RACE REPORT

SUPER GT GT500

第5戦 鈴鹿サーキット

一日目 予選(12月7日・晴れ/ドライ)

予選レポート

冬晴れの最終戦、予選4番手につける

12月7日、三重・鈴鹿サーキットにおいて、2024年SUPER GT第5戦の予選が行なわれた。今シーズン最後のアタック合戦は、気温は低いものの冬の晴れ間に恵まれることとなり、KONDO RACINGのNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN ZはQ1、Q2のタイム合算の結果、予選4番手となった。

8月末に日本列島に接近した台風10号の影響で第5戦鈴鹿が一旦中止となり、12月開催となった形だが、季節なりの寒さはあれど幸いにして日中は日差しにも恵まれたコンディションとなった。午前9時15分から行なわれた公式練習。気温11度、路面温度12度という低い数値を示すなか、No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Zはまず松田次生選手がコースへと向かい、持ち込みセットの確認を始めた。最初のピットイン後、再びコースインした際にはタイヤがまだ十分に発動しない中、クルマが曲がらずNIPPOコーナーでコースアウトするシーンもあったが、幸い大事には至らずその後も周回を続けることに。そして、名取鉄平選手へと交代する直前に1分45秒466のチームベストタイムをマークした。

一方、GT300クラスとの混走中に松田選手からステアリングを受け取った名取鉄平選手は、その後のGT500クラス専有走行でも引き続きドライブ。未だ、気温が低い中でのアタックシミュレーションとなったが、1分44秒760へとタイムアップを果たし、セッションを終了。総合では9番手のタイムとなった。午後からの予選に向け、穏やかな日差しが続いた鈴鹿。これにより、気温も上昇し、午後1時50分から始まったQ1では、気温14度、路面温度24度というコンディションでアタック合戦が幕を開けた。No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Zに乗り込んだのは、名取選手。公式練習でのフィーリングをもとに、アタックに向かったが、なんとコースイン3周目のNIPPOコーナーでスピン。存分にタイヤが温まっておらず、午前中の松田選手に続いてヒヤリとするシーンとなったが、その後も名取選手は落ち着いてアタックを続け、1分43秒670をマーク。2位とはわずか1000分の7秒差ながらトップでセッションを終える活躍ぶりだった。

Q2には松田選手がコースイン。少しずつ路面温度が下がるなかでのセッションとなったが、慎重にタイヤを温めてアタックを開始、確実にタイムを削り取っていく。最終的には1分43秒935をマークし、9番手でチェッカーを受けた。結果、Q1、Q2タイムの合算によってNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN Zは予選を4番手で終了したが、3番手の車両が他車の妨害となるようなスロー走行をしたことによるペナルティでグリッド降格の対象となったことを受け、スターティンググリッド3番手から決勝のスタートを切る事になった。

現状、寒い時期でのタイヤマネージメントの難しさはあるものの、シーズン最後の戦いではチームの持ちうる力を最大限発揮し、ベストリザルトを狙っていきたいところだ。

公式予選記録

Pos. No. TEAM DRIVER Q1 Q2 SW
1 36 au TOM’S GR Supra 坪井 翔
山下 健太
1’43.737 1’43.271
2 17 Astemo CIVIC TYPE R-GT 塚越 広大
太田 格之進
1’43.988 1’43.220
3 14 ENEOS X PRIME GR Supra 大嶋 和也
福住 仁嶺
1’44.221 1’43.143
4 24 リアライズコーポレーション ADVAN Z 松田 次生
名取 鉄平
1’43.670 1’43.935

Q1: Start: 13:50’00 Finish: 14:05’00
Q2: Start: 14:48’00 Finish: 15:03’00

近藤真彦監督のコメント

近藤 真彦 PHOTO

気温が低いなかでのドライブはかなりハードだったと思います。持ち込んだタイヤには、それぞれいいところが見つかっているものの、”レースで強い”とか、”ウォームアップがいい”とか、それぞれコンディションが違うんです。つまり、トータル的にいい点数をつけられるタイヤがまだ見つかっていない、というのが現状です。徐々にいいタイヤが出来ているのは、Q1での名取選手の走りを見ていただければわかること。タイヤのいい部分をしっかりと引き出したものでした。発展途上中、ということですね。そういうこともあり、今回は明日の決勝でしっかりとまとめていこう、という話になっていたのですが、その割には今日の予選でもきっちりとまとめることができたのではないかと思います。予選に限っていえば、シーズンベストの”95点”をつけたいですね。明日の決勝も、今日の午後のようにしっかりと日差しに恵まれ、風もない方が嬉しいですね。展開次第ではガマンのレースになる可能性もありますが、良いレースになればいいなと思います。

松田次生選手のコメント

松田 次生 PHOTO

テタイヤに関しては、ウォームアップがなかなか厳しかったですね。そのなかでそれなりにまとめることができて良かったです。クルマのセッティングはほとんど変えず、もうタイヤだけに特化して作業を進めました。とはいえ、アタックではタイヤの発動も気がかりだったので、少しマージンをもったアタックになってしまいました。もうちょっと攻めても良かったかなと、もったいないような気持ちもありますが、まず自分たちの仕事としてはしっかりできて良かったとも思います。レース中はタイヤのウォームアップが大きなポイントになると思います。そこさえうまくいってくれたら良い戦いができると思うのですが⋯⋯。少しでもいいポジションで戦いたいですね。

名取鉄平選手のコメント

名取 鉄平 PHOTO

朝の公式練習では赤旗やFCY練習などもあったし、タイヤもこれ、というものが無かったので、ロングランを試すことも出来ませんでした。GT500クラスの専有走行を走った時点では、今回、トップ争いは難しいのかなと思っていたんですが、予選になって路面温度が上がり、違うタイヤで試したところ、ウォームアップは厳しかったですが、パフォーマンスとしては満足のいくものがありました。なんとかトップタイムをキープしたままQ1を終えることが出来て良かったです。このまま総合タイムでポールポジションも獲れるかなと一瞬思いましたが、やっぱり周りもQ2でタイムアップしてきましたね。まぁそこは仕方ないかなと思います。どうしてもタイヤ的にウォームアップで苦戦する状態であるのがわかっているので、明日のレースもそこが心配な点ですね。天候などのコンディションが良くなっても、やはりレースは条件的に厳しい戦いになると思います。とはいえ、予選としては最大限力を出すことが出来たのでその点は良かったと思います。

村田卓児エンジニアのコメント

クルマのセッティングとしては、そこそこ良いものが用意できたと思っています。しかしながら、やはりこの寒い季節でのレースは、条件的にかなり厳しいものでした。気温、路面温度が夏場と違って低いので、レースでも大変だと思います。今朝の公式練習ではいろいろと試したいこともありました。基本的にはロングランをしてタイヤの比較がしたいと思っていたのですが、赤旗やFCYの練習に時間を取られてしまい、作業が出来ずに終わってしまいました。決勝は気温云々よりも、日差しがしっかりあればいいなという感じです。予選ではいいポジションにつけることができましたが、決勝ではどうしてもタイヤ交換後のウォームアップに時間を要するので、厳しい戦いになると思います。与えられた条件のなかでしっかりとやれることをやっていく事になると思います。

二日目 決勝(12月8日・晴れ/ドライ)

決勝レポート

タフなコンディションで粘りを見せるも、トラブルで後退

12月8日、三重・鈴鹿サーキットにおいてSUPER GT第5戦の決勝が行なわれ、KONDO RACINGのNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN Zは、予選で4番手から冷たい風が吹く低気温のコンディションでの戦いに挑んだ。だが、タイヤトラブルに悩まされてイレギュラーのピットイン。結果、15位でシーズン最後の戦いを終えている。

レースウィーク中、終始ドライコンディションでの走行が叶った最終戦。しかし、冬到来の中で、気温・路面温度は12月ならではの低温となり、No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Zにとっては厳しい条件下での戦いになることは間違いない。加えて、前日の予選では長らく穏やかな日差しに恵まれたが、決勝日は曇り空が先行。冷たく強い風が吹き、午後からの決勝に向けて大きく気温が上がることはなかった。52周の決勝レースは午後12時40分に号砲。直前のコンディションは気温13度、路面温度21度だったが、曇り空の下で、路面温度が急激に下がり17度となった。なお、前日の予選で3番手だった車両が、ペナルティを受けてグリッド降格となったことで、No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Zは3番手のスターティンググリッドに。また、フォーメーションラップが予定より1周追加されてレースは51周での戦いへと変わった。スタートを担当したのは、名取鉄平選手。予選Q1トップタイムをマークした勢いで決戦に臨むも、やはり懸念材料だったタイヤのウォームアップに悩まされ、オープニングラップで最後尾へとポジションを下げてしまう。しかし、タイヤが発動すると名取選手は1台、また1台と逆転を果たす力強いパフォーマンスを披露。今シーズン、GT500クラスにステップアップし、1シーズンを戦ってきたなかでの”進化”を見せつけた。

レースは序盤からFCY(フルコースイエロー)が導入される慌ただしい展開になるなか、No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Zは10位で周回。17周を終えると、続々とライバルたちはルーティンのピットインを始めたが、チームはタイミングを外して20周終了時にピットへ。給油とタイヤ交換を速やかに行ない、松田次生選手へとスイッチした。コース復帰後も10番手に留まり、周回を重ねていたNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z。シーズン3度目の入賞を目指して松田選手が安定したラップタイムを刻んでいく。前後車両との間隔も開くという膠着状態だったが、チェッカーまで残りわずか7周となった44周目にまさかの緊急ピットイン! あろうことかスローパンクチャーに見舞われ、タイヤ交換を強いられた。積み重ねてきた努力が水泡に帰すという悔しい思いの中、再びコースに復帰した松田選手は最後尾で51周目の最終ラップを走破し、シーズン最後のチェッカーを受けている。

タイヤ開発を進めるなか、要所要所で強さや速さを披露してきたNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z。第7戦オートポリスでは、不安定なコンディションでのアタックからポールポジションを獲得。また、今大会のQ1でもトップタイムを刻むなど、進化の過程をパフォーマンスでアピールしてきた。だが、その一方で、”結果”としての形を残す には至らず、シリーズランキングは14位に留まった。来シーズンこそ、着実に進む開発をさらに次のステージへと引き上げ、その結果をレースのリザルトにしっかりと反映させていきたい。/p>

決勝結果

Pos. No. TEAM DRIVER TIME/DIFF LAPS SW
1 36 au TOM’S GR Supra 坪井 翔
山下 健太
1:44’15.090 51
2 17 Astemo CIVIC TYPE R-GT 塚越 広大
太田 格之進
1.513 51
3 12 MARELLI IMPUL Z 平峰 一貴
B.バゲット
9.342 51
15 24 リアライズコーポレーション ADVAN Z 松田 次生
名取 鉄平
1 Lap 50

開始:14:37’04 終了:16:37’47.329
ファステストラップ : 1’47.135 (4/50) 195.130 km/h No.24 Teppei Natori / REALIZE CORPORATION ADVAN Z

No. TEAM LAPTIME
24 REALIZE CORPORATION ADVAN Z 1’47.135

近藤真彦監督のコメント

近藤 真彦 PHOTO

また、来シーズンに向けて仕切り直し、ですね。確かに、シーズンを通してタイヤのパフォーマンスは良くなってきましたが、トータルではまだまだ。予選での一発の速さがあっても、ウォームアップには課題がある。でも、レース中のタイムを見れば、ブリヂストン勢より速さを見せる時もありました。そういう状況のなかで、今回は各スティントにおいて、”あと10周”が足りなかったですね。結果として、名取選手、松田選手のどちらのスティントでも、この”あと10周”が足りず、ピットインのタイミングが早まったり、スローパンクチャーでイレギュラーのピットインが必要になりました。シーズン前半は、何が課題なのかすらわからなかったのですが、テストを重ねることで、その課題が明確になってきました。オフシーズンのマレーシア・セパンでのテストではしっかりと問題に取り組んで、来シーズンに向けての準備を進めていく事になると思います。

松田次生選手のコメント

松田 次生 PHOTO

名取選手から交代して、あのままのポジション(10位)でチェッカーを受けたかったですね。終盤になって、スローパンクチャーを起こしたので、ピットに入らざるを得ませんでした。ペースもよく、前のクルマにも追いついていただけに、本当に残念です。ポイント獲得が目の前でしたからね。レースでは、心配していた通りタイヤ交換後のウォームアップがやはり厳しかったです。この寒い時期は尚更ですね。タイヤの開発を進めていくなかで、まだまだ改善の余地はありますが、しっかりと課題は見えています。それをどう解決していくのか、そこがポイント。僕は今シーズンからチームに加入し、その過程を見てきましたが、開幕での内容と比較しても改善が進み、確実にいいところが伸びてきているのを感じているので、この流れを継続できればと思います。

名取鉄平選手のコメント

名取 鉄平 PHOTO

ある意味、オープニングラップでは”見せる”ことが出来たと思います(苦笑)。タイヤのウォームアップが他車よりも時間がかかり、ポジションを大きく落としてしまいました。ただ、タイヤが温まってからは、クルマのペースが結構良かったので、ポジションを上げていきました。とはいえ、SUPER GTでの12月のレースは初めてだったし、データもない中での戦いだったので、色々と難しかったです。GT500クラスのデビューイヤーでしたが、前半はタイヤの使い方だったりレースラップやタイヤのピックアップといったマネージメントなど、GT300クラスでは経験できないことを学ぶことが多くありました。その点は序盤の課題ではありましたが、次第に慣れて、後半は予選でもポールポジションを獲ったり、今回も予選Q1でトップタイムをマークしたり、また、レースで追い上げたりと、いろいろパフォーマンスを見せることは出来たと思います。自分でもレベルアップを感じる事が出来ました。

村田卓児エンジニアのコメント

実のところ、タイヤのトラブルは松田選手のスティントだけでなく、名取選手のスティントでも似たような状況になっていました。結果としてそのリスク回避のためにピットインしましたが、あれ以上周回を重ねていたら、同じ症状が出ていたでしょう。前半スティントの状況を踏まえ、松田選手にはペースを抑えてコントロールしてもらったにも関わらず、なんとか入賞したかったのですが、結局トラブルが出てしまって残念です。一方、シーズンを振り返ると、前半こそトラブル続きで厳しい状況が続きました。確かに今シーズンはクルマだけでなく、チームとしてもドライバーを新しく迎え入れるなど大きな変化がたくさんあったので、手探りで進めた部分も多くありました。そんな中、中盤以降はチームのコミュニケーションも確立され、ドライバーのタイヤへの理解度も深まったり、前進できた部分もありました。その結果が、予選でのパフォーマンスにも現れたのではないでしょうか。後半戦でそういう良いところを見せられたと思います。

PHOTOギャラリー

Loading...