RACE REPORT
SUPER GT GT500
第8戦 モビリティリゾートもてぎ
予選(11月2日・雨/ドライ・ウェット)
予選レポート
悪天候のなか、予選は14番手にとどまる
11月2日、栃木・モビリティリゾートもてぎにおいて、2024年SUPER GT第8戦の予選が行なわれ、KONDO RACINGのNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN Zは雨のなか渾身のアタックを見せるも、タイムを伸ばせず。14番手から決勝に挑むことになった。
第5戦鈴鹿が延期され、それ以降第6戦SUGO、そして2週間前の第7戦オートポリスは連続して雨のレースとなったが、今大会も同様にウェットコンディションからのスタートとなった。まず、予選日は、午前9時から公式練習が行なわれたが、開始早々、トラブル発生でコースサイトに車両が停止したことで赤旗が提示された。その後も走行中に足元をすくわれてコースアウトするクルマが続出。No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Zもハイドロプレーニングを起こし、S字カーブでコースアウトを喫するなど一瞬ひやりとするシーンが見られたが、大事には至らず。引き続きウエットコンディションでのクルマ作りに取り組んだ。
開始から1時間半が近付くなか、やや雨量が少なくなると各車がチームベストタイムを更新しはじめ、No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Zも同様に、松田次生選手が1分52秒837をマークしてポジションアップを果たした。なお、その直後、セッション5回目となる赤旗が提示されることになり、GT300クラスとの混走はこのタイミングで終了に。加えて、その後雨脚が強まったことで、GT500クラスの専有走行はキャンセルとなる。結果、No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Zは、4番手で朝のセッションを終えることになった。
午後の予選を前に雨は一旦小康状態となったが、午後2時、GT300クラスのQ1がスタートするとまたしても本降りの雨となる。気温17度、路面温度19度のコンディションのなか、GT500クラスのQ1は午後2時53分から10分間でのアタックとなる。No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Zのステアリングを握ったのは、松田次生選手。難しい路面コンディションを見極めるように走行し、タイヤに熱を加えていく。序盤こそ、上位につけていたNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN Zだが、セッション終盤に本格的なアタックが始まると、ライバル勢が大幅にタイムアップ。松田選手もラストアタックで1分53秒403の自己ベストタイム更新を果たしたが、ポジションは14番手止まりとなった。
GT300 クラスのQ2 を挟んで行なわれたGT500 クラスのQ2。気温、路面温度にほぼ動きはなかったが、雨量が減ってQ1 よりもコンディションが改善したのか、各車、Q1 でのチームベストタイムを上回るアタックを見せていく。No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z も同様に、名取鉄平選手が果敢にアタックに挑んだ。毎ラップ自己ベストタイム更新の走りを見せた名取選手は、最終的に1 分49 秒666 のチームベストタイムを刻んでセッションを終了。結果、Q1、Q2 の合算タイムによって決定するスターティンググリッドは14 番手となった。翌日の決勝レースは300km の戦い。抜き所が限られる“もてぎ”ゆえに、上位入賞を目指すにはタフな戦いが待ち受ける。しかしながら、ひとつでもポジションアップをしてチェッカーを受けようと、与えられた条件のなかでミスなく戦う所存だ。
公式予選記録
Pos. | No. | TEAM | DRIVER | Q1 | Q2 | SW |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 64 | Modulo CIVIC TYPE R-GT | 伊沢 拓也 大草 りき |
1’49.255 | 1’48.656 | 7 |
2 | 8 | ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8 | 野尻 智紀 松下 信治 |
1’50.215 | 1’48.077 | 26 |
3 | 36 | au TOM’S GR Supra | 坪井 翔 山下 健太 |
1’50.910 | 1’48.178 | 53 |
14 | 24 | リアライズコーポレーション ADVAN Z | 松田 次生 名取 鉄平 |
1’53.403 | 1’49.666 | 5 |
Q1: Start: 14:53’00 Finish: 15:03’00 Q2: Start: 15:49’00 Finish: 15:59’00
近藤真彦監督のコメント
前回のオートポリスでポールポジションを獲ることができましたが、今回は本降りの雨のなかでライバルとの差が大きく開くことになりました。厳しい結果になってしまいましたが、その中身としては決して悪いものだけではありません。どうしようもないということではなく、少しずつでも進化していると言えます。ドライバーふたりもそれぞれのセッションで難しいコンディションを相手にしっかりとアタックを見せてくれたと思っています。現在、レースで強いタイヤを開発する過程にあるわけですが、明日はドライコンディションのなか、またチャレンジする戦いをお見せできるのではないかと思っています。まだまだ課題は残っていますが、ひとつずつクリアし、方向性を定めていきたいと思っています。
松田次生選手のコメント
朝の公式練習中はタイヤも温まらず、相当雨も降っていたので、ハイドロが起きてコースアウトしてしまいました。また、担当したQ1 では雨量も多く、しっかりとアタックするには難しいコンディションだったと思います。その中で、なんとか出来ることをやったというアタックでした。決勝は晴れのレースが出来るし、前回のオートポリスとは違って日差しもあるようなので、粘り強く戦ってひとつでもポジションを上げることができたらと思います。開発が進むタイヤの良いところを引き出すような走りが出来れば、と思います。
名取鉄平選手のコメント
本格的なウエットコンディションの中では思うようなアタックをすることが難しく、厳しいQ2 になりました。公式練習のときも雨が続き、また赤旗も多かったのでしっかりと走るという状態でもありませんでした。決勝は週末初ドライコンディションになるので、どうなるかわかりませんが、ひとつでも前のクルマを抜けたら、と思います。頑張ります。
村田卓児エンジニアのコメント
今回は雨の予選となるだろうから、朝の公式練習でウエットタイヤのコンディションを確認したいと考えていたのですが、コースアウトする車両も多く、赤旗中断が何度も重なったことで、タイヤも十分に温まらず、確認らしい確認も出来ずにセッションが終わってしまいました。その影響もあり、難しい予選になりました。予選では雨量が多く、厳しいアタックになることは予想していましたが、その中で松田選手、名取選手ともに条件下でしっかりとコントロールしてアタックしてくれたと思います。決勝は少しでも気温が上がるなかで戦えたら、と思います。
決勝(11月3日・晴れ/ドライ)
決勝レポート
ドライコンディションの決勝で奮闘、8位入賞を果たす
11月3日、栃木・モビリティリゾートもてぎで迎えたSUPER GT第8戦の決勝が秋晴れの好天気の下で実施され、予選14番手スタートを切ったKONDO RACINGのNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN Zは、粘り強い走行でポジションアップに成功し、8位でチェッカー。シーズン2度目の入賞を果たしている。
第6戦SUGO以降、雨や霧といった天候不順の影響を受け、思うような走行セッションが実施できていない状態だったが、決勝日のもてぎは早朝から雲ひとつない青空が広がった。風はやや冷たいものの安定して日差しに恵まれ、季節的にはレース観戦日和だったと言える。
一方、前日の予選はウエットコンディションで実施されたため、レースウィーク初のドライタイヤ装着に向け、決勝前のウォームアップ走行では使用するタイヤの見極めを行なうことになった。ニュータイヤの皮むきはじめ、レースに向けて様々なメニューをこなすという極めて慌ただしいセッションを経て、いよいよ午後1時に300kmレースが幕を開ける。
スタートドライバーは名取鉄平選手。タイヤ開発のプロジェクトが進むなかでの新しいドライタイヤで挑むことになったが、3周目に1台、さらに6周目のFCY導入直前に1台、そして11周目には、2回目のFCY解除後のリスタートでさらに2台を逆転。攻めの走りに徹してポジションアップを展開した。
ルーティン作業のためにピットが動いたのは22周終了時。No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Zのほか4台もピットを目指した。また、足下には、名取選手から事前に伝えられた情報をもとに、スタート時とは異なるニュータイヤを装着。代わってクルマに乗り込んだ松田選手がピットを離れた。
レースは22〜24周終了時に、コース上のGT500全車両のピット作業が終了。コース上では慌ただしくポジション変動が見られたが、松田選手は11位から第2スティントを戦うことになった。前後車両とのタイム差もほとんどなく、ときには縦一列になって周回を重ねる攻防戦を展開。松田選手は、抜き所が限られるもてぎで、相手に隙を与えない走りを続けてポジションキープしつつ、また前方の敵には隙をついて攻め立てるという”職人技”を披露。ベテランならではの走りを続ける。だが、僅差のバトルゆえにやはりチャンスも少なく、しばし膠着状態に。
そんな中、レース終盤に入ると前方の1台がトラブル発生によりピットへ。さらに、コース上での接触アクシデントで別の1台もピットに戻ってしまう。結果、53周目には9位へと浮上し、その後も粘り強く周回を続けるなか、60周目にもポジションアップのチャンスが訪れ、8位に。このまま63周を走破したNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN Zは第3戦鈴鹿以来となる入賞を遂げている。
残すはいよいよ最終戦の鈴鹿のみ。12月上旬でのレースは初となり、本格的な寒さのなかでどのような展開を見せるのか。チーム一丸となって”未知数の戦い”に挑み、シーズンラストレースを最善の形で締めくくりたい。
決勝結果
Pos. | No. | TEAM | DRIVER | DIFF | LAPS | SW |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 36 | au TOM’S GR Supra | 坪井 翔 山下 健太 |
1:53’50.242 | 63 | 53 |
2 | 8 | ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8 | 野尻 智紀 松下 信治 |
20.513 | 63 | 26 |
3 | 38 | KeePer CERUMO GR Supra | 石浦 宏明 大湯 都史樹 |
27.554 | 63 | 41 |
8 | 24 | リアライズコーポレーション ADVAN Z | 松田 次生 名取 鉄平 |
45.310 | 63 | 5 |
Fastest Lap : No.64 Takuya Izawa/Riki Okusa / Modulo CIVIC TYPE R-GT 1’39.702 (3/63) 173.353km/h
No. | TEAM | LAPTIME |
---|---|---|
64 | Modulo CIVIC TYPE R-GT | 1’39.702 (3/63) |
近藤真彦監督のコメント
ふたりのドライバーが粘り強く戦ってくれました。出来る限りの事はやれたと思います。場合によっては、大胆な戦略をしないといけないのでは、と懸念していたのですが、その”切り札”は使わずに済みました。ここのところ名取(鉄平)選手の成長が著しく、今回もスタートを任せました。その後、セカンドスティントは松田(次生)選手が長く周回してくれましたが、攻防戦をしのぎ、タイヤメーカーが異なるライバルとやりあったパフォーマンスは素晴らしかったと思います。今日は8位という結果でしたが、しっかり戦い抜いて得た結果だと思えるし、内容も濃いものでした。名取選手が自身でタイヤインフォメーションを伝え、次に装着するタイヤもアドバイスするなど、しっかりと仕事をしたと思います。結果として、異なるタイヤを着けたことがいい方向に進んだと思います。良い戦いが出来ただけに、最後の鈴鹿ではよりいっそう良い走りをお見せできたらと思います。
松田次生選手のコメント
名取選手とは異なるタイヤを装着して戦ったのですが、良い走りに繋がったと思います。どうしてもアウトラップでのタイヤの発熱に課題が残っていますが、それでも良い走りを見せることも出来たし、僕自身として内容的に色々お見せする事は出来たのかなと思います。今回も新しいドライタイヤでの良いところが走りに出ていたので、開発という部分での進化は少しずつながら見せられているのではないでしょうか。そう簡単にはいかないでしょうが、進化する中でのパフォーマンスを最終戦の鈴鹿でも見せられたないいなと思っています。
名取鉄平選手のコメント
レースウィークに持ち込んだドライタイヤの比較なども出来ていなかったので、どういう状態で走れるかが未知数でした。スタートを担当したので、まずはどこまでいけるのか、という感じでしたが特段フィーリングが良かったわけではないものの、要所要所で前のクルマをオーバーテイクすることが出来ました。スティントで9位までポジションを上げ、Zとしても一番上位の走りが出来たので、やるべきことはできたのかなと思います。最後の鈴鹿では、優勝含めまだ達成出来ていない事ができたらと思います。
村田卓児エンジニアのコメント
レースウィーク初のドライコンディションでのレースになったので、ライバルとの差が出にくい展開になりました。ピットインのタイミングもほぼ似通ったものになりましたね。まずスタート担当の名取選手がしっかりポジションを守る形で走り、ピットインしたのですが、ピットアウトでのアウトラップがまだ課題として残っているので、そこで粘りきれなかったですね。とはいえ、終盤はずっと前後車両との僅差の走りが出来ました。最終戦は気温が下がるなかでの開催なので、厳しいレースになる事が予想されますが、チームとして出来る限りのことをやるのみです。