RACE REPORT
SUPER FORMULA
第7戦 モビリティリゾートもてぎ
一日目 予選(8月19日・晴/ドライ)
予選レポート
真夏のもてぎラウンド、予選は苦しい戦いに
台風7 号が日本列島を通り過ぎ、各地で強烈な猛暑となっているレースウィーク、モビリティリゾートもてぎも例外ではない。公式予選が行われる19 日(土)は、フリープラクティスが始まる午前9 時20 分の時点で気温30 度、路面温度は41度に達していた。温度の高さに加え、路面状況もあまり良くなかったのか、いずれのチームもなかなかタイムの更新が叶わずセッションが進んでいく。開始から30 分が経過しようかというところで、小高一斗選手が最終コーナーでスピンを喫し、グラベルにストップ。脱出が困難だったことから、赤旗中断となった。スピンとコースアウトの影響をチェックするために走行時間を20 分程ロスしてしまったが、幸い車両に大きなダメージはなく、20 分程でコースに復帰。その後は1 分34 秒686 というタイムで20 位に入った。山下健太選手は走行とピットインを繰り返しながらもなかなか好感触をつかめずにいたが、セッション終盤のアタックシミュレーションではそれまでの自己ベストタイムを約0.6 秒削り1 分34 秒166 のタイムをマーク。13 位でフリープラクティスを終え、午後の公式予選に向けてさらに集中力を高めていった。
公式予選の開始時刻は午後2 時50 分。1 日の中でも気温のピークを過ぎた時間帯だ。気温は33 度と午前中からそれほど大きく変わってはいないが、真夏の日差しに照り付けられ路面温度は46 度にまで上昇していた。ただ天気予報では予選途中で雨が降る可能性もあり、実際にQ1-B 組の走行中にはにわかに日が陰る場所も出るほどだった。
KONDO RACING は、山下選手がA 組で出走。セッション開始と同時にピットを離れ、まずはコースコンディションをチェックする。ホームストレートを一度通過してからピットへ戻り、タイヤを履き替えていよいよアタックに向かう。アウトラップとウォームアップラップで十分にタイヤに熱を入れアタックに入った山下選手は、1 分33 秒557 をマーク。午前中の自己ベストから0.6 秒タイムを削ったものの、8 番手という結果で、残念ながらQ2 へコマを進めることはできなかった。
B 組の小高選手も山下選手同様、コースコンディションを確かめてから新品タイヤに履き替えてアタックへ。ウォームアップラップを挟んでアタックに入ったが、タイヤの温まりがわずかにずれ、セクター1 は自己ベストタイムではあるもののライバル勢にやや遅れを取る形に。セクター2 から中盤グループとそん色ないタイムを並べるが、結果は1 分33 秒379。9 番手で予選を終えることとなった。最終的に、決勝レースのスターティンググリッドは山下選手が8 列目の16 番手、小高選手が9 列目の17 番手となった。
2 台ともにポールポジション争いへ進むことはかなわず、決勝レースは後方からの戦いとなるが、戦略も駆使しながらポジションアップを目指す。
公式予選記録
Pos. | No. | TEAM | DRIVER | Q1 | Q2 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | TEAM MUGEN | 野尻 智紀 | 1’32.666 | 1’31.955 |
2 | 6 | DOCOMO TEAM DANDELION RACING | 太田 格之進 | 1’32.714 | 1’32.178 |
3 | 15 | TEAM MUGEN | リアム・ローソン | 1’33.339 | 1’32.237 |
16 | 3 | KONDO RACING | 山下 健太 | 1’33.557 | |
17 | 4 | KONDO RACING | 小高 一斗 | 1’33.379 |
参加台数:22台 出走台数:22台
近藤監督のコメント
もてぎはコースの特性上なかなか大幅な追い上げは難しいので、今日の予選は非常に重要だったのですが、2 台とも残念な結果になってしまいました。午前中のトラックコンディションが悪く、予選に向けてコンディションが回復していくのに対する合わせこみが、他チームに比べて足りていなかったということだと思っています。決勝は厳しいレースになるだろうと思いますが、1 つでも挽回する戦いにしたいです。
3号車 山下健太選手のコメント
走りはじめから、あまりクルマにいい感触がなく、予選に向けて修正したことはいい方向に行ったのですが、少し足りなかったです。非常に僅差の戦いで、Q2 進出まではあと0.1 秒もないほどだったので、自分の走りであと少し稼げていたらQ1 を突破できたかもしれません。走り出しのことを考えれば修正はできているのでいい方向に進みましたが、それでもQ1 突破には届きませんでした。決勝に向けては、またフリー走行でクルマをいい状態に仕上げて行ければと思っています。
4号車 小高一斗選手のコメント
フリー走行でスピンしてしまったことで、30 分程時間をロスしてしまいました。クルマ自体は少しは良くなったと思うが、タイヤのウォームアップが上手くいかず、セクター1 でのロスが大きかったです。鈴鹿以外の他のサーキットでも同じような傾向だったのですが、なかなかタイヤを十分に温めきってアタックに入れず、アタック序盤でのロスが響くというのが続いています。今回も、セクター1 の遅れがQ1 敗退に響きました。後方からのスタートになりますが、追い上げていけるように頑張ります。
3号車 村田卓児エンジニアのコメント
今回は、今までと少し考え方を変えた、別の感じで持ち込んだのですが、フリー走行での感触はあまり良くなく、結局元の考え方で作ってきたものに戻して予選に臨みました。結果的にクルマの仕上がりは前に進めることはできなかったのですが、なんとか予選で得たものをヒントにして決勝に臨みたいです。予選が終わってすぐの段階ではまだ見えていない部分もありますが、何かしらのトライはしなければ状況を変えることはできないので、じっくりと考えていきます。
4号車 阿部和也エンジニアのコメント
フリー走行は途中でスピンしてしまい、時間をロスしてしまいました。路面状況があまり良くないことも響いたとは思いますが、その時点ではスピンしてしまうようなクルマの状態だったということでもあるので、持ち込みの詰めがまだ甘かったかなとも感じています。ただ予選に向けては午前中に感じた部分を直したことでいい方向には進みました。Q1 のB 組のメンツを見ると、なかなか厳しい戦いだったなと思いますが、セクター1 のロスがなければQ2 進出に届くかどうかぐらいのポジションは見えていたと考えています。方向性としては持ち込みのコンセプトから大きくは変えていませんが、予選に向けた調整はうまく機能したので、決勝に向けてもさらに詰めて挑みたいです。
二日目 決勝(8月20日・くもり/ドライ)
決勝レポート
大きなアクシデントを回避し、2 台そろってポイント獲得
前日同様、厳しい暑さとなったモビリティリゾートもてぎ。公式予選で残念ながらQ2 進出を果たせなかったKONDO RACING の2 台は、山下健太選手が16 番グリッドから、小高一斗選手が17 番グリッドから決勝レースをスタートすることなる。
午後の決勝レースを前に、午前9 時25 分からフリー走行が行われた。30 分という短い時間の中で、この後の戦いに向けてロングランのチェックやスタート練習などを重ねていく。山下選手はセッション序盤にスタート練習のためにピットロードに戻ってくると、そこからロングランのチェックに入った。途中で2 度ほどピットに戻って車両セットアップの調整も行い、ベストラップは1 分36 秒085 の16 番手。小高選手は1 分36 秒236 で18 番手となった。一発勝負の予選と違い、このフリー走行で重要なのはアベレージ。ベストラップ自体もトップの2 台を除けばそれほど大きな差ではなく、2 台はそれぞれ、このセッションでの手ごたえをもとに、決勝レースに向けてさらにセットアップを煮詰めていった。
併催された2 輪のレースでアクシデントが発生したことで、スーパーフォーミュラの決勝レースは予定時刻より15 分遅れて午後3 時15 分にスタートが切られた。スタート直後、2 コーナー先で上位のマシンが1 台スピンしたことを起因とした多重クラッシュが発生する。レースは即座に赤旗中断。車両は隊列を作ってホームストレートに戻り、そこで停車した。16 番、17 番グリッドからのスタートだった山下選手と小高選手は、アクシデントに巻き込まれることなく戻ってくることができ、車両回収を終えてセーフティカー(SC)先導のもとでレースが再開した時には山下選手が7 番手、小高選手が9 番手までポジションを上げていた。
2 周のSC ランを経て、4 周目にリスタートが切られる。ストップアンドゴーと呼ばれるレイアウトのもてぎはコース上でのオーバーテイクが難しいと言われているが、序盤はその言葉通りどのポジションでも膠着状態が続いていた。小高選手は背後に迫っていた坪井翔選手にいったん先行されたものの、相手が車両トラブルで戦線離脱してしまったことで再び9 番手ポジションに復帰。タイヤ交換可能なピットウインドウが開くと、11 周を終えたところで早々にタイヤ交換を行う作戦に出た。
ピット作業もスムーズで同じタイミングでピットに入った2 台も逆転し、小高選手は暫定10 番手でコース復帰。ここからはロングスティントになるため、タイヤが消耗してくる終盤は厳しい戦いになることは予想されたが、小高選手はハイペースで周回を重ねていった。
小高選手の前を走っている9 台は、レースの後半にタイヤ交換に向かう作戦のようで、それぞれがピットへ向かうたびに1 つ1 つポジションが上がっていく。上位4 台からのギャップは大きくアンダーカット作戦では届かなかったが、それでも29 周目には6 番手まで浮上。31 周目には、7 番手を走る小林可夢偉選手が一気に近づき、残り6 周はテールトゥノーズの戦いとなった。36 周目の最終コーナーではインに車両をねじ込まれサイドバイサイドの状態に。コーナーの出口で2 台は軽く接触し、小高選手は一瞬小林選手の先行を許してしまうが、相手の車両にトラブルが起きたか、わずかにスピードが緩んだすきにもう一度ポジションを取り戻す。激しい6 番手争いはこれで決着がつき、小高選手は6 位でフィニッシュ。第3 戦鈴鹿大会以来、久々の入賞となった。
7 番手ポジションでレースをリスタートした山下選手はピットタイミングを遅らせる作戦に。ただ、序盤からペースが上がらずに6 番手との差は徐々に開いていってしまった。25 周を終えるところでピットに入るとタイヤ交換。ここから残り12 周は、搭載燃料も少ない軽い状態とフレッシュなタイヤで追い上げていく予定だった。しかし、コースに復帰したところで後方集団に埋もれてしまい、タイヤのマージンを活かす展開に持ち込むことができず。それでも30 周目には3 コーナーから4 コーナーにかけた⾧いバトルで1 台を攻略し、S 字コーナーでスピンした1 台もかわしてポジションアップ。最終的には9 位でチェッカーを受け、こちらも2 戦ぶりのポイント獲得となった。
2 台ともペースに課題は残しつつも、最後までしぶとい走りを続けダブル入賞でもてぎラウンドを終えたKONDO RACING。残るは最終大会の身となったが、その舞台はダブル入賞を果たした鈴鹿サーキット。1 か月以上あるインターバルを最大に生かし、シーズンの集大成を飾りたい。
決勝結果
Pos. | No. | TEAM | DRIVER | TIME/DIFF | LAPS | Best Time |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | TEAM MUGEN | 野尻 智紀 | 1:31’13.699 | 37 | 1’34.997 |
2 | 20 | ITOCHU ENEX TEAM IMPUL | 平川 亮 | 7.439 | 37 | 1’34.458 |
3 | 53 | TGM Grand Prix | 大湯 都史樹 | 15.456 | 37 | 1’35.502 |
6 | 4 | KONDO RACING | 小高一斗 | 36.302 | 37 | 1’35.315 |
9 | 3 | KONDO RACING | 山下健太 | 38.752 | 37 | 1’36.040 |
参加台数:22台 出走台数:22台 完走台数:21台
規定周回数 33Laps
FASTEST LAP
No. | TEAM | LAPTIME |
---|---|---|
20 | Ryo Hirakawa / ITOCHU ENEX TEAM IMPUL | 1’34.458 (29 / 37) |
近藤監督のコメント
小高は戦略も良く、最後はよく耐えました。あの戦いと気迫が鈴鹿にもつながるといいです。健太の方は、小高と比べても車が決まっていなかったようで、そうであればタイヤ交換はもっと早いタイミングにするべきでした。健太にも、タイムが出ないのならもっと積極的にタイヤ交換のタイミングなどを伝えてほしいと話しましたが、チーム側の戦略としてももう少し早い判断が必要でした。課題が多い大会ですが、大きなアクシデントが起きた中でもうまく回避し、2 台そろってポイント獲得につなげられたことは良かったです。ただ、やはり予選から前にいられるよう、2 台とも一撃のタイムが必要。何とか最終戦はそのテーマをクリアしていい形でシーズンを締めくくりたいです。
3号車 山下健太選手のコメント
自分のペースが悪いであろうことは朝のフリープラクティスの時点で分かっていたので、もっと早くピットに入るべきでした。ピットアウト後は集団の中に埋もれてしまったので自分のペースを保つことができませんでしたが、きちんと走れたとしても基本的に上位陣のタイムとは全然違っていたと思います。最終戦までにいろいろ考え、見直さないといけないなと感じています。
4号車 小高一斗選手のコメント
スタート直後のアクシデントは、周りが右側に回避していく中で左側のスペースがあいていたので、そこでうまく切り抜けてポジションも上げることができました。前半のペースが悪かったので早めにピットに入りましたが、タイヤがフレッシュなこともあってそのあとのペースはとても良かったです。その分残り10 周はきつかったですが、小林選手には絶対抜かれたくないと思って、おさえきりました。この週末を通してレースが一番いい状態にできましたが、周りと比べるとまだまだ全然足りません。鈴鹿は個人的にも得意としているし、第3 戦ではそこそこ走れましたが、今の状況で同じように走れるかは少し不安です。なんとしてもいいレースで締めくくれるよう、予選から戦えるようにクルマを合わせて行ければと思っています。
3号車 村田卓児エンジニアのコメント
早くタイヤを変えた組が、ドライブスルーペナルティを受けて後方に下がっていた車両に引っかかることを予想してうちはピット作業を引っ張ったのですが、それ以上に自分たちのペースが遅かったです。朝のフリー走行と比べても決勝レースでのペースは解せないほどに遅かったので、セットアップと合わせて、車両側の問題がないかどうかしっかりとデータを分析して、最終戦には戦えるクルマで臨めるようにしていきたいです。
4号車 阿部和也エンジニアのコメント
最終戦のことも考えて、鈴鹿で良かった第3 戦をベースに今回のセットも組み立ててきましたが、そこそこ戦えたと感じています。タイヤのウォームアップは悪かったですが、意外とペースも良く、結果的に早めのピット作業もいい判断になりました。後半苦しくなることも分かっていましたが、アンダーカットでポジションを上げ、そのあとも押さえどころをしっかり押さえていました。小林選手だけはペースが早いので怖かったですが、最後の5 周はクルマ云々ではなくドライバーの気迫。本当によく頑張ったと思います。今回のレースでうちの弱い部分というのも分かりましたし、セッティングとしてもだいぶ詰めることができたので、残るは最終戦だけですが楽しみです。