RACE REPORT

SUPER GT GT500

第1戦 岡山国際サーキット

一日目 予選(4月15日・雨/ウェット)

予選レポート

24 号車リアライズコーポレーションADVAN Z 悪天候の中11 番手に

4 月15 日、岡山国際サーキットにおいてSUPER GT の2023 年シーズンがついに幕を開けた。新燃料の導入や使用できるタイヤ本数の制限など、いくつもの変更となった中での新たな戦いになるが、KONDO RACING としては、是が非でも表彰台の真ん中に上がりたいところだ。今シーズンもNo.24 リアライズコーポレーションADVAN Z を佐々木大樹選手と平手晃平選手がドライブ。コンビ2 年目となるふたりが、さらなる躍進を見せてくれることに期待したい。

予選日は朝からあいにくの雨模様。午前9時10 分からの公式練習は、ウェット宣言下で行われることになる。気温13 度、路面温度14 度と肌寒さを覚える中、ウエットタイヤを装着し、シーズン初戦の走行セッションが始まった。先にクルマへと乗り込んだのは、佐々木選手。開始直後、コースコンディションを確認するためにコースを1 周してそのままピットへ。作業を済ませて改めてコースインした。

まだ雨量が少ない中でタイヤに熱を入れるためにペースを抑えながら周回し、徐々にペースアップする中で1 分38 秒864 をマーク。翌周に2 度目のピットインを行ない、作業を重ねた。が、セッション開始から30 分を過ぎた頃、モス”S”で1 台の車両がコースアウトし、タイヤバリアに激しくクラッシュ。空を舞った車両は大きなダメージを負ってしまった。これを受け、セッションは赤旗となり、およそ30 分後の午前10 時10 分に再開となった。

チームでは、その後も佐々木選手がドライブを担当。ウエットタイヤの見極めとセットアップの確認作業を続けた。だが、本降りの雨となり、セッション前半以上にコンディションが悪化。コースアウトする車両も続出する。また、佐々木選手も他の選手同様、序盤にマークしたベストタイムを更新するには至らず。そんな中、午前10 時34 分には天候悪化による赤旗が提示され、セッション終了に。セットアップの方向性の見極めに時間を要したこともあり、平手選手へ交代することも、またアタックシミュレーションの機会をも失ったNo.24 リアライズコーポレーションADVAN Z は、15 番手でセッションを終えることとなった。

午後2 時33 分にスタート予定だったGT500 クラスのノックアウト予選Q1。公式練習での赤旗中断を踏まえ、各セッションは通常より5 分長い15 分間で実施されることになっていた。だが、これに先立ち行なわれたGT300 クラスQ1・A 組のスタートが始まると、天気が悪化。雨が急激に降り始める。これを受け、開始から9 分を過ぎると赤旗が提示され、セッションが中断。しかも再開を待たずして終了を迎える。このあとも開始時間が先延ばしとなり、結局GT500 クラスQ1 は当初から20 分遅れの午後2 時53 分にスタート。No.24 リアライズコーポレーションADVAN Z には公式練習でドライブを担当した佐々木選手が乗り込んだ。

タイヤの温めに時間が必要になるため、我先にとコースへ向かう車両が続出。佐々木選手もコースコンディションを確認しつつ、タイヤに熱を入れながら”然るべき時”を待ってアタックに臨んだ。結果、毎周のようにベストタイムを更新し、最後はチェッカーラップで自己ベストタイムとなる1 分30 秒600 をマークしだが総合11 番手となり、残念ながらQ2 への進出は果たせなかった。

天気予報によれば、決勝日の天候も不安定であるとのこと。タフな展開になる可能性は高いが、ドライバー、チームスタッフ全員による力を集結し、これまで培ってきたデータ活かした戦いを展開したい。

公式予選記録

Pos. No. TEAM DRIVER Q1 Q2 SW
1 23 MOTUL AUTECH Z 松田 次生
ロニー・クインタレッリ
1’29.659 1’27.860
2 3 Niterra MOTUL Z 千代 勝正
高星 明誠
1’29.908 1’29.035
3 64 Modulo NSX-GT 伊沢 拓也
太田 格之進
1’29.863 1’29.347
11 24 リアライズコーポレーション ADVAN Z 佐々木 大樹
平手 晃平
1’30.600

Q1 開始:1’29.347 終了:15:03’00
Q2 開始:15:41’00 終了:15:56’00

近藤真彦監督のコメント

近藤真彦 PHOTO

事前のテストでも手応えがあったので、雨でも晴れでもここ何年か開幕戦には期待してきたんです。ただ本番になると、テストでは速かったのに……という展開になってしまいますね。今回もそうです。ただ、セッティングのミスも若干あった上での結果ではありますが、ライバル勢と比較すると厳しい状況となりました。予選の時間帯のコンディションが本当に合わなかった。仮にQ2 に残ったとしても、上位に喰い込むのは難しかったでしょう。明日はきっちりとデータを取ることはもちろん、ポイント圏内でのレースができればと思うし、できる力はあると思います。チーム一丸となり戦います。

佐々木大樹選手のコメント

佐々木大樹 PHOTO

ほぼなにもできないセッションでした。雨になって気温が上がらない中、新しく投入されたタイヤで岡山を走るのは初めてで、タイヤが温まらないままでした。最後にようやく路面が乾いてきたときになって、やっとタイムが上がってきたのですが遅かったですね。うまくいきませんでした。今回は、まず根本的にタイヤが温まるのに時間がかかったので、これを改善していかないといけないと思います。本当に難しいコンディションでした。

平手晃平選手のコメント

平手晃平 PHOTO

シーズン前の富士での公式テストでは、ウエットコンディションでのパフォーマンスは見えていたものの、岡山ではどうなるのかは正直走ってみなければわからない状態でした。やはり課題がありましたね。確かに去年よりは(ライバル勢との)タイムは縮まったし、戦えているので、これまで開発してきたことやその方向性に間違いはないと言えます。ただ、まだチューニングが必要ですね。それが明確に見えてきたし、伸び代もあるのでさらに作業を続けていかないといけないですね。今日は悔しい結果ですが、決勝では(入賞して)ポイントを獲っていいスタートを切りたいと思います。

村田卓児エンジニアのコメント

難しいコンディションでした。開発の方向性としては良かったのですが、まだまだやるべきことがあったということです。なかでも今日の予選コンディションは一番苦手とするコンディションだったので余計に厳しい状況でした。明日も天気が不安定のようなので、与えられた条件下でしっかりと仕事をし、展開的に混乱があってもデータ収集含め落ち着いて戦い、ポイントが獲れたらいいなと思います。

二日目 決勝(4月16日・雨/ウエット))

決勝レポート

急変する天候に翻弄され、悔しい結果に終わる

岡山国際サーキットで行なわれたSUPER GT 第1 戦の決勝レースは、終始不安定な天候に左右される波乱の展開となった。前日のノックアウト予選で11 番手グリッドを手に入れたKONDO RACING のNo.24 リアライズコーポレーションADVAN Z は、ウエットコンディションによって変化するタイヤパフォーマンスに苦戦し、14 位でタフな戦いを終えている。

予選日は終始雨に見舞われ、存分にパフォーマンスを発揮できなかったNo.24 リアライズコーポレーションADVAN Z。ノックアウト予選ではQ2 進出を果たせず、11 番手から決勝を迎えることになった。決勝日は、朝から青空が広がる天気に好転。暖かな日が差し込み、気温も上昇する中、決勝直前のウォームアップ走行では6 番手につけるなど、手応えある走りを見せていた。だがこれとは逆に天気は次第に下り坂へと加速。結果、午後12 時20 分からのスタート進行のあたりから冷たい風が強まり、にわかに上空には鉛色の雲が広がりはじめた。

午後1 時30 分、ドライコンディションでスタートが切られると、No.24 リアライズコーポレーションADVAN Z をドライブする佐々木大樹選手はポジションキープでオープニングラップを終了。すると、レースは開始から15 分もしないうちにパラパラと雨が落ち始め、瞬く間に本格的な雨へと変貌。濡れはじめたコースに対し、当然のことながら装着するスリックタイヤでの走行は極めて難しく、我慢の走行を強いられる。しかし、本降りの雨となったことで、チームはタイヤ交換を敢行。15 周終わりでピットに戻り、ウエットタイヤを装着してコースに復帰した。だがその矢先、GT300 車両がコースアウトし、FCY(フルコースイエロー)となり、加えてコース上ではタイヤが脱落したGT300 車両が現れ、セーフティカーが導入される。そんな中、天候も急変。雨脚がいっそう強まり、季節外れの雹(ひょう)が降るというまさかの展開に。当然のことながら、急激な天候悪化で、コース上のクルマはコース上に留まるだけで精一杯の状況となる。ところが、このあと天気はふたたび回復し、今度は雲の切れ間から青空が少しずつ広がり始めるという、まさに猫の目のような天気にまったく先が読めなくなる。

レースは23 周終わりでセーフティカーが解除され、リスタート。7 位につけるNo.24 リアライズコーポレーションADVAN Z も戦闘モードへとスイッチする。その後も不安定なコンディションの影響を受けつつタフな戦いを続けてきたが、42 周終わりで2 度目のピットイン。ルーティンの作業として給油、タイヤ交換、ドライバー交代のフルサービスを行なった。ステアリングを受け継いだ平手晃平選手だったが、FCY 中の48 周目にヘアピンで痛恨のスピンし、グラベルにクルマがスタックする。残念ながら自力でコース復帰はならず、しばしその場にストップ。のちにコース復帰を果たしたものの、最後尾までポジションを下げてしまった。その後、51 周目にはクラッシュした車両の回収で2 度目となるSCが導入されるが、雨脚が再び強まったことに加え、雷を伴う天候悪化を受けて55 周目に赤旗が提示され、セッションが一時中断する。レースはおよそ20 分後にセーフティカーが牽引する形で再開されたが、またしても雨が強まりスリックタイヤでの走行が困難な状態に。No.24 リアライズコーポレーションADVAN Z も58 周目に3 度目のピットインを敢行、再びウエットタイヤを装着した。

だが、レースはまだ波乱が続く。61 周目、天候急変・悪化に伴う2 度目の赤旗中断となり、およそ25 分程コース上に留め置かれたのちにレースが再開した。だが、そこから4 分ほど経過した午後4 時25 分には3 度目の赤旗が提示され、その直後にレース終了がアナウンスされた。なお、14 位でチェッカーを受けたNo.24 リアライズコーポレーションADVAN Z にはFCY 中のスピンがペナルティの対象となっていたが、レース中にドライブスルーペナルティを消化しないままレースが終了したことから、決勝結果に40 秒が加算されることになった。

ドライからウエット、ウエットでも雨量が大きくことなるなどコースコンディションが激しく変わり、大荒れとなった岡山大会。ダンプコンディションでの走行は、今のチームにとって厳しい結果になることがわかっていただけに、今シーズンの課題と して原因を突き止めて対策していくことが求められる。一方で、コンディションとタイヤとの相性によっては、しっかりと速さを見せられることも明らかとなった。SUPER GT はシーズンを重ねるごとにシビアな戦いが増えているが、ハイレベルな戦いを繰り広げて上位に食い込めるよう、この先も邁進していかなくてはならない。続く第2 戦は5 月3、4 日、富士スピードウェイにおいて開催される。

決勝結果

Pos. No. TEAM DRIVER TIME/DIFF LAPS SW
1 23 ENEOS X PRIME GR Supra 松田 次生
ロニー・クインタレッリ
2:44’47.342 61
2 3 Niterra MOTUL Z 千代 勝正
高星 明誠
1.496 61
3 8 ARTA MUGEN NSX-GT 野尻 智紀
大湯 都史樹
4.788 61
14 24 リアライズコーポレーション ADVAN Z 佐々木 大樹
平手 晃平
2Laps 59

開始:13:35’19 終了:16:24’27
ファステストラップ : 1’19.736 No.100 STANLEY NSX-GT/牧野 任祐

No. TEAM LAPTIME
100 STANLEY NSX-GT 1’19.736

近藤真彦監督のコメント

近藤真彦 PHOTO

今回の順位結果は残念ではありますが、チームとしての力不足を表したものだと思います。チームにはどうしてこのような結果になったのか、しっかりと検証して反省すべきところは反省してほしいと伝えました。突発的に起こる不確定要素が多ければ多いほど、大事になるのはチームとしてのコミュニケーションです。確実な対応ができるよう、その関係を強くしていくことが必要だと思います。ただ、今回も悪いことばかりではなく、コンディション次第では高いパフォーマンスを見せることもできたので、収穫もありました。次回の富士では力強い戦いを見せたいと思います。

佐々木大樹選手のコメント

佐々木大樹 PHOTO

ドライからのスタートだったので調子は悪くなかったです。またタイトな岡山のコースはオーバーテイクが難しいのですが、雨が少しずつ降ってくる中でもポジションアップできたのは良かったと思います。タイヤ交換のためのピットインのタイミングも良く、ポジションアップも果たせたし、雨の中でも順位を上げる走りができました。ウエットタイヤとしては厳しい部分も正直ありましたが、ポジションアップもできたし、レースとしてはいい流れの中で戦うことができました。シングル入賞の可能性もあったので、ルーティンのピット作業に時間がかかってしまったのは残念でした。自分たちがあまり得意としない岡山で、最善の走りができたのは良かったと思います。それだけにもったいないですが、次に活かせることはありました。第2 戦富士ではしっかりと戦えるし、いいレースができればと思います。

平手晃平選手のコメント

平手晃平 PHOTO

ドライビング中のコースコンディションはまだ微妙にダンプというか、まだ完全に路面が乾ききってはいませんでした。アウトラップのときは、ドライで走行するにはまだ少し早いかなという印象を持ちながら走っていましたね。タイヤが十分温まっていない状況でヘアピンに入ったことで足元をすくわれスピンとなったのは残念ですが、それよりも僕のスティントではほとんどレースらしいレースができませんでした。今回、公式練習も予選も出走する機会がなく、気持ち的にはまだ開幕していないような感じで、よくわからないままレースが終わってしまったような感覚です。自分の力を出せなかったので、悔しいですね。富士に向けて気になることを見直し、しっかり準備して挑みたいと思います。得意の富士でいい結果を残せるように頑張ります。

村田卓児エンジニアのコメント

佐々木選手のスタート時はドライタイヤだったので、なんら問題なく周回もできていましたが、雨が降りはじめてウエットタイヤに交換しました。雨量が変わる中でも、いい走りを見せてくれてポジションアップをしながら周回を重ねていました。その後、コンディションが再びドライ方向になったので、ルーティンのピットインに合わせて再びスリックタイヤに交換して平手選手を送り出しました。今回、クルマの状況として走れるときにはFCY やSC が出たり、雨が降ってしまったりすることが多く、単に周回を重ねて消化するという状態が続きました。なかでもレース後半はまともにレースができなかったという印象です。

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