RACE REPORT
SUPER GT GT500
第8戦 モビリティリゾートもてぎ
一日目 予選(11月1日・晴れ/ドライ)
予選レポート
最終戦は6位から。松田&名取コンビで”有終の美”を目指す!
11月1日、栃木・モビリティリゾートもてぎにおいてSUPER GT第8戦の予選が行なわれた。松田次生・名取鉄平両選手がコンビを組む最後のレースとなるなか、Q2まで駒を進めたNo.24 リアライズコーポレーションADVAN Zは6番手から翌日の決勝を迎えることとなった。
搬入日の金曜日は鉛色の雲がサーキット一面に広がり、夕方前には雨模様となったもてぎ。夜半まで雨は降り続いたが、翌朝はすっきりと晴れ上がり、終日秋晴れの天気に恵まれた。朝の公式練習はコースの一部がまだ濡れていたためウェット宣言下でのスタートとなったが、次第にドライアップ。セッション終了時には完全ドライでの走行が可能となった。そのなかでNo.24 リアライズコーポレーションADVAN Zは7番手となる1分37秒366のタイムをマークし、午後の予選に向けて手応えあるセッションとなった。
なお、第7戦オートポリス大会のあと、松田選手は今シーズンをもってSUPER GTからの”卒業”を宣言。2000年、TIサーキット英田(現・岡山国際サーキット)での第5戦でデビューして以来、25年半という長きにわたり戦ってきたGTレースから引退を自ら決断した。昨シーズン、KONDO RACINGのチームドライバーとなった松田選手は、これまでNISSAN/NISMOで培ってきたクルマ開発や、さまざまなタイヤメーカーで戦ってきた経験に基づくフィードバックに努めてきた。第6戦SUGOではチームにとって9年ぶりとなる勝利にも貢献するなど、2シーズンと短い時間ながらチームに多くの”引き出し”をもたらしてくれた。改めてその功績に感謝したい。
公式練習では17~20度だった気温が、午後2時からの予選開始時には22度に上昇。路面温度も28度まで上がった。GT300クラスのQ1を経て、GT500クラスQ1は午後2時33分にスタート。No.24 リアライズコーポレーションADVAN Zのコクピットには名取選手が収まった。
タイヤを適切なタイミングで発動させるため、ライバルたちに先んじてコースインした名取選手。しっかりとタイヤを温めてアタックに入り、まずは1分36秒487をマークしてトップに浮上。その後、他車が続々とベストを更新しポジションが入れ替わるなか、名取選手はさらにもう1周アタックを続け、1分35秒895へとタイムアップ。2番手に再浮上し、Q1通過を果たした。
願ってもない形でQ2へとバトンを託された松田選手。Q1とほぼ同じコンディションの中でアタックに臨み、しっかりとタイヤのグリップを引き出すべく照準を合わせた。まず1分36秒284をマークし、他車も次々と自己ベストを更新して激しいポジション争いを展開。松田選手もさらに翌周アタックを試みたが、惜しくもタイム更新はならず。結果、6番手でセッションを終えた。
翌日の決勝も、予選日同様に穏やかな晴れのコンディションとなる見込み。クルマとタイヤのマッチングもよく、速さと強さをしっかりと引き出すべく、最後の最後まで全力で挑む。
公式予選記録
| Pos. | No. | TEAM/MACHINE | DRIVER | Q1 | Q2 | SW |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 38 | TGR TEAM KeePer CERUMO/KeePer CERUMO GR Supra | 石浦 宏明 大湯 都史樹 |
1’36.022 | 1’35.768 | |
| 2 | 1 | TGR TEAM au TOM’S/au TOM’S GR Supra | 坪井 翔正 山下 健太 |
1’35.675 | 1’35.943 | |
| 3 | 23 | NISMO/MOTUL AUTECH Z | 千代 勝正 高星 明誠 |
1’36.103 | 1’36.069 | |
| 6 | 24 | KONDO RACING/リアライズコーポレーションADVAN Z | 松田 次生 名取 鉄平 |
1’35.895 | 1’36.284 |
Q1: Start: 14:33’00 Finish: 14:43’00Q2: Start: 15:11’00 Finish: 15:21’00
近藤真彦監督のコメント

今回でSUPER GT最後のレースになる松田選手は、「もう目一杯がんばった」と言っていましたね。また、自分のチームメイトであり一番のライバルでもある名取選手のことも褒めていました。今年SUGOで優勝してくれて、チームにいい置き土産をしてもらえてうれしいし、僕自身も松田選手に25勝目をプレゼントできたことをうれしく思っています。明日の決勝も楽しみです。タイヤのフィーリングもよく、ポジティブな気持ちでレースを見守れそうです。決勝に向けて、うまく”整った”という印象があるので、オーソドックスな戦い方でしっかりと力を出せれば、いい結果につながると信じています。
松田次生選手のコメント

Q1を担当した名取選手ががんばってタイムを上げてくれて、2番手で通過してくれました。僕も担当したQ2でもう少し上のポジションを狙っていたのですが、タイヤのピークをうまく引き出しきれなかったかなという感じです。それだけに少し悔しさはありますが、しっかりと走り切れたという気持ちもあります。天候も安定しているし、明日も同じようなコンディションであれば、いいタイヤを持ち込めたと思います。自分で作り上げたセットだっただけに、それがうまく機能したのはうれしいですね。決勝に向けては多少ピックアップが心配ですが、他車も同じ状況だと思うので、まずはしっかりと走り切ってチェッカーを受けたいです。そうすれば、自然と結果はついてくると思います。
名取鉄平選手のコメント

公式練習からクルマの状態は悪くなかったです。一方で、予選は10分という短い時間だったので、持ち込みタイヤがしっかり温まるかという不安はありました。今回は松田選手のラストレースになるので、「なんとしてもQ2まで行かなくては」というプレッシャーがありました。松田選手にQ2を担当してもらうことは早くから決まっていたし、僕自身もそうしてもらいたいと思っていたので、いいタイムでQ1を突破できたのは良かったです。前回のオートポリスでは僕はドライブできなかったので、もてぎでは松田選手と一緒に、最後までいいレースができるとうれしいです。
大駅俊臣エンジニアのコメント
予選中の気温・路面温度は、今回持ち込んだタイヤとの相性が良く、いいアタックができたと思います。事前にもてぎで行なわれた公式テストでも良い走りができており、そのデータも活かすこともできました。アタックでは、Q1担当の名取選手、Q2担当の松田選手の両者が、クルマとタイヤのポテンシャルをしっかり引き出す走りをしてくれました。明日の決勝では最後まで走り切ってチェッカーを受け、1点でも多くのポイントを獲りたいと思います。
二日目 決勝(11月2日・曇り/ドライ)
決勝レポート
松田選手のラストレースを10位入賞で飾る
11月2日、薄曇りの天気のもと、2025年シーズンのSUPER GT最終戦となる第8戦もてぎが300kmレースとして開催された。予選6位からスタートしたNo.24 リアライズコーポレーションADVAN Zは10位でフィニッシュし、今シーズン3度目の入賞を果たした。
2024年シーズンからチームとともに戦ってきた松田次生選手。今大会は、松田選手にとってKONDO RACING、そしてSUPER GTでのラストレースとなる。チームは「松田選手とともに最高の締めくくりを」と、全員が一丸となってベストレースを目指した。
一方で気がかりだったのが空模様。前日の秋晴れとは一転、日曜日は灰色の雲がサーキット一面に広がり、穏やかな日差しも影を潜めた。結果、午後1時の決勝を前に、気温・路面温度は前日比でともに3~5度低下。チームにとって決して歓迎できるコンディションではなく、タフな戦いになることが予想された。
今回のスタートドライバーを務めたのは名取選手。”大先輩”松田選手のラストランに向け、好スタートを切りたいと臨んだが、気温19度・路面温度24度のコンディションでは思うようにタイヤが作動せず、パレードラップ、フォーメーションラップを重ねてもなお十分なグリップを得られず、序盤はポジションを大きく落とす展開に。それでもタイヤが温まり始めると、名取選手は攻めの走りを披露し、粘り強くひとつ、またひとつとポジションを上げていった。
レースが3分の1を過ぎた22周終了以降からはルーティンのピット作業が始まる。No.24 リアライズコーポレーションADVAN Zは24周終了時にピットインし、名取選手から松田選手へとバトンをつないだ。
当然ながら、交換したばかりの新しいタイヤは”冷えた”状態。戦闘モードに入るまでに時間を要するため、松田選手も名取選手同様、ポジションアップを目指して奮闘する。舞台となるもてぎはパッシングポイントが少なく、コース上にはラップ遅れのGT300クラス車両も入り乱れる厳しい状況。それでも松田選手は逆転のチャンスをうかがい、緩急自在の走りで周回を重ねた。
チェッカーが近づく終盤、松田選手は入賞を目指して前方の車両を猛プッシュ。しかし惜しくも逆転ならず、0.252秒差の11位でチェッカーを受けた。だが、レース後の再車検で上位入賞の1台が失格となり、最終結果は10位。入賞という形でSUPER GTでのラストレースを締めくくった。
クルマとタイヤの進化を追求しながら、タフなシーズンを戦い抜いたNo.24 リアライズコーポレーションADVAN Z。松田選手の卒業により、来シーズンは新たな体制で臨むことになるが、戦いはすでに次のステージへ。さらに速く、もっと強いチームを目指し、挑戦は続いていく。
決勝結果
| Pos. | No. | TEAM/MACHINE | DRIVER | TIME/DIFF | LAPS | SW |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 1 | TGR TEAM au TOM’S/au TOM’S GR Supra | 坪井 翔 山下 健太 |
1:51’05.545 | 63 | |
| 2 | 23 | NISMO/MOTUL AUTECH Z | 千代 勝正 高星 明誠 |
1.269 | 63 | |
| 3 | 100 | STANLEY TEAM KUNIMITSU/STANLEY CIVIC TYPE R-GT | 山本 尚貴 牧野 任祐 |
26.945 | 63 | |
| 10 | 24 | KONDO RACING/リアライズコーポレーションADVAN Z | 松田 次生 名取 鉄平 |
1’11.220 | 63 |
開始:13:07’23 終了:14:58’28
ファステストラップ : CarNo.23 M.Takaboshi / MOTUL AUTECH Z 1’38.884 (3/63) 174.787km/h
| No. | TEAM | LAPTIME |
|---|---|---|
| 23 | NISMO | 1’38.884 |
近藤真彦監督のコメント

天気がもう一日もってほしかったですね。そう考えると、今年一年はタイヤで悩み、泣き、笑う“シーズン”だったように思います。良い時と悪い時の差が大きく、SUGOで優勝できたときもあれば、まったくダメだったときもありました。最終戦の今回は、もし土曜日と同じコンディションだったら、まったく違う結果になっていたかもしれません。タイヤが温まってからのパフォーマンスには目を見張るものがありました。長いシーズンでしたが、来年の戦いはすでに今日から始まっています。強いレースができるよう頑張りますので、引き続き応援してください!
松田次生選手のコメント

朝の時点では気温も上がって晴れるのかなと思っていたのですが、決勝を前に曇ってしまいましたね。タイヤが早く作動すれば、上位争いもできたと思います。でも、そうした”足りない部分“が明確になっているので、今後のタイヤ開発にしっかり活かしてもらいたいです。レースでは難しいコンディションのなかで3台ほどオーバーテイクできたので、気持ち良かったですよ。今回は後半スティントを担当させてもらいましたが、”最後のレースだから”という特別な意識はなく、とにかく”目の前のクルマとの差を詰めよう、一台でも多く抜きたい”という気持ちで走っていました。
名取鉄平選手のコメント

決勝での路面温度と気温が少し気がかりでした。結果として予選ほど暖かくならず、タイヤの温まりに時間がかかってしまい、序盤でポジションを大きく下げることになりました。とにかくウォームアップが厳しかったですね。ただ、チャンスができたときにはオーバーテイクも決めることができ、順位も上げることができました。今シーズンはタフな中でも優勝を経験でき、自分にとっても大きな成長のシーズンになりました。多くの方に自分の存在をアピールできたことが嬉しいです。
大駅俊臣エンジニアのコメント
今回のレースは、選択したタイヤのパフォーマンスをいかに引き出すかという戦いでした。温まるまでは我慢を強いられましたが、その後は名取選手も松田選手も揃って良い走りを見せてくれました。しっかりとクルマとタイヤのポテンシャルを引き出してくれたと思います。タフなレースが続いたシーズンでしたが、SUGOで優勝という結果を残せましたし、最終戦でも入賞して締めくくることができました。チェッカー後にポジションが上がり、その目標を達成できたのは良かったです。















