向けたアタックシミュレーションを行った。山下選手は1 分26 秒180 で、トップから0.698 秒差の7 位。小高選手は1 分26 秒839 でトップから1.357 秒差の15 位という結果だった。

曇り空だったオートポリスの上空は昼を過ぎるころには青空が見え始め、公式予選が始まる午後2 時30 分の時点では気温23 度、路面温度は37 度まで上昇。フリープラクティス時とは大きく異なるコンディションになったことで、どのチームもセッティングの調整に頭を悩ませていた。KONDO RACING の2 台もそれぞれエンジニアとドライバーがセットアップを考え、Q1 に挑む。2 グループに分けられるQ1 で、先に走行するA 組には小高選手が出走。コンディション確認のラップを終えてピットに戻り、新品タイヤに履き替えると、アウトラップ、ウォームアップラップに続いてアタックした。記録されたタイムは1 分27 秒432。コントロールラインを通過した時点では暫定2 位だったが、その後ライバル勢が小高選手のタイムを上回り、順位は徐々にドロップしていく。最終的に6 位となった小高選手はぎりぎりながらQ1 突破が確定し、2 戦連続でQ2 進出に成功した。

山下選手が出走するQ1-B 組では、残り時間が1 分を切ったところで1 台の車両がクラッシュしてしまい、赤旗中断。すでにアタックラップに入っているドライバーも多く、山下選手もその一人だったが、赤旗提示によりピットへ。予選アタックに向けてタイヤをウォームアップさせ、ピークグリップの出るタイミングもアタックラップに合わせていたが、その美味しい部分を逃すことになってしまった。条件はライバル勢も一緒で、中には新しいタイヤを投入するドライバーもいたが、山下選手はタイヤを換えずに走行を再開。残り時間も少ない中、ピットアウトした翌周のアタックとなり、結果的には1 分27 秒125 と、フリープラクティスでの自己ベストにも届かないタイムにはなったが、ライバル勢もあまりタイムが伸びなかったことからB 組2 番手でQ1 を通過。KONDO RACING は2 台そろってQ2 に駒を進めることとなった。

7 分間で争われるQ2 は、山下選手が1 分26 秒521 でトップから0.3 秒差の6 位となり、3 列目のグリッドを獲得。表彰台も射程圏内に収めるスターティンググリッドを手に入れた。一方の小高選手はウォームアップラップを経て、全12 台中最後にアタックに入ったが、100R でリアが滑ってしまいコースオフ。そのままタイヤバリアにヒットしてしまい、計測かなわず、12 位という結果に。2 戦連続のQ2 進出とはなったものの、悔しい予選順位となってしまった。2 台はそろってQ1 突破を果たしたが、Q2 は課題の残るセッションとなった。それでもポイントを獲得、上位争いは十分可能なスターティンググリッドを手に入れることが出来た。明日の決勝はそれぞれが1 つでも上のポジションを目指して戦っていく。

公式予選記録

Pos. No. TEAM DRIVER Q1 Q2
1 38 P.MU/CERUMO・INGING 坪井 翔 1’27.027 1’26.187
2 15 TEAM MUGEN リアム・ローソン 1’26.479 1’26.361
3 39 P.MU/CERUMO・INGING 阪口 晴南 1’26.919 1’26.474
6 3 KONDO RACING 山下 健太 1’27.125 1’26.521
12 4 KONDO RACING 小高 一斗 1’27.432 1’44.559

参加台数:22台 出走台数:22台

近藤監督のコメント

近藤監督 PHOTO

健太の6 位というのは、あのコンディションの中では上出来の結果かもしれませんが、僕が健太と村田エンジニアに求めているのはもっと上。トップ5 には入ってほしかったので、そういう意味では少し残念です。もちろん上位争いが期待できる位置なので、決勝は最低でも表彰台を獲得してほしいです。小高のクラッシュは非常にもったいない。しっかりと反省して次につなげてほしいし、決勝に向けてはきちんと気持ちを切り替えて、ポイント獲得、挽回のレースを見せてほしいです。

3号車 山下健太選手のコメント

山下健太 PHOTO

フリープラクティスと予選本番のコンディションが大きく違い、グリップもバランスも違っていたので難しい予選になりました。乗っている感覚としてはもっと下の方の結果かなと感じるぐらいだったのですが、この順位ということはみんなも同じような状況だったのではと思っています。決勝日も午前中のフリー走行と決勝とではコンディションが変わってくると思うので、それを想像しながら進めていきたいと思います。

4号車 小高一斗選手のコメント

小高 一斗 PHOTO

フリープラクティスは予想していたよりも気温、路面温度が低く、その状況に対してはクルマは合っていなかったのですが、予選はコンディションが変わってくるし、どうクルマのセットアップを進めるのか、出走ぎりぎりまでエンジニアと話し合いました。悩んだ結果は、ぎりぎりではありますがQ1 を突破できたので悪くなかったと思うし、Q2 に向けて合わせこむ時間も作ることができました。最後は攻めすぎた結果クラッシュしてしまい、チームに申し訳なく思っています。Q1 よりも確実にクルマは良くなっていたので、1 周アタックしたかったです。決勝は真ん中ぐらいの位置からのスタートなので、挽回できるように頑張ります。

3号車 村田卓児エンジニアのコメント

走り出しの状況は想定していたものとだいぶ違い、それはフリープラクティスの間に直していきましたが、午後は路面温度がだいぶ上がってコンディションが変わったので、どうしようかと悩みました。コンディション変化に対して予測はしていたものの、Q2 に向けてはうまく対応しきれなかったと感じています。もっと上のポジションを目指していたので残念な結果ですが、決勝で挽回できる位置ではあると思うので、しっかりと上位争いできるクルマにしていけるよう考えます。

4号車 阿部和也エンジニアのコメント

午前中の温度がだいぶ低く、持ち込みのセットはコンディションに合っていなかったので、それをアジャストするのか、路面温度は上がるという予想だったのでそのままで行くのか、かなり悩ましいところではありました。実際に挑んだ結果、バランスは良くなかったのですが、そういう状況でQ1 を突破できたことは大きかったです。Q2 はそれを踏まえてアジャストしましたが、クラッシュしてしまいました。どれぐらいのタイムが出るのか見たかったので、最後まで走れなかったのは残念でした。決勝は追い上げの戦いになりますが、おそらく予選と同じような温度推移になると予想しているので、タイヤをケアすることも頭に入れながら進めていきたいと思います。




二日目 決勝(5月2日・晴れ/ドライ)

決勝レポート

終盤のセーフティカー導入を味方につけ山下健太選手が4 位入賞

全日本スーパーフォーミュラ選手権第4 戦オートポリス大会決勝日は、朝からきれいな青空が広がる絶好のレース日和。予選日の朝は肌寒さを感じるほどだったが、この日はフリープラクティス2 が始まる午前10 時の時点で強い日差しが差し込み、気温は13 度とやや低めながら路面温度は31 度まで上昇。日向ではやや汗ばむような陽気となった。KONDORACING の2 台、山下健太選手と小高一斗選手は午後に控える決勝レースに向けて、スタート練習やロングランチェックを行っていく。特に小高選手の4 号車は前日のクラッシュからメカニックたちが懸命に作業し、明け方3 時に修復を終えたばかり。車両チェックも行いながら30 分という短い時間の中で12 周を走破した。山下選手の3 号車はセッション開始早々にスタート練習などを行い16 周を記録。ベストタイムは16 位という結果となった。

ピットウォークやサポートレースを挟み、いよいよ決勝レースがスタート。気温、路面温度はさらに上昇し、スタートの時点では気温23 度、路面温度は38 度を記録。まさに初夏のような陽気のなか、41 周の決勝レースがスタートした。

6 番グリッドからスタートした山下選手は順当なスタートを切り、ポジションキープでオープニングラップを通過する。序盤は前後ともに接近した中での戦いではあるものの、オーバーテイクのチャンスはなく、ピットウインドウがオープンする10 周目までは膠着状態が続いた。この状態に業を煮やし、先に動いたのはライバル陣営で、7位を走行していた車両が10 周を終えるところでピットイン。12 周を終えるところでは山下選手がとらえようと迫っていた5 位の車両がピットへと向かい、山下選手は見た目上5 位へポジションアップする。チームとしてはピットインのタイミングを引っ張る戦略をとっていて、その後も14 周目、15 周目と前方の車両がピットに向かうたびにポジションが上がっていった。ただ、トップ2 台の車両とはラップタイムでわずかに差があり、それは周回が進むにつれて積み重なっていく。15 周目の時点で3 位ポジションにはついているものの、2 位とのギャップは少しずつ開いていった。

残り周回数が10 周になろうかというところで、コース上で8 番手争いをしていた2 台がジェットコースターストレート先の右コーナーで接触し、1 台がコースアウトしてグラベルにつかまってしまった。この車両を回収するためにセーフティカー(SC)が出されることになった。この時点で見た目上2 位を走行していた山下選手を、チームは即座にピットへと呼び寄せる。この間に、早めにタイヤを変えていた2 台が先行し、山下選手は実質4 番手でコースに復帰。レースは34 周目に入るところでSC が隊列から離れリスタートが切られた。山下選手はこのあと、35 周目に1 分30 秒774 の自己ベストタイムをマークし、ペースを上げて上位3 台の車両を猛追。前方も2 位、3 位の2 台が接近戦を展開していた関係でペースが鈍り、山下選手と後ろに続く5 位の車両が近づき、終盤は4 台が1 パックの状態に。山下選手はその真ん中に位置し、後ろの車両の動きを気にしながら前を走る2 台の隙を窺うという、タフな展開になった。オーバーテイクシステム(OTS)を使えば前の車両をとらえることはできるものの、スムーズにポジションを上げられなければ自分がOTS を使えないタイミングで後ろの車両にチャンスを与えてしまうことになる。ファイナルラップには2 位の車両がこの集団から抜け出し、3 台で表彰台の最後の一角を争う戦いに。山下選手は3 位にわずか0.3 秒差、テールトゥノーズにまで迫ったが、あと一歩届かず4 位でチェッカーとなった。

12 番グリッドからスタートした小高選手は、やや蹴り出しが鈍ってしまい2 ポジションダウン。ラップタイムも1 分33 秒台が続き、ペースとしても苦しい状態でレース前半が進んで行った。途中、タイヤのバイブレーションを訴える無線が小高選手から入り、チームは21周を終えるところでピットインさせタイヤを交換。フレッシュタイヤに履き替えた小高選手は24 周目に1 分31 秒194 のベストタイムをマークしたが、その後はペースを保つことができず、最後は19 位でチェッカー。クラッシュなどで3 台が戦列を離れ、コースにとどまった車両の中で最後尾という悔しい結果となった。

鈴鹿大会に続きダブル入賞、2 台そろっての表彰台争いを目指したが、目標には届かず課題の残る結果になった今大会。それでも山下選手は第2 戦富士大会から3 戦連続の上位入賞でポイントを重ね、ランキング6 位に着けている。次戦SUGO 大会はシーズンの折り返し地点。後半戦に向けて2 台でレベルアップを図り、上位入賞を目指す。

決勝結果

Pos. No. TEAM DRIVER TIME/DIFF LAPS Best Time
1 15 TEAM MUGEN リアム・ローソン 1:06’44.008 41 1’30.852
2 37 VANTELIN TEAM TOM’S 宮田 莉朋 1.255 41 1’30.775
3 38 P.MU/CERUMO・INGING 坪井 翔 5.264 41 1’30.164
4 3 KONDO RACING 山下健太 5.569 41 1’30.774
19 4 KONDO RACING 小高一斗 40.387 41 1’31.194

参加台数:22台 出走台数:22台 完走台数:19台
規定周回数 36Laps

FASTEST LAP

No. TEAM LAPTIME
38 Sho Tsuboi / P. MU/CERUMO・INGING SF23 1’30.164 (27 / 41)

近藤監督のコメント

近藤監督 PHOTO

健太はSC のタイミングにも助けられて、表彰台獲得まであと一歩のところまで行きました。本当にあとわずかなところで届かなかったのは残念ですが、後ろから平川選手が迫ってきていたことを考えるとよくやったと思います。クルマが決まっていれば強いドライバーだし、ここ数戦は上位フィニッシュが続いているので、この調子を維持してさらにクルマのペースも上がれば、絶対にチャンスは来ると信じています。小高は新人としては想定内のレースだけど、そろそろそこから抜け出してもいいかな。昨日のクラッシュをまだ気にしている様子もありましたが、レース前には「気にせず思いきりプッシュしていけ」と声を掛けました。今回のレースはエンジニアと2 人で振り返れば、いろいろと分かる部分がたくさん出てくるはず。次戦SUGO までにさらにレベルアップしてほしいです。

3号車 山下健太選手のコメント

山下健太 PHOTO

クルマとしては、TOP3 には少し及ばないところにある状況で、ほんの少しずつ差が開いていく展開でしたが、いいタイミングでSC が入ってくれました。残り2 周で前を走る坪井選手に追いついたのですが、後ろに平川選手も迫っていたし、OTSの使いどころをしっかりと考えないと、自分が使えないタイミングで平川選手にチャンスを与えてしまうことになるので、抜きどころをいろいろと考え、狙っい走行に集中していました。ここまで数戦、4~5 番手にはつけることができていますが、その上に入るためには何か見つけないと。改善したいところは見えていて、今週もいろいろと試してみましたがあまりうまくいきませんでした。まだアイデアはいくつかあるので次戦SUGO でも試してみて、より戦闘力のあるクルマにしていきたいです。

4号車 小高一斗選手のコメント

小高 一斗 PHOTO

昨日クラッシュしてしまいましたが、チームの皆さんが深夜までかかってクルマを直してくれて、朝のフリー走行からしっかりと走ることができました。感謝しています。ただクラッシュの影響で、スタートに関しては合わせこみが間に合わず、蹴り出しが悪くなってしまいました。ペースも悪く、コース上では僕がトラフィックを作ってしまうような状況にもなって、決勝は何もかもうまくいきませんでした。鈴鹿戦はいいところもあるレースができましたが、キャラクターの違うオートポリスではあまり速さを出せなかったので、同じような中速コーナーの多いSUGO に関しても、今の時点ではどうしようかと悩んでいます。まだ少し時間はあるので、今回のレースをしっかり振り返って、SUGO に向けてクルマの状況を少しでも改善できるように頑張ります。

3号車 村田卓児エンジニアのコメント

最初のスティントで20 周を過ぎたあたり、スタートタイヤでの中盤から終盤でプッシュしてタイムを稼ぐというようなことを考えていたのですが、そこでペースを上げられるクルマにできていませんでした。悪いペースではないのですが、上位陣は我々が32 秒台で走っているところで31 秒台に入れていた。結果としてSC に救われて、上位フィニッシュができたのは良かったと思っています。

4号車 阿部和也エンジニアのコメント

決勝直前のウォームアップ走行では、ユーズドタイヤのフルタンク(重い)状態でいいタイムが出たので期待していたのですが、実際のレースではあまりいいペースを出せませんでした。途中でドライバーからタイヤの振動を訴える無線が入り、周回数としては戦略的にいいタイミングではなかったのですが安全面のことも考えてピットに入れました。SC も入ったことで結果的に順位を上げるチャンスを作れず、とても厳しいレースになってしまいました。自力のペースがなかったことも今回の反省点で、SUGO は仕切りなおしていきたいと思います。

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