RACE REPORT
SUPER GT GT500
第6戦 スポーツランドSUGO
一日目 予選(9月20日・曇り/ドライ)
予選レポート
みちのく・SUGO戦は予選5位から決戦を迎える
9月も中旬に入り、少しずつ秋の訪れを感じ始めるなかで迎えたSUPER GT第6戦。宮城・スポーツランドSUGOを舞台に、No.24 リアライズコーポレーションADVAN Zは予選5番手通過を果たし、決勝に向けて手応えを得る走りを見せた。
搬入日の金曜日は日差しが強いものの湿度が低く、比較的過ごしやすい秋晴れに恵まれたSUGO。しかし予選日は早朝からあいにくの雨模様に見舞われた。ただし雨量は少なく、サポートレース中に雨も上がり、徐々にコンディションは回復。午前9時15分から始まった公式練習は、路面こそウェットコンディションながら、時間をかけてゆるやかにドライアップしていった。
公式練習でのNo.24 リアライズコーポレーションADVAN Zは、GT300クラスとの混走中は1分12秒台に留まっていたが、FCYテスト後のGT500クラス専有に入ると、ステアリングを握った松田次生選手はセッション終盤のアタックシミュレーションで1分10秒508の好タイムをマーク。4番手でセッションを終えた。
正午になると上空も明るくなり、路面も完全にドライへ。ただ気温、路面温度ともに大きな変化はなく、GT300クラスの予選Q1開始となる午後2時05分時点で気温21度、路面温度25度というコンディションに。GT500クラスのQ1開始時も同様で、チームはまず公式練習でチームベストを記録した松田選手にアタックを託した。
硬めのタイヤを装着して挑んだ松田選手は、他車よりも早めのコースインでタイヤをしっかりと温め、計測4周目に1分10秒061をマークして公式練習時のタイムを上回る。さらに翌周には1分10秒055を記録。100分の数秒差でポジションが大きく入れ替わるタフなアタック合戦となったが、9番手を確保してQ1突破を果たした。
続くQ2には名取鉄平選手がコースイン。気温、路面温度ともQ1時より1度ずつ上昇するなか、Q1でのフィードバックをもとにじっくりとタイヤを温めてアタックを開始。ライバルが早い段階で自己ベストタイムをマークするなか、名取選手は計測5周目に1分09秒746の好タイムを叩き出して5番手へ。決勝は3列目からスタートし、是が非でも好結果を掴み取りたいところだ。
公式予選記録
| Pos. | No. | TEAM/MACHINE | DRIVER | Q1 | Q2 | SW |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 16 | ARTA/ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16 | 大津 弘樹 佐藤 蓮 |
1’09.825 | 1’09.122 R | 18 |
| 2 | 39 | TGR TEAM SARD/DENSO KOBELCO SARD GR Supra | 関口 雄飛 サッシャ・フェネストラズ |
1’09.365 R | 1’09.568 | 58 |
| 3 | 3 | NISMO NDDP/Niterra MOTUL Z | 佐々木 大樹 三宅 淳詞 |
1’09.942 | 1’09.586 | 34 |
| 5 | 24 | KONDO RACING/リアライズコーポレーションADVAN Z | 松田 次生 名取 鉄平 |
1’10.055 | 1’09.746 | 1 |
Q1: Start: 14:38:00 Finish: 14:48:00Q2: Start: 15:16:00 Finish: 15:26:00
近藤真彦監督のコメント

今日は今のチームが持っている力を全部出すことができたし、その結果があの順位になったと思っています。まずQ1突破が大変でしたね。僅差のポジション争いになったのですが、(松田)次生がうまく合わせ込んでくれてQ2進出に繋げてくれました。Q2担当の名取は、アタックに行ったところ前のクルマに引っかかってしまいましたが、気持ちを切り替えてもう1周アタックできたことで、あのタイムに繋がりました。明日はドライコンディションでのレースになりそうですが、これまでのように気温がとても高くなるわけでもないのでチャンスはあると思います。表彰台を狙っていきたいですね。
松田次生選手のコメント

とてもタフなQ1でした。ドライバーの顔ぶれを見ても強敵ばかりでしたし、大変でした。もっと気温や路面温度が上がると思っていたので、やや硬めのタイヤでアタックしました。グリップさせるのが難しかったのですが、なんとかがんばってうまく合わせられたという感じです。明日の決勝では、タイヤの摩耗状態がカギになると思います。周回数を考えると決して楽ではないですが、コンディションに合わせられるよう、うまくコントロールしていきたいです。しっかり結果を残せる様に頑張ります!
名取鉄平選手のコメント

朝の公式練習ではまだ路面が濡れて、ダンプコンディションで走ることが多く、ちゃんとしたドライコンディションは走れていませんでした。ドライで走った松田選手からインフォメーションをもらって、Q2に挑みました。装着していたタイヤは発熱が遅いと予想していたので早めにコースインしたのですが、アタックに向かうと、思ったよりタイヤの内圧が上がり、熱の入りも早かったんです。そういう意味では、自分のイメージしたタイミングではありませんでしたが、ミスもなくアタックすることはできました。ポイントは十分狙えるポジションからのレースになるので、ミスなく戦えれば結果はついてくると思います。チームのみんなといい仕事ができるようにがんばります。
大駅俊臣エンジニアのコメント
持ち込んだタイヤの性能をうまく引き出すように準備を進めました。朝の公式練習からセットアップを進めるなかで、松田・名取両選手がうまくアタックしてくれたと思います。今回のSUGOはサクセスウェイトがフルの状態になる最後のレースなので、まだ搭載ウェイトが軽いうちに戦える最後のチャンスということになります。ミスせず、しっかりとクルマとタイヤのパフォーマンスを引き出し、着実にポイントを獲得するレースをしたいと思います。
二日目 決勝(9月21日・晴れ/ドライ))
決勝レポート
波乱のレースで奮闘。一瞬の好機を掴み、大逆転勝利!
予選日から一転、爽やかな秋空が広がる好天に恵まれた決勝日。湿度も低く、スポーツランドSUGOはシーズン一番のレース日和となった。予選5位からスタートを切ったNo.24 リアライズコーポレーションADVAN Zは、終始にわたり力強いレース運びを見せ、ファイナルラップで攻防戦を制して逆転に成功。チームとして9年ぶりの美酒に酔うこととなった。
秋晴れの下、多くの観客が見守るなかで幕が上がった決勝。ウォームアップでの赤旗中断を受け、スタートは当初の予定より10分遅れで進行。午後1時40分、気温24度、路面温度33度のコンディションのもと、宮城県警によるパレードラップ、そしてセーフティカー先導によるフォーメーションラップから300kmの戦いが始まった。
No.24 リアライズコーポレーションADVAN Zのスタートドライバーは松田次生選手。昨日の予選ではQ1でタイヤコンディションをしっかりと見極め、Q2担当の名取鉄平選手への的確なフィードバックが予選5番手獲得に繋がったのは言うまでもない。決勝でもタイヤが発動しはじめると、前方のライバルたちを着実に仕留めてポジションアップを果たしていく。まず4周目に1号車Supraをメインストレートで、続いて9周目の1コーナーで3号車Zを逆転。さらに14周目には16号車CIVICをかわして2番手へ浮上した。19周目にFCY(フルコースイエロー)が導入されたが翌周に解除。松田選手はこのタイミングを逃さず、23周目のメインストレートで39号車Supraを逆転してトップに浮上する走りを見せた。しかしその後、再び39号車にトップを譲ることになったが、その背後に喰らいつく形で周回を続けた。
レースは周回数の3分の1を過ぎた28周目からルーティンのピットインを行うチームが現れ、数周のうちに半数以上が作業を完了。No.24 リアライズコーポレーションADVAN Zはそのまま周回を重ね、39周終わりで満を持してのピットインした。
松田選手からのバトンを受け取った名取鉄平選手は、GT500全車がピットを終えると3番手から追い上げ開始。だが45周目にこの日2度目のFCYが導入され、47周目に解除。直後の最終コーナーからメインストレートへの上り坂で複数の車両が絡んだマルチクラッシュが発生し、一旦、SC導入に。その後、車両回収やガードレール修復に時間を要し、50周目には赤旗が提示されレースは一時中断となった。
およそ1時間後に再開されたレースは、最大延長時間となる午後4時30分までのタイムレースとして再開。SC先導で残り30分のバトルが始まった。3位からリスタートを切ったNo.24 リアライズコーポレーションADVAN Zだったが、1コーナー先で1台が停止し、3度目のFCYに。解除後は残り15分弱での戦いとなった。
名取選手は周回を重ねるごとに、前方の17号車CIVICに迫り、60周目の1コーナーで鮮やかに逆転。その勢いでトップの39号車に急接近する。要所で勝負を仕掛ける名取選手はテール・トゥ・ノーズでの攻防を続け、65周目の1コーナーで勝負に出たが、オーバーランしてアウト側の縁石に乗り上げてしまい、背後の17号車に差を詰められる。その後も激しい攻防を続けるなか、GT300の周回遅れに前方が阻まれたことでトップとの差が縮まり、後方の2台も加わって4台による緊迫したトップ争いへと発展した。
残り時間5分を切り、手に汗握る状況での激闘が続くなか、名取選手はチェッカーラップとなる70周目の馬の背コーナーで39号車と並走し、SPイン側から鮮やかに逆転!ついにトップを奪い、そのまま逃げ切ってトップチェッカーを受けた。
劇的なパフォーマンスで観客を沸かせ、大逆転勝利を飾ったNo.24 リアライズコーポレーションADVAN Z。2016年、熊本地震で中止となったオートポリス大会の代替として11月にもてぎで開催された第3戦以来となる優勝に歓喜した。松田選手にとっては2023年開幕戦岡山以来の勝利で、GT500クラス25勝目を挙げ最多勝記録を更新。一方、名取選手にとっては、GT500クラス待望の初優勝となっている。
厳しいシーズンを過ごしていたKONDO RACINGにとっては待望のシーズン初勝利。この勢いを次戦以降に繋げ、ランキングアップを狙いたいところだ。
決勝結果
| Pos. | No. | TEAM/MACHINE | DRIVER | TIME/DIFF | LAPS | SW |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 24 | KONDO RACING/リアライズコーポレーションADVAN Z | 松田 次生 名取 鉄平 |
2:44’59.658 | 70 | 1 |
| 2 | 39 | TGR TEAM SARD/DENSO KOBELCO SARD GR Supra | 関口 雄飛 サッシャ・フェネストラズ |
0.649 | 70 | 58 |
| 3 | 17 | Astemo REAL RACING/Astemo CIVIC TYPE R-GT | 塚越 広大 小出 峻 |
0.886 | 70 | 24 |
開始:13:45:28 終了:16:30:28
ファステストラップ : No.16 Hiroki Otsu 1’12.079 2/70 179.128km/h
| No. | TEAM | LAPTIME |
|---|---|---|
| 16 | ARTA | 1’12.079 |
近藤真彦監督のコメント

今日はGT300クラスとのダブルウィンの可能性もあるレースでした。条件を考えても、この結果には満足していますし、うれしく思います。9年ぶりの勝利となりましたが、これを機にさらにいい戦いを続けていけたらと思いますね。予選結果を見て表彰台は狙えると思っていましたが、正直、優勝は難しいと感じてもいました。ただ、他車のタイヤパフォーマンスの状況を聞いて、「うまくいけばチャンスがある」と考え直しました。松田選手が健闘してくれ、タイヤはグレイニングも出なかった。多少ピックアップはあったものの、第1スティントの松田選手の走行後のタイヤも大きな問題はなかったので、名取選手にはプッシュしていけと背中を押すことができました。FCYやSC、さらに赤旗もある大変なレースでしたが、終盤のタフな攻防を制して最後の最後に逆転してくれました。あの状況では何も語らず、彼に任せるしかないと思って見守っていました。これまでGT300でも彼の走りを見てきたので、今日のパフォーマンスを見ても驚きはしませんが、それをファンや関係者に見てもらえたことをうれしく思います。
松田次生選手のコメント

今日は120%の力を出し切ったという感じです。本当にうれしい優勝です。自分たちが「こういうタイヤを作りたい」という思いをもってヨコハマタイヤさんと議論を重ねてきました。今回は新しい路面のSUGOに合うと信じた硬めのタイヤを選びました。序盤は厳しいものでしたが我慢すれば絶対いけると思っていました。ピットインを遅らせる戦略もありましたし、タイヤをセーブしつつオーバーテイクするという難しさもありましたが、しっかりマネージメントして走れました。今回の勝利でGT500での25勝目を達成できたこともうれしいです。努力が報われたと感じます。
名取鉄平選手のコメント

トップ争いの中で、自分としては「もう行くしかない」と信じて走っていました。タイヤのピックアップは多少ありましたが、ファイナルラップで仕留めなければ次はないと思い、覚悟を決めて勝負しました。赤旗中断後の再開では、他メーカーのタイヤと比べてウォームアップが心配でした。リスタートはきつかったですが、なんとか後続をシャットアウトすることができました。久々の優勝に貢献することができてうれしいです。
大駅俊臣エンジニアのコメント
ドライバーふたりの頑張りで久々の優勝を飾れて良かったです。前回の鈴鹿では悔しい結果だったので、SUGOに向けてしっかりタイヤ選びを行ないました。路面や気温を含めたコンディションとの相性もよく、タイヤ・クルマ・ドライバー・チームの仕事がすべてうまく噛み合ったことがこの勝利に繋がったと思います。FCYやSC、赤旗で荒れた展開になりましたが、赤旗中断でトップとのギャップがほとんどなくなったことも追い風でした。いろんな条件が重なり、劇的な逆転勝利を呼び込んだと思います。


















