RACE REPORT
SUPER FORMULA
第2戦 オートポリス
第2戦(5月18日・晴/ドライ)
予選&決勝レポート
2か月ぶりのスーパーフォーミュラ、山下健太選手が健闘の9番グリッド獲得
全日本スーパーフォーミュラ選手権は、異例の2か月インターバルがあけてようやく第2戦が幕を開けた。舞台となるのは大分県日田市にあるサーキット、オートポリス。九州地方で開催される唯一の国内トップフォーミュラレースには、予選日から多くのモータースポーツファンが集った。開幕戦で山下健太選手が2位表彰台を獲得したKONDO RACINGは、2台そろっての好成績を目指してオートポリスラウンドに挑む。公式予選では山下選手がQ2に進出し9位。小高一斗選手は総合20位となった。
厳寒の鈴鹿で行われた開幕戦から2か月。季節は初夏へと移り、強い日差しが照り付ける陽気となったオートポリスで、KONDO RACINGはSF第2戦に挑む。予選日の午前中に設けられたフリープラクティスは、午後の予選に向けて一発のタイムを出せるマシンに煮詰めていく時間。数周の走行とピットインを繰り返しながら、コンディションにマッチしたセットアップに仕上げていく。1分30秒台のタイムでスタートした山下選手は、開始から50分が過ぎたあたりで1分27秒930をマーク。最後のアタックシミュレーションではそこから0.3秒削り1分27秒606のベストタイムで8位となった。一方の小高選手はスタート練習からセッションを開始。途中で1台のマシンがトラブルからコースサイドにストップしたため赤旗中断し、5分ほどセッション走行時間が短くなったが、都合85分の走行の中で10度のピットインを繰り返し、予選に向けて最適なセットアップを探していく。持ち込みセットの感触があまりよくなかったところからのスタートになった小高選手は、1分28秒952のベストタイムで19番手。阿部和也エンジニアとともに、予選での挽回を目指していくのだった。
強い日差しは相変わらずコースに照り付け、午後2時には気温は27℃、路面温度は47℃まで上昇。開幕戦とは全く異なったコンディションで、第2戦のスターティンググリッドを決める公式予選がスタートした。2グループに分けられるQ1は、A組で山下選手が出走。セッション開始と同時にピットを離れると、まずはユーズドタイヤでコースチェックに向かう。いったん1分31秒814のタイムを記録してピットイン。ニュータイヤに履き替えていよいよアタック開始だ。残り時間が3分半を切って再びコースに戻ると、アウトラップを終えて一気にアクセルオン。セクター1ではやや遅れをとったが、残りセクターでリカバリーし、1分27秒729で4番手に入り、上位6台が進出するQ2へと駒を進めた。
5分のインターバルで始まったB組は、小高選手が出走。同様にチェックラップに向かってから一旦ピットに戻り、新品タイヤを装着してアタックに。セクター1でのロスが大きく、結果は1分29秒070。風の影響もあってか、山下選手が出走したA組予選と比べても全体的にタイムが伸び悩んだB組ではあったものの、セッショントップから1.199秒遅れの10位でQ2進出には届かなかった。予選セッションがすべて終了したところで、総合結果は20位。開幕戦に続き後方グリッドからのスタートとなるが、小高選手のレースでの強さを活かし、決勝での挽回を誓う。
Q1の結果からQ2進出を果たした山下選手はポールポジション争いに挑む。一般的にセッションが進むにつれて路面コンディションが向上していくため、Q1に比べてQ2は大きくタイムが更新されていくことが多い。山下選手もセクター2、3ではQ1での自身のタイムを削り、結果1分27秒412をマーク。Q1から約0.3秒タイムを縮めることができた。ただしライバル勢もそれは同じで、トップタイムは1分26秒台に入り、山下選手は9位となった。決勝レースは9番グリッドからのスタートとなるが、表彰台を獲得した開幕戦のように、戦略も駆使しながら上位を目指す。
決勝結果
Pos. | No. | TEAM | DRIVER | Q1 | Q2 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 15 | TEAM MUGEN | 岩佐歩夢 | 1’27.570 | 1’26.632 |
2 | 5 | DANDELION RACING | 牧野任祐 | 1’27.871 | 1’26.970 |
3 | 64 | PONOS NAKAJIMA RACING | 山本尚貴 | 1’28.092 | 1’27.046 |
9 | 3 | KONDO RACING | 山下健太 | 1’27.729 | 1’27.412 |
20 | 4 | KONDO RACING | 小高 一斗 | 1’29.070 |
参加台数:21台 出走台数:21台 完走台数:21台
Q1 AGr:Start Time:14:00’00 Finish Time:14:10’00 Q1 BGr:Start Time:14:15’00 Finish Time:14:25’00 Q2 :Start Time:14:35’00 Finish Time:14:42’00
近藤監督のコメント
小高は、レースでは割といいタイムでしっかり走れるけれど、予選が苦しい。開幕戦に続き、厳しいスタート位置になってしまいました。10番手ぐらいまでに入らないと、決勝での彼の良さが活かされないので、なんとか予選でうまくいかない原因を突き止めなければいけません。健太も、トップに比べるとあとコンマ2~3秒ほしいところではありますが、この位置からであれば戦略とペースが良ければ表彰台までは行けると思うので、開幕戦に続いて頭のいいレースをやって、気が付けば上位にいるというようなレースをしていきたいです。予選では2台そろって、トップグループと比べて少しストレートの伸びが足りないように感じましたが、このコースはストレートのスピードだけが重要なわけではないし、決勝レースになれば予選とは違う部分が重要になってきます。決勝では切り替えて、そろって強いレースを見せていきたいですね。
3号車 山下健太選手のコメント
走りはじめから10番手当たりのポテンシャルだったので、そこから改善したかったのですが、Q1ではいい方向に進んだような気はしたものの、Q1からQ2にかけてのタイムの伸びが周りほどなく、結局最後まで大きくは変わらなかったです。決勝に向けては鈴鹿でロングランの状態は良かったことが確認できているし、もちろん季節が進んでだいぶ熱くなったので状況は変わってくるとは思いますが悪くはないだろうと考えています。なんとか巻き返して表彰台争いに絡む戦いがしたいです。
4号車 小高一斗選手のコメント
去年はオートポリス大会でQ2に進めたので、少しはいいところに行けるんじゃないかと期待していたのですが、やはりそんなにうまくはいかず、去年からここまでで一番ひどい状態にいるんじゃないかと感じるほどです。みんなもこういう苦しい時期を経験しているのだと思うので、あきらめることなく少しでも前進できるように、決勝は走っていきたいです。
3号車 村田卓児エンジニアのコメント
午前中はうまく進めていけましたが、予選では車両側でちょっと解せない現象が起きています。決勝に向けても少し気になる部分で困っているところなので、決勝までに原因を突き止めて改善しないとと思っています。
4号車 阿部和也エンジニアのコメント
鈴鹿では接触アクシデントで決勝を走れなかったものの、それでも予選と決勝で“この方向性がいいんじゃないか”というものが見つかったのでそれで持ち込んでみたのですが、フリープラクティスからあまりいい感触がなく、予選に向けて考えられることはやったけれどあまりタイムは変わりませんでした。なんとかいい部分を蓄積してクルマのポテンシャルを上げていきたいですが、その蓄積がうまくできていないことが問題です。ただそうも言っていられませんし、決勝では結果として少しでもポジションを上げることはもちろんですが、今悩んでいることの答えが少しでも見つかるようにいいデータを取りたいですね。
第2戦(5月19日・晴れ/ドライ)
決勝レポート
山下健太選手、2戦連続で入賞
全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)第2戦の決勝日。オートポリスは予選日に続いて気持ちの良い青空が広がった。ただ朝のうちは突風ともいえるほど風が強く、その影響か少し肌寒さを感じるような陽気となった。午前10時からのフリー走行では2台の車両が風の影響で挙動を乱しクラッシュするなどやや荒れた展開に。そんななかでKONDO RACINGの小高一斗選手は13周を走行し決勝に向けた車両の確認を行った。山下健太選手は車両トラブルでわずか3周のチェックにとどまった。幸い、決勝までにはそのトラブルは改善されたが、決勝に向けた車両の仕上がり具合を確認するにはデータが足りず、本番勝負のような状況で決勝に挑むことになる。
決勝レースのスタートが近づくにつれ風も収まり、強い日差しが照り付ける分、前日同様の暑さが戻ってきた。スタート直前の時点で、気温は24度、路面温度は38度を記録。いよいよ41周の決勝レースが、午後2時50分にスタートした。9番グリッドからスタートした山下選手は抜群のスタートで2台をオーバーテイク。まだそれほど差の広がっていない前方集団にも食らいついて行った。第2ヘアピンの手前でイン側から1台に飛び込まれ一つポジションを戻してしまったが、オープニングラップで8番手に浮上した。あまり前後に差がない集団の中では思うようにペースが上げられず、序盤は膠着状態が続いていたなか、タイヤ交換が可能となる10周を過ぎると数台がピットイン。山下選手とチームは、開幕戦でピタリとはまった「11周目交換作戦」を選択した。今回もスムーズなピット作業でチームは山下選手をコースへと送り出す。気温、路面温度ともに低かった開幕戦と比べるとライバル勢もアウトラップがそれほど遅くはなく、大きな逆転劇は起きなかったが、確実に上位陣とのギャップを詰めた形で山下選手は後半のロングスティントに入った。ピットアウト後、レースの14周目に1分31秒の自己ベストタイムを記録。その後もトップグループと遜色ない1分31秒台のラップタイムを並べていった。23周目、ピット作業を終えてコースに復帰してきた車両を3コーナーでとらえてポジションアップ。全車がピット作業を終えて順位が整理されると、山下選手は7番手となっていた。終盤、タイヤが消耗しペースが落ち込んできたところで後続の車両が迫ってきたが、山下選手は最後までブロック。結果、スタート位置から2つポジションを上げた7位入賞で第2戦を終えることとなった。
予選のB組で10位となり、決勝には20番グリッドからスタートすることとなった小高選手は、まずまずのスタートを切って1コーナーで1台をかわすことに成功する。そのままさらにポジションアップを狙いたいところだったが、この週末に悩まされているペースの悪さは大きく改善はされず、オープニングラップで19番手には上がったものの、それより前を走るグループからは徐々に離されていく展開となってしまった。チームは山下選手の直後、12周を終えたところで小高選手へピットインの指示を送る。タイヤを履き替えた小高選手は、アウトラップ直後の14周目に1分32秒305の自己ベストタイムをマーク。調子を取り戻してきたかに思えたが、その後は1分33~34秒台のラップタイムに戻ってしまった。比較的早いタイミングでのタイヤ交換のため、ここから30周近くのロングスティントを走り切らなければならない小高選手は、ペースが苦しい中で懸命にプッシュし41周を走破。車両トラブルで1台がリタイアしたため、18位でチェッカーを受けた。
予選結果
Pos. | No. | TEAM | DRIVER | TIME/DIFF | LAPS | Best Time |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 5 | DANDELION RACING | 牧野任祐 | 1:03’37.202 | 41 | 1’31.263 |
2 | 15 | TEAM MUGEN | 岩佐歩夢 | 5.565 | 41 | 1’31.058 |
3 | 36 | VANTELIN TEAM TOM’S | 坪井 翔 | 8.978 | 41 | 1’31.352 |
7 | 3 | KONDO RACING | 山下健太 | 29.385 | 41 | 1’31.257 |
18 | 4 | KONDO RACING | 小高一斗 | 1’33.035 | 41 | 1’32.305 |
参加台数:21台 出走台数:21台 完走台数:20台
FASTEST LAP
No. | TEAM | LAPTIME |
---|---|---|
19 | ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF23 | 1’30.451 (23 / 41) 186.028 km/h |
近藤監督のコメント
小高は予選で苦しくても決勝になるといい走りをしてくれるので期待していたのですが、今回は彼らしくないレースをさせてしまって申し訳なかったです。ストレートスピードは周りに対して大きく後れを取っていたし、ドライバーとエンジニアとでもう一度いろいろと話し合って、次戦以降やり直していくしかないと思っています。早く彼本来の力を発揮させてやりたいですね。健太に関しては、集団の中で精いっぱいのバトルをしたと思うし、いいレースを見せてくれました。ただこちらもストレートは決して速くはなく、集団の中ではオーバーテイクシステムを使うのをためらうようなパフォーマンスだったのは悔しいところです。この週末、2台そろってトップスピードに伸び悩んだレースとなりました。鈴鹿ではトップクラスの速さを持っていたのに、なぜこんな状況になってしまったのかはこれからデータを調べてみないといけません。SUGOまでには原因を突き止めて、いいレースをしたいです。
3号車 山下健太選手のコメント
スタートはまずまず決まって2台をかわすことができました。ピットインのタイミングはやっぱり11周目だろうっていうのはあったのですが、前の集団の動きも見ながら最終的には判断しました。ピットアウト後、アウトラップで早くペースを上げたいタイミングで他の車両に引っかかってしまってロスしたのが残念でしたね。タイヤがいい状態でのペースは結構良かったですが、タイヤがたれ始めては厳しかったです。クルマ的には悪くもないけどとびぬけて良いわけでもなく、あと一歩足りないなという感じでした。ポイントランキングを見ると予選でトップ3に入ることが重要だと感じます。ポールポジションを獲れば決勝で8位に入るのと同じ3ポイントが獲れるので、できれば予選でトップ3に入れるポテンシャルを出したいです。現状は6~7番手で、あと0.2~3秒足りない。SUGOではその差を削れるようにやっていきたいです。
4号車 小高一斗選手のコメント
予選から朝のフリー走行、決勝直前の8分間ウォームアップといろいろなことを試して、徐々に良くなっているようには感じました。決勝では少しアジャストしたのですが、それは裏目に出たかなと思っています。でも実際のところ、そのアジャストでパフォーマンスが大きく下がったわけでもないので、根本的に今回はクルマがうまく煮詰められませんでした。良くない要素がどこかにいるのは間違いないです。今回のレースはこれで終わってしまったので、僕らにできることは、次のSUGOまでにな んとかその原因を突き止めることです。予選でも決勝でもトップグループからは2秒ぐらい差をつけられてしまいました。いろいろなことが詰まっている2秒だと思うので、それを解決できるよう、SUGOに向けてできることをチームとともにやっていきたいですし、僕自身もクルマが速い状態のときにしっかりと勝負できるように準備していきたいです。
3号車 村田卓児エンジニアのコメント
予選で見られた車両側の解せない症状に関しては原因は見つかったものの、フリー走行でトラブルが起きてしまい3周しか走れなかったため、それ以外に関してもきちんと確認が取れず、決勝レースに向けて狙いが定まらなかったところがあります。その3周ではクルマの状態はあまりにも良くなかったのでいろいろ変えたところはありますが、今回は集団の中で走る場面が多く、単独で自分のペースで走れるところがあまりなかったので、しっかりと検証ができていません。それほど悪い状況ではなさそうでしたし、そういう意味ではしっかりと決まったクルマではない中でポジションを上げてポイントを持ち帰れたことは良かったと思っています。鈴鹿、オートポリスと2戦を終え、ある程度の方向性は見えたような気もしますが、まだつかみ切れてはいません。2レース分のデータをもとにSUGOに向けてトライしてみたいこともあるので、頑張ります。
4号車 阿部和也エンジニアのコメント
この週末は走り出しからいろいろなことを試してきましたが、セッティングを大きく振ってみても状況は変わらず、非常に苦しい1戦になりました。決勝でも、スタートしてからの1スティント目では後ろの車両を少し離すくらいのパフォーマンスがあったにもかかわらず、タイヤを替えた後はその車両に抜かれてしまったり、僕自身も原因が分からず苦しかったですし、小高選手にも苦しいレースをさせてしまいました。次戦までの1か月で少しでも状況を変えていけるよう、しっかりと分析していきたいと思います。