RACE REPORT

SUPER FORMULA

第6戦 富士スピードウェイ

一日目 予選(7月15日・晴/ドライ)

予選レポート

山下選手が8 番グリッド獲得。小高選手は後方からの追い上げに期待

まだ梅雨明け宣言が出されていないことが不思議なほど暑い日が続いていた東海地方だが、スーパーフォーミュラの予選日は朝からどんよりとした雲が上空を覆い、ややひんやりとした風も吹く涼しい陽気となった。予選を前に行われる午前中のフリープラクティスは気温24 度、路面温度28 度というコンディションでスタート。セッション開始から山下選手は数分、小高選手は10 分弱をおいてそれぞれコースインし、持ち込みマシンのセッティングを確認すると、そこからは数周の走行とピットインを繰り返してマシンを細かく修正していく。終盤に1 台の車両がアドバンコーナーでストップしてしまったことからセッションは赤旗中断となるが、残り時間が15 分ほどのところで再開。最後の10 分は予選に向けたシミュレーションを行い、山下選手は1 分22 秒837 と、トップから約0.3 秒差、すぐ上の3 番手とはわずか100 分の7 秒という僅差の4 位となった。小高選手は1 分23 秒605 で19 位と後れを取る恰好となったが、本番はこの後。1 時間半のセッションで得られたデータをもとに、予選に向けてさらにマシンセッティングを煮詰めていった。

公式予選は午後2 時20 分にスタート。相変わらず厚い雲に覆われた空からは、ほんのわずか雨粒が落ちてくることもあって午前中からほとんど気温と路面温度は変わらず、それぞれ25 度、29 度というコンディションでQ1 が開始された。2 組に分けられるQ1 の、A 組で小高選手が出走。セッション開始と同時にコースに向かうと、ホームストレートを一度通過してからピットに戻り、タイヤを履き替えてからピットを離れコースへと入っていった。タイヤを丁寧に温めて、いよいよアタック開始。1 コーナーを抜けてコカ・コーラコーナー、100R とスムーズに抜けていったが、ヘアピンを抜けた先でマシンの挙動が乱れ、わずかにコースをはみ出してしまう。コントロールラインを通過し、1 分23 秒737 のタイムは記録されたものの、走路外走行があったと判断され、アタックラップのタイムは採択されないこととなった。結果、小高選手はセッション序盤に記録していた1 分32 秒615 というタイムで順位が決定。ただし、予選通過基準タイムとされる1 分28 秒525 に届いておらず、順位はつかなかった。Q1 のB 組には山下選手が出走。小高選手と同様にセッションが始まってすぐにコースへ入り、確認作業を終えてからタイヤを履き替えてアタックに入った。ミスなくまとめたアタックのタイムは1 分23 秒244。B 組では5 番手のタイムで無事にQ1 を突破し、Q2 に駒を進めることとなる。フリー走行の好リザルト再現が期待されたQ2 は、1 分22 秒725 と、Q1 での自己ベストタイムを0.5 秒以上縮めて見せたが、チェッカーフラッグを受けた時点で5 番手タイム。その後3 台が山下選手のタイムを上回り、最終的には8 位という結果になった。Q2 の全体を見てみると、上位はホンダエンジンユーザーが独占。トヨタエンジンユーザーの中では山下選手は2 番手という結果だった。

シーズン後半戦のスタートダッシュを目指して挑んだ予選は苦しい結果となってしまったが、決勝で追い上げのレースを目指し、2 台そろって挽回を誓う。

公式予選記録

Pos. No. TEAM DRIVER Q1 Q2
1 5 DOCOMO TEAM DANDELION RACING 牧野 任祐 1’22.822 1’22.063
2 15 TEAM MUGEN リアム・ローソン 1’22.734 1’22.242
3 6 DOCOMO TEAM DANDELION RACING 太田 格之進 1’22.528 1’22.331
8 3 KONDO RACING 山下 健太 1’23.244 1’22.725
4 KONDO RACING 小高 一斗 1’32.615

参加台数:22台 出走台数:22台

近藤監督のコメント

近藤監督 PHOTO

今回の予選は、朝からホンダ勢に上回られる格好になりました。コンディションが向こうに合っていたということだと思いますが、そんななかで健太はトヨタ勢の2 番手。悪くはないですが、ホンダ勢の上位に割って入る姿が見たかったというのが本音です。フリー走行ではトヨタ勢トップだったのが、予選では宮田選手にかわされてしまいましたし、まだ超えないといけない壁が一つあるように思います。小高の場合は、まだその壁が3 つぐらいあるかな。とにかくQ2 には進まないといけないという気負いもあったと思います。特に今回はシーズン後半戦に入るところですから、その思いは強かったでしょう。小高はレースになると割と冷静に戦ってくるので、今回もポジションは必ず上げて戻ってくると思いますが、できれば上位グリッドからスタートさせてあげたいですね。トップ争いを経験すると、また一つ違う世界が見えてくるものですから、早くそこで戦わせたいです。

3号車 山下健太選手のコメント

山下健太 PHOTO

フリー走行の結果が4 番手だったことを考えると、順位としては下がってしまったなというのはあります。ただ現状でできることはやり切って、まとめられたかなという感じはあるので、周りが速かったです。ホンダ勢が速く、厳しい戦いでしたが、決勝はまた違う戦いです。チャンスはまだあると思うのであきらめずに頑張ります。

4号車 小高一斗選手のコメント

小高 一斗 PHOTO

富士はテストも含め、このクルマで一番走っているコースですが、なかなか何をやってもいいところに行かず苦しいです。予選に向けて大幅にクルマを変えて良くなったものの、ヘアピンでアクセルを踏んだらスピンしそうになってしまいました。決勝に向けてセットアップの面でもやりたいことが出てきたので、それが合っていることを願います。決勝は気持ちを落ち着かせて、ミスのないように頑張ります。

3号車 村田卓児エンジニアのコメント

フリー走行は予定通りにメニューをこなしていきながらの3 番手という結果でした。ただそのリザルトほどいい状況ではありませんでした。予選までに問題点を解決できなかったのですが、トヨタ勢でうちを上回った宮田選手はそれが改善できたのかもしれません。決勝に向けては、問題解決のためにトライしようと考えているものがあります。少なくともトヨタ勢の中ではトップの位置にいなければと思っています。

4号車 阿部和也エンジニアのコメント

朝からなかなかクルマが思うような動きをせず、予選ではだいぶ良くなりましたがヘアピンコーナーでトラクションをかけたところでバランスを崩してしまいました。ただ、そのリザルトほど手ごたえがないわけではありません。明日は前のクルマにくっついていって、追い上げるレースにできたらと思います。




二日目 決勝(7月日・晴れ/ドライ)

決勝レポート

最後尾スタートの小高選手は14 位まで挽回。オープニングラップのアクシデントが響いた山下選手は17 位完走

前日の予選結果から、KONDO RACING は山下健太選手が8 番グリッドから、小高一斗選手が最後尾からのスタートとなる。決勝日の走り出しとなるフリープラクティスでは、夫々が追い上げのレースを成功させるためにセッティングの確認作業を行った。山下選手はセッション序盤に1 分24 秒588 のベストタイムをマークすると、7 周ほどの連続周回で車両の状態をチェック。1 分25 秒前半のタイムを並べまずまずの感触を得てセッションを終了した。小高選手は反対に、終盤でベストタイムの1 分24 秒311 をマーク。これはセッションの最速タイムで、小高選手は初めてリザルトトップの位置を得た。ピットウォークや併催レースを挟み、決勝レーススタートに向けて、午後1 時20 分からスタート進行が始まった。グランドスタンドにも多くの観客が集まり、ボルテージがだんだんと高まっていく。上空は相変わらずの曇天で湿度も高く、さほど気温は高くないもののじっとりと汗ばむような陽気となった。

午後2 時30 分にフォーメーションラップが始まり、シグナルのブラックアウトとともに41 周の決勝レースがスタート。スタートであまり大きな後れを取ることは少ない山下選手だが、今回は加速が鈍り1 コーナーまでで後続に飲み込まれる形となってしまった。数台が横並びになった状態でターンインしていく際に他車との接触もあり、オープニングラップは19 番手まで後退。まだまだ混戦状態の中、2 周目には16 番手までポジションを取り戻すものの、接触の影響かペースが上がらずに再び後退していってしまう。状況を打破するために早めのタイヤ交換を選択した山下選手は10 周を終えるところでミニマムピットイン。見た目上は再び20 番手まで後退し、後半スティントに入った。フレッシュタイヤでの序盤、12 周目に1 分25 秒119 のベストタイムをマーク。ただ、序盤の接触で車両にダメージを受けたか、すぐにペースが上がらなくなってしまう。上位陣が1 分25 秒前半~半ばのタイムを並べる中、1 分26 秒台のラップタイムが続く山下選手は、なかなか前の車両に近づき、とらえていくことができない。フラストレーションの貯まる30 周を耐え抜き、17 位でチェッカーを受けることとなった。

最後尾スタートの小高選手はスタートの蹴り出しも良く、また前方のエンジンストール車両も巧みにかわしてオープニングラップを18 番手で終了。7 周目には山下選手を1 コーナーでかわして1 つポジションアップした。小高選手は山下選手と異なり、タイヤ交換のタイミングを遅らせる作戦をチョイス。ほとんどのドライバーが早めにピットに向かうことでポジションは上がり、暫定3 番手まで進むと26 周目にピットインした。ピットアウト後は、コールドタイヤで止まり切れずに1 コーナーをオーバーシュートしてしまう場面も。タイヤに熱が入る前に山下選手ともう1 台にかわされ、19 番手で後半スティントをスタートした小高選手だが、徐々にペースを取り戻すと30 周目の1 コーナーでふたたび山下選手をとらえて17 番手に上がる。その後、33 周目に2 コーナーでの競り合いを制して16 番手に、35 周目にはグランドスタンドに集まった観客の目の前で、オーバーテイクシステムを使って一気に1 台を抜き去り15 番手までポジションアップ。終盤車両トラブルで1 台が戦列を離れたことでもう1 ポジション上がり、最終的には14 位でチェッカーを受けた。

今大会はペースに苦しんだ2 台だが、大会前のテストも含め、着実にデータの蓄積と新型車両への理解は進んでいる。残るは次戦のもてぎ大会と最終2 連戦の鈴鹿大会となったが、少しでも早く復調のきっかけをつかみ、上位争いにつなげたい。

決勝結果

Pos. No. TEAM DRIVER TIME/DIFF LAPS Best Time
1 15 TEAM MUGEN リアム・ローソン 58’58.497 41 1’24.652
2 5 DOCOMO TEAM DANDELION RACING 牧野 任祐 4.453 41 1’24.675
3 37 VANTELIN TEAM TOM’S 宮田 莉朋 15.235 41 1’24.888
14 4 KONDO RACING 小高一斗 49.543 41 1’25.256
17 3 KONDO RACING 山下健太 58.136 41 1’25.119

参加台数:22台 出走台数:22台 完走台数:21台
規定周回数 41Laps

FASTEST LAP

No. TEAM LAPTIME
20 Ryo Hirakawa / ITOCHU ENEX TEAM IMPUL 1’24.593 38 (38 / 41)

近藤監督のコメント

近藤監督 PHOTO

健太はスタートで出遅れてしまったことから後続に飲み込まれ、大集団の中で接触してしまいました。見た目には大きなダメージですが、もしかしたら外から見ただけでは分からない部分でマシンのバランスが崩れてしまったのかもしれません。これからデータを解析しないと分かりませんが、そのあとはもう手も足も出ない状態で、非常に残念です。小高は持ち前の、冷静にレースを戦ってくるところが生きたと思います。さらに今回は、レース中に戦略に関しても積極的に考え、チームとのやり取りをして戦っていくことができました。今日の戦いぶりを見ていると、改めて予選結果が悔やまれます。もっと前のグリッドからスタートできれば上位争いもできたと思います。僕も長いことレースをやってきているので、こういうこともあることは覚悟していますが、流れが悪いですね。メカニックにしてもエンジニアにしても、マシンにしてもドライバーにしても、うちはトップクラスだと思っています。まとまればいい成績は出ると信じているので、とにかく流れを変えていきたいですね。

3号車 山下健太選手のコメント

山下健太 PHOTO

スタートで3 つくらいポジションを落とし、1 コーナーで左フロントが他のマシンと当たってしまいました。そのあともヘアピンでコースアウトしそうになったりと、大変なオープニングラップの中でほぼ最後尾まで落ちてしまい、そこからはペースがなく追い上げていくことができませんでした。フリー走行までは悪くなかったので、なぜこんな状態になったのか、今の時点では分かりませんが、しっかりと原因を分析しなければと思います。

4号車 小高一斗選手のコメント

小高 一斗 PHOTO

マシンのセットを大きく変えたところ、フリー走行ではいい感触を得ることができました。ただ決勝では思っていたよりペースを上げられず、苦しい展開になりました。とはいえ、予選と比べるときちんとパフォーマンスを上げることができたと思います。次戦に向けてもさらにいいクルマを作って、もっと前の方で戦っていきたいです。

3号車 村田卓児エンジニアのコメント

決勝に向けて考えてみたものをトライしましたが、あまり大きな効果は得られなかったように思います。セットアップというよりタイヤの使い方という部分で今日は苦しい状況になったと考えていますが、スタートで出遅れてしまったことで集団に飲み込まれてしまいましたし、そうすると自分の本来のペースで走ることも難しかったと思います。接触のダメージもこれから詳しく見てみないと分かりませんが、次戦まではインターバルもあるので、またいろいろと考えていきたいと思います。

4号車 阿部和也エンジニアのコメント

朝のフリー走行に関しては、パフォーマンスに手ごたえは感じていましたがトップを獲れるとは思っていなかったので少し驚きました。スタート位置が後方だったこともあるので、今後につなげていくために方向性を見るという部分も意識して、決勝に対してはそこから少しアジャストして臨みました。ペースに関しては、悪くはないけれど良くもないという感じで、あの集団の中では抜いていくレースもできましたが、ただ上位争いを考えるとペースはもっと上げていかないといけません。僕のクルマ作りという面はもちろんですが、小高選手のドライビングにももっと成⾧してもらって、お互いに高めあってレベルを上げて、もてぎ戦に臨みたいです。

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