RACE REPORT

SUPER FORMULA

第9戦 鈴鹿サーキット

予選&決勝(10月29日・晴/ドライ)

予選&決勝レポート

山下健太選手が気迫の走りで9 位フィニッシュでポイント獲得

2023 年10 月29 日、三重県の鈴鹿サーキットにおいて全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)のシーズン最終戦となる第9 戦が行われた。1 イベント2 大会制のフォーマットで、泣いても笑ってもこれが本当にシーズン最終戦。前日の第8 戦は大きなアクシデントにより途中で終了となってしまったが、今回は31 周のレースが無事に行われ、KONDORACING は山下健太選手が9 位フィニッシュ。ポイント獲得でシーズンを締めくくった。

今大会は、伝統の「JAF グランプリ」が冠された1 戦で、この第9 戦の優勝者にはJAF グランプリのタイトルが与えられる。タイトル争いは当然のこと、このタイトルを目指して全ドライバーがしのぎを削ることとなる。前日に引き続き快晴の下、まずは公式予選がスタートした。

Q1 のA 組に出走したのは山下選手。第8 戦予選ではQ1 をグループ4 番手で突破しQ2 に進出しているだけに、2 戦連続での快走が期待された。全体の3 番目にアタックを開始した山下選手は1 分38 秒162 をマーク。暫定3 番手につけたが、その後ライバル勢が続々とタイム更新し、山下選手の順位が下がっていく。最終的に7 番手まで後退、Q1 突破ラインの6 番手とはわずか0.048 秒と悔しいタイム差となったが、ここで予選を終えることに。続くB 組に出走した小高選手も力走を見せたものの、1 分38 秒281 で8 番手。KONDO RACING の2 台は、山下選手が14 番グリッド、小高選手が15 番グリッドから、最終戦はそれぞれが挽回を目指す戦いとなった。

雲一つない青空が広がる鈴鹿サーキット。国内トップフォーミュラのシーズン最終戦を見に、前日を超える22,500 人のファンが詰めかけた。気温は20 度、路面温度は30 度を示す中、いよいよ31 周の戦いがスタート。14 番グリッドの山下選手は抜群のタイミングでスタートを切ると、1コーナーまでのポジション取りも良く順位アップ。オープニングラップを12 番手で終える。1 つ後ろのグリッドの小高選手も同様に2 ポジションアップの13 番手。スタートを失敗して順位を下げたライバルにかわされ、再び15 番手まで下がったものの、自己ベストタイムを更新しながら追い上げていった。

山下選手は9 周目に入るホームストレート、直線勝負で1 台をかわしポイント獲得まであと1 台の11 番手にポジションアップ。周回数は10 周を迎え、各自がピットインのタイミングを図るようになるが、山下選手はタイヤ交換を引っ張る作戦をチョイスし、見た目上で3 番手を走行中の23 周目、ステアリングをピットロードへと切った。チームは素早い好意感作業で山下選手を送り出し、見た目上の11 番手でコースに復帰。前を走る車両のうち、まだタイヤ交換を済ませていないのは1 台。これがピットに入り1 つポジションアップすると、さらに1 台を1 コーナーでオーバーテイクし、ポイント圏内に進出する。残り3 周、山下選手はさらにポジションアップするべく8 番手のマシンに食らいついていくが、先にゴールを迎えチェッカー。予選順位から5 ポジションアップの9 位で今シーズンのSF を締めくくった。

スタートでポジションを上げたものの、序盤にまた15 番手に戻ってしまった小高選手。実は、一定期間加速ができるオーバーテイクシステム(OTS)の不具合が出てしまっていたのだ。今シーズンのSF はOTS の使用ルールが変わり、合計200 秒間を自由に使っていい反面、一度使用するとそのあと100 秒間は使えなくなってしまう。この「OTS を使えない時間」を利用してコース上で駆け引きが行われるのだが、小高選手のマシンはボタンを押すとすぐに切れてしまうような状態に陥っていたという。トラブルでうまく加速ができない間に猛攻をかけてくるライバルたち。小高選手とチームはやむを得ず戦略を変更。11 周を終えたところでピットインを選択した。チームの作業も速く、小高選手は大きく順位を落とすことなくコース復帰。ここからは、後からピットに向かうライバルたちを一人ずつかわしていくこととなるが、小高選手は順調にポジションアップ。最後の1 台がピットに向かった時点で11 番手まで浮上したが最後に1 台にオーバーテイクを許し、12 位でチェッカー。残念ながらシングルフィニッシュとはならなかったが、最後まで攻めの走りを披露した。

これで、2023 シーズンのSF はすべて終了。KONDO RACING は山下選手がランキング8 位、小高選手が15 位、チームランキングは6 位という結果になった。

公式予選記録

Pos. No. TEAM DRIVER Q1 Q2
1 15 TEAM MUGEN リアム・ローソン 1’36.881 1’36.442
2 6 DOCOMO TEAM DANDELION RACING 太田 格之進 1’37.686 1’36.613
3 1 TEAM MUGEN 野尻 智紀 1’37.607 1’36.704
14 3 KONDO RACING 山下 健太 1’38.162
15 4 KONDO RACING 小高 一斗 1’38.281

参加台数:22台 出走台数:20台


公式決勝記録

Pos. No. TEAM DRIVER TIME/DIFF LAPS Best Time
1 6 DOCOMO TEAM DANDELION RACING 太田 格之進 53’19.831 31 1’41.116
2 15 TEAM MUGEN リアム・ローソン 1.539 31 1’41.017
3 37 VANTELIN TEAM TOM’S 宮田 莉朋 5.623 31 1’41.377
9 3 KONDO RACING 山下 健太 38.205 31 1’41.465
12 4 KONDO RACING 小高 一斗 57.071 31 1’42.076

参加台数:22台 出走台数:20台

近藤監督のコメント

近藤監督 PHOTO

小高は、OTS のトラブルか上手くボタンが反応しないことがあり、すぐに戦略を切り替えることになりました。もう少しピットインを引っ張ることができればいいレースができたんじゃないかと思うので悔しいですが、悪くないレースをしたと思っています。健太も、まだまだ健太らしいレースではないし、足りない部分もたくさんありますが、2 人とも昨日と違って、少し落ち着いたレースができました。チームとしても、最終大会を大きなトラブルなく終えることができ、ホッとしてシーズンオフを迎えることができます。もちろん課題は多いので、オフに入ってもすぐに動かなければ。来シーズンは全体的な勢力図が変わる可能性もあるし、われわれはそれをチャンスに変えなければいけないと考えています。来シーズンも楽しみにしています。今シーズンたくさんの応援ありがとうございました。

3号車 山下健太選手のコメント

山下健太 PHOTO

昨日の状態だと、今日はまともにレースができないかもしれないという不安があったのですが、村田エンジニアといろいろと話し合い、村田さんにもたくさん考えてもらって、今までと少し方向性が違うというか、今年やってきたこととはまた違うセッティングで決勝に臨みました。結果、まだまだ速いとは言えないもののポテンシャルを感じることができました。もちろんまだトップ争いをするとなると全然足りないところが多いです。来年は開幕が3 月と早まるので、それに向けて動き出したいです。たった2 ポイントですが、ポイント獲得のレースでシーズンを終えることができて良かったです。応援ありがとうございました。

4号車 小高一斗選手のコメント

小高 一斗 PHOTO

昨日の予選と決勝がそれぞれ反対方向のクルマになっていたので、その間を採るというか、バランスを変えて予選に臨みましたが、タイヤのピークを使えずQ2 に進むことができませんでした。決勝のペースは悪くなかったものの、序盤にOTS のボタンがうまく機能せず、パワーアップが1~2 秒で勝手にキャンセルになってしまい、OTS の使えない時間が来てしまうというトラブルで、後ろのクルマに抜かれてしまいました。タイヤに厳しいクルマだったのでピットインを引っ張りたかったのですが、早く入らざるを得なくなり、戦略的にも厳しかったです。ただ、そのトラブルがなければちゃんとレースを戦えて、うまくポイントが獲れたかもしれないという手ごたえ映えることができました。今回、金曜日にクラッシュして壊してしまったクルマを、翌日の予選までに直してくれたり、今日のレースでもすごくタイヤ交換が速かったり、チームがたくさんサポートしてくれたことに感謝しています。なかなか結果の出ないつらいシーズンでしたが、今いろいろとやってきていることが身になって、いいシーズンを送れるようにシーズンオフもがんばっていきます。応援ありがとうございました。

3号車 村田卓児エンジニアのコメント

昨日があまりに良くなかったので、今日はクルマの方向性を変えてみました。その方向としては良かったと思いますが、まだまとめきれていないかなという印象です。来シーズンはいろいろと変更がある中でまだ分からないこともありますが、今日31 周を走り切ったことで、今後に向けてもいいデータは獲れました。引き続きドライバーと速く強いクルマを作って行きたいと思います。

4号車 阿部和也エンジニアのコメント

金曜日がクラッシュで走る時間を失い、昨日もトータルで20 周程度しか走っていない中、今日もある意味「ぶっつけ本番」のようなラウンドになりました。鈴鹿は第3 戦でそこそこのパフォーマンスがあったので多少の自信を持って臨みましたが、それでもこの成績というのは、何かがずれているのだと思います。今のうちの良くないところは、例えば前回(第3 戦)で小高が速かったり、今日は山下選手のレースペースがいいように見えたりしますが、他のサーキットや違うコンディションでも同じような高パフォーマンスを再現できないところです。速いチームはどのサーキットでもどんなコンディションでも速く、リザルトに安定感があります。うちもそういうクルマにしないと。来シーズンに向けて、テストから上手く進めていきたいです。

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