RACE REPORT

SUPER FORMULA

第6戦 富士スピードウェイ

予選・決勝(7月19日・気温/路面温度:28度~32度/38度~48度)

予選・決勝レポート

夏の富士2連戦スタート、初戦は予選で苦戦し12位・13位フィニッシュ

2025年の全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)第4大会が富士スピードウェイで開催された。ここでは約1か月半前の6月6日(金)・7日(土)にシーズン中で唯一の公式テストが実施されており、2日間でそれぞれ200周超を走破。チームはこのテスト結果をもとに、夏の2連戦に挑んだ。なお、富士スピードウェイでは10月にも同様に2連戦が予定されており、全12戦のうち3割を占める計4レースを戦うことになる。1大会2レース制のフォーマットにより、金曜日には練習走行の時間が設けられ、今回も18日(金)に2時間のプラクティスが行われた。しかし、山下健太選手、ザック・オサリバン選手はともに上位勢に差をつけられる結果に。今シーズンは予選で苦戦する場面が多く、まずはアタックタイムの向上を目指して、翌日の第6戦に向けた準備を進めていった。

公式予選Q1は2グループ制で、オサリバン選手がA組に出走。計測5周目に1分23秒251のタイムを記録し、一時は2番手につけたが、ライバル勢が1分22秒台のタイムをたたき出し、徐々にポジションを落とす。最終的に8番手でノックアウトとなり、さらにこのアタックラップが走路外走行と判断されたため、タイムは無効に。リザルトは最下位に沈むという、オサリバン選手にとっては非常に不運なセッションとなった。

続くB組には山下選手が出走したが、開始早々に計時システムにトラブルでセッションが一時中断。アタックラップに向けてコンセントレーションを高めていたドライバーたちにとってはややリズムを崩されるような流れになったものの、約10分後にセッションは再開。山下選手もオサリバン選手同様に計測5周目にアタックし、1分23秒448をマーク。しかしQ2進出圏内には0.128秒届かず、残念ながら7番手という結果に。KONDO RACINGの2台はともにQ2進出を逃し、山下選手が16番手、オサリバン選手は21番手から第6戦決勝に臨むこととなった。

ピットウォークやサポートレースを挟み、決勝レースは午後3時15分にスタート。日差しはやや傾いていたが、路面温度は48度に達し、真夏の厳しい条件下でのレースとなった。後方グリッドからのスタートとなったKONDO RACINGの2台は、どちらもスタートダッシュに成功。山下選手は蹴り出しからの加速でスルスルと2台ほど抜き去ると、1コーナーへのブレーキング勝負でさらにポジションを上げた。しかし続くコカ・コーラコーナーを他車に押し出される形となり、ポジションを戻すことに。オサリバン選手は1コーナーをアウト側から回り込み、2コーナーからコカ・コーラコーナーまでのサイド・バイ・サイドでポジションアップ。オープニングラップを終えた時点で、山下選手は13番手、オサリバン選手は5ポジションアップの16番手につけた。

その後、オサリバン選手はさらに2周で2台をかわすと、山下選手の真後ろに。2台は1~2秒差を保ちながら集団を追ったが、ダーティエアの影響で思うようなペースを上げられず、レースは膠着状態に。第6戦は10周終了時点でピットウィンドウが開き、ミニマムの周回数でタイヤ交換に向かうライバルもいたが、山下選手もオサリバン選手もレース後半でのタイヤ交換を選択。先行する山下選手にピットインのタイミングを決める優先権はあるが、序盤にピットに入ったライバル勢のタイヤ消耗を見越してさらにスティントを伸ばす作戦に出た。20周を終えたところでオサリバン選手がピットインし、山下選手は23周目にピットイン。全車のピット作業が終わった27周目には、山下選手は12番手、オサリバン選手が14番手と、わずかながらポジションアップに成功。そのまま36周を走り切ってフィニッシュ。それぞれスタート位置からの順位を上げるも、ポイント獲得には届かず。翌日に控える第7戦での巻き返しを誓う土曜日となった。

公式予選記録

Pos. No. TEAM DRIVER Q1 Q2
1 16 AUTOBACS MUGEN 野尻 智紀 1’22.697 1’22.417
2 1 VANTELIN TOM’S 坪井 翔 1’22.570 1’22.438
3 8 Kids com KCMG Elyse 福住 仁嶺 1’22.884 1’22.773
16 3 KONDO RACING 山下 健太 1’23.448
21 4 KONDO RACING ザック・オサリバン 1’35.441

決勝結果

Pos. No. TEAM DRIVER TIME/DIFF LAPS Best Time
1 1 VANTELIN TOM’S 坪井 翔 51’49.941 36 1’24.396
2 16 AUTOBACS MUGEN 野尻 智紀 6.763 36 1’24.660
3 15 AUTOBACS MUGEN 岩佐 歩夢 7.298 36 1’24.530
12 3 KONDO RACING 山下 健太 33.630 36 1’25.069
14 4 KONDO RACING ザック・オサリバン 38.964 36 1’24.779

近藤真彦監督のコメント

近藤 真彦 PHOTO

6月のテスト段階から周りに対してあまり速さを出せていなかったので、予選から苦しい戦いになることを想定していました。なんとかQ1を突破できれば…というところからのスタートで、その先を考える余裕はなかったです。決勝では2台ともタイヤ交換のタイミングを引っ張る作戦に出ましたが、結果的に、ミニマムの方が良かったのかどうか、ライバルたちのリザルトも含めて分析しています。ただそれよりも喫緊の課題は予選。予選位置の悪さに比べれば決勝は粘り強く戦えたと思いますが、やはりもう少し前の位置からレースしたいですね。

山下健太選手のコメント

山下 健太 PHOTO

スタートは決まって、数ポジションアップすることができましたが、その後は周りと同じようなペースしか出せず、戦略的にピットインを引っ張る形をとったものの、そのメリットも今回はあまりなかったように感じています。6月のテストでいろいろなことを試し、まとまってきたかなと思っていたのですが、実際のレースウィークでは全然違っていました。どんなコンディションになっても速いクルマを作れれば大きな強みになるのですが、その領域はまだ遠いなという印象です。それでもなんとかポイント圏内では戦いたいので、明日の第7戦は全力を尽くします。

ザック・オサリバン選手のコメント

ザック・オサリバン PHOTO

アタックラップで走路外走行のペナルティを受けることになってしまったことは非常に残念です。ただ今日は僕もきつかったけど健太もつらかったと思います。チームとしてもっと改善しなければいけないところがあると感じたので、明日のもう1レースに向けて一歩でも前に進まないといけません。レースを振り返ると、今年は大体スタートが良く決まってポジションを上げられることが多く、今回も成功しました。これをもう少し前のグリッド位置でできればと思うので、やはり予選でもっと前に出たいですね。

大駅俊臣エンジニア(3号車)のコメント

悪いところをつぶしていきながらの戦いの中で、相対的なポジションは下がってしまいました。もてぎのように速さを見せられる場面もあり、あれが山下選手の持っている速さなので、それをだしていけるように明日に向けて考えていきたいと思います。

阿部和也エンジニア(4号車)のコメント

6月のテストが有意義なものになったので、そこで得られたことから良いものをチョイスしてレースウィークに臨んだつもりでしたが、金曜日のプラクティスがうまくいかず、セットをきちんと確認することができない中での予選となりました。最後尾からのスタートで、なかなかポイント獲得は難しい1戦になると思ったので、まずはザックにしっかりとレースをさせようと考え方を切り替え、コース上で他のドライバーと競り合えるように中盤でのタイヤ交換を予定していました。2スティント目の50号車とのバトルはい良い経験になったと思います。決勝のクルマは意外と走れたかなと思いますし、ザックもスタートのうまさを見せてくれたと感じています。

PHOTOギャラリー

Loading...