RACE REPORT
SUPER GT GT500
第3戦 鈴鹿サーキット
一日目 予選(6月3日・晴れ/ドライ)
予選レポート
第3 戦鈴鹿、最速タイムをマークするも車検不合格に
予選前日、台風2 号の影響を受け、日本列島は広範囲で本格的な雨模様となり、鈴鹿でも時折激しい降雨に見舞われた。幸いにして深夜には雨も止み、薄曇りの朝を迎えた。午前9 時15 分、ほぼドライ路面のなか、当初の予定より5 分遅れで公式練習がスタートした。やや強い風が吹き付けるコンディションのなかでセッションが行なわれ、まず平手晃平選手がドライブを担当する。その後、佐々木大樹選手へとスイッチ。鈴鹿戦から新たに投入されたタイヤのポテンシャルを確認するなか、しっかりと手応えを得ることとなった。結果、GT500 専有走行時に佐々木選手がセッショントップタイムとなる1 分45 秒474 をマーク。午後からの予選に向けて、弾みをつけた。
サポートレースでSC 導入などのディレイがあり、予選開始時間は20 分遅れに。一方、気温は25 度、路面温度は40 度へとぐんぐん上昇。タフなコンディションとなった午後3 時58 分にQ1 がスタートし、佐々木選手がNo.24 リアライズコーポレーションADVAN Z のステアリングを握ってアタックを担当した。他車よりも遅いタイミングでアタックに向かった佐々木選手は、タイヤにしっかりと熱を入れてワンラップアタックに臨むと、1 分44 秒443 をマークしてトップに立つ。この時点で暫定トップに立ったNo.24 リアライズコーポレーションADVAN Z だったが、その後、同じヨコハマタイヤを装着する19 号車Supra に0.077 秒で惜しくも逆転を許し、2 番手でQ1 を終えることとなった。
Q2 は午後4 時36 分にスタート。気温に変化はなかったが、路面温度が約2 度低下。Q1 と似通ったコンディションのなか、Q2 進出を果たしたライバル勢は続々とコースインし、周回を重ねてアタックに向けてアプローチする。一方、No.24 リアライズコーポレーションADVAN Z は19 号車とともにしばしピットで待機。19 号車に続いてコースに向かったのは、チェッカーまで残りおよそ5 分となった時点だった。
Q1 同様、ワンラップアタックに挑んだ平手選手。チェッカーを受けて次々と自己ベストタイムを塗り替えるライバル勢に続き、平手選手もフィニッシュラインを通過すると、1 分44 秒320 のタイムをマーク! 見事、トップに躍り出た。昨シーズン第7 戦オートポリス以来となるポールポジション獲得と歓喜に湧いたチームだったが、その後行なわれた再車検で、テクニカルレギュレーションにおける不合格の判定が下される。公式予選結果には『GT500 テクニカルレギュレーション1.6.1「ガスバック容量違反」』と記され、残念ながら幻のポールポジションになってしまった。
悔しい思いが先行するのは言うまでもないが、車検不合格の内容はクルマの速さに直接関係するものではない。今シーズン、戦いを重ねる中でクルマとタイヤのパフォーマンスをしっかりと引き出してきただけに、決勝では450km という長い戦いを味方につけたいところ。最後尾から粘り強くライバルを抜き去り、ポジションを上げて、好成績を手にしたいところだ。
公式予選記録
Pos. | No. | TEAM | DRIVER | Q1 | Q2 | SW |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 36 | au TOM’S GR Supra | 坪井 翔 宮田 莉朋 |
1’44.966 | 1’44.585 | 40 |
2 | 19 | WedsSport ADVAN GR Supra | 国本 雄資 阪口 晴南 |
1’44.366 | 1’44.679 | 4 |
3 | 100 | STANLEY NSX-GT | 山本 尚貴 牧野 任祐 |
1’44.679 | 1’44.763 | 32 |
15 | 24 | リアライズコーポレーション ADVAN Z | 佐々木 大樹 平手 晃平 |
Q1 開始:15:58’00 終了:16:08’00
Q2 開始:16:36’00 終了:16:46’00
近藤真彦監督のコメント
結果に対しては言い訳しません。ルールとして決まっていることに反してしまったので、それに対応しなかったわけですから。確かに、今までにないようなチェックだったようですが、ルールはルール。油断があったとも言えますね。謙虚に受け止めて、決勝に臨みます。ドライバー、スポンサー、ファンの皆さんにはもう謝るだけです。結果的にドライバーには恥をかかせることになってしまいましたが、彼らはやる気満々で、『クルマもタイヤもすごくいい走りができているから、オーバーテイクショーを見せてやろう』という気持ちになってくれています。”テイル・トゥ・ウィン”を、と言われますが、その思いはあっても口にせず、しっかりといいレースをしてこの先につなげることができればと思います。
佐々木大樹選手のコメント
今回は公式練習からすごく調子が良くて、担当したQ1 でもいいアタックができました。他車とタイミングが違ったことで100%のアタックではなかったですが、クルマもタイヤもいいフィーリングでした。再車検で残念な結果になりましたが事実に変わりはないので、受け止めるしかありません。もう気持ちを切り替えていくしかないですね。決勝は450km あるので、15 位からチャンスが無いかと言われればそうでもない。しっかりと自分たちのベストの走りができたらいいなと思います。
平手晃平選手のコメント
Q1 で佐々木選手がいいプレッシャーをかけてくれたし、Q2 で自身がトップタイムをマークできたのはとてもうれしかったです。日産に移籍して初のポールポジションだと思ったのですが……。チームに少しでもいい風を吹かすことができたかと思ってうれしかったのですが、車検結果はショックでした。ただ、決勝レース後にこういう結果になることよりはましです。レースでは最後尾スタートになりますが、しっかりと巻き返してポイントを狙っていきたいですね。しっかり落ち着いて戦えば、いいところまでポジションも上げることができると思います。ガンガン追い上げていけたらいいですね。
村田卓児エンジニアのコメント
クルマの状態は朝の公式練習の時点からなんら問題はありませんでした。ただ、このセッションでイレギュラーが起こり、タイヤにトラブルがあったので困った状況になりました。今回新たに持ち込んだものだったし、このイレギュラーでロングランの確認がきちんとできていないのが気がかりです。一方で、予選では佐々木、平手両選手がしっかりとアタックしてくれて、いいタイムをマークしてくれました。ただ、再車検でタイムが無効になったので、決勝は最後尾からの追い上げとなりました。レースではいつものように相手の動きを見極め、都度最善の策で臨みたいと思います。
二日目 決勝(6月4日・晴れ/ドライ)
決勝レポート
粘り強く周回を重ね、暫定8 位入賞を果たす
予選日は台風による前戦の影響を受け、冷たい強風が吹き付けていた鈴鹿だが、決勝日は風も収まり、朝から眩しい日差しが照りつけた。東海地方は梅雨入りしたばかりだが、幸いにも好天でのレースを迎えることになった。
前日の予選では再車検で車両不合格を受けたNo.24 リアライズコーポレーションADVAN Z。悔しい思いを胸に、決勝では力強く戦い、速さを見せつけようと意気込んだ。正午からのウォームアップ走行を経て、午後1 時30 分、三重県警によるパレードラン、フォーメーションラップののちに77 周のレースがスタート。No.24 リアライズコーポレーションADVAN Z に乗り込んだ平手晃平選手は早速ポジションをひとつ上げてオープニングラップを終了、その勢いで前方車両を猛追した。
8 周目、GT300 クラスの車両にトラブルが発生したことを受け、フルコースイエローが宣言される。さらに翌周にはセーフティカーが導入され、全車がいったんメインストレートで隊列の組み直しが行なわれる。これで前車とのギャップがリセットされたため、13 周目からのレース再開を経て、平手選手は16 周目、18 周目に逆転に成功。着実にポジションアップを見せていく。そんななか、ライバル勢は20 周前後を境にして1 回目のピット作業を実施したが、チームではできる限り遅めのタイミングでのピットインを目指した。
34 周終わり、No.24 リアライズコーポレーションADVAN Z はGT500 クラスで最後のタイミングで1 回目のピットインを実施。給油、タイヤ交換をチームスタッフが迅速に行ない、そして平手選手からバトンを受け取った佐々木大樹選手がコースへと向かう。中盤から終盤にかけてペースアップを図りたいところだったが、思うようにポジションアップには繋がらない。それでも佐々木選手は逆転のチャンスを狙って虎視眈々と前車を追い続けた。
40 周を過ぎると、他チームが2 回目のピット作業が始まる。No.24 リアライズコーポレーションADVAN Z としては、これを機にうまくペースアップして”見えない敵”とのタイムギャップを詰めたいところ。当然のことながら最初のピットインと同様、他車よりもタイミングを遅らせた54 周目にピットへと帰還した。
タイヤ交換、給油とミスなく作業を終え、改めて佐々木選手がコースへと向かう。アウトラップを経てタイヤに熱が入るとすぐさまレースでのチームベストとなる1 分50 秒132 をマーク。終盤にかけての追い上げに期待が高まったが、その矢先、59 周目の130R からシケインにかけての箇所で3 台による大きなクラッシュが発生。セーフティカー導入となるも、すぐに赤旗へと切り替わり、レース中断となった。
このあとおよそ30 分後には赤旗提示をもってレース終了が宣言され、結果、No.24 リアライズコーポレーションADVAN Z は8 位(暫定)で第3 戦の戦いを終えている。
決勝結果
Pos. | No. | TEAM | DRIVER | TIME/DIFF | LAPS | SW |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 19 | WedsSport ADVAN GR Supra | 国本 雄資 阪口 晴南 |
1:59’51.274 | 58 | 4 |
2 | 36 | au TOM’S GR Supra | 坪井 翔 宮田 莉朋 |
2.094 | 58 | 40 |
3 | 1 | MARELLI IMPUL Z | 平峰 一貴 ベルトラン・バゲット |
25.303 | 58 | 14 |
8 | 24 | リアライズコーポレーション ADVAN Z | 佐々木 大樹 平手 晃平 |
1:20.858 | 58 |
開始:13:38’16
FCY導入時刻:13:52’07(7Laps)〜 SC導入時刻:13:54’26(8Laps)〜14:09’33(12Laps)SC導入時刻:15:38’30(58Laps)〜 赤旗提示時刻:15:40’23(59Laps)Red Flag:15:40’23(赤旗提示をもって終了)
ファステストラップ : 1’48.321 No.36 au TOM’S GR Supra/坪井 翔
No. | TEAM | LAPTIME |
---|---|---|
36 | au TOM’S GR Supra | 1’48.321 |
近藤真彦監督のコメント
暫定結果ではありますが、同じヨコハマタイヤを履く19 号車(WedsSport ADVAN GR Supra)が優勝したことはうれしいです。この先の相乗効果を期待したいですね。レースは最後尾スタートではありましたが、クルマやタイヤの状態が良かったので、いい戦いができると思っていました。ただ、思いのほかペースが伸びなくてアグレッシブな戦いにはなりませんでしたね。とはいえ、その中でシーズン初入賞できたのは良かったです。これから2 ヶ月のインターバルに入りますが、今シーズンは序盤から速さを見せることができているので、みんな自信がついてきたと思います。いい流れを作って次の富士に挑み、さらに強いレースをお見せしたいと思います。
佐々木大樹選手のコメント
今回持ち込んで手応えのあった新しいスペックのタイヤの最終確認を、決勝前のウォームアップ走行でやったのですが、周回を重ねているわりには印象も悪くなく、レースに投入しても大丈夫だという感じでした。ところが、実際にはグリップが得られずタイムもペースアップできませんでした。最初、ピックアップなどの症状が出たのかと思ったのですが、そうではなく、そもそものグリップ不足だったようです。なぜ、決勝本番になってそういう状態になったのか、まだ原因はわかりません。かなりグリップダウンしてしまったのでその理由を究明していくことになると思います。追い上げられると思っていただけに悔しいですね。自分たちが思っていたような動きにはならなかったのですが、予選も速さという部分は見せることができたし、決勝に関しても、ロングはちょっと難しいのではないかと思っていた既存のタイヤがレース路面でしっかり機能していたことがわかったり、いろんなことが見えてきました。そこをしっかりと解析して今後の戦いに活かしていきたいですね。
平手晃平選手のコメント
今回は最後尾スタートになったので、後半になっても作戦の幅が広がるような戦いをしていくことになりました。走るなか、予選日よりも風が穏やかになったことで、クルマがややアンダーステア気味になったり、路面コンディションも決勝ならではの感じではありましたが、大きな問題ではありませんでした。一方で(佐々木)大樹選手が装着した今回新しく投入したタイヤは、フィーリングが変わってしまったようですが、これからその原因を検証していくことになります。予選では自分にとって久々のポールポジションになるかと思ったものが幻となり悔しい気持ちですが、クルマには速さがあるので、次の富士でも充分狙っていけると思っています。
村田卓児エンジニアのコメント
レース戦略としては、もともと各スティントを均等に割る方向で考えていました。基本的に最初のスティントを平手(晃平)選手、残り2 回は佐々木(大樹)選手で行く予定でした。レースになるとスタートドライバーを務めた平手(晃平)選手のペースが良かったので、ピットインのタイミングを引っ張れるところまで引っ張ることになりました。レースに向けて、今回持ち込んだ新しいタイヤを決勝前のウォームアップ走行で確認したところ、よい感触を得られたため、佐々木選手のスティントで使用したのですが、実際はうまく機能せず、思ったほどペースが上がりませんでした。なぜこうなったのか、これから調査する必要があります。