RACE REPORT
SUPER FORMULA
第2戦 鈴鹿サーキット
第2戦(3月9日・晴れ/ドライ)
予選&決勝レポート
新フォーマット攻略の課題。2連戦の2戦目はノーポイントに終わる
2025年の全日本スーパーフォーミュラ選手権’(SF)、開幕大会は2レース制。第2戦は9日(日)に行われた。今シーズンは日曜日に行われるレースはレースフォーマットに小変更が加えられる。「先頭車両が 10 周回目の第1セーフティカーラインに到達した時点から先頭車両が最終周回に入る前」というピットウィンドウが撤去され、1周目からタイヤ交換を行っても良いというルールに変更された。周回数は前日の第1戦よりも4周多い31周で、どのタイミングでピットに入るかが戦略の大きな要素となる。
まずは午前中に公式予選が行われた。第1戦では悔しいQ1敗退を喫した山下健太選手は、1分37秒483をマーク。順位は6番手とギリギリだったがしっかりとQ1突破の目標をクリアした。オサリバン選手もSFで2度目の予選をスムーズにこなし、1分37秒559という好タイムをマークしたが、1つ上の順位の車両とはわずか0.067秒差で7番手に。上位6台に入ることは叶わず、総合結果では13位となった。Q2に進出した山下選手は、1分36秒583までタイムを縮めて9位。決勝レースでの上位入賞、表彰台獲得も視野に入れる事が出来るグリッドを獲得した。
しかし、迎えた決勝は前日とは大きく風向きが変わってしまう。スタートして1~2周で半数近くがピットインを選択。まずまずの蹴り出しでスタートした山下選手、オサリバン選手の2台は上位勢がピットに向かった関係でそれぞれ6番手、7番手までポジションアップする。またも2台が連なってしまったKONDO RACINGは、戦略を分けるために先にオサリバン選手をピットへと迎え入れた。見た目上で最後尾に下がってしまったオサリバン選手は、ここからフレッシュタイヤでのペースアップを目指すが、前日よりも風が強く、また日差しも出て路面温度が高いことが影響しているのか、思うようなペースアップが出来ない。スタート直後、2周目にマークした1分40秒682という自己ベストタイムを更新できずに周回数が進んでいく。前方の車両に引っかかり、自分のペースで走行できなかったという部分もあるが、それでもなんとか食らいついていき、ライバル勢のタイヤ交換のタイミングで1つずつポジションを押し上げていった。
一方の山下選手は、レース後半にピットインする戦略に。トップ争いを展開している2台と同じ20周目というタイミングでピットに向かうと、暫定12番手でコースに復帰。コールドタイヤのアウトラップで数台の先行を許す事にはなってしまったが、タイヤに熱が入ったあとは前日見せた力強いペースに期待がかかる。しかし、こちらもオサリバン選手同様、なかなか前を走る車両をとらえられない。タイヤ交換後の23周目にマークした1分39秒596というベストタイムは上位陣にも引けを取らない速さだが、ひとつ前を走る車両に蓋をされ、思うようなペースで走行できない周回が続く。
そんな中、28周目にアクシデントが発生する。19番手を走行していたオサリバン選手は、ホームストレートで後方車両から迫られサイドバイサイドの争いに。2コーナー先ではオサリバン選手がわずかに前に出ていたが、ここで車両同士が接触。S字コーナーで正面からタイヤバリアにヒットしてしまった。幸いオサリバン選手に怪我はなかったが、車両ダメージも大きく再スタートは叶わず。レースはセーフティカー(SC)が導入され、そのままゴールを迎えた。山下選手は12番手のままチェッカーを受けたが、上位車両にタイム加算のペナルティが出されたことで、正式結果は11位に繰り上げとなった。オサリバン選手は規定周回数の27周を走破していたことから完走扱いの22位。ただし接触アクシデントに対し5秒のタイム加算ペナルティを受けることになった。
予選結果
Pos. | No. | TEAM | DRIVER | Q1 | Q2 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 16 | TEAM MUGEN | 野尻智紀 | 1’36.633 | 1’36.060 |
2 | 15 | TEAM MUGEN | 岩佐歩夢 | 1’37.311 | 1’36.170 |
3 | 6 | DOCOMO TEAM DANDELION RACING | 太田格之進 | 1’36.907 | 1’36.209 |
9 | 3 | KONDO RACING | 山下健太 | 1’37.483 | 1’36.583 |
13 | 4 | KONDO RACING | ザック・オサリバン | 1’37.559 |
参加台数:22台 出走台数:22台
決勝結果
Pos. | No. | TEAM | DRIVER | TIME/DIFF | LAPS | Best Time |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 5 | DOCOMO TEAM DANDELION RACING | 牧野任祐 | 55’03.054 | 31 | 1’38.375 |
2 | 1 | VANTELIN TEAM TOM’S | 坪井 翔 | 2.681 | 31 | 1’39.191 |
3 | 15 | TEAM MUGEN | 岩佐歩夢 | 2.780 | 31 | 1’39.446 |
11 | 3 | KONDO RACING | 山下健太 | 5.759 | 31 | 1’39.596 |
22 | 4 | KONDO RACING | ザック・オサリバン | 4Laps | 27 | 1’40.682 |
参加台数:22台 出走台数:22台 完走台数:22台
規定周回数 31Laps
FASTEST LAP
No. | TEAM | LAPTIME |
---|---|---|
64 | PONOS NAKAJIMA RACING | 1’38.083 (26 / 31) |
近藤監督のコメント
残念なレースになってしまいました。戦略に関しても、我々としては1周目で入れるという想定はありませんでした。気温が上がってくる夏場にはこの戦略は使えないでしょうから、そういう意味ではトライしても良かったのかもしれません。うちとしては序盤に数台がピットインした時点で2台が連なっていましたから、すぐに戦略を分けなければいけませんでした。それも裏目に出てしまいましたね。ただ、レースタイムも昨日と比べると良くなかったので、しっかりと分析していかなければいけません。とはいえ、昨シーズンと比べると、開幕大会からいい感触をつかんでいる気がしています。楽しみなシーズンになりそうなので、期待していただければと思います。
3号車 山下健太選手のコメント
予選のグループ分けを見て、今日はQ1を突破することが最大の目標だと考えていたので、6位通過できたのは良かったです。Q2は9番手にとどまってしまいましたが、トヨタ勢のトップと比べて0.1秒差ぐらいの所にいられたので、自分としても力を出し切れた感触がありましたし、良かったと感じています。決勝も期待していたのですが、「ここをこうしておけば」という部分は多少あるものの、もう少しペースがあることを期待していたので残念です。今回初めて、新しいルール(ピットウィンドウなし)のレースを戦って、みんながどういう戦略を取るかが何となくわかってきました。ただ“もてぎ”はタイヤのデグラデーションも今回とは変わってくると思うので、その辺りも含めてエンジニアさんと色々と話して、準備していければと思っています。
4号車 ザック・オサリバンのコメント
今日は非常に残念な日でした。予選では、周りのドライバーが昨日よりもとてもパフォーマンスが高かったので、比較して自分たちがマイナスの方向に目立ってしまいました。でも決勝レースのスタートに関しては良くなりましたね。ポジションアップもできたし、いい走り出しになったと思います。ペースは良くなかったうえに、最後は他車と接触してしまいました。2コーナーの出口で、相手からはもう少し離れていると思ったのですが、実際には相手の右フロントタイヤに僕の左リヤタイヤがぶつかってしまいました。次戦の舞台である“もてぎ”は、もちろん実際に走った事はありません。コースレイアウトは分かっていますが、レースウィークに向けて出来るだけたくさん映像を見たりして準備しようと考えています。幸い、僕たちのチームは去年健太がとても速かったので、もてぎに対していいデータがあります。できる限りの準備をしてもてぎラウンドに臨みたいと思います。
3号車 大駅俊臣エンジニアのコメント
ピットインは、トラフィックとの位置関係が良くなかったですね。タイミングは引っ張ることを考えていたのですが、そこでも前のマシンに引っかかってしまいました。中途半端なタイミングまで引っ張った面々は埋もれてしまいましたから、最後まで引っ張って前に出るか、先に入ってクリアなところでギャップを削っておくのか、両極端に分けなければ。タイヤのデグラデーションも気にしていましたが、結果的に1~2周目にピットに入ったドライバーが上位に来ましたから、この気温やコンディションであれば30周は持つことも分かりました。予選に関しても厳しいドライバーラインナップだと考えていたQ1を突破できましたし、悪くなかった。もてぎに向けても大丈夫だと思っています。
4号車 阿部和也エンジニアのコメント
予選は残念ながらQ2には進めませんでしたが、昨日も突破したとはいえギリギリでしたし、今の自分たちはQ1突破するかどうかのライン上にいるのだと考えています。走りの方で若干のミスがあったようなので、それがなければQ2に進めたかもしれませんが、そのミスをカバーしてQ1を突破できるようなレベルのクルマにはまだ届いていないということです。そういう意味では、昨日と比べて特にどこが悪かったということではありません。問題は決勝のロングランで、昨日は周りと比べてもタイヤの垂れが少なそうだという話をしていたのですが、今日はあまりパフォーマンスが良くなかったです。戦略も悪かったとはいえ、自力で前をとらえていけるペースがなければ、SCも入らない展開ではオーバーカットされてしまいます。第1戦のパフォーマンスを再現できなかったのはなぜなのか、そういったことも含めて次戦のもてぎに向けて話し合っていきたいと思います。