RACE REPORT
SUPER GT GT500
第8戦 モビリティリゾートもてぎ
一日目 予選(11月5日・晴れ/ドライ)
予選レポート
No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z は Q1 を 2 位で通過、Q2 では 5 番手!
日増しに秋が深まるなか、サーキット周辺の木々もにわかに色づき、あちこちで落葉が見られるようになった。シーズン最終戦を迎えたモビリティリゾートもてぎは朝こそ気温が低かったが、穏やかな日差しに恵まれ、次第に気温も上昇。予選日は絶好の観戦日和となった。
まず、朝の公式練習では、まず平手晃平選手からコースイン。気温 14 度、路面温度 19 度のなか、まずはタイヤの見極めはじめ、セッティングの調整や決勝を見据えたロングランも順調にこなした No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z。開幕戦以来となるノーウェイトのコンディションを味方につけ、予選アタックで好位置につけるべく、与えられた時間の中で出来得る限りの作業に取り組んだ。セッションでは、後半の GT500 専有走行中、路面温度が上昇したコンディション下で佐々木大樹選手がアタックシミュレーションを行うと、1 分 36 秒 556 のチームベストタイムをマーク、6 番手で走行を終了した。
午後のノックアウト予選を前に、チームではさらに調整を加え、佐々木選手を Q1 へと送り出す。気温 17 度、路面温度28 度と公式練習終盤に似通ったコンディションの中、佐々木選手は 1 分 35 秒 736 とトップと 0.121 秒の僅差で 2 番手につけ、なんら心配することなく平手選手へとバトンをつないだ。佐々木選手の好調を受け継ぎ、Q2 開始に向けてピットで待機していた平手選手。だが、これより前、GT300 クラスの Q2 においてコース上ではクラッシュが発生したことでセッションが赤旗中断され、GT500 クラスの Q2 開始時間が当初よりも 13 分遅延した。この時点で気温はセッション開始時と大差ないものの、路面温度においてはすでに 5 度ほど低下。コース上のあちこちで日が陰り、アタックには難しい状況へと変わってしまう。アウトラップでしっかりとタイヤを温めるなど、コンディションを整えた上でのアタックを強いられるなか、平手選手は計測 3 周目に 1 分 36 秒 199 のタイムをマーク。もう 1 周、渾身のアタックを披露して 1 分 36 秒フラットへとさらにタイムアップを果たした。結果、No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z は 5 番手を獲得。決勝ではさらにポジションアップし、シーズン 3 度目の表彰台を目指す。
公式予選記録
Pos. | No. | TEAM | DRIVER | Q1 | Q2 | SW |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 100 | STANLEY NSX-GT | 山本尚貴 牧野任祐 |
1’35.615 | 1’35.194 R | |
2 | 19 | WedsSport ADVAN GR Supra | 国本雄資 阪口晴南 |
1’35.924 | 1’35.306 R | |
3 | 12 | カルソニック IMPUL Z | 平峰一貴 ベルトラン・バゲット |
1’36.244 | 1’35.752 | |
5 | 24 | リアライズコーポレーション ADVAN Z | 佐々木大樹 平手晃平 |
1’35.736 | 1’36.000 |
Q1 開始:14:53’00 終了:15:03’00
Q2 開始:15:44’00 終了:15:54’00
近藤真彦監督のコメント
さすがにポールポジションを獲った 100 号車のタイムは見えませんでしたが、一方であと 2 つくらいはポジションを上げることができた、と感じました。同じヨコハマタイヤを装着する(予選 2 番手の)19 号車くらいまでは行けたんじゃないかなという感じがあり、それだけに悔しいですね。とはいえ、今シーズンはヨコハマタイヤと Z の相性の良さ、(佐々木)大樹と(平手)晃平の努力の跡がしっかりと形になってきているのは確かです。明日の決勝でも充分表彰台は狙っていけると確信しています。1 ポイントでも多く獲りたいですね。今シーズンはライバルに対し、「24 号車はあなどれない」と、存在感をアピールすることができたと思うので、いい形でレースを終えて、オフシーズンから内容あるテストを繰り返し、翌年のシーズンに備えていきたいと思います。
佐々木大樹選手のコメント
もてぎは事前にタイヤテストもできていました。レースウィークのタイヤは平手(晃平)選手が 2 種類試しました。専有走行ではセットを微調整し、予選に臨むことができました。担当した Q1 でもクルマのバランスは良く、もう少しでトップを獲れそうな手応えがありました。ノーウェイトの最終戦でしっかりと Q1 を通過できたし、シーズンを通して速さがついてきたことを感じています。そこはうれしいですね。ヨコハマタイヤのパフォーマンスは言うまでもないですが、チームとしてのパフォーマンスも向上していて、相乗効果を感じます。レースはどうなるかわかりませんが、うまくいけたらいいなと思います。
平手晃平選手のコメント
前回のテストの結果を踏まえて、走行中にはタイヤの見極め作業もできました。予選 Q2 でも、いろいろなことを想定していいだろうと思う方を選択したのですが、パフォーマンスは出たとは思います。とはいえ、結果を見るともう少し上を狙えたかなという気持ちもありますね。ただ、Q2 開始時が遅れて路面温度が急激に下がったので、かなり懸命にタイヤを温めたのですが、内部温度を思うように上げることが難しく、ピーク時のいいパフォーマンスを出すことは難しかったですね。でも、ノーウェイトの状態で予選 5 番手に食い込むことができたのは大きな進歩だし、決勝はさらに気温が上がるようなので、タイヤのいい部分が発揮できるのではないかと思います。
村田卓児エンジニアのコメント
今回、まず Q1 で(佐々木)大樹がいいタイムをマークし、それから(平手)晃平へ……という形だったのですが、先にGT300 クラスの Q2 で赤旗中断があり、当初の開始時刻よりも遅れてしまったことで日が陰ってしまい、思った以上に路面温度が下がりすぎてしまいました。ただ、朝の公式練習ではいろいろとセットを試し、微調整を重ねてクルマを作っていくことはできたし、ロングランはじめタイヤの確認もうまくできました。明日の決勝に向けてはうまくタイヤを合わせ込むことができたら、と思っています。いつもよりスタート時間も早いので、路面温度も今日ほどは下がらないのではないでしょうか。ピットインのタイミングもタイヤのコンディションや周りとの兼ね合いでうまくタイミングを合わせていきたいと思います。
二日目 決勝(11月6日・晴れ/ドライ)
決勝レポート
24 号車 リアライズコーポレーション ADVAN Z 思いもしない結末で最終戦の幕を閉じた
最終戦となる大会はモビリティリゾートもてぎ(栃木県芳賀郡)において SUPER GT 第 8 戦の決勝レースが開催された。予選 5 番手から表彰台を狙ってスタートを切った KONDO RACING の No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z だったが、序盤に GT300 車両が絡む多重クラッシュに巻き込まれ、レース継続ならず。悔しいリタイヤで 2022 年の最終レースを終えた。
予選日同様、秋晴れの穏やかな天気に恵まれたモビリティリゾートもてぎ。風もほとんどなく、日中は小春日和となり、最終決戦にふさわしい舞台が用意された。また、2 万 6 千人のファンがシーズン最後の戦いの行方を見届けようとサーキットを訪れるなど、盛り上がりを見せた。
No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z は、午後 1 時に号砲となる決戦に向け、直前のウォームアップ走行で最終調整を行なうなど、緊張感高まる中で粛々と作業を進める。迎えた決勝、パレードラップを経てフォーメーションラップを終えると、各車クリアスタートを切り、1 コーナーへ。スタートドライバーを務めた佐々木大樹選手もこれに続いたが、オープニングラップで先行する車両 2 台が 5 コーナーで接触。このあおりを受けて 10 位へとポジションを落とすことになった。その後はポジション挽回を目指して、周回を重ねた 9 周目、3 コーナーで GT300 を含む多重クラッシュが発生。突然行き場を失った車両が前方の車両に追突、その勢いでサイド側を走っていた他車へ接触するなど、次々とダメージを負った車両が出てしまう。そして不運にも、その中に佐々木選手の姿もあった。
コースサイドでびくともしない 24 号車。激しい追突によって足回りを傷め、再スタートが難しい状態から、惜しくもこのタイミングで戦線離脱を強いられることになった。思いもしない結末で最終戦の幕を閉じた今シーズン。今回、ポイント獲得を果たせないまま、シリーズランキングは 9 位に。新型 Nissan Zとヨコハマタイヤのポテンシャルアップを味方につけ、回を重ねるなかで力強い戦いを見せることができていただけに、あまりにも残念な結果となったのは言うまでもない。来シーズンはこの悔しさをバネにして、オフシーズンから精力的なテストに取り組み、さらに進化を目指すのみだ。
決勝結果
Pos. | No. | TEAM | DRIVER | TIME/DIFF | LAPS | SW |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 100 | STANLEY NSX-GT | 山本尚貴 牧野任祐 |
2:04’58.929 | 63 | |
2 | 12 | カルソニック IMPUL Z | 平峰一貴 ベルトラン・バゲット |
1.212 | 63 | |
3 | 14 | ENEOS X PRIME GR Supra | 大嶋和也 山下健太 |
1.888 | 63 | |
24 | リアライズコーポレーション ADVAN Z | 佐々木大樹 平手晃平 |
55 Laps | 8 |
開始:13:07’29 終了:15:12’27
ファステストラップ : 1’38.350 No.100 STANLEY NSX-GT/牧野 任祐
No. | TEAM | LAPTIME |
---|---|---|
100 | STANLEY NSX-GT | 1’38.350 |
近藤真彦監督のコメント
最終戦を不運な結果で終えることになりました。まずオープニングラップで前の車両同士が接触し、それを避けたことでポジションを落としてしまったため、結果として序盤の多重クラッシュに巻き込まれる形になってしまったことが残念です。不運といえば不運ですが、あの位置にいたことで影響を受けたことは確かなので、”タラ・レバ”が重なったという感じですね。一方で、今年は新型車両とヨコハマタイヤのコンビネーションが上手く働き、”魅せる”レースをたくさんすることができました。しっかりと躍進できたと言えるのですが、シーズン最後となる締めのレースで皆さんにいいところをお見せでず、残念です。ただ、去年の最終戦を振り返ると、今年のほうが格段に来シーズンに懸ける思いは遥かに大きいし、楽しみも膨らんでいます。シーズンオフにしっかりとテストを重ね、いいクルマとタイヤを準備したいと思います。今年は前年よりもいいリザルトを残すことができただけに、来年はもっとハードな戦いになるでしょうが、しっかりと頑張っていきたいと思います。さらにワンステップ上のステージで戦っていきます!
佐々木大樹選手のコメント
序盤ペースは悪くなかったのですが、まず 1 周目に前にいた 3 号車と 8 号車が接触したので、減速した際に後続車に前へ出られてしまいました。そのあと(9 周目)は大混戦時に、36 号車がイン側から抜きに来たというよりは止まりきれず、そのまま前の GT300 車両(30 号車)にぶつかったようで……。この時点で僕はうしろから(39 号車)に追突され、その反動で前後の車両に挟まれてしまったような感じでした。激しい追突を受けたので、クルマが壊れてしまってグラベルからコースに戻ることは叶いませんでした。レースではこういうことも起こるのですが、今回は運が悪かったという感じです。今年はクルマが新しくなて、それに合わせるようにタイヤ開発も進みました。今日は結果を残したかったのですが、この悔しさは来シーズンのレースにぶつけて頑張りたいと思います。
平手晃平選手のコメント
戦略としては、まず前半はポジションキープで走ってもらい、ドライバー交代後の後半の時点で先頭集団を追随することが可能であれば、フレキシブルに動きたいと思っていました。そんななか、まさか序盤で不運な状況になるとは……早々にレースが終わってしまい残念です。今シーズンはチームを移籍し、ヨコハマタイヤさんとも密に仕事をさせてもらったのですが、こちらからのリクエストにしっかりと応えていただく環境を用意してもらいました。今までにないほどのいい環境で、やりがいある仕事をさせてもらうことができました。今年一年積み重ねてきたものを継続させて来シーズンに準備をしていけば、もっといいレースができると信じているし、楽しみです。ただシーズン最後のレースだったので、走って終われなかったのはちょっと残念でした。
村田卓児エンジニアのコメント
レース直前のスタート前チェックの時点では最終確認を行なう程度の作業で、とりわけ気になる点もありませんでした。あとはレース状況に合わせたピット戦略を……と思っていたのですが、序盤の多重クラッシュに巻き込まれることになり、レースを終えることになりました。一方で、今シーズンは新しい Nissan Z とヨコハマタイヤによるパッケージで、チームとしてもいろいろ進化した部分が多かったと思います。そのなかで現状における課題も見えてきたので、来シーズンに向けてひとつひとつクリアしていくことが大事だと考えています。