RACE REPORT

SUPER GT GT300

第8戦 モビリティリゾートもてぎ

一日目 予選(11月5日・晴れ/ドライ)

予選レポート

予選結果は 6 位。3 列目から決勝を迎えることに

すっかり秋も深まり、朝晩の冷え込みも本格的になるなかで迎えた最終戦。レースウィーク中は申し分のない秋晴れに恵まれ、日中は気温も上がって穏やかなレース日和となった。

初日は、午前 9 時 30 分から公式練習がスタート。気温 14 度、路面温度 19 度の中、GT500 クラスとの混走、そして終盤には GT300 専有走行が行なわれた。セッション序盤から、ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手がトップタイムをマーク。非公式ながらコースレコード更新となる 1 分 45 秒 605 のタイムをマークし、幸先よいスタートを切る。午後 11 時か らの GT300 クラス専有走行時になっても、オリベイラ選手がマークしたタイムを上回るライバル勢は現われず。一方、 No.56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R としては、藤波清斗選手も安定したラップを刻むなど、順調にメニューを消化してセッションを終了した。

ノックアウト予選に向けて、しっかりと手応えを得たNo.56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R。午後2時20分、 Q1・A 組のアタックが始まり、藤波選手がアタックへと向かう。気温 17 度、路面温度 27 度と午前中よりもさらにコンディションが上昇。その中で藤波選手はトップと 0.046 秒という僅差の 1 分 45 秒 985 をマークし、2 番手で Q1 突破を果たしてみせた。

オリベイラ選手が担当する Q2 は午後 3 時 13 分にスタート。気温は変わらず、路面温度は開始時より 2 度低いコンデ ィションのなか、まずタイヤに熱を入れ、アタックのタイミングを見計らう。その折、コース上ではまさかのアクシデントが発生する。残り 5 分、ライバルに先んじてアタックモードに入っていた 61 号車の SUBARU が最終コーナーでスピン。クルマはコンクリートウォールにヒットしクラッシュ、また、セッションは赤旗中断となった。 当然、セッション再開後にオリベイラ選手はアタックに入挑むことになったが、中断中にメインストレート上はどんどん日が陰り、温まり始めたタイヤもまた冷えていく。午後 3 時 31 分、残り 5 分でセッションが再開され、オリベイラ選手も懸命にタイヤをウォーミングさせてアタックに挑み、1 分 45 秒 985 のタイムを刻んだ。奇しくも藤波選手と同タイムではあったが、結果 は 6 位。3 列目から決勝を迎えることになった。

公式予選記録

Pos. No. TEAM DRIVER Q1 Q2 SW
1 55 ARTA NSX GT3 武藤 英紀
木村 偉織
1’46.039 1’44.798 R
2 18 UPGARAGE NSX GT3 小林 崇志
太田 格之進
1’45.351 R 1’45.121 R
3 4 グッドスマイル 初音ミク AMG 谷口 信輝
片岡 龍也
1’46.504 1’45.170 R
7 56 リアライズ日産自動車大学校 GT-R 藤波 清斗
J.P.デ・オリベイラ
1’45.985 1’45.985

Q1 A組 開始:14:20’00 終了:14:30’00
Q1 B組 開始:14:38’00  終了:14:48’00
Q2 開始:15:13’00 終了:15:36’00

二日目 決勝(11月6日・晴れ/ドライ)

決勝レポート

ランキングトップの座を守り切り、2020 年に次ぐシリーズチャンピオンを掴み取った

前日よりもさらに快晴となったもてぎ。雲の少ない青空が広がり、小春日和の中、午後 1 時からの決戦を前にウォームアッ プ走行ではトップタイムをマークした No.56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R。この流れを最大限に活かし、レースでは表彰台を見据えた戦いを繰り広げてチャンピオンを決めたいところだ。

栃木県警の白バイとパトカー先導によるパレードラップが行なわれ、その後、フォーメーションラップを経て 63 周の戦いが幕 を開ける。スタートドライバーを藤波選手が担当。まずポジションキープのままオープニングラップを終える。レースは 9 周目 の 3 コーナーで GT500 と GT300 の複数台が絡む多重クラッシュが発生。すぐに FCY が導入されたが、その後 10 周目からは SC(セーフティカー)に切り替わり、一旦コース上で GT500、GT300 クラスの隊列が整えられる。その後、まもなくレース再開かに思われたが、その矢先、メインストレートで GT300 の 2 台が接触。激しくクルマが壊れ、パーツがコース上の広範囲に散乱した。これで、走行中の車両はピットロードを通過しながら SC ランを継続。アクシデントにも巻き込まれることなく、6 位をキープし、21 周目からのリスタートを無事に決めた。前方車両がルーティンのピットインに向かったことで 5 位に浮上。その後、25 周終わりでピットに戻り、オリベイラ選手へとステアリングを委ねた。

タイヤが温まると、オリベイラ選手は果敢に攻めの走りを見せて 36 周目にはサイド・バイ・サイドから 1 台を逆転。全車が ドライバー交代終了時には実質 4 番手となった。ところが 42 周目走行中に、まさかのハプニングが襲いかかった。3 コーナー立ち上がりでコースオフしたオリベイラ選手。続く、4 コーナーから 5 コーナーにかけて急速にペースダウン、するとあろうことか右フロントタイヤが脱輪。3 本のタイヤのままオリベイラ選手は走行を続けピットに戻した。待機していたメカニックによってタイヤが装着され、コースに復帰するも、この時点でポジションはポイント圏外へと大きく後退。チームに重苦しい空気が漂った。

この時点で気になるチャンピオン争いの行方は、ライバルの順位次第になったことから、タイトル奪還に暗雲が立ち込めた KONDO RACING。この時点で、獲得ポイント 2.5 点差、ランキング 2 番手の 61 号車は 56 号車よりも後方で走行。 だが、ランキング 3、4 番手の 10 号車 GT-R は 3 位、さらに同 5 番手の 52 号車は 2 位を走行しており、このままチェッカーを迎えると、最高でもランキング 3 位に陥落する。まさに急転直下の事態となってしまったが、オリベイラ選手は気持ちを切り替え、果敢な攻めの走りで周回を重ねていく。

レースは終盤を迎え、ポジションは 21 番手。その一方で、クラス上位争いをしていた 10 号車が後続車両とのバトルで徐々にポジションを下げてクラス 5 位、また、52 号車も 3 位となり、再びチャンピオンの可能性が少し戻ってくる。そして、 先が読めない中で迎えたファイナルラップ。このままの順位ではタイトルが手に入らないが、後続車両とのバトルで先行された 10 号車がポジションダウン。そして、数々の波乱の末にチェッカーフラッグが振られ、19 位でフィニッシュ。これにより、紆余曲折を経て2年ぶりのチャンピオンタイトルがNo.56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rのもとに戻ってくることになった。

最終戦でチームを襲ったハプニングをも跳ね除け、悲願のチャンピオンを取り戻すことができたのは、今シーズンは開幕戦の岡山で勝利し、以後一度もランキングトップの座を明け渡すことなく強い戦いを披露し続けてきたからこそ。来シーズンはチャンピオンに相応しく、さらに強さと速さを追求した戦いを目指すのみだ。

決勝結果

Pos. No. TEAM DRIVER TIME/DIFF LAPS SW
1 55 ARTA NSX GT3 武藤 英紀
木村 偉織
2:05’07.068 60
2 87 Bamboo Airways ランボルギーニ GT3 松浦 孝亮
坂口 夏月
4.048 60
3 52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT 吉田 広樹
川合 孝汰
8.204 60
19 56 リアライズ日産自動車大学校 GT-R 藤波 清斗
J.P.デ・オリベイラ
1’35.775 60

ファステストラップ

No. TEAM/DRIVER LAPTIME
55 ARTA NSX GT3/木村 偉織 1’47.734

藤波 清斗選手のコメント

藤波 清斗 PHOTO

今シーズンは開幕戦で優勝し、そこからサクセスウェイトを 60kg 積んで、その後も増えていく一方で、非常にフラストレーションの溜まるレースが多かったのですが、そのなかでもヨコハマタイヤさんはじめ、チームのみなさん、近藤監督も、すごく必死に取り組んでくださって。これはもうドライバーとして、絶対に結果を出さなきゃいけないと思いました。ずっとシリーズトップできていたので、このままイケれば、と思っていたのですが、予選の 61 号車のアクシデントを見た時、こういうこともあるから、 自分たちもいつこういうことになってもおかしくないなと、改めて気を引き締めていこうと思いました。
スタートも順調に行き、JP 選手にバトンを渡したのですが、まさかのタイヤ脱輪で。もう戦線離脱かと思いましたが、あとは 神頼みじゃないですけど本当に祈っていました。周りの同じヨコハマタイヤ勢がすばらしいポテンシャルで追い上げてくれて、 本当に助けていただいたなと思います。なんとか奇跡のチャンピオンを獲り戻すことができました。JP 選手も必死にピットへ戻ってきてくれて、メカさんもしっかりスムーズにタイヤを着けてくれてまたコースインできた。チーム一丸となった力で、最後に もう一度チャンピオンを獲りに行けたんだと思います。チャンピオンを獲り返せて本当にうれしいです。

ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手のコメント

藤波 清斗 PHOTO

あまりにもいろんなことが僕らの身に起こり、まるでジェットコースターに乗っているかのようなレースでした。突然タイヤが脱輪 し、僕自身でコントロールできない事態になってしまいました。その後はセーフティカーが出るような展開を願っていました。もしそうなれば、ポジションも回復可能だと思ったからです。
チェッカーまで残り 20 周くらいの時点からチームとは無線でコンタクトしてなかったし、ただドライブすることだけに集中していました。だから、チャンピオンシップの状況はなにもわからないまま。チェッカーを受けたんです。その後、1 コーナーへ進入した ところでチャンピオンになったことがわかって……。妙な感じだったのに、涙が出てきて泣いていました。シーズン中は強い戦いを続け、タイトルを手にするためにベストを尽くしてきました。今日のような展開はレースであればあり得るのですが、ただ 僕らを見守る星がひとつあったおかげでまた 2 年ぶりにチャンピオンとなることができました。とてもうれしいです。

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