RACE REPORT

SUPER FORMULA

第1戦 鈴鹿サーキット

第1戦(3月8日・曇り/ドライ)

予選&決勝レポート

新体制で挑む2025シーズン、初戦は2台そろってポイント獲得

2025年も、全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)に2台体制で挑むKONDO RACING。3号車は、今年が9年目のシーズンとなる山下健太が引き続きドライブ。4号車は、昨年FIA F2選手権に参戦し優勝経験を持つ20歳の若手、ザック・オサリバンを迎えることになった。またエンジニアリング体制も、3号車の車両担当として大駅俊臣が加入。2台揃って新たな体制で国内最高峰フォーミュラシリーズに挑む。

今シーズンのSFはシリーズカレンダーに大きな変化が。全7大会中5大会で1大会2レース制のフォーマットを採用し、全12戦を開催。鈴鹿サーキットで行われる開幕大会は2レース制で、8日(土)に第1戦の予選、決勝、9日(日)に第2戦の予選、決勝が行われることになる。3月に入り、季節は春へと向かっているものの、第1戦を迎えた鈴鹿サーキットは寒気の影響であまり気温が上がらず、各車がタイヤのウォームアップに苦労する戦いとなった。公式予選はこれまで同様のノックアウト方式で、まずはQ1のA組にオサリバン選手が出走。セッション開始時の気温/路面温度は8度/11度を示しており、これほどの低温域でタイヤウォーマーを使わずにタイムアタックをする経験は初めてというオサリバン選手だったが、1分38秒694というタイムをマークして5番手に入り、Q2進出を決める。一方B組の山下選手は1分38秒035と、オサリバン選手よりも速いタイムを記録するものの、グループ全体では8番手。残念ながらQ1突破は叶わず、総合結果は15位となった。Q2に挑んだオサリバン選手は1分37秒697までタイムを縮め、10位。シーズン初戦は、2台が中団グループからスタートする事になった。

サポートレースの走行を挟み、午後には27周で争われる決勝レースがスタート。8番グリッドのドライバーがピットスタートとなったため、目の前のスペースが大きく空いた形となったオサリバン選手にはスタートでのポジションアップが期待されたが、クラッチがうまく繋がらず、またホイールスピンも喫しポジションダウン。15番グリッドの山下選手は逆に好スタートを切って2台をかわし順位を上げたため、オサリバン選手が12番手、山下選手が13番手と2台が連なった状態でオープニングラップを終える事となった。レースは後方の1台がデグナーカーブでストップしてしまったため、早くもセーフティカー(SC)が導入される。

5周目にはリスタートが切られたが、今度は8周目にS字コーナーで2台が絡むアクシデントが発生したため、2度目のSC導入に。このSC導入中にピットウィンドウがオープンし、コース上にとどまっていた全車が一気にピットになだれ込むという怒涛の展開となった。2台が近い順位で走行していたチームは、後ろを走る1台が先行車の作業を待たなければならず、必然的に順位を下げることになってしまう。KONDO RACINGも例外でなく、オサリバン選手のすぐ後ろに着けていた山下選手は、タイヤ交換を終えてピットアウトした時には16番手まで順位を下げてしまう事となる。レースは12周を終えたところで2度目のリスタートが切られるが、山下選手はオーバーテイクシステム(OTS)を使って1台を交わしポジションアップ。するとその直後、シケインで接触アクシデントが発生し、このレース3度目のSC導入に。2台の車両を回収するため、やや長めのSCランとなり、残り10周でリスタートが切られた。この時点で山下選手は13番手、オサリバン選手はポイント圏内の7番手を走行していた。3度目のリスタートでも、山下選手は1台を交わして追い上げていく。ラップタイムも速く、その後も20周目に1台、23周目にさらに1台を交わしポイント圏内の10番手に。そのまま27周目の最終ラップを迎え、フィニッシュ。ピットタイミングとして避けられなかったポジションダウンを見事にコース上でリカバーし、また上位車両にタイム加算のペナルティが出されたことにより、正式結果は9位、ポイント獲得を果たした。オサリバン選手も3度のリスタートをミスなくこなし、8位でフィニッシュ。KONDO RACINGは2台そろってポイント獲得という結果で2025年シリーズをスタートさせる形になった。

予選結果

Pos. No. TEAM DRIVER Q1 Q2
1 16 TEAM MUGEN 野尻智紀 1’36.983 1’36.505
2 15 TEAM MUGEN 岩佐歩夢 1’37.034 1’36.527
3 6 DOCOMO TEAM DANDELION RACING 太田格之進 1’37.026 1’36.632
10 4 KONDO RACING ザック・オサリバン 1’38.694 1’37.697
15 3 KONDO RACING 山下健太 1’38.035

参加台数:22台 出走台数:22台



決勝結果

Pos. No. TEAM DRIVER TIME/DIFF LAPS Best Time
1 6 DOCOMO TEAM DANDELION RACING 太田格之進 59’16.061 27 1’39.135
2 15 TEAM MUGEN 岩佐歩夢 0.197 27 1’38.922
3 64 PONOS NAKAJIMA RACING 佐藤 蓮 3.411 27 1’39.312
8 4 KONDO RACING ザック・オサリバン 14.662 27 1’39.908
9 3 KONDO RACING 山下健太 19.160 27 1’40.177

参加台数:22台 出走台数:22台 完走台数:18台
規定周回数 31Laps

FASTEST LAP

No. TEAM LAPTIME
15 TEAM MUGEN 1’38.922 (19 / 27)

近藤監督のコメント

近藤監督 PHOTO

シーズンの開幕戦は、どのチームも完璧にうまくいったわけではないと思います。我々も同様で、バタバタしたところもありましたし、レース自体も大荒れでしたが、そんな中で2台そろって無傷でポイントを持ち帰ったことは良かったです。もちろん、予選では健太が残念でしたし、決勝ではザックのスタートはもったいなかった。それでも決勝の走りは2人とも見事でした。決勝のペースはとても良かったですね。今シーズン、うちのチームにはドライバーとしてザックが加入し、エンジニアでは大駅が加入しました。その体制変更で流れが変わったように思いますね。チーム内の空気感も変わりましたし、いい刺激を与えているように感じます。新シーズンの初戦としてはとても良い形で進められたので、明日の第2戦も楽しみです。

3号車 山下健太選手のコメント

山下健太 PHOTO

昨日行われた2回のフリープラクティス時と、今日は風向きやコンディションが変わった中で予選では合わせこみがうまく出来ませんでした。ただ決勝のレースペースは良く、ピット作業のタイミングで大きくポジションを下げてしまいましたが結果的に10位まで上がってくることが出来ました。今までにない決勝でのペースを感じられた事はとてもポジティブです。もう少し前のグリッドからスタートできれば良いレースができる感触はあるので、まずは予選をちゃんと進めていける準備をしたいですね。今年は今までと違う感じで行けそうな気がしています。

4号車 ザック・オサリバンのコメント

ザック・オサリバン PHOTO

僕にとって初めてのSFとなったわけですが、ベストを尽くしました。予選フォーマットも初めての経験でしたが、トラフィックなども生まれる中でアタックできるチャンスはわずかに1周というのは非常に難しかったですね。また、これほど寒いコンディションでレースをすることも初めてだったので、タイヤを替えたあとのアウトラップやリスタートでは非常に滑りやすく、ハードでした。後はスタートの失敗はとても残念でした。クラッチがうまく入らなかったし、ホイールスピンも多かった。最悪なスタートになってしまいました。幸い健太が良いスタートを切ったので、それと比較して改善していきます。

3号車 大駅俊臣エンジニアのコメント

開幕前の公式テストが悪天候により1日しか走れませんでしたが、きちんと解析し、その中でベストと思われる状態で車両を持ち込んできました。ただ予選では、セットアップの持って行き方や考え方が少しずれてしまったようです。健太が出走したB組は熾烈な争いになるメンバーだったので、そんな中でその状態で走るのは厳しかったですね。とはいえ、少なくともトヨタ勢のトップには立たなければいけないので、そこに持っていけなかったのは失敗でした。レースペースに関しては良かったですし、健太自身が持っている「決勝が苦手」というイメージを払拭出来たのではないでしょうか。彼と組むのは初めてですが、非常に良いスピードを持っているし、レースでも強い印象を持っています。なかなか結果が出ない時期が続いていたので自分自身でそれを気にしているような部分がありますが、十分に速さを持っているので、ポジティブにいってほしいですね。今日も自力で追い上げてきましたし、こういうレースを続けていければと思っています。

4号車 阿部和也エンジニアのコメント

ザックと組んで初のレースだったので、ポイントが獲れれば良いかなというところを狙っていました。きちんとそれを達成できて良かったですね。今日のレースは非常に荒れたので、その中で生き残ったのはよくやったと思います。予選も決勝も、もう少しクルマのレベルを上げなければいけないのは分かっていますが、確実に去年より良い形になっています。ザック選手はやはり速いですね。決勝も、SFでの初めてのレースですが落ち着いていました。ただOTSなどF2にないシステムやSF独自の部分はまだ勉強しなければいけないですが、頭もいいドライバーなので習得にそれほど時間はかからないのではと思います。今日は戦略的にも4号車にとっては有利でしたね。スタートだけが残念です。練習ではうまくいっていたのですが、本番のあの時だけうまく繋がらなかったので、車両側に問題がないかどうか、明日に向けてしっかりとチェックしたいと思います。

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