RACE REPORT

SUPER GT GT500

第4戦 富士スピードウェイ

一日目 予選(8月5日・晴れ/ドライ)

予選レポート

第4 戦富士、待望のポールポジションを獲得!

前大会からおよそ2 ヶ月のインターバルを経て迎えた第4 戦。戦いの舞台は、静岡県・富士スピードウェイ。今シーズン2 度目の戦いとなる。予選日は強い日差しが照りつけるタフなコンディションとなり、その中でKONDO RACING のNo.24 リアライズコーポレーションADVAN Z は、予選Q2 で佐々木大樹選手がトップタイムをマーク! 前回の第3 戦鈴鹿で幻に終わったポールポジションを現実のものとし、雪辱を果たすパフォーマンスを見せつけた。

抜けるような青空に夏雲があちこちに浮かぶ空模様となった予選日の富士。真夏らしい天候の下で気温は朝から30 度を超えており、まずは午前9 時から公式練習が行われた。なお、GT300 クラスとの混走中に気温は31 度から33 度、路面温度は38 度から43 度まで上昇している。

No.24 リアライズコーポレーションADVAN Z には、まず佐々木大樹選手が乗り込む。インスタレーションラップを終えてピットイン。しばしピットでの待機を決め込んだ。なおこれは事前にチームが用意したプランに沿ったもの。およそ27 分後に改めてコースインに向かうと、佐々木選手はアタックシミュレーションを兼ねて計測2 周目に1 分29 秒363 の好タイムをマーク。最終的に、このタイムがセッション中のチームベストタイムになっている。

開始からおよそ40 分後には、佐々木選手から平手晃平選手にスイッチ。クルマの確認や微調整を行うと、ロングランにも着手。安定したラップを刻み続けた。平手選手は、引き続きGT500 専有走行にも出走し、予選に向けて入念な準備を進めた。結果、No.24 リアライズコーポレーションADVAN Z は5 番手のタイムでセッションを終え、手応えを得る形で予選に臨むこととなった。

眩しい日照りになるなか、午後3 時53 分には、予選Q1 がスタート。気温32 度、路面温度43 度というコンディション下でアタックを担当したのは、平手選手。公式練習からの流れを活かし、1 分27 秒935 のベストタイムを刻むと、トップと0.077 秒という僅差の2 番手通過を果たす。そして、平手選手からバトンを受け取った佐々木選手は、ライバルたちが次々と好タイムをマークする中、チェッカー直前のタイミングで1 分27 秒763 を叩き出し、一気にトップに立つ。その後、このタイムを上回るライバルは現れず、これにより、No.24 リアライズコーポレーションADVAN Zが、チームとしては通算3 回目となる待望のシーズン初ポールポジションを獲得に成功。前回の鈴鹿で味わった”再車検不合格”という悔しい思いを払拭する2 選手の力走に、監督はもちろん、チームスタッフも満面の笑みを見せた。

明日の決勝は午後1 時45 分にスタート。台風の影響もあり、天候の行方が気になるが、チームとして全力で450km、100 周の戦いに臨むのみだ。

公式予選記録

Pos. No. TEAM DRIVER Q1 Q2 SW
1 24 リアライズコーポレーション ADVAN Z 佐々木 大樹
平手 晃平
1’27.935 1’27.763 6
2 16 ARTA MUGEN NSX-GT 福住 仁嶺
福住 仁嶺
1’27.858 1’27.813 10
3 8 ARTA MUGEN NSX-GT 野尻 智紀
大湯 都史樹
木村 伊織
1’28.025 1’27.852 22

Q1 開始:15:53’00 終了:16:03’00
Q2 開始:16:31’00 終了:16:41’00

近藤真彦監督のコメント

近藤真彦 PHOTO

ふたりとも、見事な走りでした。前回の鈴鹿は車検不合格扱いでしたが、自分の中では、シーズン2 度目のポールポジションと思っているんです。前回の予選でもしっかりとスピードはあったわけで、不合格となったのは、その速さとは関係のないところでしたから。周りからも、「今回は24 号車がトップに来るのでは」と言われるなか、「なんだ、来なかったね」と言われるのはすごく嫌だと思っていたので、ポールポジションを獲れたので、みんな本当にいい仕事をしたと思います。明日の戦いですが、天気はどうにもならないものなので、自分たちが持っている道具と戦略で戦います。ドライコンディションならそのまま逃げ切りたい。雨が絡むなら、様々な要素を味方につけることはもちろん、いろんな戦略を駆使してしっかりと戦いたいですね。

佐々木大樹選手のコメント

佐々木大樹 PHOTO

クルマの調子が良いのは、もう事前に行ったテストでもわかっていました。予選日もいろいろあって、決してすべてが順調ではなかったんですが、それもリカバリーしてポールポジションを獲得し、レースをスタートさせられる流れがあるので、このままの調子でいきたいですね。テストでの調子から考えても、今回はポールポジションを獲らないといけないぐらいに思っていたんです。そういう意味でもきちんと獲ることができて良かったです。

平手晃平選手のコメント

平手晃平 PHOTO

前回の鈴鹿での悔しい結果から今回までの2 ヶ月のあいだに、富士と鈴鹿でタイヤテストもこなして今回の戦いの準備をしてきました。自信をもってレースウィークに入ったのですが、実際に公式練習から調子もよく、自分たちの流れで進めることもできました。予選でQ1 を担当することで、クルマもタイヤも調子がいいことをQ2 担当の(佐々木)大樹にも伝えられるし、さらにQ1 での状況も伝えることでさらにQ2 の内容も良くなったと思います。ポールポジションを獲って、自分たちの力をきちんと証明できたので、あとは決勝でしっかりと結果を残したいですね。

村田卓児エンジニアのコメント

公式練習ではもともとのプランに沿った内容で走行することができました。富士のレースを前に、ヨコハマタイヤのテストが二度あったので、セットも見つけることができていました。明日の決勝は、ドライで戦えるならそこそこ自信があります。ロングランも確かめることができているし、タイヤも見合ったものを選択することができているので、いけるんじゃないかと思っています。

二日目 決勝(8月6日・晴れ雨/ドライウエット)

決勝レポート

雨に翻弄された決勝は10 位入賞に

前日よりも蒸し暑い朝を迎えた富士スピードウェイ。昼前からにわかに天候が下り坂となり、ひとしきり雨が降り続いた。午後0 時15 分からのウォームアップ走行では雨こそ止んでいたが、路面はウエットのまま。周回を重ねて、やっとコースの一部がドライアップするような状況だった。

ドライコンディションであれば、決戦を前に静岡県警の白バイとパトカーによるパレードラップを経てフォーメーションラップに入る予定だったが、今回はコース上の安全を最優先し、午後1 時45 分にセーフティカースタートが切られる。2 周終了時点でセーフティカーがピットロードに向かうと、実質レースがスタート。No.24 リアライズコーポレーションADVAN Z の佐々木大樹選手は、ポールポジションからクリアスタートを決めて後方との差を広げる走りを見せる。しかしながら、水煙が高く上がるコースでは、前日のドライコンディションのような”圧巻の走り”をするのは難しく、徐々に 後続車との混戦模様へと変わっていく。

佐々木選手はマシンコントロールを最優先にガマンの走行を続けていたが、徐々に回復傾向にあった路面の状況を見て、11 周終わりにピットイン。スリックタイヤへと交換した。この際、目前のピットではGT300 車両も作業をしており、No.24 リアライズコーポレーションADVAN Z は一旦クルマを下げてスタートすることとなり、惜しくもタイムロスが発生する。また、復帰したコース上は、想定していたよりも低い気温、路面温度、完全なドライコンディションとは言い難いため、充分なパフォーマンスを発揮するにふさわしい状況と言えるものではなかった。そんななか、35 周目の2コーナー立ち上がりでGT300 車両による火災のアクシデントが発生。レースはセーフティカーが導入されたが、41 周にはリスタートを迎え、No.24 リアライズコーポレーションADVAN Z は10 番手で周回を重ねていった。

レースは、折返しとなる50 周目前後から各チームがルーティンのピットインを実施。No.24 リアライズコーポレーションADVAN Z は56 周を終えてピットインし、佐々木選手から平手晃平選手へとスイッチする。依然として不安定なコンディションのため、平手選手はタイヤマネージメントを一番のプライオリティにして周回。まさに”耐える”レースを強いられた。また、66 周目には13 コーナーで再びGT300 車両が火災に見舞われ、大きく炎上。消火作業に時間を要し、午後3 時43 分には赤旗が提示されることとなり、レースが中断する。

コース上に車両が停止し、レース再開を待つ中でさらに天候が悪化。2 度にわたるスタートディレイがあり、午後4 時30 分にようやく再開する。ウエットタイヤでのリスタート後も、あらためて難しい状況に身を置くことになったNo.24 リアライズコーポレーションADVAN Z。平手選手は7 番手で懸命の走りを見せていたが、タイヤの状況を慎重に見極める走りが続き、悔しいポジションダウンに甘んじる。結果、10 位でチェッカーを受けて前戦に続く入賞を果たしたが、予選とは大きく異なる展開に、チームとしては言いようのない悔しさが残る幕引きとなった。

3 週間後に開催される第5 戦鈴鹿からシーズン後半戦へと突入するSUPER GT。チームでは、真夏の厳しい暑さを味方に、今大会で見せた予選での速さはもちろんのこと、決勝では強さも発揮し、次こそ笑顔で終わる戦いをしたいと意気込む。

決勝結果

Pos. No. TEAM DRIVER TIME/DIFF LAPS SW
1 3 Niterra MOTUL Z 千代 勝正
高星 明誠
3:45’06.900 100 58
2 64 Modulo NSX-GT 伊沢 拓也
太田 格之進
1’04.435 100 2
3 16 ARTA MUGEN NSX-GT 福住 仁嶺
福住 仁嶺
1’25.244 100 10
10 24 リアライズコーポレーション ADVAN Z 佐々木 大樹
平手 晃平
1 Lap 99 6

開始:13:45’00
SC導入時刻(13:45’00〜13:51’04 スタート〜1Lap)
SC導入時刻(14:44’23〜14:58’49 34Lap〜39Lap)
SC導入時刻(15:39’43〜15:43’04 65Lap〜67Lap)
赤旗中断時刻(15:43’04〜16:30’00 67Lap〜67Lap)
赤旗中断時刻(15:43’04〜16:30’00 67Lap〜67Lap)
ファステストラップ : 1’30.507 29 No. 松下 信治/松下 信治

No. TEAM LAPTIME
17 Astemo REAL RACING 1’30.507 29/99Lap

近藤真彦監督のコメント

近藤真彦 PHOTO

決勝はドライでもなく、またウエットでもなく、土砂降りの雨にもならず中途半端なコンディションが続きました。あの状況下では、うちのチームよりもライバルのほうが速かったという結果でした。確かに予選での速さは見せられた。”半分”とは言わないけれど、いい仕事はできたと思っています。ガマンしてガマンして、10 位でフィニッシュしてポイントこそ獲りましたが、正直”中途半端”な結果に終わったので、次の鈴鹿ではもちろんまたポールポジションを獲りにいくし、決勝もドライコンディションなら、当然勝ちに行きます。今シーズンのヨコハマタイヤは、ドライでの速さをしっかりと見せることができているので、次はウエットですね。もっともっと開発が進み、さらに強い戦いができることを願っています。

佐々木大樹選手のコメント

佐々木大樹 PHOTO

ウォームアップ走行中のコンディションではクルマが遅かったので、決勝ではどういう天候になるかすごく心配でした。本降りではなかったので、ウエットタイヤも垂れるのが早く、とはいえまだスリックタイヤを着けるタイミングでもなかった。交換できるところまでガマンしてピットインしたのですが、それでもまだコース上が濡れていると、タイヤがまったく温まらなかったですね。今回のレースコンディションで、弱い部分が出てしまったという感じでした。後半担当の平手(晃平)選手も、タイヤが厳しいなかで走っていましたが、今日のあの展開でよくゴールまでクルマを運ぶことができたのはすごいとも思います。そういう意味では、自分たちがやれることをやったレースでもありました。

平手晃平選手のコメント

平手晃平 PHOTO

前半スティントで、なんとか(佐々木)大樹選手が耐えてくれてピットに戻ってきてくれました。作業でのタイムロスがあってポジションを下げたことも残念ですが、それでも与えられた環境で頑張りました。スティント中は、後半にドライアップすればどのチームもタイヤが厳しくなるだろうから、まだうちにもチャンスはあると考えていましたが、途中でまたもウエットコンディションになり、ウエットタイヤでの瞬間速さを見せられたものの、⾧くは続きませんでしたね。最後は振動も出ていたし、耐える耐える展開になりましたが、なんとか入賞をという気持ちでマネージメントしてチェッカ ーを受けました。悔しいですが、次の鈴鹿でもまだサクセスウェイトが軽いので、今度は自分がポールポジションを獲りにいきたいし、しっかり晴れた路面の中で戦いと思います。もちろん。ポール・トゥ・ウィンを目指します。

村田卓児エンジニアのコメント

今回の決勝は、すべて不安定な天候の影響でチームとしての今の力を発揮するチャンスがまったくなく、いいところがなかったです。スタート後、早いタイミングでウエットからドライへタイヤ交換しましたが、まだタイミングとしては早かったようです。佐々木選手もなんとか頑張ってくれましたが、やはり厳しかった。どうして晴れてくれないんだと思いました。次の鈴鹿は完全ドライでのレースで戦いたいですね。

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