RACE REPORT
SUPER GT GT500
第4戦 富士スピードウェイ
一日目 予選(8月3日・晴れ/ドライ)
予選レポート
2ヶ月ぶりの実戦、予選はシーズンベストの7位に
8月3日、静岡・富士スピードウェイにおいて、2024年SUPER GT第4戦の予選が行われ、KONDO RACINGのNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN Zは7位のグリッドを獲得。翌日の決勝では、今シーズン初となる350kmレースに挑むこととなる。
6月上旬の鈴鹿大会後、およそ2ヶ月ぶりとなるレースイベント。戦いの舞台は第2戦同様の富士となる。都心部に比べ気温は多少低いものの、真夏の一戦だけにタフな戦いになることは明白だ。長いインターバルを経て迎える今大会では、これまでの戦いから得たものを富士の一戦にしっかりと”投入”したい。
早朝の富士はどんよりとした曇り空。残念ながら雪のない富士山もすっかり隠れてしまう天候となった。公式練習がスタートした午前9時では、気温29度、路面温度38度のコンディション。まずは名取鉄平選手がステアリングを握り、持ち込みセッティングの確認作業に入った。
開始から45分、ダンロップコーナー先で1台の車両がストップ。これを回収するために赤旗が提示された。これを機に一旦ピットインしたNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z。ドライバーも松田次生選手へと交代。ロングランはじめ、さまざまなメニューをこなし、予選に向けての準備に勤しんだ。
松田選手はGT300クラスとの混走後に行われた10分間のGT500クラス専有走行でも引き続きドライブを担当。最後にアタックシミュレーションを行なうと、1分29秒345をマークしてチームベストタイム更新に成功。最終的にNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN Zは9番手でセッションを終えることとなった。
富士上空は依然として曇り空ではあったが、時間の経過とともに路面温度がじりじりと上昇。GT300クラスの予選が始まった午後2時半前には、気温33度、路面温度は54度という数値を刻んだ。まず、Q1でアタックに挑んだのは松田次生選手。午後3時3分、タイヤの消耗を少しでも抑えようと計測3周のアタックで1分28秒517を刻むと8番手での通過を果たした。
続くQ2でのアタックに出走した名取鉄平選手。名取選手もまた計測2周目というミニマムのアタックラップで5番手となる1分28秒612を刻んだ。Q1とQ2の合計タイムで2分57秒129となったNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN Zは、シーズンベストとなる7番手から決勝に臨むこととなる。
決勝は、350kmとスプリント要素の強い一戦だけに、7番手グリッドを活用し、ひとつでも上のポジション獲得を目指して戦いたい。
公式予選記録
Pos. | No. | TEAM | DRIVER | Q1 | Q2 | SW |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 8 | ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8 | 野尻 智紀 松下 信治 |
1’28.224 | 1’28.135 | 6 |
2 | 100 | STANLEY CIVIC TYPE R-GT | 山本 尚貴 牧野 任祐 |
1’28.026 | 1’28.651 | 40 |
3 | 64 | Modulo CIVIC TYPE R-GT | 伊沢 拓也 大草 りき |
1’28.133 | 1’28.572 | 2 |
7 | 24 | リアライズコーポレーション ADVAN Z | 松田 次生 名取 鉄平 |
1’28.517 | 1’28.612 | 4 |
Q1:Start Time 15:03’00 Finish Time 15:13’00Q2:Start Time 15:59’00 Finish Time 16:09’00
近藤真彦監督のコメント
数字だけ見ればまだまだですが、予選結果の順位だけ見ると少しは成長したようですね。しかしながら、いいところだけでなく、まだまだ悪いところも残っているような感じです。ただ、タイヤに関してはいい部分がだんだんと見えてきたようですね。もうちょっとテストや開発の時間が欲しいですが、それが出来ない中でなんとか今回この位置につけることができたのは良かったと思っています。アタックでは、ドライバーふたりが的確な走りを見せてくれました。他車はサクセスウェイトが気になり始めるころなので、そこでウチが前に行けるといいと思うし、行って欲しい。あらゆるコンディションを味方にして確実に結果を残せたらいいと思います。次戦以降に繋がる戦いを続けていきたいですね。
松田次生選手のコメント
テストを行なって、だいぶ色んなものが見えてはきていますが、それが少しずつ実り始めているのかなという感じがしています。ただ、周りのクルマもレベルが高く、ものすごく僅差なのでそこから突き詰めていくこともたくさんあります。今、方向性が少しずつ見えてきたことは大きいと思いますが、それをどう形にしていくのかがこれからの課題ですね。予選では、できる限りタイヤをキープしてQ2へバトンを渡すことを心がけました。名取選手もすごくいい走りを見せてくれたと思います。明日はさらにいいパフォーマンスを見せられるよう、しっかりと戦いたいですね。
名取鉄平選手のコメント
公式練習では2種類のタイヤを試しながら周回を続けました。予選でも決勝でもパフォーマンスが出せるタイヤを選ぶという意味では、かなり難しかったですね。結果、決勝を考えてタイヤを選びましたが、Q1担当の(松田)次生選手にもいいアタックをしていただいて、僕もかなり満足のいくアタックをすることができました。なので、今回は今の状況のなかで最大限での結果を出すことはできたのかなと思います。予選順位よりも得るものがあったと感じました。
村田卓児エンジニアのコメント
今日はシーズンベストの結果となりましたが、なにが良かったというわけではなく、現状としてまだ”普通”の状態です。タイヤの開発も続いていますが、今日のコンディションをしっかり踏まえた上でのタイヤ選択を行ないました。決勝の天候ですが、できればドライで戦いたい。雨の予想もあるのでちょっと心配ですね。レース距離がこれまでの300kmのスプリントにプラス50km、という受け止め方をしているので、うまくタイヤを使うことができれば、と思います。
二日目 決勝(8月4日・晴れ/ドライ)
決勝レポート
過酷な条件下で力走のなか、トラブルで後退
8月4日、富士スピードウェイで開催された2024年SUPER GT第4戦決勝レース。予選7番手から初の350kmレースに臨んだKONDO RACINGのNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN Zは、善戦中にタイヤトラブルが発生。惜しくも入賞のチャンスを失い、14位で戦いを終えている。
予選日よりも強い日差しが照りつけた富士。一方で上空は薄曇りが続き、朝早くから蒸し暑さを感じる天気となる。
午後1時、ウォームアップ走行が始まり、スタート進行、静岡県警の白バイとパトロールカーによるパレードランを経て、350km・77周の戦いが幕を開けた。
スタート時のコンディションは気温35度、路面温度に至っては56度まで上昇。レースウィーク最も過酷な状況下で各車スタートを切り、No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Zでは松田次生選手がスタートドライバーを務めた。
シーズンベストの7番手スタートということもあり、好位置での入賞を果たしたいというチーム全員の気持ちを背負って奮闘する松田選手。背後にいた14号車GR Supraに先行されたが、その後も8番手のポジションをキープして周回を重ねた。そんななか、28周目走行中にはGT300クラスの車両がダンロップコーナーでスローダウン。コースサイドにクルマを停めたことを受け、FCY(フルコースイエロー)が導入されることになったが、解除後も前方の車両を追って安定感あるペースで走行を続けていった。
だが、松田選手は30周を過ぎるとタイヤの内圧に異変を覚えることに。当初、チームでは33周前後でのピットインを想定していたが、状況を受けて31周目のピットインを実施。待機していた名取鉄平選手へと交代を済ませてNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN Zがピットを離れていった。
実のところ、松田選手が走行中に左リヤタイヤにトラブルが発生しており、交換したタイヤはすでにスローパンクチャー状態。コース上の名取選手も事態を認識した上で後半の戦いに臨むことになる。再度トラブル発生の可能性もあったが、名取選手は臆せず攻めの走りを披露。55周あたりからは入賞圏内のポジション争いを36号車GR Supraと幾度となく繰り広げ、観客を沸かせた。
だが、62周目を走行中に突如スロー走行に。懸念していた左リヤタイヤがまたもスローパンクチャーに見舞われ、予定外のピットインを強いられた。タイヤを4本交換、加えて給油も行ないピットを離れた名取選手。気持ちを切り替えての周回で、74周目にはチームベストとなる1分30秒842のタイムをマークしてみせた。結果、No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Zは14位でチェッカー。入賞の機会を逃した悔しい思いは、続く鈴鹿の350kmレースで晴らしたい。
決勝結果
Pos. | No. | TEAM | DRIVER | TIME/DIFF | LAPS | SW |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 8 | ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16 | 野尻 智紀 松下 信治 | >
2:00’43.329 | 77 | 6 |
2 | 100 | STANLEY CIVIC TYPE R-GT | 山本 尚貴 牧野 任祐 |
3.277 | 77 | 40 |
3 | 38 | KeePer CERUMO GR Supra | 石浦 宏明 大湯 都史樹 |
12.233 | 77 | 28 |
14 | 24 | リアライズコーポレーション ADVAN Z | 松田 次生 名取 鉄平 |
1 Lap | 76 | 4 |
開始:14:37’04 終了:16:37’47.329
ファステストラップ : 1’30.102(36/77) 182.313km/h 19 TGR TEAM WedsSport BANDOH / WedsSport ADVAN GR Supra
No. | TEAM | LAPTIME |
---|---|---|
19 | TGR TEAM WedsSport BANDOH | 1’30.102 |
近藤真彦監督のコメント
レースでは、ペース自体予想以上に良かったんです。いい展開なんだろうなと期待していたら、急にタイヤの内圧が落ちました。(松田)次生からは「内圧の落ち方が異常です」と報告を受けました。実のところ、過去にもそういうことがあったときは、突然バーストすることもあったので、様子を見ながら走ってもらったのですが、さすがに無理だということでピットインしてもらいました。ちょうどルーティンの作業より少し早めのタイミングだったので判断としては的確でした。ただ、名取にも同じトラブルが出てしまって、本当に悔しいですね。ただ、名取の走り自体には成長を感じるものがあったので、それは誇らしく思います。力強いバトルを見せてくれました。もう、シーズンも後半戦に入るので、僕たちには時間がない、というのが本音でもあります。ドライバー、エンジニアを含め、ヨコハマさんのスタッフとも繰り返し意見交換はしています。次の鈴鹿はしっかりと走り切って、結果を残したいですね。
松田次生選手のコメント
走行中、タイヤの内圧が下がってきたんですが、左右で差が出て、しかもどんどん下がってきたんです。理想としてはあと3周ほどピットインのタイミングを伸ばしたかったんですけどね。多分、あと1周多めに走っていれば、コース上でタイヤが壊れた可能性もありました。タイミングよくピットインできた点は、ラッキーでした。今回はタイヤにトラブルが出てしまいましたが、レースウィークのなかでは、ちゃんとポジティブなところも見つかっています。ペースも決して悪くはなかったです。もちろん、良くなってきたとはいえ、やらないといけないことはまだたくさんありますし、課題も見つかっています。焦ってもトラブってしまえば元も子もないので、確実にやれることをやって、次へと繋ぐ戦いを続けるだけです。次の鈴鹿はタイヤへの負荷も高いところなので、難しさもありますが、頑張ります。
名取鉄平選手のコメント
スタートドライバーを務めた次生選手がドライブした時点でタイヤにトラブルが出たことを受け、もしかしたら、僕のスティントのときも……という思いはありました。そのなかで36号車とのバトルもありましたが、どちらかといえば応戦一方という感じではありました。悔しいですがしょうがないというか何と言うか……。レースウィークを通して、まったく戦えなかったという気持ちが大きいですね。ディフェンス一方ではないレースがしたいと思いました。
村田卓児エンジニアのコメント
先に運転していた松田選手から連絡を受けての緊急ピットインになりました。スタートからのペースは決して悪くはなかったし、ポジションをキープできれば入賞できたわけなので、惜しいですね。トラブルの状況を踏まえて、名取選手には若干ペースをコントロールしながらの走行をお願いせざるを得ませんでした。ですが、残念ながら終盤にまたもトラブルが出てしまいました。鈴鹿戦もまだサクセスウェイトが軽いので、予選で前のポジションを狙っていきたいですが、富士よりも暑さはもちろん、タイヤへの負荷も大きいので、まずはしっかりと走り切る戦いができればと思います。