RACE REPORT

SUPER FORMULA

第1戦 鈴鹿サーキット

第1戦(3月9日・晴れ/ドライ)

予選レポート

寒さを吹き飛ばす鋭い走りで、山下健太選手が決勝6 番グリッドを獲得

2024 年の全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)が三重県の鈴鹿サーキットで開幕。近年は静岡県の富士スピードウェイで幕を開けることが多かったSF だが、今年は3 月に開催が早まった伝統の「2&4 レース」がシリーズの皮切りとなる。KONDO RACING は昨年からの変更はなく、3 号車に山下健太選手、4 号車に小高一斗選手という布陣。エンジニア体制も不動で、昨年届かなかった優勝争い、シリーズ争いを目指す。3 月9 日に公式予選が行われ、KONDO RACING は山下選手がQ2 に進出し6 位を獲得。上々の滑り出しとなった。一方の小高選手も健闘したが、僅差でQ2 進出を逃し総合13 位となった。

今年は例年より早い3 月上旬の開催なうえに、この週末は上空に強い寒気が流れ込んでいるため、搬入日から3 月とは思えないほどの寒さに見舞われた。公式予選が行われる9 日(土)も、朝のフリープラクティス開始時点で気温は8℃、路面温度は16℃を示していた。日差しが差し込めば路面温度は多少上がるものの、凍えるような空気の中、全12 チーム、21 名のドライバーたちが予選に向けた練習走行に向かう。1 時間半のセッションは途中で赤旗中断することもなく順調に進み、山下選手は20 周を走破して最後の予選シミュレーションでは1 分36 秒709 を記録。全体の4 番手につけた。小高選手は1 分38 秒029 で17 番手と下位に。上位陣からは大きくタイム差を開けられてしまったが、ここからの挽回を目指していく。

インターバルにはときおり雪が混じる雨も降ったが、公式予選が近づくにつれて天気が回復。午後3 時には青空も見えるようになってきた。いよいよ決勝のスターティンググリッドを決める公式予選がスタートする。今大会も2 段階の予選であるノックアウト方式が採用され、Q1 は2 グループに分割。山下選手はA 組で、小高選手はB 組で出走する。

まずはA 組の予選が開始。山下選手はセッション開始と同時にピットを離れ、コースコンディションのチェックに向かう。一度コントロールラインを通過してからピットに戻り、タイヤを履き替えて再びコースへ。アウトラップからウォームアップラップを挟み、いよいよアタック開始だ。セクター1、2 と自己ベストタイムを並べ、1 分36 秒745 をマークして暫定4 番手に。その後2 台が山下選手のタイムを破り、山下選手は1 つ、また1 つとポジションを下げていったが、なんとか6 番手に踏みとどまりQ2 進出を決めた。続くB 組の小高選手も、山下選手同様にセッション開始と同時にコースイン。こちらはアウトラップでそのままピットに戻ってくると、タイヤを履き替え再度コースへと向かった。タイヤのウォームアップに2 周を使い、出走10 台のうち最後にアタックに入る。渾身の走りを見せた小高選手だったが、結果は7 位。Q2 進出まであと0.1 秒届かず、ここで予選を終えることとなった。A 組、B 組を合わせた総合結果では13 位。決勝は7 列目から、まずはシングルフィニッシュを目指すことになる。

KONDO RACING としては、山下選手1 台がポールポジションを争うQ2 に。そのQ2 は昨年までの7 分間から10 分間へとセッション時間が延び、山下選手はQ1 同様にコースコンディションを確認したのちにピットに戻り、ニュータイヤに履き替えてタイムアタックへと向かった。タイヤのウォームアップラップにやや時間を使い、残り時間が20 秒にさしかかったところでいよいよアタック開始。セクター1、2 と、Q1 の自己ベストタイムからそれぞれ0.2 秒ずつ削っていく。セクター3 では0.4 秒アップとさらにタイムを縮め、1 分36 秒124 をマーク。暫定3 番手につけた。その後3 台が山下選手のタイムを上回ったため、最終的には6 位に。非常に悔しいポジションダウンとなったが、それでも十分に表彰台争い、優勝争いにも加われる3 列目グリッドを獲得することとなった。

予選結果

Pos. No. TEAM DRIVER Q1 Q2
1 38 VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING 阪口晴南 1’36.404 1’35.789
2 6 DOCOMO TEAM DANDELION RACING 太田格之進 1’36.284 1’35.880
3 16 TEAM MUGEN 野尻智紀 1’35.862 1’35.926
6 3 KONDO RACING 山下健太 1’36.745 1’36.124
13 4 KONDO RACING 小高一斗 1’36.697

参加台数:22台 出走台数:22台 完走台数:17台
規定周回数 31Laps

FASTEST LAP

No. TEAM LAPTIME
15 TEAM MUGEN 1’23.872

近藤監督のコメント

近藤監督 PHOTO

健太に関しては、開幕前のテストからいい感触があったし、午前中のフリープラクティスでは、ホンダ勢には上回られたもののトヨタ勢ではトップタイムだったので、予選でもそれを維持したかったし、ホンダ勢をかわす力もあったと思います。実際には少し行き過ぎた部分もあって6 番手。手ごたえを感じたうえでのこの結果に、本人もすごく悔しがっています。去年ずっと悩んでいたそのトンネルを抜けたように見えました。数字で言えば6 番手ですが、内容は悪くなかったと思います。小高に関しても、クルマもここ何戦かのなかでは一番決まっていたようで、Q1 敗退ではあったもののQ2 進出がすぐそこに見えるところに来ました。それだけに、本人も悔しい予選になった。6 番手の選手との差はコンマ1 秒。この差は、彼の気持ち、ドライバーの腕でもぎ取れたコンマ1 秒だと思うので、そこは課題ですが、そういった位置に来られたことでいい勉強にもなったのではないかな。2 台とも非常に悔しい思いで予選を終えることになったので、決勝ではこの悔しさをぶつけて思いっきり戦います。

3号車 山下健太選手のコメント

山下健太 PHOTO

悔しいです。過去2 回のテストで常に上位のパフォーマンスを出せていたので、正直なことを言えばポールポジション争いを狙っていました。ただ、Q2 のコンディションがとても良く、自分が感じた中では鈴鹿で一番グリップしたんじゃないかというぐらいで、そこまでコンディションが良くなることを予測できず、自分自身もクルマもそれに合わせ切れていませんでした。後から考えれば「こうすればよかった」と思うことはたくさんあって、テストが良かっただけにこの6 番手はとても悔しいです。

4号車 小高一斗選手のコメント

小高 一斗 PHOTO

走り自分自身としては、すごくいいアタックができたんじゃないかと感じています。去年の最終戦から始まって年末、2 月の2 度のテストと、鈴鹿を走る機会がずっと続いていましたが、1 度も1 分36 秒台に入れることができず、常に調子がよくありませんでした。今回予選前に変えたセットアップがすごくいい方向に行って、やっと普通に走れたという感じです。36 秒台の壁をようやく乗り越えて、Q1 突破が見えるレベルに届きました。午前中まではその次元にいなかったことを考えると、満足はいかないですが明日以降につなげられる予選ではあったのかなと思います。

3号車 村田卓児エンジニアのコメント

12 月と2 月と、2 度のテストで段階を踏んでデータ収集を行い、立てた仮説を検証して、今の時点ではいい方向に進んでいます。それがベースになっているので、去年の状態とはだいぶ違いますし、手ごたえも感じています。ただ、Q2 の路面コンディションのあがりしろを読み間違えたかなと。条件は非常に良かったので、それに見合ったアジャストが少し足りませんでした。自分たちはQ1 のA 組で、B 組を挟んでのQ2 なので、そのあがりしろを読み切れなかったのが残念ですし、とても悔しい予選になりました。

4号車 阿部和也エンジニアのコメント

年末、年明けのテストでうまくいかず、今日の午前中も下位で終わってしまい、いろいろと迷っていたのですが、その午前中の走行で「こっちのほうかな」という方向性がだいぶ見えてきたので、持ち込みの状態から大幅にセットを変えて予選に臨んだところ、それが結果につながりました。コンマ1~2 秒でだいぶリザルトが変わっていたので正直なことを言えばQ2 に残りたかったですが、午前中の雰囲気から考えれば上出来かなとは思います。ただ、ドライバーとしても、大きくセットを変えた状態で予選に入ったので手探りの走りになってしまった部分もあったと思うので、この状態で持ち込むところからレースウィークをスタートできればという悔しさはあります。今回よかった部分をしっかりと分析して、季節がだいぶ進んで温かくなった次の予選のときにも同じようなパフォーマンスを出せるようになれば、今年は高いレベルで安定して戦えるようになるのではと考えています。

第1戦(3月日・晴れ/ドライ)

決勝レポート

山下健太選手が1 年ぶりの表彰台獲得!

前日の予選日には雪もちらついた2024 年の全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)開幕ラウンド。一夜明けた決勝日も空気の冷たさは変わらないものの、青空から差し込む日差しのおかげでやや過ごしやすい陽気になった。

決勝レースを前に、午前9 時10 分から行われたフリー走行では、タイヤ交換とスタートの練習、そして決勝に向けたマシンセッティングの確認やロングランチェックが行われる。KONDO RACING の2 台、山下選手と小高一斗選手は序盤にスタート練習とタイヤ交換シミュレーションを済ませると、決勝レースを見据えたロングランに入る。ベストラップの速さというよりも連続周回の中でのペースやタイムの落ちを確認することがメインのセッションとはなるが、そんな中でも山下選手が1 分39 秒289 で全体の3 番手タイムをマーク。決勝レースでの走りに期待が高まっていった。

たっぷりと日差しが降り注いだおかげもあって、SF の決勝レーススタート進行が近づくころには前日までの寒さは消え、日向では暖かさを感じるようにまでなってきた。併催する2 輪のレース時間が伸びた影響で、SF は20 分遅れの午後2 時45 分にスタート。6 番グリッドからスタートした山下選手は抜群のけりだしを見せると、上位陣がコースのアウト側でポジション取りのバトルをしあっている中をイン側からうまく1 コーナーへと切り抜けていき、1 台をかわしてオープニングラップで5 番手にポジションアップした。13 番手スタートの小高一斗選手もスタートで出遅れた前列の2 台をかわし11 番手に浮上したが、スタート直後で混戦の中、背後からライバルの猛攻を受ける。2 コーナーからS 字コーナー、逆バンクを何とかしのぎ、コース後半に入るころにはややギャップを築けたかに思われた。しかしオーバーテイクシステム(OTS)を使ってシケインで一気に詰め寄られ、ポジションダウン。それでも離されることなく食らいついていき、最終コーナーでは逆にOTS を使ってアウト側から並びかけていった。ホームストレートからサイドバイサイドのバトルが続き、そのまま1~2 コーナーへ。すると、そのバトルの中で接触があったか、2 台は体勢を崩してS 字コーナーでコースアウト。小高選手はグラベルにつかまってしまい、ここでリタイアに。好スタートを切り、まさにここから挽回していくはずの小高選手だったが、残念ながら戦列を離れることとなった。2 台の車両回収のため、レースはセーフティカー(SC)が導入される。6 周目に入ったところでリスタートが切られると、山下選手は上位のライバル勢と同等のペースで周回。11 周を終えて早めのピットイン戦略に出た。すでに3 台が、直前の10 周終了時点でタイヤ交換を済ませていたが、この3 台が冷えたタイヤでアウトラップを走行している間に、チームは素早いタイヤ交換作業で山下選手をコースへと送りだす。山下選手がコース復帰した時には、先にタイヤ交換を済ませたライバルはホームストレート1 本分後ろに迫っていて、まだタイヤに熱の入っていない山下選手にぐんぐんと近づいてきた。しかし山下選手は「想像していたよりもアウトラップが速くて」とのちに語るように、むしろ相手を引き離すような勢いでアウトラップをクリア。タイヤに熱が入ってからのペースも良く、13 周目には全体で2 番目に速い1 分39 秒510 の自己ベストタイムをマークした。

その13 周終了時点でトップ車両がタイヤ交換に入ると、山下選手はアンダーカットを成功させるべくさらにプッシュ。今度はホームストレート1 本分先にコース復帰したライバルを追いかける展開となる。すでに2 周をレースペースで走り十分にウォームアップができた状態の山下選手は一気にその差を縮めていくが、相手もOTS を使ってプッシュ。なんとか1.1 秒差まで追い詰めたものの、絶好のチャンスで逆転には届かなかった。ここからは相手もペースを上げ、山下選手はじわじわと差を広げられてしまい、レース終盤にはタイヤの消耗が進んできたところで3 位の選手に詰め寄られてしまう場面も。最終ラップはお互いに残りのOTS を使い切るまでのバトルになったが、約1 秒の差を削られることなくチェッカー。2024 年の開幕戦を2 位表彰台で飾ることに成功した。

予選結果

Pos. No. TEAM DRIVER TIME/DIFF LAPS Best Time
1 16 TEAM MUGEN 野尻智紀 57’14.911 31 1’39.970
2 3 KONDO RACING 山下健太 1.855 31 1’39.510
3 64 PONOS NAKAJIMA RACING 山本尚貴 3.091 31 1’39.287
リタイア 4 KONDO RACING 小高一斗 30LAPS 1

参加台数:21台 出走台数:21台 完走台数:19台
規定周回数 36Laps

FASTEST LAP

No. TEAM LAPTIME
64 TEAM MUGEN 1’39.287

近藤監督のコメント

近藤監督 PHOTO

今回のレースは早めのピット戦略がうまく当たりましたね。それに、去年は健太もエンジニアも、8 分間のウォームアップを終えてもクルマが決まらず悩んでいたのですが、今回のレースではそんな様子が全くなく、それを見て今日は行けるかもしれないという期待が出てきました。うちが持っている力を全部出しきっての2 位。そういう意味では、優勝するにはあともう少し、何か一つ超えないと。だけどそれが分かっているので、大丈夫だと思います。ただ、SUPER FORMULA はシーズン開幕で2 位のスタートを切れたとしても、次のサーキットに行ったときに「こんなはずじゃなかったのに」っていうことも起きうるシリーズ。だからこれで大丈夫と思うのではなく、次戦以降も1 レース1 レース、しっかり決めていきたいです。小高はスタート前に、「今日はポイント獲得を目標に、賢いレースをしていこうな」と話をした矢先だったので……。あのラップでリスクを負って勝負を仕掛けることが良かったのか、少し様子を見たほうが良かったのか、難しいところです。本人が一番悔しい思いをしているでしょう。予選は悪くなかったので、次戦に期待したいと思います。

3号車 山下健太選手のコメント

山下健太 PHOTO

シーズンオフの2 回のテストと同じようなコンディションのなかでのレースで、本当は昨日の予選からもう少し上にいたかったというのはありますが、今日はレースの組み立てがうまくいきました。ピットウィンドウが開いた10 周終了時点でのピットインも考えましたが、今日はとても寒かったのでアウトラップを走っている間に翌周ピットインの作戦を採ったドライバーにオーバーカットされるかもしれないと考え、11 周目のピットインを選びました。結果的にそれが良かったです。チームのタイヤ交換が本当に速く、またアウトラップも自分が想像していたより速く走れました。後半で少しペースに厳しいところはありましたが、2 位でゴールできたことはすごく良かったです。次は2 か月も先のレースになるので全く違うコンディションになるはずです。今のパフォーマンスを維持できるとは考えていないので、チームとしっかり話し合って、オートポリスでも走り出しからしっかりと走れるように準備していきたいです。

4号車 小高一斗選手のコメント

小高 一斗 PHOTO

開幕前のテストからずっと調子は良くなく、昨日のフリー走行までは全然ダメだったのですが、ダメなりにいろいろとテストしている中で見つけたいい部分を予選に向けてアジャストしていったら、結果としてはQ2 には進めませんでしたがその位置が見えるところまで行くことができました。ただ決勝に関してはロングランの中では厳しいところもありました。スタートはすごくうまく決まりましたが、前後にマシンがいる状態の中でいろいろ考えたときに、少し迷ってしまったところがあって、それが結果的に接触を生んでしまったと思います。オープニングラップ1 周だけの感触ですが、ポイント争いができるぐらいのポテンシャルはあったかなと思っていたので、無駄な接触で可能性をなくしてしまったことを反省しています。チームとしては山下選手が表彰台に上がりました。今は僕が足を引っ張ってしまっている状態なので、少しでも早く、僕が山下選手に追いついて、ここから先のレースでは全戦トップ10 以内のレースを目指してやっていきたいです。

3号車 村田卓児エンジニアのコメント

予選が6 番手だったことを考えると、2 位表彰台というのは悪くはないとは思いますが、決勝中のレースペースやタイヤの使い方など、まだ負けている部分、課題はあります。今日はストラテジーもはまりましたね。レースとしては上出来だったと思います。ただ、これだけ寒い時期だとダウンフォースでいろいろとごまかされてしまうところがあるので、それを見越していろいろと考えた部分はありますが、それがオートポリスで通用するかどうかを確認しないと、ダメかなと思っています。通用すれば、おそらくシーズンを通して悪くない方向に行けるかなと思いますが、まだ確信は持てませんね。今のところ、検証している事柄はうまくいっているので、悪くはないとは思っています。

4号車 阿部和也エンジニアのコメント

午前中のフリー走行ではまだあまりよくなかったので、決勝に向けてはまた車をアジャストしていったのですが、タイヤも温まっていない状況とはいえスタート直後は周りと比べても割といい感触だったと思います。だからこそ、その先を見たいと思っていたところで止まってしまいました。10 周でも走ってくれていれば次戦に向けてもいろいろデータを集められたかもしれません。でも、これもレース。バックストレートのあたりから争っていたバトルなので、仕方のないところですが、自分たちも相手も、お互いに損をしてしまいましたね。次戦に向けて、また頑張ります。

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