RACE REPORT

SUPER FORMULA

第3戦 スポーツランドSUGO

第3戦(6月22日・晴/ドライ)

予選レポート

KONDO RACING、2 台そろって予選トップ10 入り

全日本スーパーフォーミュラ選手権第3 戦は、杜の都仙台に近いスポーツランドSUGO が舞台となる。全⾧が3,586m と、シリーズ戦が開催されるサーキットの中では一番短く、ラップタイムもドライコンディションだと1 分を少し超える程度。0.001 秒の中で争われるスーパーフォーミュラだが、ここSUGO はその戦いがより一層厳しさを増すといえる。レースウィーク、週末に入る直前では九州、東海地方を中心に大雨が各地を襲い、続々と梅雨入り宣言も発表されていたが、搬入、設営日となった21 日(金)からSUGO の上空は晴れ間が広がり、予選日は朝から30 度を超える暑さに見舞われた。

午前中のフリー走行は、開始から20 分ほど経過したところで馬の背コーナーで1 台がクラッシュし赤旗中断となったが、このフリー走行でセッションが中断されたのはこの1 度のみ。エスケープゾーンが狭くアクシデントが続くことが多いSUGO としては珍しく、各車が十分に走行を重ねることができた。KONDO RACING は、走り出しから山下健太選手が7 番手、小高一斗選手が10 番手とまずまずのポジション。トップグループが1 分8 秒台前半から7 秒台へと入っていくタイミングで2 台ともさらにタイムを削り、山下選手は予選シミュレーションの前に1 分6 秒台まで更新していく。残り10 分を切ってからのアタックシミュレーションでは山下選手が1 分6 秒508 で4 番手につけ、小高選手も1 分6 秒960 で9 番手となった。予選はQ1 が2 組に分かれて実施され、各組の上位6 台、計12 台がQ2 に進出するが、フリー走行の結果では2 台とも上位12 台に入るリザルトを残し、手ごたえを感じて予選に挑むこととなる。

午後に向けてますます日差しは強まり、気温は31 度とわずかな上昇だったが路面温度は50 度を記録。6 月とは思えない陽気の中、まずはQ1 がスタートした。A グループには山下選手が出走。フリー走行では3 番手、A 組で出走するメンバーだけを抜き出すと2 番手のタイムをたたき出し、この予選でも上位タイムで突破が期待された山下選手だが、1 分6 秒629 と午前中の自己ベストタイムをわずかに下回り6 番手。フリー走行から予選にかけての路面状況の変化に合わせきれなかったことが影響し思ったほどのタイムは出せなかったが、何とかQ2 進出圏内を死守しポールポジション争いへと駒を進める。

続くB 組は小高選手のアタック。「Q1 突破をまず目標に」と話していた小高選手は、高い集中力で予選に臨む。出走する10 台の中でも9 番目という順でタイムアタックに入ったが、前後のスペースも十分にあけてクリアラップで周回し、1 分6 秒284 というタイムを記録。A 組の山下選手より速いタイムでB 組の4 番手に入り、今シーズン初のQ2 進出を確定させた。

2 台そろって挑むQ2 は12 台での戦い。Q1 では「路面コンディションに合わせきれなかった」という山下選手だったが、このQ2 に向けての路面変化予測がばっちりとはまり、抜群のスピードでセクター1 を通過していく。セクター2 でも勢いは緩むことなくそのままコース後半へ。しかしSP コーナーで縁石に乗ってしまいわずかにタイムロス。1 分5 秒789 までタイムを縮めたが、本人としては悔しい6 位となった。Q1 突破に焦点を当てていた小高選手は、「Q2 でのアジャストが完ぺきではなかった」と振り返るものの、それでも路面状況の変化に対応しタイムを上げてくるライバル勢に対し後れを取ることなく、1 分6 秒061 まで自己ベストタイムを縮めて10 位に入る結果となった。まだまだ上にはライバルがいるものの、ここまで2 戦、Q1 突破が果たせず苦しんできたことを考えれば大きく調子を取り戻してきたともいえる。KONDO RACING としては去年の第3 戦鈴鹿大会以来、久々に2 台揃ってトップ10 グリッドから決勝レースをスタートできることになった。

予選結果

Pos. No. TEAM DRIVER Q1 Q2
1 16 TEAM MUGEN 野尻智紀 1’06.050 1’05.244
2 15 TEAM MUGEN 岩佐歩夢 1’06.058 1’05.364
3 36 VANTELIN TEAM TOM’S 坪井 翔 1’06.162 1’05.500
6 3 KONDO RACING 山下健太 1’06.629 1’05.789
10 4 KONDO RACING 小高 一斗 1’06.284 1’06.061

参加台数:21台 出走台数:21台 完走台数:21台

近藤監督のコメント

近藤監督 PHOTO

2台揃って、いい位置につけることができました。2台とも、ドライバーやエンジニアの話を聞くとあとコンマ1ぐらいは削れたかなというぐらい、まだ伸びしろもありそうです。ここまで2戦とは全く違う手応えになりました。1チーム2台で出ているメリットをもっと活かそうと、SUGO に向かうにあたって3号車と4号車がお互いに足りない部分を吐き出し、欲しい部分を共有した結果として、相乗効果で揃っていい結果が出せるようになったと感じています。このSUGO でトップ10 に入るのがどれだけ大変なことか。だけどチームもドライバーも頑張って、いい仕事をしてくれましたね。決勝も楽しみです。

3号車 山下健太選手のコメント

山下健太 PHOTO

もう少し上のポジションを狙っていたので残念です。Q1 のコンディションが思っていたよりも良く、クルマとしてはそこに合わせきれていなかったかなという感じがあってギリギリの通過になりましたが、Q2 に向けての修正がかなりいい方向に行ったので、セクター1、2 と速いタイムを出すことができました。そのあとのSP コーナーで少しミスしてしまって、コンマ1~2 秒落としてしまったので、それがなければ3 番手ぐらいまでは見えるだけのポテンシャルがあったと感じています。ただ予選と決勝は別物で、悪くはないけど良くもないという状況が続いているので、何とかもう少しいい感じでロングを走りたいですね。決勝は雨予報が出ていますが、新しいウェットタイヤは鈴鹿テストで走った印象だと今までとはやっぱり違うし、それでロングを走れているわけではないので、フリー走行でしっかりと確認しないといけないですね。うまく合わせることができれば十分にチャンスがあると思うので、しっかり戦えるようにしたいです。

4号車 小高一斗選手のコメント

小高 一斗 PHOTO

今シーズンは山下選手がわりといい状態で走れているので、今回のレースに向けてはデータを共有して山下選手のクルマのいいところを自分のクルマにも取り入れて持ち込んできました。結果としてフリー走行ではユーズドタイヤでもそこそこ走れましたし、ニュータイヤを入れてもいい状態が確認できました。今回はQ1 突破に焦点を当てて予選に臨みましたが、クルマもいい状態で自分自身もいい走りができて、Q1 を突破できたことは良かったです。Q2 に向けてのアジャストは完ぺきではなかったですが、なんとなく、ようやくスーパーフォーミュラの中で戦えているという感触を得られたので、これまで2 戦のことを考えると今日は自分たちにとっては大きな一歩でした。決勝はウェットコンディションが予想されていますが、一口にウェットといってもどれぐらいの雨量なのか、そこからドライアップしていくのか、どういう風に変化していくのかでだいぶ難しいレースになってくると思います。コンディションにしっかりと合わせることができればポイント獲得も、もっといい位置でゴールすることも見えないわけではないところからスタート出来るので、しっかりと結果を残したいです。

3号車 村田卓児エンジニアのコメント

ここまで2 戦の流れを汲んだセットアップで走り出しましたが、バランスをとるためにいくつか試したことはあるものの走り出しから悪くない手応えだったと感じています。予選では、Q1 の路面がだいぶ育っていて、思っていたよりもだいぶアンダーだったのでQ2 に向けてアジャストしましたが、それは悪くなかったんじゃないでしょうか。SP コーナーでのミスはもったいなかったと思いますが、やってしまったことは仕方がない。決勝に向けたウェットコンディションに対してのセットアップはまだまだ考え中です。ウェットタイヤは去年から変わっているのですが、去年は天候が良かったので、経験としては今年2 月のテストで少し走った程度。それは周りも同じ状況だと思います。データはあまり無いですが、少しでもいい状態で戦えるように考えていきます。

4号車 阿部和也エンジニアのコメント

今回は3 号車に合わせたセットアップを持ち込みましたが、それが良いから速いのか、まだしっかりとは判断できていません。これまで2 戦と比べて順位は上がっているものの、その2 戦で上位にいたライバルたちが失速している感があるので、自分たちが確実に速くなっているのかと言われれば何とも言えないところがあります。このマシンが抱えている症状は変わっていなくて、その症状が今回は軽いだけだとドライバーも感じているようです。小高選手自身がSUGO を得意としているのもあると思いますね。SUGO は1 周のタイムが短い分、周りとの差が縮まったようにも見えますが、実際はどうなのか。決勝はウェットコンディションが予想されていますし、なんとかヒントを持ち帰れるように頑張ります。

第3戦(6月23日・雨/ウェット)

決勝レポート

悪天候と度重なるアクシデントでレースは赤旗終了に

雨模様の中で始まった全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)第3 戦決勝は、朝のフリー走行からアクシデントが続き、決勝レースも14 周目を周回中に赤旗中断。そのまま終了という形になった。

予選日は真夏のような陽気で最速タイムを争う戦いとなったが、一夜明けたスポーツランドSUGO は一転、冷たい雨に包まれた。朝9 時55 分からのフリー走行2 回目は雨量も増え、開始から5 分ほどで1 台の車両がホームストレートのコンクリートウォールにヒット。コース上にストップしてしまい赤旗中断となる。その後も雨量は変わらず、セッションはこのまま終了。半数以上の車両がまともに計測できず、走行データが取れないまま決勝レースに向かうことに。この状況を受けてレーススケジュールが変更され、8 分間で設定されていたレース前のウォームアップ走行が20 分に延長されることになった。

午後になると雨の量は次第に減っていったが、入れ替わりにSUGO 特有の濃い霧が立ち込めるようになってくる。視界不良のためにウォームアップ走行は5 分遅れの午後1 時35 分にスタート。ところがこのウォームアップ走行でも、開始から5 分ほど経過したところで、最終コーナーで1 台がスピンを喫しアウト側のガードレールに激しくぶつかるアクシデントが発生する。セッションはこれで赤旗中断。ガードレールの修復作業にも時間がかかることからウォームアップ走行の再開はなしとアナウンスされ、レース進行に関しても、ピットロードを出てダミーグリッドに着く「グリッドへの試走」から、ピットロードを通過することでグリッドに着く前にコースを数周走行することができる「レコノサンスラップ」へと変更された。午後3 時にレコノサンスラップが始まり、KONDO RACING は山下健太選手、小高一斗選手ともに路面状況や車両状況の確認をしながらグリッドへと向かっていった。

決勝レースに向けたスターティンググリッドに入り、ドライバーや車両を間近で見ることができるグリッドウォークも通常より短い10 分間で終了。コース上はレースのスタートに向けて緊張感も高まってきた。スタート時刻が迫ってくる中、再び霧が濃くなってきたことでレースはセーフティカー(SC)先導のもとでスタートすることに。午後3 時35 分、グリッドに着いていた車両たちがSC に続いて1 台、また1 台とグリッドを離れていった。

SC 先導の周回は5 周続き、レースは6 周目に入ったところで本格的なスタートが切られた。SP アウトコーナーから110R に入るあたりで各車が徐々にスピードアップしていき、最終コーナーでは車両が巻き上げた水煙で視界がなくなっていく。予選結果通りの順番で、山下選手は6 番手、小高選手は10 番手でコントロールラインを通過。山下選手は前を走る1 台に1 コーナーで接近するもオーバーテイクには届かず。後方の小高選手は、前後の車両と合わせて数珠つなぎのような状態で4 コーナーの上り坂に入っていく。と、ふたたびレースコントロールからSC 導入のアナウンスが。実は6 周目に入る直前の最終コーナーで8 番手を走行していた車両がクラッシュしていたのだ。バトルに持ち込む間もなく再びSC ランとなり、2 度目のリスタートは13 周目から。このリスタートを味方につけたのが小高選手で、1コーナーで1 台をとらえてポジションアップした。しかしこの13 周目、またもや最終コーナーでクラッシュが発生。車両の損傷が激しく、先頭車両が14 周目に入っていたところで赤旗が提示されレースは中断。安全性が確保できないことからそのまま終了となった。正式結果は赤旗中断から2 周前の順位で決定され、山下選手は6 位入賞。小高選手は赤旗直前には7 番手まで順位を上げていたが、最終結果は8 位入賞とポジションが下がる形に。KONDO RACING は2 台そろって入賞を果たす結果となった。

決勝結果

Pos. No. TEAM DRIVER TIME/DIFF LAPS Best Time
1 16 TEAM MUGEN 野尻智紀 26’22.982 6 1’40.653
2 15 TEAM MUGEN 岩佐歩夢 0.674 6 1’43.457
3 36 VANTELIN TEAM TOM’S 坪井 翔 1.550 6 1’43.932
6 3 KONDO RACING 山下健太 3.638 6 1’51.120
8 4 KONDO RACING 小高一斗 5.247 6 1’53.900

参加台数:21台 出走台数:21台
赤旗終了:16時03分25秒

近藤監督のコメント

近藤監督 PHOTO

今日は朝から、「とにかく集中して、絶対に無駄なスピンはしないように」とドライバーたちには話していました。冗談交じりでプレッシャーもかけたけれど、2 人とも瞬きしていられないぐらい集中して、最後までミスなく生き残ってくれたし、小高はポジションを上げてレースを終えることができました。まともなレースではありませんでしたが、今回こうやって走れたことや結果をきっかけに、次戦からいい方向に進んでくれればと思います。予選は悪くなかったですし、チームとしてのコミュニケーションもうまく取れました。これを活かして次の富士に行きたいですね。うちのドライバー2 人ももちろんですが、今日のこのコンディションの中で走ってくれた21 人のドライバーに大きなけががなくて良かったと感じています。

3号車 山下健太選手のコメント

山下健太 PHOTO

正直、このウェットタイヤでちゃんとした走行はあまりなく、鈴鹿のテストでは走った経験があったものの今回のSUGO ではタイヤが発動せず、レースをするのも少し不安になる程度でした。ああいったコンディションの中、ようやく決勝で周回を重ねたので車のバランスを見ることができましたが、セットアップはある程度予想で行った部分もありあまり速さはありませんでした。ただウェットセットでの方向性は見えた気がします。一応ポイントも取れたので、これだけコースアウトやクラッシュが多発した中で無難に入賞できたことをポジティブにとらえたいと思います。

4号車 小高一斗選手のコメント

小高 一斗 PHOTO

鈴鹿の事前テストで走ったときからウェットコンディションにはいい感触を持っていました。きちんと1 周クリアラップをとれるようなレースにはなっていませんでしたが、序盤の段階でいいフィーリングは感じ取れたので、ウェットだけで言うと調子は良いのかなと感じました。2 度目のリスタートで国本選手を抜いてから前の集団にも追いついて、いったんは7 位まで上がって、これからもっと抜いて行きたいと思った矢先の中断で、その先どうなったかは分からないですがポジションは上げていけるレースだったと思います。ドライコンディションでは、今回はたまたまQ1 を突破することができましたが苦しい状況は続いています。次はテスト、本番と富士での戦いになりますが、去年はテストもレースもあまりよくなかったのが富士です。何か原因があるはずなので、しっかりとそれを見つけたいです。

3号車 村田卓児エンジニアのコメント

ウェットコンディションのなか、午前中のフリー走行もレース直前のウォームアップも全く周回できず、決勝レースも単独のレースペースで走れたわけではないので、やってみたことがどうだったのか、その確認がほとんど出来ない状態でした。ここからの検証も難しいですが、ウェットのセットアップに関してはまだいろいろと考えていく必要があります。次戦の前にテストも2 日間走れるので、富士では走り出しから良い状態に持っていけるよう準備していきたいと思います。

4号車 阿部和也エンジニアのコメント

ウェットでのクルマの感触はそれなりに良かったようですが、今日はとにもかくにも生き残るのが大事なレースでしたから、一斗は良く生き残ってくれたと思います。雨の状況によって少し調整はしましたが、開幕前の鈴鹿テストでウェットコンディションだった時に良い調子で走れていたので、そのセットアップに合わせた形で走り始めました。それがSUGO でも速そうだったので、あまりウェットのセットアップに関しては悩むことはありませんでしたね。課題はドライ。富士はここまで一番いい印象がないところなのですが、何とかテストでいいものが見つけられればと思っています。

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