RACE REPORT

SUPER GT GT500

第6戦 オートポリス

一日目 予選(10月23日・晴れ/ドライ)

予選レポート

僅差でQ2進出を逃すも、9位からの追い上げに期待!

今シーズンの戦いも、早いもので残り3戦となった2021年のSUPER GTシリーズ。今回は大分・オートポリスが戦いの舞台となる。昨シーズン、新型コロナウイルス感染拡大防止対策によって開催が見送られたため、2年ぶりの開催となる。九州のレースファンの応援に応えるべく、KONDO RACINGではQ2進出を目指したが、およそ0.03秒という僅差で及ばず、予選9番手から決勝を目指すこととなった。

事前にオートポリスでのテストに参加したKONDO RACING。ただ、当日の天気は雨だったために残念ながらドライコンディションでのテストは実現していない。しかしながら、第3戦鈴鹿で表彰台に立ったことを弾みに、クルマのセットアップを含めて多方面での改善が進み、手応えある戦いができていることもあって今大会でも上位入賞を狙いたいところだ。

予選日を迎えたサーキット上空は冷たい空気が張り詰め、すっかり晩秋の天気。気温10度、路面温度16度のコンディションとなった朝の公式練習で、No.24 リアライズコーポレーション ADVAN GT-Rは序盤に高星明誠選手がドライブを担当する。途中、3度にわたる赤旗中断があり、慌ただしいセッションとなったが、高星選手からバトンを受け継いだ佐々木大樹選手は、GT500クラスの専有走行でアタックシミュレーションを行ない、1分32秒693のタイムをマーク。6番手につけ、午後からの予選に向けて手応えを得る結果を残した。

GT300クラスのQ1を経て、午後2時28分から10分間に渡り、GT500クラスのQ1が行われた。No.24 リアライズコーポレーション ADVAN GT-Rに乗り込んだのは、佐々木選手。Q2進出を目指してアタックに挑んだが、不運にもクルマに不具合が発生。アタックラップでは残念ながら存分に力を発揮することが難しい状態となった。その中で、刻んだタイムは1分32秒726。僅かのタイム差でQ2進出の上位8台に残ることは叶わず9番手となり、この時点でNo.24の予選セッションが終了することとなった。思わぬ形で持ちうるパフォーマンスを披露するチャンスを失った悔しさをバネに、決勝では粘り強く、しぶとい走りを続けることで上位入賞を狙うのは言うまでもない。

公式予選記録

Pos. No. TEAM DRIVER Q1 Q2 SW
1 16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT 笹原 右京
大湯 都史樹
1’31.389 R 1’31.770 24
2 14 ENEOS X PRIME GR Supra 大嶋 和也
山下 健太
1’31.985 1’31.777 70
3 64 Modulo NSX-GT 伊沢 拓也
大津 弘樹
1’31.438 R 1’32.068 10
9 24 リアライズコーポレーション
ADVAN GT-R
高星 明誠
佐々木 大樹
1’32.726 32

Q1 開始:14:28’00 終了:14:38’00
Q2 開始:15:06’00 終了:15:16’00

近藤真彦監督のコメント

近藤真彦 PHOTO

残念ながら、Q1のアタック中にクルマのトラブルが発生してしまいました。その結果、アタックラップに向けてタイヤをうまく温めることができず、タイムを出せなかったようです。それがなければQ2進出もできたと思うので悔しいし、GT-Rでトップが狙えると思っていたのでもったいなかったです。ベスト3が見えるのでは、という期待もありました。決勝では9番手スタートのレースになりますが、朝の練習走行の様子から考えてもクルマのバランスは良いし、上位車両の中にはエンジン交換によるペナルティ消化のピットインもあるので、チャンスはあるはずです。これをうまく活かしていきたいと思います。結果だけを見ると厳しい結果ですが、中身としては悪くないと思います。ただ一方で、オートポリスならではのタイヤへの攻撃性の高さが心配です。決勝ではその点も競争になるのではないでしょうか。より天気が良くなればいいなと思います。ドライバーふたりも自信を持って戦っているので、明日はいい走りを見せて欲しいですね。

高星明誠選手のコメント

高星明誠 PHOTO

事前のテストでは雨コンディションだったので、ドライでは走れなかったのですが、今回、まず準備してきたセットがコンディションに合うのかどうかから確認を始めました。朝の公式練習の時点から大きく外れることはないだろうと思っていましたが、考えていたとおりでした。それは良かったと思います。結果として自分たちが思い描いていたとおりの状況になっているので、それはポジティブにとらえています。一方、タイヤに関しては、パフォーマンスがある程度出せるということを前回の菅生でなんとなく感じていましたし、それが今回も発揮できたことは良かったと思います。ただ、タイヤとしての課題はまだあるので、そこを来年以降につなげられるようにデータをとりたいと思っています。今回、僕たちはもう少し気温が高いと思ってタイヤを用意してきたので、明日の決勝は今日よりも気温が上がれば、さらにいい戦いができると思っています。

佐々木大樹選手のコメント

佐々木大樹 PHOTO

オートポリスはいつも路面状態が悪いところからのスタートになるのですが、その中で高星(明誠)選手が冷静に判断して、「今回のセッティングはそんなに悪くない」というコメントを出してくれました。実際路面状況がよくなってきたときに、クルマのバランスも悪くありませんでした。担当したノックアウト予選Q1に向けても自信があったのですが、その中でクルマにトラブルが出てしまい……。(アタックラップでタイムを伸ばすことはできず、9位に留まったが)このトラブルが仮に朝の公式練習で出ていたら(予選でのアタックも難しかった)と思うので、予選9位で終えられて良かったとも思います。思うようなアタックはできませんでしたが、オートポリスのレースではわりと色んなことが起こるので、明日に向けて改善して、しっかりと追い上げられたらと思います。

村田エンジニアのコメント

クルマの不具合が予選で出てしまいました。朝の公式練習では、クルマのセットアップやタイヤ選択など、事前に予定していたメニューを順調に消化することができていたので、予選でのアタックには期待していただけに、残念です。明日の決勝に向けて、チームとしてやれる準備をして戦うだけです。今回選択したタイヤは、決勝でのコンディションにもよりますが、オートポリスはタイヤへの攻撃性がもともと高いコースでもあるので、できる限りタイヤの表面を壊さないように周回を重ね、うまくタイヤを使うことでいい戦いができると思います。

二日目 決勝(10月24日・晴れ/ドライ)

決勝レポート

クルマ全体のパフォーマンスに精彩を欠く厳しい戦いに

10月24日、SUPER GT第6戦オートポリス大会の決勝レースが行われ、予選9位から上位入賞を目指してスタートを切ったKONDO RACING。決勝日は思ったよりも気温が上がらず、またエンジン関係のトラブルに悩まされ、厳しいレース運びを強いられた。結果、14位でチェッカーを受けるに留まった。

レースウィークは比較的青空が広がる天候に恵まれたオートポリス。日の当たる場所は暖かな陽気に包まれたが、秋が深まる山間のサーキットは、街中とは打って変わって平均気温も低く、終日冷たい風が吹くことも多かった。決勝を前に開会セレモニーが行われ、賑わいを見せる中、午後1時30分に65周の戦いがスタート。気温13度、路面温度21度という想定していたよりも低い数値を示す中、早速激しいポジション争いが展開された。

No.24 リアライズコーポレーション ADVAN GT-Rは予選9番手からスタート。まず、クルマに乗り込んだ佐々木大樹選手が早いタイミングからポジションアップを狙ったが、その思いとは裏腹にペースアップが叶わず、ずるずるとポジションダウン。オープニングラップを13番手で終えた。実のところ、前日の予選で発生したエンジンのトラブルが解消できておらず、十分なパワーを引き出すことができない状態が続いていたという。ときにペースが戻ることもあったが、不安定な状態での走行は難しく、また、通常の状態でもタイヤへの攻撃性が高いコースゆえにタイヤへも影響を与えることになってしまう。決勝での気温が上昇し、路面温度もこれに準じて上がれば装着したタイヤのパフォーマンスを引き出す走りも可能であったと思われるが、現時点での強みを発揮する条件が揃わず、厳しい状況での周回が続いた。

開始から9周目、GT300車両がコースアウトし、クラッシュ。その翌周にはFCY(フルコースイエロー)が導入され、さらに10周からはそのままセーフティカー(SC)へと切り替わる事態に。これに先んじて、ペナルティ消化のためにピットインを行った他車が後退したことを受け、No.24は11番手へと再浮上。17周目のリスタートで差が詰まった前方へと攻めの姿勢を見せた。だが、間髪おかず、翌周にはトップ車両の右リヤタイヤが外れるハプニングが発生。2コーナー先でクルマを止めてしまった。さらにほどなくて今度はGT300クラスの車両がクラッシュ。序盤から慌ただしい展開の中、2度目のSC導入となる。このSCランによって前後車両との差は広がらず、展開次第では入賞圏内でのレース運びが可能な状態だと思われた。だが、チームではちょうどSC終了となる24周終わりのリスタート直後、ルーティン作業のピットインを実施。No.24 リアライズコーポレーション ADVAN GT-R同様、計6台のチームがピットに帰還した。その中で、チームでは佐々木選手に代わって高星明誠選手をコースへと送り込み、好機到来を待ちわびた。

早速、高星選手は目前の1号車NSX-GTとの一騎打ちを展開。果敢に攻め、ともにブレーキング競争をしながらバトルを繰り広げ、さらには上位グループへと迫る。だが、換えたばかりのニュータイヤながら、気温、路面温度が下がりはじめ、存分にパフォーマンスを披露するのが難しい状態。高星選手も我慢の走行を重ねていたが、48周終了時には大きくポジションダウンを許してしまった。この状況から、チームでは再度ピットインを敢行。40周終わりで2度目のタイヤ交換を行った。この作業で最後尾までポジションを落としてはしまったが、足元が”復活”する中、挽回を目指して果敢な攻めのパフォーマンスを披露し、14位でレースを終えることになった。期待を持って戦いに挑んだオートポリス戦だったが、安定しないレースペースに翻弄され、厳しい展開になってしまったのが惜しまれる。

決勝結果

Pos. No. TEAM DRIVER TIME/DIFF LAPS SW
1 8 ARTA NSX-GT 野尻 智紀
福住 仁嶺
2:04’50.793 65 30
2 38 ZENT CERUMO GR Supra 立川 祐路
石浦 宏明
28.548 65 22
3 23 MOTUL AUTECH GT-R 松田 次生
ロニー・クインタレッリ
33.469 65 52
14 24 リアライズコーポレーション
ADVAN GT-R
高星 明誠
佐々木 大樹
1 Lap 64 32

開始:13:36’47 終了:15:41’37
ファステストラップ : 1’34.829 No.14 ENEOS X PRIME GR Supra/山下 健太
黒白旗提示 No.1 チームに対し

No. TEAM LAPTIME
14 ENEOS X PRIME GR Supra 1’34.829

近藤真彦監督のコメント

近藤真彦 PHOTO

今日はクルマ、タイヤともに厳しいコンディションになってしまい、悔しいレースになってしまいました。まず予選の時点で出たクルマのトラブルが、決勝序盤から発生。レースペースが安定しませんでした。結果、ベストな状態でクルマを走らせることができませんでした。加えて、想定よりも気温が低くかったことで、持ち込みのタイヤがうまく発動せず、パフォーマンスを見せることができませんでした。スタート前に日差しが出たので期待が膨らんだのですが、低い気温の中で苦戦するレースになりました。次のもてぎのほうがまだパフォーマンスを引き出せると思っています。今回の悔しさをぶつけていい戦いをしたいと思います。

高星明誠選手のコメント

高星明誠 PHOTO

思った以上に気温も上がらず、難しいレースになると考えましたが、その中でもタイヤがきちんと機能してくれることを願ってスタートを切りました。セーフティカー明けに行なったルーティンのピットインでは、今回オートポリスではテストをしていなかったタイヤを思い切って選択することにしました。シーズン開幕戦の岡山では実践で装着していたものです。路面温度が下がる中でのウォームアップはすごく良くて、他車との競り合いなどいいパフォーマンスもお見せすることができたのですが、攻撃性の高いオートポリスの路面には合わせ切れておらず、摩耗が激しかったですね。イレギュラーのピットインでタイヤを再び交換しましたが、これはレース中の展開次第でまたチャンスがあれば入賞も狙える、という考えもあって実行しました。シーズンを通してクルマのパフォーマンスは良くなっていると感じており、それを形として示すこともできてきたので、あとは路気温とタイヤのマッチングが重要になると思います。そこをしっかりと見極めていきたいですね。今シーズンだけでなく、今後の戦いにつなげられるよう、タイヤ開発にも活かせるような戦いをしていきたいと思います。

佐々木大樹選手のコメント

佐々木大樹 PHOTO

予選で発生した問題が、決勝でも早くから出てしまい、本来のパフォーマンスを発揮することが難しい状態でした。一方、気温も想定していたものよりもだいぶ寒かったので、今回持ち込んだタイヤもうまく発動しなかったりと、いろいろ誤算がありました。今日はいろんな要素が噛み合わないレースになりました。ただ、クルマのセッティングに関してはいい方向に煮詰まってきていて良かっただけに、タイヤとのマッチングの問題やクルマ側のトラブルが重なったことは残念です。次のもてぎまであまり時間はないのですが、なんとか改善できればいいなと思います。

村田エンジニアのコメント

決勝では、予選でエンジンの制御に問題が出ていたのですが、依然としてそれが残っていたこと、また当日の路気温が思っていたほど上がらず、持ち込んだタイヤのパフォーマンスを存分に活かすことができないコンディションだったことがすべてです。道具として持ちうる力を発揮できない状態で戦うことになりました。結果、タイヤの性能をうまく発揮できない状況で戦わなければならないため、レースでのピットインのタイミングを早めに実施し、また、タイヤ交換時にデータは取れていないものの、異なる特性をもつタイヤを装着しました。しかしながらうまく活用できず、終盤にもう一度ピットインし、改めてタイヤ交換することで対応しました。厳しい展開でした。残り2戦も季節的に路気温が下がる中での戦いになるので、タイヤとしては難しい状況が続くことに違いはないですが、一方で車両の方での対策が進んでいい方向に行っているので、そこをどう合わせていくか重要になると思います。

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