RACE REPORT

SUPER GT GT500

第1戦 岡山国際サーキット

一日目 予選(4月16日・晴れ/ドライ)

予選レポート

新コンビによる初戦、予選5位を獲得

ついに2022年SUEPR GTシリーズが開幕。4月16日、冷たい風が吹く中でも青空が広がった岡山国際サーキットでは、公式練習と予選が行われた。No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Zでシーズンを戦うKONDO RACINGは、予選5位を獲得。開幕戦では翌日の決勝に向けて、幸先のいいスタートを切っている。

今シーズン、日産勢として新たな車両を手にしたKONDO RACING。GT-RからZへとスイッチされ、オフシーズンは精力的にテストを繰り返してきた。またドライバーも高星明誠選手に代わって平手晃平選手がチームに加入。昨シーズン、チームに復帰した佐々木大樹選手とともに”新生Z”で飛躍を目指すことになる。

この日は気温13度、路面温度18度の中、午前9時20分から公式練習がスタート。GT300クラスとの混走中は、まず平手選手がクルマの状態を確認するため、コースイン。しかし、トランスポンダーのトラブルが発生し、一旦クルマをピットに戻した。修復のため30分近くを費やすことになったが、走行再開後は平手選手が1分19秒323までタイムを上げて一旦11番手に。その後、GT500クラス専有では、佐々木選手がセッション終盤にアタックシミュレーションを行い、さらにタイムアップ。1分266の好タイムをマークして5番手でセッションを終えた。

午後に入ると、さらに温度が上昇。午後2時46分にスタートしたGT500のノックアウト予選Q1が始まる頃には気温が17度、路面温度は28度まで上昇する。担当する佐々木選手は最終ラップのアタックで自己ベストタイムを更新する走りを見せて1分17秒486をマーク。5番手となり、Q1通過を果たした。

続くQ2に出走した平手選手は、10分間のセッション折返しを前に暫定トップに立ち、なおもアタックを続ける。そして、他車も続々とタイムを更新する中、残り1分30秒を切るタイミングで1分17秒812へとタイムアップ。最終的に日産勢のなかで最高位となる5番グリッドを手にした。

公式予選記録

Pos. No. TEAM DRIVER Q1 Q2 SW
1 14 ENEOS X PRIME GR Supra 大嶋 和也
山下 健太
1’17.426 1’17.251
2 39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra 関口 雄飛
中山 雄一
1’17.460 1’17.387
3 100 STANLEY NSX-GT 山本 尚貴
牧野 任祐
1’17.509 1’17.544
5 24 リアライズコーポレーション ADVAN Z 佐々木 大樹
平手 晃平
1’17.486 1’17.812

Q1 開始:14:46’00 終了:14:56’11
Q2 開始:15:24’00 終了:15:34’00

近藤真彦監督のコメント

近藤真彦 PHOTO

Zでの初レースの予選でトップが獲れたのは、ヨコハマタイヤさんの貢献が大きいですね。4台のZは同じ仕上がりですし、トップドライバーが乗っているので、何が違うといえばタイヤです。予選ではその差が出ました。これまでもヨコハマタイヤでのパフォーマンスが大きく発揮できるというレースをしたことがありますが、今シーズンにおいてはその確率が高くなるのではないかと想定しています。ドライバーはじめ、チームとしてのモチベーションも上がっているし、佐々木、平手のコンビもいい感じ。今シーズンは早いタイミングでいい結果を出していきたいと考えています。

佐々木大樹選手のコメント

佐々木大樹 PHOTO

オフシーズンのテストからしっかりと作業ができていて、速さというよりは開幕からその先の第3戦くらいまでに向けてテストを続けてきた結果が出たという感じです。たまたまではなく、積み重ねてきたことを順位に反映できたと思っています。順位こそ5番手でしたが、続けてきたことが実って良かったとも思います。クルマも走り出しからほとんどセットをいじっておらず、うまくいきました。朝の公式練習の最初にはトランスポンダーのトラブルが出て、流れが悪いかもと思ったのですが、そこからしっかり挽回できたし、予選でもいい結果を得られました。ノーウェイトで戦う岡山で結果を残したことで、今後の戦いに向けていい方向に向かっていきます。

平手晃平選手のコメント

平手晃平 PHOTO

ヨコハマタイヤさんとの初めての仕事になり、タイヤだけでなくクルマも変わる中でのチーム加入となりました。その中でのスタートでしたが、ステップ・バイ・ステップでタイヤをうまく使えるように、色々とチームや佐々木大樹選手からもいろいろ教わりながら少しずつアジャストしています。タイヤの開発も進んできたこともあり、その積み重ねとして予選結果を出すことができました。たまたま出たタイムではなく、シーズンを見据えてしっかりと開発してきたものがうまく発揮できました。

村田卓児エンジニアのコメント

公式練習の走り出しでトランスポンダーのトラブルが発生。正確に計時が表示できないと出走できないために修正が必要になり、時間を要しました。クルマとしての仕上がりはそこそこだと思います。加えて、ヨコハマタイヤさんの開発がうまく行っていることがこの結果につながっていると思います。気温はじめ、路面などさまざまな状況の変化に合わせてセッティングの調整も出来たと感じています。

二日目 決勝(4月17日・晴れ/ドライ)

決勝レポート

レーシングアクシデントで完走にとどまる

前日の予選日よりもさらに好天気に恵まれた岡山国際サーキット。ニューマシン、新たなドライバーコンビネーションによる初戦で挑んだNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN Zは、入賞確実だったレース後半、まさかのレーシングアクシデントに遭遇。14位で戦いを終えている。朝の冷え込みは残ったものの、燦々と降り注ぐ日差しを受けて午後2時のスタートを前に、気温23度、路面温度においては33度まで上昇した。

グリッド上の24号車に乗り込んだのは、佐々木大樹選手。5番手からクリアスタートを切り、前後につけるGR SupraやNSX-GTとの戦いを重ねていく。その後、29周終わりで上位グループがルーティンのピット作業を行うまで、6番手をキープする。

24号車は33周終わりでピットイン、平手晃平選手が代わってピットロード出口へと向かう。コース復帰後は、ピット作業を終えていない1台をのぞき、事実上7番手で周回を続け、レースは終盤へ。そんな中、コース上ではGT300を含む激しい攻防戦が継続しており、ポジション争いが激化する。61周目には9番手に順位を下げてはしまったが、平手選手は逆転のチャンスを伺い粘りの走りを見せた。

66周目のヘアピンでレーシングアクシデントが発生。複数でバトルを繰り広げていたGT300車両の1台がバックストレートエンドのヘアピンで止まり切れず、24号車へと追突。平手選手はコーナーをターンインする中、不意打ちを喰らった形でコース外へと押し出されてしまった。加えてポジションダウン強いられただけでなく、リアのボディカウルを破損し12位からリスタートを切った。幸いにして足回りへの損傷はなく走行を重ねるには問題のない状態ではあったが、のちに車両修復を要する「オレンジディスク」が提示されたため、72周目にピットイン。作業を行い、コースに復帰した。

なお、レースはこのアクシデントを鋏み、2度にわたるFCY(フルコースイエロー)が出る慌ただしい展開に。その中で手負いの状態ながらも24号車は粘り強く戦い、チェッカー。トップと1周遅れの14位で初戦を終えた。悔しい結果となった開幕戦だが、新たなパッケージで手応えあるパフォーマンスを披露し、躍進を遂げたNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z。オフシーズンの間、精力的に取り組んだ成果をもとに、450kmと久々の長距離戦になる次戦の富士で好成績を目指す。

決勝結果

Pos. No. TEAM DRIVER TIME/DIFF LAPS SW
1 14 ENEOS X PRIME GR Supra 大嶋 和也
山下 健太
1:58’54.464 82
2 100 STANLEY NSX-GT 山本 尚貴
牧野 任祐
1.798 82
3 23 MOTUL AUTECH Z 松田 次生
ロニー・クインタレッリ
3.478 82
14 24 リアライズコーポレーション ADVAN Z 佐々木 大樹
平手 晃平
1Laps 81

開始:14:05’18 終了:16:04’13
ファステストラップ : 1’20.632 No.14 ENEOS X PRIME GR Supra/大嶋和也

No. TEAM LAPTIME
14 ENEOS X PRIME GR Supra 1’20.632

近藤真彦監督のコメント

近藤真彦 PHOTO

今日はふたりともすごくいいペースで走っていました。きっと、Zとヨコハマタイヤの相性がいいんでしょうね。レースは好順位獲得の期待が膨らむ中で様子を見ていました。タイムも上位車両と遜色がなかったので、これは後半勝負になるなと思っていたんです。ところがその矢先、GT300車両同士のバトルに巻き込まれてしまい、残念な結果ではありますが、レース内容としては”その先”が見える戦いができていたと思うので、これから先がすごく楽しみになりました。悔しい結果でしたが、期待のもてるレースでもありました。

佐々木大樹選手のコメント

佐々木大樹 PHOTO

想定以上に路気温が上がり、決勝用に選択したタイヤのパフォーマンスに対して正直心配な部分がありました。でも思った以上にクルマの調子が良く、その流れでタイヤも思ったより保って、周回を重ねることができました。そういう意味では去年の開幕戦に比べても自分たちのパフォーマンスが向上しているという印象を持ちました。後半はレーシングアクシデントという不運もあり、入賞ポイントは獲れませんでしたが、自分たちとヨコハマタイヤさんとの仕事によって、クルマとしてのトータルバランスがすごく向上していると感じています。もちろんまだまだ弱い部分はありますが、そこを補えばライバルと戦っていけるという自信がつきました。今シーズンを戦うにあたり、楽しみな開幕戦だったとも言えます。次の富士戦も今回得たことを活かせると思うので、自信をもって戦っていきます。

平手晃平選手のコメント

平手晃平 PHOTO

想定していない温度域での決勝になったのですが、まず(佐々木)大樹選手の状況を見て、セカンドスティントで装着するタイヤを決めようということになりました。レース前半では周りのクルマとタイムも遜色がないようだったのでさほど心配はしませんでしたが、周りとの兼ね合いもあり、予定より早めのピットインになりました。その分、後半がロングスティントになるので、タイヤの状況がどうなるかわからず若干不安はありました。その中でポジションを死守してはいたのですが、タイヤが異なる車両に抜かれてしまいました。しかしながら、前とのギャップは詰まっていたので、終盤にチャンスがあるのではという思いで走っていました。その矢先、まさかの出来事があって。うしろのGT300車両がレイトブレーキングで止まりきれなかったようです。後続とは余裕があったので、避けようがなかったですね。そのまま走っている分には大きな影響はなく、普通に走れていたのでペナルティが出たのは残念でした。不運が重なった初戦でしたが、一方でタイヤ開発含めてポジティブな部分も感じとれました。戦えていたからこその悔しい結果でした。

村田卓児エンジニアのコメント

予選日よりも気温、路面温度が上昇したことに関して心配がなかったわけではありません。実のところ、今日のような路面温度で試したことがないタイヤでのスタートでした。ただレース中は、コースがクリアな状態のときはペース的な問題もなかったと思いますし、今日の展開を見る限り、現状で充分戦えるところまでは来ているのかなと感じました。まだ少し足りない部分があるので、その辺は今後のレースに向けていろいろ策を講じていきたいと思います。レースでは入賞は間違いない中で周回していたのですが、GT300クラス同士による攻防のハプニングの影響を受けてしまい、クルマを損傷したので修復を強いられたのは残念です。次の富士は岡山とサーキットの特性が異なりますが、開発も進んでいるのでこの先もライバルにどんどん追いついていく様、推進していきます。

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