RACE REPORT
SUPER FORMULA
第4戦 モビリティリゾートもてぎ
第2戦(4月20日・晴れ/ドライ)
予選&決勝レポート
山下健太選手、3度目のポールポジション獲得もノーポイントのレースに
全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)第4戦がモビリティリゾートもてぎで開催。前日の第3戦では予選4位から7位入賞という結果を得た山下健太選手が、今回の予選では圧巻の速さでポールポジションを獲得した。
2組に分けられるQ1では、オサリバン選手がA組で登場。金曜、土曜とコース経験を重ねたオサリバン選手は、1分32秒631をマークして暫定3番手につける。その後ライバルたちがベストタイムを更新していき、オサリバン選手の順位は徐々にダウン。終了間際までなんとかQ2進出圏内の6番手にとどまっていたが、最後にコントロールラインを通過した1台が6番手に滑り込み、オサリバン選手は7番手に。残念ながら2戦連続でQ1突破はならなかったが、それでもライバル勢との差は着実に縮めており、ポテンシャルの高さを感じさせる予選になった。
注目の山下選手は、Q1をトップから0.1秒差の4番手で通過すると、Q2では周囲がタイム更新に苦戦する中で、Q1の自己ベストタイムから約1秒も削る1分31秒399をマーク。セクター1から4まで、すべての区間で最速タイムを並べ、2番手になんと0.5秒の大差をつけてポールポジションを獲得した。山下選手にとって、昨年のもてぎ大会以来約1年ぶり、これで通算3度目の最速の称号だ。しかし、決勝レースは山下選手にとって苦しい戦いとなった。
気温26度、路面温度34度。曇り空なこともあり、前日と比べるとやや涼しいコンディションで迎えたスタートでは、抜群のスタートダッシュを見せたフロントローの1台に並びかけられる。1コーナーへの侵入で辛くもしのぎ切った山下選手はトップをキープして3~4コーナーへと入っていった。しかし後方では3台が絡むアクシデントが発生し、1台が1コーナーのグラベルで車両をストップさせてしまう。これにより、今回もオープニングラップからセーフティカーが導入される波乱の展開となった。
この第4戦ではピットウィンドウの設定がなく、1周目からタイヤを交換できるルールになっている。タイヤ交換でのロスタイムを最小限にするには、コース上の車両がスロー走行するSC導入中が最適で、先頭の山下選手を含め、半数近くがオープニングラップを終えるところでピットへとなだれ込んできた。KONDO RACINGのピット位置はピットロードの中ほど。山下選手が作業エリアの枠にマシンを止めると、チームは一斉に作業を開始。4輪を交換してジャッキを降ろし山下選手を送り出した。このまま先頭をキープできるかに思われたが、ピットロード出口に一番近いエリアでタイヤ交換をした1台が、山下選手の鼻先で前に出る。ほんの僅かな差ではあったが、1台の先行を許した形で山下選手はコースへと入っていった。13番グリッドからスタートしていたオサリバン選手も同じタイミングでピットインし、見た目上は17番手に下がっていたが、タイヤ交換を済ませた組の中では10番手につけていた。
しかし、コースに出た直後の山下選手から、信じられない無線が入る。「タイヤ、はまってない」。映像モニターには、スロー走行する山下選手の姿が。右リヤタイヤがきちんとはまっていなかったのだ。まだSC先導中とはいえ、2度目のピットインを余儀なくされた山下選手は隊列の最後尾に着くこととなった。
レースは6周目にリスタート。山下選手は失ったポジションを取り戻すべく鬼神の走りを見せた。リスタート直後の1コーナーで1台をかわすと、7周目に1台と次々にオーバーテイクショーを展開。10周目にもう1台をとらえた山下選手の前には、チームメイトのオサリバン選手が。2台でペースを上げながら前の車両を追いかけていくが、なかなかチャンスを生むことができない。チームは、ペースの良い山下選手をいったん先行させて、ライバルをとらえる作戦に出る。16周目のダウンヒルストレートでポジションを入れ替えた2台は、山下選手が暫定17位、オサリバン選手が18位で前を追いかけ始めた。16位の車両とは1秒近い差があったが、山下選手はこれを1周で0.5秒まで縮める。しかし、相手はチャンピオン経験のあるベテランドライバーで、簡単には攻略できない。一度は0.3秒まで縮まったギャップも、レース終盤の28周目に入ったころには1.2秒にまで再び広がっていた。一方、山下選手の背後につけていたオサリバン選手は、タイヤパフォーマンスに余力も残っており、2台は30周目の同じくダウンヒルストレートで再び順位を入れ替える。この頃には全車のピット作業が完了し、オサリバン選手が11位、山下選手が12位に。オサリバン選手は、あと1台をとらえればポイント獲得とあり猛プッシュ。2秒近いギャップを0.5秒まで縮めたが、オーバーテイクが難しいと言われるもてぎでのバトルに苦戦。結局あと1台をかわすことは叶わず、11位でチェッカーを受ける事となった。山下選手は13位でフィニッシュした。
予選結果
Pos. | No. | TEAM | DRIVER | Q1 | Q2 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 3 | KONDO RACING | 山下健太 | 1’32.289 | 1’31.399 |
2 | 6 | DOCOMO TEAM DANDELION RACING | 太田格之進 | 1’32.060 | 1’31.903 |
3 | 5 | DOCOMO TEAM DANDELION RACING | 牧野任祐 | 1’32.195 | 1’31.963 |
13 | 4 | KONDO RACING | ザック・オサリバン | 1’32.631 |
参加台数:22台 出走台数:22台
決勝結果
Pos. | No. | TEAM | DRIVER | TIME/DIFF | LAPS | Best Time |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 6 | DOCOMO TEAM DANDELION RACING | 太田格之進 | 1:04’16.052 | 37 | 1’35.790 |
2 | 5 | DOCOMO TEAM DANDELION RACING | 牧野任祐 | 4.669 | 37 | 1’34.560 |
3 | 15 | TEAM MUGEN | 岩佐歩夢 | 5.394 | 37 | 1’34.430 |
11 | 4 | KONDO RACING | ザック・オサリバン | 35.180 | 37 | 1’36.377 |
13 | 3 | KONDO RACING | 山下健太 | 39.282 | 37 | 1’36.475 |
参加台数:22台 出走台数:22台 完走台数:19台
規定周回数 37Laps
FASTEST LAP
No. | TEAM | LAPTIME |
---|---|---|
1 | VANTELIN TOM’S SF23 | 1’34.111 (20 / 32) |
3号車 山下健太選手のコメント
スタート自体はあまり上手くいかず、ホイールスピンが多かったので2位の選手に並ばれてしまいましたが、1コーナーのアウト側のポジションで何とか踏ん張れたので、その先でイン側に位置を取れたところでトップを守り切ることが出来ました。スタート前のレコノサンスラップなどでもクルマの雰囲気はまずまずだったので、期待が持てると思って臨んだのですが…。正直なことを言うと、ここがシーズンで一番のチャンスだと思っていたので、残念です。ただ、最後まで走ったことでセットアップに関しては収穫があったと思うので、次戦も頑張りたいと思います。
4号車 ザック・オサリバンのコメント
途中で山下選手とポジションを入れ替える場面がありましたが、事前に決めたストラテジーの一つでした。野尻選手をとらえることは出来ず、それは残念でしたが、それでも後半のペースは良かったと思います。初めてのコースを、金曜日のフリープラクティスも加えれば3日間走りましたが、様々な経験を得ることは出来ました。ただ、僕自身としてもチームの課題としても、やはり予選で良いポジションを得なければなりません。追い上げていくレースではなく、上位で戦いたいですね。そのためにも、フリープラクティスから速さを出して良い結果を出すことが必要です。次戦のオートポリスも初めて走るコースですが、金曜日からしっかりと走っていきたいです。
3号車 大駅俊臣エンジニアのコメント
予選、相対的には速かったですね。周りに比べて0.5秒近い差を付けました。もてぎで0.5秒というのは驚異的な差です。ただし、絶対値としては第3戦の予選で出したタイムとほぼ同じなんです。周りのタイムが出なかったという見方もありますし、コンディションを考慮すると、「意外とタイムが出なかったな」という印象です。ただ、周りはもっとタイムが出なかったので、何が起きたのか分からないというのが正直な気持ちです。レースに関しては、昨日厳しかった部分を見直すために違うことを試してみましたが、今日のレースで走っていた位置が位置だけに、そのトライが良かったのかどうか、評価ができません。オートポリスまでお預けです。間違いなく、山下選手は速いドライバーですから、なんとか勝てるようにしたいです。
4号車 阿部和也エンジニアのコメント
久々にマシンセットアップとしてちょっと手応えを感じたレースになりました。予選では、ザックも走り方でだいぶ改善したところがあり、予選は昨日同様にQ2には届きませんでしたが、タイム差はだいぶ縮まりましたね。決勝のセッティングは昨日から大幅に変えて挑みましたが、ザックがうまく乗ったこともあり、マージンを持って走ることが出来ましたね。昨日はザックがうまく乗ることが出来ないくらいクルマが良くなかったので、そこから非常に大きく状況が向上しました。次戦のオートポリスにも通用するものを見つけられたように感じるので、期待したいと思います。