RACE REPORT

SUPER GT GT500

第5戦 鈴鹿サーキット

一日目 予選(8月26日・晴れ/ドライ)

予選レポート

シーズン後半スタート、2 度目の鈴鹿は予選6 番手

24 号車ノックアウト予選にて、セカンドベストタイムに当たる1 分54 秒094 がQ2 におけるチームベストタイムとなり、6 番手で予選を終えている。夏休みも大詰め、最終週の週末に決戦を迎えることとなった鈴鹿戦。サポートレースのディレイから、予定より5 分遅れとなる午前9 時20 分からの公式練習は、気温33 度、路面温度39 度というコンディションで始まった。

まずは佐々木大樹選手がコースイン。持ち込みセットの確認とともに、セットの微調整、タイヤのフィーリング確認等、様々なメニューを消化する。その中で開始から45 分ほど経過したタイミングでアタックシュミレーションを実施。チームベストタイムとなる1 分48 秒332 を刻み、最終的にはトップと僅か0.061 秒差で2 番手の結果という好タイムになった。一方、平手晃平選手はセッション開始から1 時間ほど経過した時点でコースへ。佐々木選手からのインフォメーションを元に、確認作業やロングランのシミュレーションを粛々と進めた。その後はGT500 クラス専有走行枠でアタックシミュレーションを行うなど、午後からのノックアウト予選に向けて、いい流れをキープしたままセッションを終了している。

昼にかけてぐんぐんと気温が上昇した鈴鹿。だが、気温上昇のピークを過ぎるとゆるやかに下がりはじめ、気温32 度、路面温度52 度の中で午後3 時43 分からQ1 が始まる。午前のセッションとは大きく路面コンディションが異なる中、まずは平手選手がQ1 アタックに挑むと、最終周にベストタイムをマーク。刻んだタイムは、1 分46 秒399。なんと、ひと足先にトップへと躍り出た8 号車NSX-GT と同タイムとなり、No.24 リアライズコーポレーションADVAN Z は2 番手でQ1 通過を果たすこととなった。

Q2 は午後4 時31 分にスタート。事前に平手選手からインフォメーションを得た佐々木選手が満を持してアタックに向かう。前回の富士から連続のポールポジション獲得を意識してワンラップアタックに臨む中、気迫あふれる攻めの走りを見せたが、デグナーカーブでバランスを崩し、コースオフ。これが4 輪脱輪、つまり走路外走行扱いとなって、当該ラップタイムは不採用に。結果、セカンドベストタイムに当たる1 分54 秒094 がQ2 におけるチームベストタイムとなり、6 番手で予選を終えている。

今回の一戦に向けてチームが用意したクルマは、ドライバーが一心不乱に攻めることができるものであったことは明白。惜しくも思い描いた結果には繋がらなかったものの、明日の決勝に向けて好材料が整っているだけに、450km の決勝レースでは、さらに力強い戦いを繰り広げてくれるはずだ。

公式予選記録

Pos. No. TEAM DRIVER Q1 Q2 SW
1 16 ARTA MUGEN NSX-GT 福住 仁嶺
大津 弘樹
1’47.017 1’46.385 32
2 23 MOTUL AUTECH Z 松田 次生
ロニー・クインタレッリ
1’46.509 1’46.422 50
3 17 Astemo NSX-GT 塚越 広大
松下 信治
1’47.176 1’46.659 42
6 24 リアライズコーポレーション ADVAN Z 佐々木 大樹
平手 晃平
1’46.399 1’54.094 10

Q1 開始:15:53’00 終了:16:03’00
Q2 開始:16:31’00 終了:16:41’00

近藤真彦監督のコメント

近藤真彦 PHOTO

公式練習のときと午後からの予選で、トラックコンディションが大きく変わったので、その差が大きく出てしまいましたね。特にウチのクルマには大きな差が出たんじゃないかな。Q1 で(平手)晃平がトップと同タイムでアタックを終えたんですが、「もっと攻められたかも」と言ってました。そのフィーリングを(佐々木)大樹にフィードバックして、大樹もそれをもとにアタックしたと思いますが、行き過ぎました。今回、どのチームが見ても、ウチがポールポジションを獲るだろう……そんな風に言われていたと思うので、だからこそ結果としては褒められるものではなかったです。ただ、決勝日の明日はさすがに雨も降らないでしょう。天気予報を見る限りは大丈夫そうですし、チャンスはあると思います。ポールポジションは獲れませんでしたが、何かこう、取り憑いていたものが取れたような気がします(笑)。ポールポジションからプレッシャーいっぱいでスタートするより、6 番手からのほうが、プレッシャーからも解放されていきいきとレースができるような気がしますね。ドライバーふたりのそれぞれ悔しい思いをレースにぶつけてもらえたらと思います。

佐々木大樹選手のコメント

佐々木大樹 PHOTO

今回は新しいタイヤを持ち込んでいます。耐久性が向上した”改良版”と言えますが、狙いどおりのものができたのではないかと思います。予選に向けて、事前のタイヤテストの結果等を今日のコンディションの状況を合わせ込んでいきました。路面コンディションが午後に入って上がりましたが、自分としてはフルプッシュで臨まないととポールポジションは獲れないと思っていました。セクター1 は自分としても速さがあったと思ったし、すごくいい感じで走っていました。しかし、デグナーカーブの2 つ目でちょっとリアが出てしまい、はみ出したんです。攻めた結果ではあるけれど、やはり悔しいですね。今回、”置きにいって”遅いタイムになるのではなくて、今までにないほど、攻めの走りをしました。気持ちが入った分、悪いこともあったわけですが、逆にいい部分もあったので、決勝ではそこをうまくコントロールしてやっていきたいと思います。

平手晃平選手のコメント

平手晃平 PHOTO

Q1 でのアタックは、トップの8 号車と同タイムになりました。朝の公式練習では路面コンディションが悪かったので1 分48 秒3 にとどまったので、Q1 のアタックではいきなり2 秒弱タイムが上がることになりました。コンディションの変化が大きく、おそらく他のQ1 ドライバーも、アタック時に”行ききれていない”と思うんです。僕自身ももうちょっと攻められたかな、という思いがありましたね。路面は思ったよりもグリップが高く、もっと曲がれた、もっと止まれた…という思いがあります。その中でもうまくアジャストして悪くないアタックはできたと思います。今回は、前回の鈴鹿戦で手応えのあったタイヤに加え、新規のコンパウンドのタイヤを持ち込んでいます。そのタイヤがきちんと発動してくれました。天気としては、夜にひと雨あるみたいなので、そうなるとまた路面コンディションが少し変わる可能性もありますが、タイヤとしては選択肢ができたので、明日の決勝はある意味自信をもって臨むことができると思っています。大きなチャンスをしっかりと引き寄せたいですね。Q2 でのアタックは攻めた結果なので順位は悔しいですが、明日のレースでしっかりと取り返します。チーム一丸で頑張って戦います。

村田卓児エンジニアのコメント

朝の公式練習時では、持ち込んだセッティングでトライしたものがあったのですが、それはあまり良いものではなかったです。そこから微調整を重ねてる中でうまくいきましたね。クルマのほうは問題もないですし、タイヤのほうも順調です。明日の決勝も、しっかりと戦えると思っています。

二日目 決勝(8月27日・晴れ/ドライ)

決勝レポート

FCY 中のピットインでペナルティ

序盤に行ったピットインがFCY 中の行為に該当するとされペナルティを受けることに。結果、13 位で戦いを終えている。

連日の厳しい暑さに見舞われた鈴鹿サーキット。しかしながら、今大会は、KONDO RACING のNo.24 リアライズコーポレーションADVAN Z にとって、タフなコンディション下の攻めの走りを強みにしてポジションアップできる可能性が高い。それだけに、チームも士気を高め、450km・77 周の戦いに臨んだ。しかし、序盤に行ったピットインがFCY 中の行為に該当するとされペナルティを受けることに。結果、13 位で戦いを終えている。

早朝から眩しい日差しが照りつけた鈴鹿。その中でもシーズン後半戦の”アツい”戦いを見届けようと、2 万人を超えるファンが詰めかけた。午後1 時15 分からのウォームアップ走行を経て、午後2 時45 分、決勝レースがスタート。まずは三重県警の白バイとパトカーによるパレードラップが行なわれ、その後フォーメーションラップを経て戦いが幕を開けた。

スタートドライバーを務めたのは、平手晃平選手。予選6 番手からポジションキープで周回する中、11 周目の2 コーナーでGT300 車両のタイヤが外れるアクシデントが発生。ドライブする平手選手も130R 手前で車内のダッシュボードに表示されたFCY への10 秒のカウントダウンを確認する一方、チームもまた、ピットインを指示した。その流れに沿ってピットに戻った平手選手。給油とタイヤ交換を済ませてコースに復帰したが、この行為がFCY 導入でピットクローズになったタイミングでのピットインと判定されることに。結果、24 周目を走行中に60 秒のペナルティストップを受けてしまう。

これまで表彰台を目指して猛追を見せていた平手選手、そしてKONDO RACING の頑張りが水泡に帰すことになったが、翌周の25 周にピットインしてペナルティを消化。タフな状況から少しでもポジションアップしようと、その後も平手選手はクルマのパフォーマンスを最大限引き出す走りを見せて44 周終わりにピットインした。

ドライバー交代、タイヤ交換、給油のフルサービスを終えて、新たに佐々木大樹選手がコースへと向かっていく。スタート時から気温はほぼ変わらなかったが、路面温度は8 度近く下降。60 秒のペナルティの影響で、最下位までポジションを下げていたNo.24 リアライズコーポレーションADVAN Z だったが、コース上の佐々木選手は限られたチャンスを着実に活かす走りを披露してみせた。

その一方で、11 周目のピットインで行った作業は規定で義務作業と認められず、チームとしては、チェッカーまでにもう一度給油作業しなければならない状況に置かれていた。そのため、セーフティカーやFCY の導入が発生したときに合わせてピット作業を消化する予定を立てていたが、終盤まで”その時”は訪れず。結果、チェッカーまで残り2 周となる75 周でピットインし、義務消化を果たした。慌ただしい内容となってしまった鈴鹿戦は14 位チェッカーとなったが、のちの再車検で上位車両の失格が判明。13 位へ繰り上がった。

速さ、強さをもって、申し分のないコンディションでの戦いに期待を寄せたNo.24 リアライズコーポレーションADVAN Z。しかし、終わってみれば、悔しさばかりが募る結果になってしまった。”あと一つ”何かが噛み合わない状態からの脱却が急がれるNo.24 リアライズコーポレーションADVAN Z。残り3 戦に向け、改めて気持ちを引き締めてタフな戦いへと挑むことは言うまでもない。

決勝結果

Pos. No. TEAM DRIVER TIME/DIFF LAPS SW
1 16 ARTA MUGEN NSX-GT 福住 仁嶺
大津 弘樹
2:32’27.491 77 32
2 39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra 関口 雄飛
中山 雄一
24.372 77 16
3 16 ENEOS X PRIME GR Supra 大嶋 和也
山下 健太
26.200 77 42
13 24 リアライズコーポレーション ADVAN Z 佐々木 大樹
平手 晃平
1 Lap 76 10

開始:14:53’16
黒白旗提示 CarNo.17-Koudai Tsukakoshi(16:48)(SpR.13-1.a.「危険なドライブ行為』)
ファステストラップ : 1’50.044 2 No.16 /大津 弘樹

No. TEAM LAPTIME
16 ARTA MUGEN NSX-GT 1’50.044 2/44Lap

近藤真彦監督のコメント

近藤真彦 PHOTO

レース中の判断、結果はすべてチームとしての責任です。応援してくださったファンの皆さんはじめ、サポーターの皆さんにお詫び申し上げます。もう一度しっかりとネジを締め直し、次のSUGO 大会にすべてを懸けて臨みたいと思います。GT500 クラスだけでなく、GT300 クラスでも必ず良い結果を出せるよう、頑張ります。

佐々木大樹選手のコメント

佐々木大樹 PHOTO

今日のようなレースの路面コンディションになると、タイヤのグリップ感がありませんでした。ピックアップもひどかったですね。どん路面が変わっていくようなコンディションではタイヤが結構重要になるのですが、こういうときにまだちょっと充分でないのかな、という感じでした。予選の一発のタイム差に比べると、決勝のロングランではやはり差が縮まっていたので、そこがこの先の課題なると思います。今回の僕らは他車と比べてサクセスウェイトの違いもあって、速さがあったわけですが、クルマとしてはすごくバランスが良かったです。ただ、決勝では予選ほどの優位性がなくなっていたので、終盤の戦いに向けて見直していきたいと思います。

平手晃平選手のコメント

平手晃平 PHOTO

GT300 車両のアクシデントを受け、ダッシュボードにあるFCY のカウントダウン表示が出たんです。ちょうど130R を曲がっているかその手前くらいだったと思います。自分としては「FCY が出るんだな」と思いながらシケインに向かったのですが、チームの無線で「ボックス、ボックス(ピットイン)」という声が聞こえたので、ピットインするんだと認識しました。コース上ではちょうど目前に38 号車が迫っていて、そのリアしか見えなかったのでポストのサインも見えませんでした。コース復帰後もしばらく何も出ていなかったので、「よし、16 号車を追い詰めて優勝だ!」みたいな感じでプッシュしていたのですが、「ペナルティが出た」と連絡が入りました。予選日の夜遅くに雨が降って、路面状況も変わっていましたが、ウォームアップの走りで確認したら、コンディション自体は落ちていなかったので、自信を持ってレースに挑んだのですが……。”言葉もない”という結果です。次のSUGO 大会に向けては、ほんとにもう失うものがないので、すべての力が欠けることなく100%出し切れば、自然と結果が残せると思っています。今のポテンシャルであれば勝てると思うので、頑張るだけですね。

村田卓児エンジニアのコメント

GT300 クラスのアクシデント発生を受けて、FCY が導入される可能性が高いと読み、ピットインを指示しました。ただ、ドライバーが具体的にどういう状況で走っているのかはわからないため、(ピットインする)タイミングは最終的にドライバーの判 断に委ねることになりました。今回、タイヤを2 種類試し、どちらでも戦える状況ではありましたが、決勝では同じタイプでしっかりと戦うことができました。終盤はコースコンディションが悪くなったり、周りの遅いクルマとの兼ね合いでペースが上がらなかったようですが、決して悪くはなかったと思います。次のSUGO 大会でしっかり戦えるよう、改めて準備したいと思います。

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