RACE REPORT
SUPER GT GT500
第3戦 鈴鹿サーキット
一日目 予選(5月28日・晴れ/ドライ)
予選レポート
小さな迷いが重なり、結果にも影響を及ぼすことに
5 月 28 日、鈴鹿サーキットにおいて SUPER GT 第 3 戦が開幕。午前中の公式練習を経て迎えた午後のノックアウト予選において、KONDO RACING は Q1 通過を果たせず、悔しい結果に終わった。決勝は、10 番手から粘り強い走りで追い上げを目指す。度重なる赤旗中断の影響を受けて消化不良の展開となってしまった前回の富士戦。今回の鈴鹿はシーズン序盤を締めくくる位置付けとなっているため、是が非でも手応えある結果を残したいところだ。一方、レースウィーク中は好天気に恵まれ、まるで初夏のような暑さとなったことで、自ずと気温、路面温度が上昇。予選でのタイヤ選択にも頭を悩ますことになった。
まず、午前中に行われた公式練習では、平手晃平が最初に No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z のステアリングを握る。開始時点の気温は 26 度、路面温度は 36 度だったが、その後、気温は 28 度、路面温度は 38度まで上昇した。平手選手は持ち込みのセット確認はもちろん、順調にメニューをこなしつつ、その後は午後からのアタックに向けてタイヤ確認等の作業などに取り組んだ。一方、GT300 クラスとのセッション終盤、および GT500 クラスの専有走行では、佐々木大樹選手がドライブ。セッション終盤にはアタックシミュレーションを行う予定だったが、あいにく 1 台の車両がトラブルを引き起こし、西ストレートサイドに停止。結果、赤旗中断を持って走行終了となり、残念ながら佐々木選手はアタックシミュレーションの機会を逃してしまった。なお、チームベストタイムはセッション序盤に平手晃平選手が刻んだ 1 分 45 秒 499。これをもって 24 号車は 3 番手でセッションを終えている。
サポートレースでの赤旗中断が重なり、ノックアウト予選は本来の予定より 10 分遅れでスタート。気温は 28 度と午前中のセッションとさほど変化はなかったが、一方で路面温度は 44 度まで上昇。大きく変化したコンディションを味方につけられたかどうかで、ポジションにも大きな影響を与えることになった。アタックを担当したのは、平手選手。アウトラップを経て、計測 2 周目のワンラップアタックに挑んだが、1分 45 秒 233 のチームベストタイムではは Q2 進出には至らず。好調だった午前中のセッションとは異なる結果を手にしたチームでは、遅くまでチームミーティングを重ねた。翌日の決勝では挽回目指し、確実な走りで好成績を狙っていく。
公式予選記録
Pos. | No. | TEAM | DRIVER | Q1 | Q2 | SW |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 19 | WedsSport ADVAN GR Supra | 国本雄資 阪口晴南 |
1’44.960 | 1’44.112 R | 7 |
2 | 37 | KeePer TOM’S GR Supra | サッシャ・フェネストラズ 宮田莉朋 |
1’44.841 | 1’44.269 R | |
3 | 3 | CRAFTSPORTS MOTUL Z | 千代勝正 高星明誠 |
1’44.230 R | 1’44.425 | 12 |
10 | 24 | リアライズコーポレーション ADVAN Z | 佐々木大樹 平手晃平 |
1’45.233 | 3 |
Q1 開始:15:28’00 終了:15:28’00
Q2 開始:16:06’00 終了:16:16’00
近藤真彦監督のコメント
今回は、クルマ、タイヤ、そしてセットアップに関しても悪いところはなかったんです。多少のアンダー、オーバーっていうのはあってもそれは想定内というくらい、いい状態でした。ただ、朝の練習走行では最後に赤旗が出たことでアタックができなかったという心配もありました。一方、チームではどちらのドライバーがアタックに行くかすごく悩んだんです。いつもはそう悩まないんですが……。僕自身が強い気持ちで指示を出せたらよかったのですが、珍しく迷ってしまったんです。公式練習で(佐々木)大樹がニュータイヤのフィーリングを確認できなかったこともあり、Q1 を平手(晃平)に託しました。軽くこなしてくれるだろうと思ったのですが、逆にプレッシャーになってしまったのか……。今回は僕自身の判断力の弱さが出てしまったことを反省しています。タイヤに関しては、予選でも決勝でもパフォーマンス的に問題のないものを選んでいました。なので、今日の決勝も心配はしていません。ただ、鈴鹿というコースの特性上、抜きどころがそうある訳でもないので、期待以上の結果は難しいかもしれません。とにかく一つでもポジションを上げてポイント獲得を目指していきたいと思います。
佐々木大樹選手のコメント
朝の公式練習では、GT500 の専有走行の最後でアタックシミュレーションをする予定が、赤旗が出てしまったのでそのチャンスがなくなってしまいました。一方、予選は僕がシミュレーションできていなかったこともあり、公式練習で乗れていた平手(晃平)選手にお願いすることになりましたが、残念ながら担当予定だった Q2 には出られませんでした。ただ、公式練習の時点で鈴鹿における速さを確認できたのは良かったです。決勝に向けてはまだ課題もたくさんあるので、セッティングを変更して戦う予定です。
平手晃平選手のコメント
クルマは走り出しから問題点もなく、バランスが取れていました。また、タイヤに関しては今回新しいスペックのものを持ち込んだのですが、それがうまく機能しました。朝の公式練習の時点からいいタイムを刻めていたし、タイヤに対してもいい評価ができたと思います。一方、セッション終盤に(佐々木)大樹選手がする予定だったアタックシミュレーションが赤旗によってできなかったので、僕が予選を担当することになりました。普段どおりアタックすれば問題なかったのですが、デグナーでミスしてしまい……目標のタイムに届きませんでした。期待してもらっていたのに申し訳なかったです。
村田卓児エンジニアのコメント
予選では、デグナーひとつ目でタイムロスがあったんです。一旦は走路外走行の扱いを受けたのですが、結局はその扱いにはなりませんでした。持ち込みのセットもそれなりに手応えがあったようで、朝の練習走行時からドライバーはいいペースで走っていました。クルマ的には問題もなく、大丈夫な状態なので、決勝に向けてはこれまでのセットと方向性の違うものを試す予定です。
二日目 決勝(5月29日・晴れ/ドライ)
決勝レポート
暑さ厳しい中、追い上げを見せて 6 位入賞!
5 月 29 日、SUPER GT 第 3 戦の決勝レースが行われた鈴鹿サーキット。強い日差しが照りつけるタフなコンディションの中、KONDO RACING の No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z は粘り強い戦いを続け、レース後半にはポジションアップに成功。シーズンベストの 6 位入賞を果たした。早朝から青空が広がり、快晴に恵まれた鈴鹿。前日よりも気温が上がり、梅雨入りを前にまるで夏のような天候になった。決勝目前のウォームアップ走行時には気温 29 度、路面温度 48 度を記録、さらに午後 2 時 30 分からのスタート直後には気温 30 度、路面温度に至っては 50 度まで上昇するという極めてタフなコンディションでの戦いを迎えることになった。
24 号車のスタートドライバーは佐々木大樹選手。予選後、チームでは決勝に向けてセットアップを大幅に変更しており、そのポテンシャルを引き出すべく前半のスティントを担当した。スタート直後はタイヤの温まりが懸念されたが、問題なくポジションキープでオープニングラップを終了。レースは早くも 3 周目に FCY(フルコースイエロー)が導入されるという落ち着きのない展開になったが、佐々木選手はその中でも落ち着いて周回を重ねていった。10 周目から13 周終了まで続いたセーフティカーランが終わると、ルーティンのピット作業に向けて各チームが動きを見せる中、24号車はそのタイミングをずらす計画でしばし周回を重ねていく。
23 周を終えた佐々木選手がピットイン、平手晃平選手へとスムーズに交代して 9 位からレース後半の戦いがスタートする。直後から FCY 導入など慌ただしい様相となったが、タイヤに熱が入ると、平手選手は 30 周目にチームベストとなる 1 分 50 秒 040 のタイムをマーク。さらに 39 周目から 43 周終わりまで続いたセーフティカーランを味方に、前にいた No.14 GR Supra との差を確実に縮める走りを続けた。そして迎えた 45 周目のバックストレートで勝負に出て逆転、7 番手に浮上する。さらに攻撃は終わらず、最終周のシケイン立ち上がりで前方の No.8 NSX-GTをも逆転!最後の最後まで力強いパフォーマンスを披露し、6 位でチェッカーを受けた。第 4 戦富士に向け、およそ 2 ヶ月のインターバルに入る SUPER GT。本格的な真夏の戦いを控え、さらなるブラッシュアップが求められるのは言うまでもないこと。今シーズンの実戦で得たデータをもとに、さまざまな煮詰めを進め、より強さ、速さを増した No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z としてシーズン中盤の戦いに挑むこととなる。
決勝結果
Pos. | No. | TEAM | DRIVER | TIME/DIFF | LAPS | SW |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 3 | CRAFTSPORTS MOTUL Z | 千代勝正 高星明誠 |
1:55’50.895 | 52 | 12 |
2 | 17 | Astemo NSX-GT | 塚越広大 松下信治 |
4.549 | 52 | 6 |
3 | 37 | KeePer TOM’S GR Supra | サッシャ・フェネストラズ 宮田莉朋 |
4.832 | 52 | |
6 | 24 | リアライズコーポレーション ADVAN Z | 佐々木 大樹 平手 晃平 |
10.429 | 52 | 3 |
開始:14:47’33 終了:16:43’24
ファステストラップ : 1’48.055 No.3 CRAFTSPORTS MOTUL Z/千代勝正
黒白旗提示 No.16 大湯都史樹
No. | TEAM | LAPTIME |
---|---|---|
3 | CRAFTSPORTS MOTUL Z | 1’48.055 |
近藤真彦監督のコメント
決勝は荒れた展開になり、また暑さが厳しいレースになりました。その中で、うちはドライバーふたりがよく頑張ってくれたと思います。タイヤも路面温度が 50 度まで上がる中、しっかりと機能していいパフォーマンスがありました。予選結果からすれば、決勝の走りはとても良かったと思います。今シーズンはクルマが Z に変わり、ヨコハマタイヤとのコンビネーションも良いと感じているので、次のレースまでのインターバルでさらに開発も進むものと期待も広がります。
佐々木大樹選手のコメント
今後のレースに繋げるためにも、決勝に向けて大幅なセット変更を行いました。それが少しプラスに働いて、いい方向に向かっている兆しが見えたと思います。今シーズンは予選での速さを見せることができているので、決勝で速さを見せることができれば優勝も近いし、毎回上位で争えると思います。そこを見つけるために、チーム全員で一生懸命取り組んでいるところですね。まだまだではありますが、今回はひとつの結果として少し見えて良かった本的にタイヤの状況も含めてスティントを半々にする予定でした。あまり早めに入ってしまっても後半タイヤが厳しくなるし、逆に(ピットインのタイミングを)引っ張りすぎても、タイムロスすることになるので。今回のピットインはもともとの予定どおりでした。思った以上に路面温度が上がり、正直未知数の世界でしたが、その中でしっかり走ってデータ取りができたので良かったです。タイヤも今までから随分と変わってきましたが、大きな問題もなくしっかりレースを組み立てることができたので、結果としてポジティブなものになりました。
平手晃平選手のコメント
決勝前のウォームアップ走行で赤旗が出てしまい、今度は僕が乗れずじまいでした。決勝に向けてもう少しクルマにスタビリティが欲しいと思っていたのですが、(赤旗で)クルマのバランス確認ができないままでした。加えて、タイヤも新しいものだったので、レースで強く戦うためにも大きくセット変更して挑むことになりました。タイヤの持ち具合を考えて、ピットインのタイミングを他車よりも少し伸ばしたんですが、僕らの想定よりもはるかにタイヤが持ちました。FCY や SC の導入でタイヤも一度クールダウンできたし、周りのブリヂストン勢と比べてもリスタート時のグリップは良かったと思います。終盤、バックストレートで 8 号車を、それから最後にシケインで 8 号車もうまく抜くことができました。8 号車はプッシュしつつプレッシャーをかけ続けたことで向こうがミスし、逆転できました。レース後、監督はじめチームのみんながすごく温かく迎えてくれて……。予選のことがあっただけに頑張らなきゃと思っていたので、うまく応えられて良かったです。
村田卓児エンジニアのコメント
決勝に向けて選んだタイヤですが、事前のテストと今大会のコンディションを踏まえて選んではいましたが、想定内ではありました。高温下での走行は初めてではありましたが、上手くまとめることができたのではないかと思います。終盤にも 14 号車、8 号車に追いついて抜いてきたので、パフォーマンスもあると思います。次の富士まで 2 ヶ月ほどのインターバルがありますが、セッティングでまだ詰め切れていない部分の検討や、暑い中での戦いになるのでいろいろ状況も変わってくるので、その辺りを見直してワンステップ底上げをしていきたいですね。