RACE REPORT

SUPER GT GT500

第8戦 モビリティリゾートもてぎ

一日目 予選(11月4日・晴れ/ドライ)

予選レポート

納得のいく予選アタックを見せて4 番手を獲得

搬入日は強い日差しが照って汗ばむような天気となり、季節外れの天候となったもてぎ。だが、予選日の朝は霧がサーキット一面に立ち込め、サポートレースの予選がディレイされるという予想外の幕開けに。幸い、午前9 時25 分からの公式練習を前にして天候も回復。無事にドライコンディションでの走行が叶った。

一方、気温の上昇はまだ十分ではなく、気温15 度、路面温度18 度のコンディション。結果、No.24 リアライズコーポレーションADVAN Z は”路面待ち”_つまり、持ち込みタイヤに不必要な負荷を与えないために、暫くの間はピットに留まることを選択した。

その後、佐々木大樹選手がコースイン、持ち込みセットを確認する。また、このレースウィークに初めて投入することになったタイヤのフィーリングを確かめるべく周回を重ね、アタックシミュレーションでは5 番手とにつける。また、ステアリングを引き継いだ平手晃平選手もGT500 クラス専有走行時にチームベストタイムをマーク。刻んだ1 分37 秒417 は9 番手ではあったが、両選手とも手応えを得るなか、引き続き、午後からの予選に向けて調整を重ねた。

午後になると、よりいっそう天候が安定。暖かな日差しに恵まれて、気温は23 度、路面温度は28 度まで上昇した。Q1 でNo.24 リアライズコーポレーションADVAN Z のアタッカーを務めるのは、平手選手。ぎりぎりまで装着するタイヤ選択に悩んだというが、ライバルよりも少し早めのタイミングに挑むと1 分36 秒382 をマークして4 番手通過に成功する。Q2 になると、気温、路面温度とも若干下降。満を持してアタックに向かった佐々木選手は、しっかりとタイヤを温めて1 分36 秒335 のタイムをマークして4 番手に。結果、No.24 リアライズコーポレーションADVAN Z は表彰台を十分に狙えるポジションから、翌日の300km を迎えることとなった。

公式予選記録

Pos. No. TEAM DRIVER Q1 Q2 SW
1 3 Niterra MOTUL Z 千代 勝正
高星 明誠
1’35.929 1’35.539
2 17 Astemo NSX-GT 塚越 広大
松下 信治
1’36.547 1’35.931
3 36 au TOM’S GR Supra 坪井 翔
宮田 莉朋
1’36.440 1’36.214
4 24 リアライズコーポレーション ADVAN Z 佐々木 大樹
平手 晃平
1’36.382 1’36.335

Q1 : Start Time : 14:53’00 | Finish Time : 15:03’00
Q2 : Start Time : 15:31’00 | Finish Time : 15:41’00

近藤真彦監督のコメント

近藤真彦 PHOTO

今朝、霧が出ていたので、「これでもう予選は終わった…」と思いましたが、アタック時にはしっかりと晴れていたので良かった。コンディションとしては、晴れて気温が上がるほうがいいので、決勝でも期待が持てます。予選日もそうでしたが、最終戦ぐらいは天気に味方して欲しいと思いますね。目標はポールポジションだったので、4 番手であっても正直悔しい。トップ3 でスタートしたかったなというのが本音です。とはいえ、全車がノーウェイトのなか、開幕戦と比べてもウチのチームとしての伸び代は確認できたし、来シーズンに向けてさらにいろいろやっていかなければ、という思いも強くなりました。流れとしてはいい感じだし、ライバルもウチのチームがレースウィークを通して、ずっと上位にいることを意識していると思います。決勝では表彰台に上がり、ライバルを驚かせたい。来季に繋がるレースにしたいですね。

佐々木大樹選手のコメント

佐々木大樹 PHOTO

今回、タイヤはじめクルマなど、いろいろなものが新しくなりました。僕たちが、これまでの結果から気付いたこと、間違っていたことを変えてきたという感じです。ただ、タイヤに関しては、新しいものを投入しているので、まだ合わせ切れていない部分もありましたが、少ない練習時間のなかでは自分たちのベストを尽くせたのではないかと思います。方向性が見えたという意味ではすごくいい一日になりました。サーキットに合ったタイヤ、クルマを用意するという意味では、チームとのコミュニケーションを含めてうまくできているんじゃないでしょうか。決勝に向けて、正直なところロングランはきちんとできていませんが、引き続きベストを尽くして頑張ります。

平手晃平選手のコメント

平手晃平 PHOTO

前回のオートポリス戦での反省を踏まえ、新規のタイヤ、バックアップでレースができるタイヤを持ってきました。もてぎのコースを考慮したら、予選で前につけることが大事なので、より進化させたタイヤで臨むことになりました。ただ、走りはじめは新しいタイヤでのフィーリングがあまり良くなくて、クルマのセットもまだアジャストする必要がありました。終盤にかけてバランスが良くなり、新規のコンパウンドタイヤも一発の確認はできました。予選ではどちらのタイヤでアタックしようか悩みましたが、佐々木(大樹)選手のコメントも参考にしながら勝負しました。Q1 ではセットアップも改善し、いいフィーリングでアタックして4 番手になれたし、Q2 でも同じ4 番手だったので、僕らの今年の速さを見せられたと思います。明日の決勝では、なんとか結果に繋げて気持ち良く終わりたいですね。

村田卓児エンジニアのコメント

今回、持ち込んだタイヤは狙いどおりだと思います。クルマのセットも含め、ここまでは予定どおりに進んだと思います。しかしながら、気になるのは天候。コンディションによってはそこに翻弄される可能性や、リスクもあるのではないかと思っています。レースに関しては、蓋を開けてみるまでわかりませんね。予選とは異なるコンディションになれば、どういう展開になるか読めないですが、そのなかでもいい戦いができれば良いなと思います。

二日目 決勝(11月5日・晴れ時々雨/ドライ・ウエット)

決勝レポート

決勝は天候の変化でポテンシャルを発揮できず14 位

前日とは変わって、穏やかな晴れの天気で幕を開けたもてぎの決勝日。大した冷え込みもなく、気温も緩やかに上昇するなど、絶好のレース観戦日和となった。また、今シーズンのラストレースを見届けようと、朝から多くのファンがサーキットに来訪。賑わいを見せるなか、午後1 時に63 周のレースが号砲。No.24 リアライズコーポレーションADVAN Z も、予選4 位から表彰台の一角を目指して力強いスタートを切った。

一方、気になっていたのが予想以上に気温が上がらなかった点。日差しがなくなり、瞬く間に灰色の雲がサーキット上空を覆い、冷たい風が気温、路面温度を下げていく。結果、タイヤの発熱そしてグリップへの影響を受け、No.24 リアライズコーポレーションADVAN Z はペースアップが望めず。想定以上に急激なグリップダウンが見られたため、走行継続そのものが厳しくなり、スタートドライバーを務めた佐々木大樹選手が13 周終わりでイレギュラーピットインを行なった。

ドライバー交代を迎えるまで引き続き周回を重ねた佐々木選手。レース走行距離の3 分の2 近くを担当し、40 周終わりでピットへ帰還する。コース上は、早いタイミングから突発的、また限られた場所での降雨も見られるなど、極めて不安定なコンディションではあったが、佐々木選手は難しい路面のなかでミスなく走り切り、平手晃平選手へとバトンを繋いだ。

今シーズンは、予選での”一発の速さ”を幾度となく披露したNo.24 リアライズコーポレーションADVAN Z。一方、決勝では用意したパッケージに対して路面やレース展開がうまく噛み合わず、結果に繋げることが極めて難しい状況が続いた。この悔しさをバネにして、シーズンオフには内容あるタイヤ開発に勤しみ、来シーズンこそは、速さそして強さを発揮できる戦いを披露したい。

決勝結果

Pos. No. TEAM DRIVER TIME/DIFF LAPS SW
1 36 au TOM’S GR Supra 坪井 翔
宮田 莉朋
1:52’47.402 97
2 23 MOTUL AUTECH Z 松田 次生
ロニー・クインタレッリ
5.159 63
3 3 Niterra MOTUL Z 塚越 広大
松下 信治
16.270 63
14 24 リアライズコーポレーション ADVAN Z 佐々木 大樹
平手 晃平
1 Lap 62

Start Time : 13:06’53 | Finish Time : 14:59’40

No. TEAM LAPTIME
3 Niterra MOTUL Z(Katsumasa Chiyo) 1’39.392 2/24Lap

近藤真彦監督のコメント

近藤真彦 PHOTO

今日はレースができるという状況ではなかったですね。曇り空で気温が上がらず、途中から雨にもなって……。ウチに合ったコンディションとはまったく違う形になりました。朝はしっかり日差しも出ていたので期待していたんですが……。正直、最終戦に向けてギャンブル的な戦い方で臨んではいました。コンディションが合うと、速さと強さを発揮できると思っていたのですが、曇り空になると、若干のポジションダウンは否めないとしても、まさかイレギュラーのピットインを行なうことになるとは。それは想定外でしたね。残念な結果です。1 年間、クルマはよく走ってくれましたが、タイヤのパフォーマンスに左右されることが多くありました。またチームでもミスがあるなど、安定した結果が出ませんでした。速さのパフォーマンスは見せられたものの、レースはそれだけでは勝てません。今後に向けて、もうすぐにテストが始まるので、しっかり走り込んであらゆる状況に強いタイヤを開発していきたいですね。今年、”ドラマ”はお見せすることができたものの結果が出なかったので、来年は、いい内容のドラマをたくさん披露できるよう頑張ります。

佐々木大樹選手のコメント

佐々木大樹 PHOTO

自分たちにとって、決勝日の天気が厳しい方向に向かうことがわかっていたので、どうなるか分からない部分がありました。案の定、(タイヤが傷つく症状である)グレーニングが起こり、走行を続けるのが難しくなったので、ピットインすることになりました。自分たちは晴れの天気で勝負することに賭けていましたが、今回、結果的に天候が曇り方向になってしまいました。ギャンブルを打ったけれど、こういう天候のときに有効なタイヤがまだ開発できていません。今回のレース戦略はみんなで決めたことでもあるので、このような天候になった以上、もう悔いはないですね。今シーズン、速さと言う部分は見せることができたと思いますが、いろんなコンディションに対応できる”幅”としては、まだ開発途上にあります。今シーズンは、その状況……”弱い部分”を突かれたシーズンだったのかなと思います。今後は幅広いコンディションで戦えるようなタイヤを用意する必要があると思います。

平手晃平選手のコメント

平手晃平 PHOTO

オートポリス戦同様に、コンディションが僅か違うだけでも、タイヤには大きく影響が出てしまうことになりました。予選でできるかぎり前のポジションにつけるようにとタイヤを持ち込みましたが、決勝では気温が下がり、曇った天気には合いませんでした。総じて、今シーズンは、僕らドライバーの力ではどうにもできないような天候、コンディションの変化に左右される戦いが多くてもどかしかったですね。”タラレバ”が多いシーズンでした。決勝では、単純にゴールまでクルマを運ぶという走りになり、周りと勝負するというものではなかったのが残念ですね。ただ、課題が明確に見えているので、今年アプローチできた速さに加え、ワイドレンジに対応できるタイヤを準備していけば、いい戦いができると思います。ドライバーとしては開発に携われるというやりがいはあるので、継続していい戦いができるように頑張ります。

村田卓児エンジニアのコメント

気にしていた天候の変化が、レースへの影響として出てしまいました。気温が下がるだけでなく、雨が降るなど大きく状況が変わったことで、パフォーマンスを発揮するのが難しくなりました。スタート用タイヤと路面コンディションが合わず、ドライバー交代を待たずして予定外のピットインをすることになり、ポジションを下げてしまいました。好天のなか、気温が上がるコンディションであれば4 位スタートからしっかりと戦えたと思います。

PHOTOギャラリー

Loading...