RACE REPORT
SUPER GT GT500
第1戦 岡山国際サーキット
一日目 予選(4月12日・曇り/ドライ)
予選レポート
シーズン開幕。復活のノックアウト予選で3位獲得!
待望の2025年SUPER GTシリーズが開幕。4月12日には、岡山国際サーキットにおいて予選が行なわれた。松田次生、名取鉄平両選手の布陣で2シーズン目へと突入したNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN Zは、ノックアウト予選で3番手時計をマーク。好位置から決勝を迎えることになる。
オフシーズン中は、マレーシア・セパンインターナショナルサーキット、今回の岡山、そして富士スピードウェイでテストを行なってきたKONDO RACING。国内サーキットでのテストではあいにく天候不順が続き、決して順調にメニューを消化できたわけではない。だが、これはどのチームにとっても同じこと。その中でいかにうまく適応していくかがレースウィークの戦いのカギを握る。
一方、今シーズンの幕が上がったばかりの舞台となった岡山は、春の陽気に包まれた好天気でスタート。朝こそ若干冷え込んでいたが、時間の経過とともにぐんぐん気温も上昇した。
公式練習は、午前9時30分にスタート。まず、気温15度、路面温度23度のコンディションの下で松田選手がコースインし、セットアップを確認する。およそ30分後には、名取選手へと交代。ロングランを重ねると、GT300クラス専有走行を挟んでその後もGT500クラスの専有走行でアタックシミュレーションを行なうなど、予選に向けて順調に作業を進めた。なお、このセッションでのチームベストタイムは、松田選手が序盤に刻んだ1分18秒142。ポジションは8番手だった。
お昼からのピットウォークには、多くのファンが来場。”熱いパワー”のお裾分けをもらった松田、名取両選手がそれぞれの予選セッションに臨むことになった。
GT500クラス全15台が出走するQ1は、名取選手が担当。気温23度、路面温度30度まで上昇するなか、各車次々とコースイン。名取選手もこれに続き、タイヤにしっかりと熱を入れてアタックラップへ。刻んだ自己ベストタイムの1分17秒686は一旦6番手になったものの、あとからチェッカーを受けたライバルたちが先行し、最終的には10番手でセッションを終えた。なお、今シーズンから復活のノックアウト予選Q1では、上位10台までがQ2へ進出可能。このため、No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Zは、Q2への進出を遂げた。
Q2は午後3時11分からスタート。曇り空になったこともあり、気温21度、路面温度27度と落ち着く方向へ。一方、他車が1台また1台とコースへと向かうのを尻目に、松田選手はピットで落ち着いて待機を続け、残り時間5分45秒の時点でコースへ向かった。その後、2周かけてタイヤを発動させるとアタックに入り、チェッカーフラッグが振られるなか、1分16秒619の好タイムをマークして2番手へと浮上した。その後、後方でチェッカーを受けた他車がトップタイムを叩き出したため、松田選手のタイムは3番手に。結果、No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Zは、セカンドローからシーズン初戦を戦うことになった。
公式予選記録
Pos. | No. | TEAM | DRIVER | Q1 | Q2 | SW |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 14 | ENEOS X PRIME GR Supra/td> | 大嶋 和也 福住 仁嶺 |
1’17.157 | 1’16.441 | |
2 | 1 | au TOM’S GR Supra | 坪井 翔 山下 健太 |
1’17.208 | 1’16.516 | |
3 | 24 | リアライズコーポレーション ADVAN Z | 松田 次生 名取 鉄平 |
1’17.686 | 1’16.619 |
Q1 (Weather: Cloudy / Track: Dry) Start Time 14:33:00 Finish Time 14:43:00 Q2 (Weather: Cloudy / Track: Dry) Start Time 15:11:00 Finish Time 15:21:00
近藤真彦監督のコメント
(松田)次生のアタックは、ほんと見事でした。コースインに始まり、タイヤの発動、そしてアタックラップのタイミング……エンジニアと次生がしっかりと話し合って決めたようですが、コースインから4周でアタックを決めたのは、ウチだけでした。戦略がうまくいったと思います。GT500参戦が2年目になる名取も、自身の仕事をやり遂げましたね。開幕戦はどちらかというと、チームとして難しい戦いが多かったのですが、それを考えても今年は良い結果となりました。明日の決勝は天候が今日より優れないみたいで不安要素もありますが、しぶとく戦えたら、と思っています。
松田次生選手のコメント
タイヤのウォームアップが早そうだなと思ったので、担当したQ2ではあえてピットでしばらく待機することにしました。昨年からタイヤ開発も担当するなか、努力してきたことが少しは形になったのかと思います。タイヤ開発も、去年1年を通してやってきたなかで、ヨコハマタイヤさんにリクエストしながら色々とトライしています。今日の結果を踏まえつつ引き続き頑張っていきます。
名取鉄平選手のコメント
公式練習ではずっとロングランを担当していましたが、決勝に向けたセットアップに関しては、そのタイミングで良いものが見つかっていたんです。Q1は通過できるという安心感が結構ありました。(担当した)Q1では、コース上のラバーのレベルが結構上がっていたんで、思ったよりタイムが出ましたね。ただし、トラフィックもありました。ベストなタイミングでアタックできていれば、もうちょっとタイムが出たようです。そういうデータが出ていました。去年の開幕戦は良くなかったですが、今年は良い開幕戦になったと思います。
大駅俊臣エンジニアのコメント
朝のセッションから流れは良かったですね。テストはセパンでしっかり走れたものの、国内のサーキットは天候も悪く、他のチームも同じでしょうが、まともにテストが出来ていません。今日の予選に向けては、ドライバー同士が去年1年かけて理解してきたタイヤの特性を聞いて、作業を進めていきました。公式練習と予選でも路面温度と気温が変化しましたが、ちゃんとしかるべきタイミングでそのときのコンディションに合わせることができました。とにかく今シーズンは、まずポイントを持ち帰ろう、という話をしています。積み重ねとしても大事なのでしっかりと走り切りたいですね。
二日目 決勝(4月13日・曇り/ウェット・ドライ))
決勝レポート
雨&トラブルで力を発揮できず、入賞逃す
4月13日、決勝を迎えた第1戦岡山。「OKAYAMA GT300km RACE」はウェットコンディションでの幕開けとなり、3位スタートから表彰台を目指したNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z(松田次生/名取鉄平)だったが、トラブル等もあって11位で戦いを終えている。
当初の天気予報では、予選日の夜遅くから雨になるものの、決勝日は午前中に雨も上がり、午後1時10分からのスタートを迎えるものと思われた。だが、上空の不安定な大気の影響を受け、サーキット周辺には雨が居座ることに。また気温も急激に下がり、難しいコンディションでの戦いが待ち受けた。
気温13度、路面温度15度という寒さが先行するなか、レースはスタート。足元にはウェットタイヤが装着され、セーフティカースタートによるシーズン初戦の戦いが幕を開けた。
No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Zは名取鉄平選手が乗り込み、タフなコンディションでのポジション争いに臨んでいく。レースはセーフティカーランが続く4周目に車両のフラッシュライトが消灯。5周目からレースが始まった。ところが、早速に多重クラッシュが発生。ファースト・レスキュー・オペレーション(FRO)が出動したが、その後、赤旗となりレースが中断する。
午後1時50分、レースがセーフティカー先導の形でリスタート。一旦冷えたタイヤを温めながら、リスタートに備えた名取選手は、後続からの猛追を懸命に凌ぎ、4番手で周回を重ねていく。22周目に導入されたフルコースイエロー(FCY)を受け、解除後は後続車との攻防戦が続き、惜しくもポジションダウン。その後も”耐える”走りとなるなか、力強い粘りの走りを続けると、42周終わりでクルマをピットへと戻した。
交代のため、松田次生選手がチームピット前で待機していたが、停止したクルマはそのままガレージイン。マシントラブルの修復のため、作業が行なわれるようになった。この時点で残念ながら表彰台獲得の可能性がほぼ消滅することになったが、20分近い作業時間のあと、No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Zは再びコースへ。松田選手によるドライブでチェッカーを目指していく。
コースコンディションも回復し、これに合わせてタイヤもウェットからドライへと変更。今後のレースに向けたデータ収集も兼ね、周回を重ねていった。その中で松田選手は67周目にチームベストタイムをマークする。今回、レースそのものも多重クラッシュが重なるなど、荒れた内容になったが、KONDO RACINGもまた、マシントラブルにより望んだ結果を手にすることが出来なかった。11位で初戦の戦いを終えたNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z。レースでの”タラレバ”は禁物ではあるが、今大会での流れを見る限り上位入賞の実現もあっただけに、その悔しさには計り知れないものがある。第2戦富士では、しっかりとチーム力を出し切る戦いをし、結果を残していきたいところだ。
決勝結果
Pos. | No. | TEAM | DRIVER | TIME/DIFF | LAPS | SW |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | au TOM’S GR Supra | 坪井 翔 山下 健太 |
2:55’17.063 | 82 | |
2 | 14 | ENEOS X PRIME GR Supra | 大嶋 和也 福住 仁嶺 |
2.859 | 82 | |
3 | 39 | DENSO KOBELCO SARD GR Supra | 関口 雄飛 サッシャ・フェネストラズ |
12.368 | 82 | |
12 | 24 | リアライズコーポレーション ADVAN Z | 松田 次生 名取 鉄平 |
12Laps | 70 |
開始:13:35’19 終了:16:24’27
ファステストラップ : No.1 K.Yamashita 1’19.845 26/31Lap (166.958km/h)
No. | TEAM | LAPTIME |
---|---|---|
1 | au TOM’S GR Supra | 1’19.845 26 |
近藤真彦監督のコメント
スタートを担当した名取にとっては相当大変な状況での戦いになりましたね。ただ、その中でも粘り強く走ってくれたし、雨が上がって路面状況が良くなるに合わせ、タイムを上げていけるだろうと思って見守っていました。レース中にブレーキトラブルが発生したことは痛かったですね。レースでのタラレバは厳禁なのですが、そのあとドライになって投入したタイヤのパフォーマンスが良く、後半スティントを担当した(松田)次生がかなりいいペースを刻んでいただけに、本当に残念です。入賞を逃し、悔しい結果には違いないのですが、昨シーズンと比べてもクルマ、タイヤの良いところを引き出せる戦いができていたので、前向きに捉え、第2戦に臨みたいと思います。
松田次生選手のコメント
交代前に、(名取選手が)無線で何かトラブルがあると言ってたんです。あのトラブルがなければ名取選手もいい走りをしていたので残念でしたよね。当然ながら、すぐにコースには出られないので、修復作業をしてコースに向かいました。その時はウェットタイヤだったので、路面が乾いてきたのを見極めてドライへと変えて、最後まで走りました。今回のレースでは、ドライコンディションでのタイヤがしっかりとコースに合っていたので、その中では良いパフォーマンスを見せることが出来たと思います。そこは僕自身としても嬉しかったですね。富士では、クルマ、タイヤの良いところをもっともっとたくさん見せられたら結果もついてくると思います。
名取鉄平選手のコメント
スタート直後は厳しいコンディションになるという事はわかっていたので、しっかりと踏ん張りました。というのも、選択したタイヤは、路面が徐々に乾いてくれば、そのコンディションに見合うものだったので、とにかくガマンしながら戦う事をわかった上で走っていました。ところが、ようやく路面とタイヤが合ってきたな、と思った矢先にトラブルが出てしまったんです。走行中になんとなく感じていたんですが、なんとかごまかして。でも、順位も落としてしまったし、最後はブレーキが戻らなくなったのでピットインを決めました。ポイントが獲れるレースだっただけに残念です。
大駅俊臣エンジニアのコメント
トラブル発生がもったいなかったですね。ウェットでのスタートになりましたが、装着したタイヤをどう活かすか、その最善策を引き出す様な戦い方を念頭に置いて挑みました。名取選手には、絶対ガマンして走るように、と伝えていたのですが、実際にセッション終盤は路面が乾いていくなか、ペースも上げて走ることができ出来ました。ただ、残念だったのはその時点でブレーキのトラブルが出ていたんです。修復作業を終えてコースに復帰することは出来ましたが、すでに前のクルマとは10周の差があったので、最後は、今後のレースに向けた準備を含め、走行していました。その中でも松田選手が終盤速いタイムで走れたことは良かったと思います。今シーズン、久々にチームと一緒に仕事をしましたが、これからどう作業を進めていくのが良いのか、方向性は見えて来ました。富士に向けてしっかりとアプローチしていきたいと思います。