RACE REPORT

SUPER GT GT500

第6戦 スポーツランドSUGO

一日目 予選(9月16日・晴れ/ドライ)

予選レポート

タフな公式予選は7 番手のポジション

前日の午後から降っていた雨はすっかり上がってはいたが、路面はまだウエットコンディションの状態。午前9 時15 分のスタート時点で気温23 度、路面温度25 度を刻んでいた。周回を重ねるうちに徐々に路面が乾きはじめる中、開始から1 時間強経った時点で、GT300 車両がシケインでコースアウト。これを受けて赤旗が提示されてセッション中断となったが、結局このまま両クラスの混走セッションが終了に。なお、この時点で、No.24 リアライズコーポレーションADVAN Z は佐々木大樹選手が1 分11 秒851 のチームベストタイムをマークし、3 番手につけていた。

セッションが再開され、GT300 専有走行が始まるも、再び1 台の車両がコースアウトし、クラッシュ。2 度目の赤旗中断となり、このあとのGT500 の専有走行は、当初の予定より15 分遅れの午前11 時5 分からのスタートとなった。この頃には、上空を覆っていた雲も減って強い日差しが照りつけるなど、一気に蒸し暑さを感じるほどに。ほぼドライとなったコンディションの中で、各車が続々とタイムアップを果たしていたが、No.24 リアライズコーポレーションADVAN Z をドライブする平手晃平選手も、今大会に合わせて投入した新しいタイヤでアタックシミュレーションを開始。セッション終盤に1 分11 秒138 までタイムを縮める走りを披露し、7 番手でセッションを終えることとなった。

午後に入ると、再び雲が増えて曇天模様に。ついに、サポートレースの終了を待っていたかのようなタイミングで雨が降り始めた。ウエット宣言が出される中、GT300 クラスの予選A 組ではウエットタイヤでのタイムアタックが繰り広げられたが、幸いにして短時間で雨は止み、午後3 時13 分からのGT500 クラスQ1 スタート時には、全車がドライタイヤでのコースインが可能となる。

No.24 リアライズコーポレーションADVAN Z のアタックドライバーは平手選手。早い時点でコースインし、しっかりとタイヤに熱を入れつつ、コースコンディションを見極めながら、アタックを開始する。公式練習でのシミュレーションを元に、平手選手はチェッカーフラッグが振られる中、1 分10 秒390 をマークして4 番手へとジャンプアップ。鮮やかなアタックラップを決めてみせた。続くQ2 は、午後3 時51 分にスタート。Q1 よりも僅かに気温、路面温度がともに上昇する中、佐々木選手がコースに向かう。足下には平手選手と異なるタイヤが装着されており、コースコンディションとのマッチングの影響か、思うほどペースアップは果たせず。結果、1 分10 秒727 のタイムで7 番手のポジションを得ることとなった。

予選に向けてコンデイションが大きく変わったこともあり、チームにとってはタフな一日となったが、決勝は着実にポジションアップを果たし、より上位の順位でチェッカーを受けたいところ。SUGO では、ドラマチックな展開になることが多いと言われるだけに、今大会でも様々なものを味方につけて、力強い戦いをするのみだ。

公式予選記録

Pos. No. TEAM DRIVER Q1 Q2 SW
1 8 ARTA MUGEN NSX-GT 野尻 智紀
大湯 都史樹
1’10.498 1’09.413 R 22
2 23 MOTUL AUTECH Z 松田 次生
ロニー・クインタレッリ
1’10.164 1’09.486 R 50
3 17 Astemo NSX-GT 塚越 広大
松下 信治
1’10.381 1’09.607 R 58
7 24 リアライズコーポレーション ADVAN Z 佐々木 大樹
平手 晃平
1’10.390 1’10.727 10

Q1 開始:15:13’00 終了:15:23’00
Q2 開始:15:51’00 終了:16:01’00

近藤真彦監督のコメント

近藤真彦 PHOTO

期待を集めていたのですが……。もう少し路気温が高いほうが良かったようでした。狙いどおりに行かなかった部分もありましたが、決勝のペースは決して悪くないというかむしろ速いと思っています。強い戦いはできるので、表彰台はもちろんのこと、”アレ(優勝)”を狙いたいですね(笑)。荒れることが多いSUGO ですが、ドライバーふたりとも相性も良いので、楽しみにしています。

佐々木大樹選手のコメント

佐々木大樹 PHOTO

公式練習の走り始めはまだ路面が濡れていたし、クルマのフィーリングもあまり良くなかったんです。終盤、GT500 専有走行で平手(晃平)選手が新しいタイヤを投入してシミュレーションしたところ、いいフィーリングがあったのでそれをQ1 に投入することになりました。午後から路面コンディションが良くなって、そのタイヤもうまく機能したと思います。僕のアタックでは違うタイプのタイヤを投入することになったのですが、路面が良くなれば、いいアタックができるんじゃないかと期待していたのですが……。実際は逆の方向にタイヤが働いてしまい、懸念していたことが当たってしまいました。明日はスタートタイヤがQ1 で装着した方になったので、決勝では序盤からいい戦いができれば良いなと思います。

平手晃平選手のコメント

平手晃平 PHOTO

去年の予選ではQ1 止まりだったのですが、今年はそのリベンジができてまずは良かったです。朝の公式練習では、新しく投入したタイヤでアタックシミュレーションをしました。Q1 に向けて、セッティングも前回の鈴鹿用のものに戻してアタックに挑みました。結果、うまくタイムアップすることができました。GT300 クラスの予選前に雨が降り始めたので、どうなるのかと思いましたが、うまくコンディションも回復し、Q2 に繋げることができて本当に良かったです。まだ不確定要素がある中で決勝を迎えることになるのですが、しっかりと戦って結果を残したいですね。なんとか表彰台に上がりたいと思っています。

村田卓児エンジニアのコメント

公式練習スタート時は、路面のコンディションが良くなかったので、佐々木(大樹)選手が全然走れずにいました。少し良くなったタイミングで赤旗も出てしまい、シミュレーションもできずに平手(晃平)選手に代わることになりました。本当は持ち込んだタイヤの見極めをしたかったのですが、それもキチンとできませんでしたね。9 月中旬のレースなので、路面温度もこれまでより下がるだろうという想定のもとタイヤ選択をしたのですが、結果としてあまり機能しなかったと言えます。結果、セットアップを見直し、手応えあるタイヤをQ1 に投入しました。状況的には、スタートタイヤがQ1 で装着したものになったことは、良かったと思います。

二日目 決勝(9月17日・晴れ/ドライ)

決勝レポート

5 位入賞も、悔しさが残る戦いに

予選日同様、薄曇の中でも高い湿度の影響で蒸し暑い天候となったスポーツランドSUGO。時折、パラパラと雨が落ちてくることはあったが、それ以上に悪化することはなく、ドライコンディションでの決勝レースが行なわれた。KONDO RACING のNo.24 リアライズコーポレーションADVAN Z は予選7 位からスタートを切ると、途中、赤旗中断という荒れた展開を凌いでで6 位でチェッカー。その後、上位1 台が失格となったことから、5 位入賞の結果を手にしている。

うっすらと雲が広がった決勝日。前日に続き、朝から重たく生暖かい空気がサーキットを包み込んだ。午前中に開催されたサポートレースを前に、雨が落ち始めてウエット宣言が出されたが、幸いにしてその後は徐々に天候が回復。決勝を前にした正午からのウォームアップ走行では、気温28 度、路面温度34 度というコンディションだった。

午後1 時30 分、宮城県警の白バイ、パトカーが先導しての交通安全祈願としてのパレードラップからフォーメーションラップに入り、84 周、300km の戦いの火蓋が切って落とされる。KONDO RACING のNo.24 リアライズコーポレーションADVAN Z でスタートドライバーを務めたのは、佐々木大樹選手。予選日の公式練習では、ダンプコンディションから走行を担当する一方、午後からの予選では、ドライコンディションのQ2 で尽力。そして、決勝でも予選で自身が装着したものと異なるタイヤでの走行など、責任ある仕事を担う中、佐々木選手は的確な走りで順調に周回を重ねていった。

スタート時に装着していたタイヤは、比較的気温が低い中でしっかりとパフォーマンスを発揮する特性を持つものだったため、チームでは早めのタイミングでピットインを行なうことも意識しつつ、また、前後のライバル勢とのポジション争いを念頭に、戦略を練った。一方、抜きどころの少ないコース上では、前方車両を攻めるものの、逆転まで至らない状況が長く続いた。結果、6 番手走行中の30 周終わりでピットに帰還。平手晃平選手へと交代する。

この時点で気温はスタート時と同じ28 度、路面温度も33 度と似通ったコンディション。ピット作業を終えた車両の中で平手選手は4 番手をキープし、中盤以降に激しくなるであろう攻防戦に備えていた。だが、レースは38 周目を迎えた時点で大きなクラッシュが発生する。

最終コーナーからメインストレートに向かう中、GT300 車両とGT500 車両が接触。スピードが乗った状態でのアクシデントだったこともあり、コースアウト側のガードレールに激しくヒットしたGT500 車両が大きなクラッシュを負ってしまう。これを受け、コースにはセーフティカーが導入されたが、約3 分後には赤旗が提示されてレースが中断した。

ドライバーの命に別状はなく、幸いだったが、レースはこのあとおよそ45 分中断。午後3 時15 分にメインストレートに留め置かれたGT300 車両の送り出し作業が始まり、その5 分後にセーフティカー先導によるレースが再開する。リスタート後、No.24 リアライズコーポレーションADVAN Z の前には、未だピット作業を済ませていない1 台が立ちはだかり、なかなか理想的なペースを構築できない状態が続く。平手選手は、その中でも粘り強く間隙を縫って逆転すべく好機を狙ったが、周回を重ねるうち、次第にタイヤパフォーマンスにも影響が出始め、終盤は追うレースから追われるレースへと形が変わってしまう。それでも最後の最後まで力走を続け、6 位でフィニッシュ。第4 戦以来の入賞を果たすこととなった。なお、レース後にトップチェッカーを受けた車両が再車検で失格となったことから、ポジションが一つ繰り上がり、5 位の結果を手にしている。

早いもので、今シーズンの戦いも残り2 つ。次回のオートポリスは、昨シーズンの予選でポールポジション、そして決勝3 位という好成績を残した場所でもある。今シーズンも高いパフォーマンスでベストな戦いを披露したい。

決勝結果

Pos. No. TEAM DRIVER TIME/DIFF LAPS SW
1 8 ARTA MUGEN NSX-GT 野尻 智紀
大湯 都史樹
2:45’00.838 84 22
2 23 MOTUL AUTECH Z 松田 次生
ロニー・クインタレッリ
0.529 84 50
3 39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra 関口 雄飛
中山 雄一
51.658 84 46
5 24 リアライズコーポレーション ADVAN Z 佐々木 大樹
平手 晃平
1’02.479 84 10

Start Time : 13:35’22 | Finish Time : 16:20’15
黒白旗提示 Start Time : 13:35’22 | Finish Time : 16:20’15「ドライビングマナー」

No. TEAM LAPTIME
8 ARTA MUGEN NSX-GT(Tomoki Nojiri) 1’12.580 3/84Lap

近藤真彦監督のコメント

近藤真彦 PHOTO

今日は意外と日差しも出ず、気温もあまり上がらなかったんですが、決勝に用いた新しいタイヤが、このコンディションにうまく対応しきれなかったようですね。いろいろと改善したい部分が見えたようです。第3 戦の鈴鹿あたりから確実に速さを見せていただけに、このレースウィークに関しては、まずポールポジションが獲れずに残念だったし、決勝も展開次第で優勝できるんじゃないかと本当に思っていただけに悔しい結果です。もちろん、簡単に優勝はできないけれど、その可能性があったはずです。確かに、一昨年まで後方のポジションに沈んでいたことを考えたら、今のこの活躍を見て、他のタイヤメーカーはヨコハマ勢に関して脅威を感じているとも思うし、だからこそ、競争も厳しいものになっているんでしょう。開発が進み、ステップアップする中では停滞も伴うので、残り2 戦も全然諦めていません。予選の一発、決勝での強さをしっかりと出し切りたいですね。ドライバーにもっと積極的にレースをコントロールしてもらうことで、さらに強い戦いが可能になるようにも思います。最終戦までチャンスを信じて頑張ります。

佐々木大樹選手のコメント

佐々木大樹 PHOTO

決勝で装着したタイヤを今日初めて乗ったんですが、別のものとは明らかに違うもので、グリップ感もありました。スタート直後のペースも悪くなかったのですが、ただ、やはりSUGO ということもあり、抜きづらいコースだし、ほとんどポジションの入れ替わりがない状態でした。うまく前方の車両もかわすことができたので、自分自身のスティントとしては、まぁ悪くなかったという感じでした。一方、このタイヤでのロングランが試せてなかったこともあり、おそらくタイヤの特性を考えても、早めのピットインになるだろうという想定はしていました。今回決勝で得たデータをもとに、レース中に自分たちが気づけたこともあったので、残り2 戦に向けて、開発の方向性がさらに見えたと思います。次のオートポリスは、去年もいい結果だったので、今年もうまくレースを運べたらチャンスはあると思います。

平手晃平選手のコメント

平手晃平 PHOTO

コースインした段階で、前を走っていたクルマはまだピットインを済ませていなかったので、リスタート時に抜いておきたかったのですが、結果的に攻防戦となり、この時点でそれなりにタイヤを使ってしまいました。向こうがピットインしたあとは、さらにフルプッシュして前に出ておきたかったのですが、今度はGT300 クラスの集団にも引っかかるような形となってしまい、先行を許す形になったのが悔しいですね。そういったこともあり、レース終盤はタイヤのグリップダウンも大きく、アンバランスな感じになってしまいました。また、GT300 クラス車両を抜くときにコースの外側を走るため、ピックアップもあってタイヤの回復にも時間がかかってしまいました。ただ、このような状況でのバトルをしたことで、今回新たに持ち込んだタイヤの特性もはっきりわかったので、さらに改善すべき点も明らかにすることができたと思います。残り2 戦でも引き続き、結果を狙っていきたいですね。

村田卓児エンジニアのコメント

今週末に持ち込んだタイヤの中では良かったものを決勝レースに投入できたのですが、当日のコンディションに対しては必ずしもベストなものではなかったのかなという印象でした。とはいえ、限られた中から選択した結果としては一番だったことも事実です。予選でセッティングが合わず、ポジションを上げることができなかったことも、決勝に影響を与えてしまったかもしれませんが、決勝でのパフォーマンスそのものは悪くなかったと思います。オートポリスに向けても、やはり天候による影響が気がかりです。いいコンディションで戦えたらいいなと思いますね。

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